とおくの著名人が亡くなっても、あまりなんとも思わない性分なのだが経済評論家の山崎元さんが1月1日に65歳で死去したのはショックだった。
楽天証券の連載「トウシル」も長らく愛読し質問を送ったこともあるし、仕事納めの2023年12月28日には、ReHacQの後藤達也さんとの対談も夜中見ていた。その時に以前よりかなり痩せていて「がんが再発して、子供の将来が見れないかもしれないのが残念」と語っていたのが鮮明に思い出された。
わたし自身はリーマンショックのすこし前(の悪いタイミング?)から個別株とS&P500などのインデックスなどに趣味で投資してきたのだが、2017年に発売された「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」は投資の解説としてはとてもわかりやすく、妻にも読ませた。
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だから、妻も山崎元さんが亡くなったのには驚いていた。今でこそ山崎さんはオルカン(オールカントリーインデックス)派と思われているが、2017年時点ではそうではなかった。
上場インデックスファンドTOPIX (1308)とニッセイ外国株式インデックスファンドを半々で所有せよという主張だったように記憶している。ニッセイ外国株式インデックスファンドの目論見書を見ればわかるが、アメリカが7割、残り3割は先進国が組み入れられている。
債券も所有せよ、という内容も書かれていたが私はまだリスク負える年齢と仕事だから債券は所有しなかったし、今でも所有していない。
話は戻り、先程の主張は結果的には組入の割合だけが違うオルカンなのだから、卵を1つのカゴに盛るな、広く分散せよという主張自体はぶれていなかった。私のような趣味で投資を勉強してやっている一般人は絶対に投資のプロには勝てないが、平均点を取る方法も山崎さんの書籍やコラムから教わった。
悩みがちなドルコスト平均法か、一括投資についても明確な回答を持ち合わせており、まとまった資金があるなら一括投資で、ドルコスト平均法は時間の分散はされるが基本的には気休めにしかならない。
ただし、毎月給料が振り込まれるような仕事なら結果的にドルコスト平均法になる。それよりも若いうちは稼いで入金力が重要。とにかく長期運用、ホールドし続ける。何があっても市場から退場しない。安眠できるポートフォリオを作る。これだけをシンプルに守っていたから、リーマンショックでも、コロナショックでも投資し続けることができた。むしろ、今のリターンはこのバーゲンが大きい。
という内容を守り続け、時間はかかったが2023年は人生で初めて色んな意味で「r>g」だった。リーマンショックや、コロナショックでも市場から退場しなかったからこそ今があるのだが、資産運用により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早くなるときがいつか訪れる。
それを実感できたのも、山崎元さんのおかげだろう。
そんな山崎さんは2023年3月にnoteで息子へ向けた「遺書」を書いたという。まだどこにも、山崎さんのnoteにも情報が一切紹介されることなく亡くなってしまったのだが、気になって出版社から調べたところ2024/2/22に発売するという。amazonで予約が始まっており、さっそく予約した。
内容は、noteにも少々書かれていたが父から息子に向けた投資の話だ。山崎さんのnoteを見る限り書籍のタイトルについては悩まれていたことが読み取れる。出版社側が「売れるタイトル」として提案してきたものだそうだ。
このタイトルはジェイエル・コリンズの「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」と似ているので二番煎じには感じた。
内容は全く別のものになるだろう。山崎さんが息子へ向けた「遺書」として書いた内容だというから、私も一人の子供の親としてどのような内容になっているのか非常に興味がある。山崎さんの訃報にはもちろん本書の情報など一切乗っていなかった。埋もれていてはもったいない。
亡くなった歌手の音楽が死後売れるように、山崎さんの投資の書籍も同じように語り継がれていくのだろう。