先日の桂川。スタート直後に選手を待ち受けていたのは、うねるように盛り上がった深い泥だった。トラクションのかけ方一つでシクロクロッサーが進むことを拒む泥は、普段泥になれた選手たちを苦しめた。しかし、シクロクロッサー達は雨、泥、水たまりと悪条件が整えば整うほど喜ぶ。
見方を変えればマゾヒスティックな性格とも読み取れなくもないが、それとは少し違う。彼らは悪条件が重ねれば重なるほどテクニックに差が出ると知っている。いくらパワーがあっても、泥でスタックしてしまっていてはパワーの無駄遣なのだ。
不安定を知る
ロードではドラフティングで弱い選手が強い選手より楽にすすめるなんてこともある。ただ、シクロクロスはバイクをすすめるために何通りもの進ませ方がある。
「シクロクロスのチャンピオンは自転車のチャンピオン」
こんなことわざがある。いくら舗装路を速く走れる選手もバイクコントロールという要素が加われば途端に進めなくなる。適当にこいでも十分なトラクションがかかる舗装路しか走ってないから、「トラクション」という概念すらない。
昔の私がそうだった。
スキーもそうだが、自転車も物理的に突き詰めていけば「バランスを崩しながら進む運動」だ。そのためには「転ぶ」必要がある。どこまでやれば、どこまで行けば転ぶのか限界値がわかる。ただ、ロードばかり走っていると「ころんではいけない」から、バイクの扱いに制限が出る。
シクロクロッサーはぐちゃぐちゃな泥道をバランスをとりながら、クリテリウムの密集度の中で互いを押し合いながら走る。そんなことを繰り返しながら、上達していく。彼らを見ていると、「不安定を安定に変える」引き出しがどれほどあるのか、そこにテクニックが見え隠れする。
それらは、テクニックや引き出しの多さとして現れる。だから、年齢を重ねたシクロクロッサーでも早い人がいるのだろう。自転車は、舗装路を速く進むだけが脳ではない。どんな場所も、どんな道も、どんな天候でも、いかに速く、いかにうまく進ませるかにある。
今年は年間のランキングを2つあげてC1 15位だった。引き出しを増やして来年の目標は高く、年間のランキングTOP10へ。テクニックはリザルトを押し上げてくれるだろうか。今年の目標は最後の最後でシングル取ったので達成はしたけど、やっぱり思うのはコツコツやってくしかない。平日のローラーピスト練習も昨年12月からやって、身になるのは一ヶ月以上かかってる。
続けること、目標を明確にすること、一日そこらで結果がでるような甘い世界ではない。コツコツが強くなるコツかもしれない。
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