第28回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス MM 40-49 4位

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photo: Kikuzo

今年も全日本自転車競技選手権大会シクロクロスに参加した。会場は愛知県稲沢市祖父江町の国営木曽三川公園ワイルドネイチャープラザだ。砂で有名なワイルドネイチャーはテクニックのみならずパワーも必要とされるコースだ。

土日のレースが開催される金曜日から雨が降り、砂は締まり若干ではあるが走りやすくなった。ただ、深い砂は変わらず、砂が勝負を分けいくつものドラマが生まれた。特に1日目のシングルスピードでは熱戦が繰り広げられた。

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関西シクロクロスを走る川村選手と腰山選手の走りは熱く、目頭も熱くなった。どちらが勝ってもおかしくないレースで、最後の最後まで勝負はもつれ込んだ。連覇を狙うミスターシングルスピード腰山選手の気迫と攻めの走りは見るものを魅了した。

今年見たレースの中で特に感動した1戦だった。終わってから、二人に思わずメッセージを送って感謝した。それほど、この日にかける思いと「日本一」という称号の重さを走りで感じられるレースだった。

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私自身も、その重みを理解しつつレースに挑んだ。いつもよりは緊張していたけど、できるだけレースに集中できるようになるべく余計なことを考えないように、そして余計なことは喋らないように朝から静かにしていた。

ふわっとした感じでいると、レースもどこか締まりのない感じになる。できるだけ集中してレースに挑んだ。

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第28回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス MM 40-49 4位

photo: Kikuzo

日本一を決める大会だから、4位にはなんの意味もない。

結果は単純だ。自分のメンタルと、フィジカルが弱かっただけだ。体調、調子、体重、機材、タイヤ、バイク、空気圧、メカトラ、全て問題なかった。だから、自分が弱かっただけだという、それ以上でもそれ以下でもない。

このレースに挑むまで、たしかに日々トレーニングしてきた。特に感謝しなければならないのは、今回と同じ会場で行われた前哨戦の東海シクロクロスのレースで筧五郎選手にボロ負けしたことだ。筧五郎選手に圧倒的な差を付けられて負けた。

その時も4位だった。あれでスイッチがもう一段回入って、きついインターバルトレーニングを負荷をかけて行えるようになった。負けたからこそ、できることもある。全日本選手権までにあのタイムギャップをどれだけ減らせるか、自分に課せた負荷できついトレーニングをできたのも、負けたからだ。

筧五郎選手のブログをみて、いたたまれなくなりメッセージを送った。

今回のレースでは、昨年勝てなかった前回王者の同郷の田崎選手、生田目選手、太田選手、石川選手なども当然ながら参加しており、この強豪選手たちとも戦わなければならない。前回は全く刃が立たなかったから正直どこまでいけるかは未知数だった。

とはいえ、どこか今年は落ち着いていて普通に走れば結果はついてくるだろうとわりと楽な気持ちでスタートラインに着いた。

ウォーミングアップは、長めにとって12時05分〜12時45分の40分間。欲をいえば、50分は徐々に体を温めたかったが、寒くて車の中で暖房を効かせながら各レースを見ていた。試走ではIRC SERAC CXとEDGEを両方試したがどちらでも滑らないと判断してEDGEを選んだ。

不思議なことに、試走をすればするほどコースが走りやすく砂も乗れるようになった。なぜだかわからないがとても良い感覚を得てスタートラインに着いた。

スタートは左側から行きたかったが、やはり同じことを考えていたようで筧五郎選手、田崎選手が左側に。あまり行きたくななかったが、真ん中を選んだ。いろいろと展開やスタート直後の砂区間のラインをぼんやりと考えていたら、田崎選手に声をかけられて、一瞬我に返った。

珍しく自分でも集中して(緊張もして)いるようで、それ以上会話が続かなかったのは申し訳ない。とはいえ、これから走るライバル、先にゴールするために走らねばならない。

スタート練習は何十回、いや今年は100回以上練習した。苦手なスタートだったけど今では高確率でいけてる。クリートキャッチもノーミスで決まる。番手は石川選手、村田選手、私で砂区間のコーナーに入る。

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奥の砂区間でワンミスしてしまって、その間に村田選手と石川選手がかなり先行した。パックになって、レッドゾーンギリギリで引きずられながら食らいつくほうが展開的に自分に有利なのだが、今回は村田選手と石川選手について行けなかった。

とはいえ、一定のペースでラップタイムを崩さずまずは走ることを念頭に置いた。林区間はまったく滑らずグリップも良い。ゆいつ、砂のヘアピンコーナーは突っ込んでいって下車したほうが早かった。そこから、白いドームの横を通りUターンする。

この区間では差がつかない。問題はその後の砂区間だ。走れば走るほどラインができてきて、逆に高速で突っ込むとラインを外してしまうのであえて減速気味に小さな砂区間を処理した。肝心の長い砂下り区間は思った以上に乗っていけた。

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しかし、肝心なのはセクションをクリアする速度であり所要時間だ。ランのほうが速ければ、あえて乗車にこだわる必要など一切ない。苦手な砂区間だが、雨で締まって走りやすくなっていた。

結局、真ん中が一番走りやすそうだったが、わだちのトレースが思うように行かなく途中でミスをして結構な距離を走り大幅にタイムロスした。

このレースで最大の過ちは、単独3位をずっと走っていて「あ、今日は表彰台だ」とレース中に安心してしまったことだ。フィジカルの調子もよく、よく踏めてる。ただ、経験上レース中にこういう考えを一瞬でもしてしまったら「終わり」だ。

脳科学的にも解明されていて、書籍勝負脳の鍛え方にもこの話は載っている。

いつもであれば、残り2周からさらにペースを上げる。路面コンディションもコースもすべて条件が整っていた。あとは追い込むだけだったが、なぜか追い込めなかった。完全に、レースを消化するだけになっていたのだろう。

あとから振り返れば、もう、レースよりもなによりも、自分自身に負けてレースが終わっていた。条件は整っていたが、ここでメンタルの弱さが露呈した。フィジカルも高め、テクニック練も多く積んで、いくらか自信がついていたのも驕りだった。

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ただ、最後のメンタル面、考え方、レースへ挑む本気度がそこまでだった。織田選手に追いつかれたからは、どこかで抜けばいいやと簡単に考えていた。完全に気が緩んでいた。ただ、勝負への執念や、1つでも良いリザルトを取るという意識が弱かった。

ラップタイムは崩れなかったが、残りの1周は中身のない、ただ走っただけだった。これで3位だったとしても、意味のない、中身のない結果だったのだろう。4位ならなおさら意味がない。

自分はただレースを消化しただけで、一切中身のない走りだった。熱い走りを交わしていたシングルスピードの二人とは対照的で、面白みのない、中身のない、覇気がない走りだった。それが自己評価だ。

photo: Kikuzo

ああ、自分はゴミだなと思った。きつい練習も繰り返しやってきたし、今年は準備してきた。でも、ここにきてこの程度の走りしかできないのは、ほんとうにクズだと思った。それがこの日の正しい評価だと思う。

正直、またやれるのかはわからない。もっと、根本的に正さなくてはならない考え方や、競技への取り組み方がある。もちろん、私がやっている自転車競技は所詮「遊び」だ。ただ、真剣な遊びには変わりない。いくらか生活や時間を犠牲にしている。

だからこそ、勝っても、負けても、自分が納得の行く走りをしなくてはならない。

片付けも挨拶も早々に、帰宅した。家にはあっという間、16時についた。帰宅して、速報やラップタイム、勝者のコメントを見る。夕飯は家族で楽しく食べた。その時間は、この日のレースを忘れていた。

ただ、寝る前に、ラップタイムや、シクロワイアードで上がってくる写真やコメントを見ると、途端に悔しさがこみ上げてくる。「ああ、悔しい」ぶり返して、また悔しさがこみ上げてくる。

順位よりもなにより、自分自身に負けた自体にいらついた。ただ、それは自分が選択したことだ。この日はすべての流れが上手く行った。メカトラやコンディションなど外的要因で一切の問題はない。ただ、1点抜けがあるとしたら自分自身だ。

もはや、反省しても何も戻ってこないし、リザルトも変わらない。また来年へ向けて練習するしか無い。ただそれだけなのだけど。

妻からは「おっさんのカテゴリなんだから気にすんな」みたいなことを言われたが、「くやしいって気持ちがなくなったら、レース辞めるときかな」と返した。寝る前にまたレースを思い出して、年齢をかさねてもまだこうやって悔しいとか思えるのは幸せかもな、と思った。

一生懸命やらないと、悔しいとか、色々と思い悩まないと思う。今シーズンはあと2戦で終わる。逆に、今回のレースはよい刺激になったのかもしれない。同じ轍を踏むようなおろかなことはしないようにしないといけない。

翌日、普段と変わらず練習をする。「練習を再開」なんて書かないのは、結局継続してトレーニングを続けているからだ。普段とかわらずレースのない日は外を走る。そして、平日は早朝からトレーンングをするのだろう。

また来年も参加する。ただ、問題なのは来年もこうやって走れているかわからない。人生何が起こるかわからないし、生きてるかもわからない。だから、1戦1戦大事にしてはしらねば。

色々と、後悔が残るレースだった。やるからには、勝っても負けても自分が納得できる走りをしたい。残りのレースは、悔いの無いように走る。

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