ドイツのONE K社が開発を続けてきた、特殊なカーボンファイバースポークを用いたホイールが年内にリリースされる予定だ。わずか930gのONE-Kホイールは前例のない革新的なカーボンファイバースポーク構造を採用することにより驚異的な軽さのホイールを生み出すことに成功している。
ONE Kは、カイザースラウテルン工科大学のライプニッツ研究所から生まれたスピンオフ企業だ。
これまでカーボンスポークを用いたホイールといえば、Lightweight、MAVIC COSMIC CARBON ULTIMATE、Partingtonが思い浮かぶ。しかし、ONE Kが開発したファイバースポークは、1本の連続したファイバーテープから、複数の連結したスポークを作っている
通常スポークは1本で構成されているが、ONE Kで採用しているスポークは6本(相当)のスポークがすべて連結されており1つの構造体になっている。
スポークには小さな「ループ」がある。このスポークのループが、ハブやリムとの接続に用いられる仕組みだ。ループは、ファイバーテープと他の部品をつなぐ最も単純かつ簡単な方法といえる。
このシームレスファイバーテープという特殊なスポーク構造は、ハブに「スポークホール」が不要だ。スポークの中央部では、繊維が荷重方向に完全に整列しているため、素材の特性を最大限に生かすことができるといえう。
一見複雑そうに見えるスポーク構造は、連続繊維でできた一体型のスポークを左右に2枚ずつ並べただけのものだ。ハブの両側にある2枚のスポーク板をオフセットして各プレートには6本のスポークが三角形に配置される。中央で合流して星のような形状を作り出している。
スポーク1本あたりの重量は、独自のマウントシステムを含めて2.2gで、6本のスポークのプレートの重量はわずか6gだ。CX-RAYのスポークが1本あたり4~5gということを考えるとどれだけ軽いか簡単に想像できる。
各スポークの先端には、チタン製のニップルに取り付けるためのループがある。チタン製のニップルは軽量で耐久性が高い特徴がある。ニップルはリムサイドのネジでプリテンションをかけることができる構造だ。
これにより、常に高いスポークテンションが得られ、ホイールのセンター出しが正確に行えるといえう。また、特殊な球状ヘッドにより、ハブとリムの間でスポークのテンションを調整することができる。
ONE-Kのスポークコンセプトは、球面ヘッドのネジが従来のスポークニップルと同じ接触面を使用しているため、特別なリムは必要ない。
ONE-Kによれば、このデザインが高級スチールスポーク(おそらくCX-RAY)よりも60%軽く、ホイールセットの重量を20%削減したといえう。
この新しいスポークデザインに対応する「穴のないハブ」は、同じドイツのブランドであるNonplus Componentsと共同で開発された。このハブは、フランジに6つの突起(ノブ)があり、これが2枚のスポークプレートを固定する構造になっている。
スポークプレートの中心は、このノブに固定され、スポークにテンションがかかるとロックされる仕組みだ。
ONE-Kのホイールは年末に販売予定、重量は930gだ。
これまでにない特殊な構造と、ディスクブレーキホイールで1000gを切ったホイールは数えるほどしかない。軽量マニアと機材マニアは喉から手が出るほどほしいかもしれない逸品だ。価格は公開されていないが、相当な額になることは間違い無さそうだ・・・。
現在「SHOP Coming Soon」になっており、年末にかけて販売が開始される模様。