価格破壊:CYCPLUS T7 スマートバイク レビュー Wahoo、Garminの牙城を崩せるか?

4.5
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パワメ付きロードバイクにローラーがついて20万、それでメンテいらんって考えたら。。。

インドアサイクリングトレーニング機器の市場は、近年著しい進化を遂げている。後輪を取り外して固定するダイレクトドライブ式スマートトレーナーが主流となった後、市場の関心は、利便性と没入感をさらに高めた一体型の「スマートバイク」へと移行しつつある。

このカテゴリーは、これまでWahoo Fitness、Garmin (Tacx)、Stages Cyclingといったプレミアムブランドが支配する領域であった。これらの製品は、高い性能と信頼性を提供する一方で、40万円を超えるような高価格帯に位置している。

このような市場環境において、CYCPLUSは新たな挑戦者として名乗りを上げた。

 同社はこれまで、サイクルコンピューター、電動タイヤインフレーター、レーダーテールライトといったアクセサリー分野において、低価格でありながら高い機能性を謳う製品を投入し、一定の知名度を築いてきたブランドである。

今回レビューするT7スマートバイクは、同社がより高価格帯で技術的にも複雑な製品カテゴリーへ本格的に進出するための、試みと位置づけられる。T7は、その公称スペックにおいて、市場の最高級モデルに匹敵する、あるいは部分的にはそれを凌駕する性能を提示している。

パワー測定精度は±1%の公称値とあり非常に高性能だ。今回は新型のAssioma PRO RSを接続して測定精度を比較検証した。これらの公称スペックを技術的観点から分析し、主要な競合製品との比較を通じてその市場価値と戦略的ポジショニングを評価していく。

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T7を構成する技術

ほぼ完成状態で梱包されている。


組み立ては非常に簡単で、前後の足を取り付けるだけで完成する。

駆動系と抵抗ユニット

ダイレクトドライブ方式と高強度ベルトドライブを組み合わせた駆動システム


CYCPLUS T7は、ダイレクトドライブ方式と高強度ベルトドライブを組み合わせた駆動システムを採用している。この設計は、従来のダイレクトドライブトレーナーで一般的だったチェーンドライブと比較して、静粛性の向上とメンテナンス負荷の軽減を主目的としている。

メーカーが公表する騒音レベルは52dB未満であり、これは一般的なダイレクトドライブトレーナーの53 dBから66 dBという範囲よりも静かであることを示唆している。この静粛性は、集合住宅など騒音が問題となり得る環境での使用において、極めて重要な利点となる。

実際に騒音を測定した結果はこちらだ。

平均が66dBだった。ただし、クリートを着ける際の「バチン」という音や、外す音が大きく、平均値を上げる結果になった。実際の動作中の騒音は48〜53dB程だった。測定機が示している通り「静かな自宅」程度である。今まで様々な室内トレーナーを使用してきたが最も静かだった。

ロードバイクを直接接続する同社のT2スマートトレーナーは、トレーナー本体の騒音よりもバイクのチェーンの駆動音が主な騒音源であった。T7では、このユーザー側に起因する騒音の最大の要因がベルトドライブによって排除されており、一貫して静かな動作が期待できる。

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このベルトドライブの採用は、単なる静粛性向上のための技術的選択にとどまらない。これは、製品を「プラグアンドプレイ」で利用できる家電のようなユーザー体験を提供するための戦略的な判断である。

従来のトレーナーでは、ユーザーのチェーンの清掃状態や摩耗度が騒音レベルを左右する変動要因であった。しかし、ベルトドライブを統合することで、CYCPLUSは騒音レベルをユーザーの機材に依存しない、一貫した製品仕様として定義することに成功した。

これにより、T7はメンテナンスを伴うサイクリング「機材」から、手軽に使えるフィットネス「装置」へとその性格を変え、熱心なサイクリストだけでなく、利便性を重視する一般のフィットネスユーザーや、設定変更が頻繁に発生する複数人での家庭利用といった、より広い層への訴求力を高めている。

抵抗制御には、現代のスマートトレーナーにおける標準技術である電磁式モーターが用いられる。

これにより、ZwiftやTrainerRoadといったサードパーティ製アプリケーションとの連携が可能となり、目標出力に合わせて抵抗を自動調整するERGモードや、仮想世界の勾配を再現するSIMモードをシームレスに実現する。

パワー精度と計測技術

T7の仕様の中でも特に注目すべきは、そのパワー測定精度である。メーカーは±1という極めて高い精度を公称している。この数値は、Wahoo KICKR BIKE (±1%) 、Tacx NEO Bike Smart (<1%)といった市場の最高級モデルと同等であり、Stages SB20 (±1.5%) を上回るものである。

データに基づいたトレーニングを行うアスリートにとって、パワー測定の精度と一貫性は機材選定における最重要項目の一つである。

さらに、T7は「キャリブレーション不要」を謳っている。これは、ユーザーが定期的にスピンダウンキャリブレーション(トレーナーを一定速度まで加速させた後、惰性で停止するまでの時間を測定し、内部抵抗を補正する作業)を行う必要がないことを意味する。

通常、スマートトレーナーやパワーメーターは、使用に伴う内部温度の上昇によってひずみゲージなどのセンサーの電気抵抗値が変化し、測定精度に影響を与える。そのため、多くのモデルでは10分程度のウォームアップ後にキャリブレーションを行うことが推奨されている。

T7が真にキャリブレーションフリーであるならば、内部に高精度の温度センサーを搭載し、測定値をリアルタイムで補正する高度なアルゴリズムが実装されていると推測される。

公称スペックからは具体的なセンサー技術は明示されていないが、業界標準はひずみゲージである。一方で、Eliteなどのメーカーは光学式トルクセンサー(OTS)を採用し、温度変化に対する優れた耐性を主張している。

光学式センサーは、軸のねじれを光学的に測定するもので、発熱源であるブレーキユニットから離して配置できるため、温度変化の影響を受けにくいという利点がある。T7のキャリブレーションフリーという主張は、このような先進的なセンサー技術、あるいは極めて洗練された温度補償ロジックの存在を示唆する。

しかし、この±1%の精度とキャリブレーションフリーという主張は、T7の最も魅力的なセールスポイントである。

パフォーマンス指標

T7は、パフォーマンスの面でもハイエンドモデルに匹敵するスペックを備えている。

最大出力

2200 Wの最大出力に対応しており 、これはWahoo KICKR BIKE SHIFT (2200 W) やTacx NEO Bike Smart (2200 W) と同等である。この出力レベルは、世界トップクラスのスプリンターが瞬間的に発生させるパワーにも十分対応可能であり、あらゆるレベルのユーザーにとって不足のない仕様である。

最大勾配再現

20%の登坂勾配を再現する能力を持つ。これもWahoo KICKR BIKE SHIFT (20%) と同等のスペックであり、Zwiftに登場するAlpe du Zwift (最大13.9%) やVen-Top (最大15.1%) といった、仮想世界で最も厳しいとされる登坂ルートの負荷を忠実に再現することができる。

ダウンヒルシミュレーション

T7は、-15%までの下り勾配を再現する機能を搭載している。これは、抵抗ユニットのモーターがフライホイールを積極的に駆動させることで実現され、下り坂での惰性走行感を高め、トレーニングの没入感を向上させる。

この機能は、Wahoo KICKR BIKE SHIFT (-15%) やTacx NEO Bike Smart といった高価格帯のプレミアムモデルにのみ搭載されているものであり、T7が明確にハイエンド市場をターゲットに開発されたことを示している。

ライドフィールと慣性

足を止めても、慣性が働きフライホイールが回る仕組みになっている。

インドアトレーナーの「ライドフィール」は、フライホイールが生み出す慣性(イナーシャ)に大きく左右される。T7は、この点において「ダイナミックイナーシャ」という機能を特徴として挙げている。

これは、物理的なフライホイールの質量だけに依存するのではなく、ライダーの体重、速度、勾配といった複数のパラメーターを基に、モーター制御によって仮想的な慣性を動的に再現する機能を示唆している。

Tacxのトレーナーも同様のコンセプトを採用しており、ソフトウェア制御によってリアルな走行感を追求している。

T7の公式仕様には、物理的なフライホイールの重量が記載されていない。これは、Tacx NEOシリーズのように、質量の大きな物理フライホイールの代わりに、モーター制御による「バーチャルフライホイール」に大きく依存している設計である可能性が高いことを示している。

この設計思想の違いは、ライドフィールに直接的な影響を与える。例えば、Stages SB20が搭載する22.6 kgという非常に重い物理フライホイールは、一度回転すればその慣性によって滑らかなペダリング感を持続させやすいが、一方で急な加速や減速(インターバルなど)への反応が鈍くなる傾向がある。

対照的に、T7が採用するとみられるバーチャルフライホイールは、ソフトウェアのアルゴリズム次第で、登坂時の低慣性から平坦路での高慣性まで、様々な状況に応じた最適なライドフィールを再現できる柔軟性を持つ。

しかし、その再現性の質は、制御アルゴリズムの洗練度に完全に依存するため、T7の走行感がどの程度自然で没入感のあるものに仕上がっているかは、後述のインプレッションで紹介する。

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ポジション設定、エルゴノミクス、接続性

ポジションの自由度は非常に高い。自身のバイクポジションを100%再現できる。クランク長は、150mm〜175mmまで8つのポジションから選べる。昨今はショートクランクが流行っているが、様々なクランク長を手軽に試すこともできる。

  1. サドル角度
  2. サドル後退幅
  3. サドル高
  4. スタックハイト
  5. リーチ
  6. クランク長

省スペース設計

T7が梱包されている箱はとんでもなく大きいのだが、組み立てるとそのコンパクトさと省スペース性に驚く。奥行きは1065mmしかない。通常のロードバイクのホイールベース(前後のスルーアスクル間距離)は1000mm前後だ。

T7で必要なスペースといえばロードバイクのホイールを外した状態だけだ。それゆえ、ロードバイクに固定ローラーを接続しているよりもはるかに省スペースになる。これは、実際に使用してみてわかった優れたメリットだった。

筐体設計と調整機能

150mm〜175mmまで8種類のクランク長が選べる。

T7は、オールインワンのスマートバイクとして、高い調整機能と利便性を追求した設計となっている。

サドルの高さと前後位置、ハンドルの高さと前後位置、さらにクランク長オプションを含む6箇所の調整ポイントを備えており、多様な体格のユーザーに対してロードバイクのジオメトリを忠実に再現することが可能である。

特に、これらの調整が工具不要で行える点は、家族やチームなど複数のユーザーが共有する環境において、ユーザー間の切り替えを迅速かつ容易にし、利便性を大幅に向上させる。

サドル高

地面からのサドルの高さを調整でき、30cm以上の調整幅がある。

調整は工具不要だ。レバーを倒してサドル高さを調整し、元に戻すだけのシンプルな方式を採用している。

サドルにまたがりながら、レバーに手を伸ばしてサドル高を調整することも可能だった。T7でベストなライディングポジションを出してから、実際のロードバイクにポジションを落とし込むことも容易になる。

サドルは高すぎると、ペダリングのたびに骨盤が左右に揺れ、パワーロスや股ずれの原因になる。低すぎると、膝が詰まったような窮屈なペダリングになり、パワーが出しにくく膝の前側に負担がかかる。T7は細かな調整で煮詰めていくことが可能だ。

サドル後退幅

サドル後退幅も簡単に調整可能だ。メモリが付いているため、ミリ単位でスライドさせながら調整できる。一般的な目安として、クランクを水平にした際に「膝のお皿の真下」と「ペダル軸」が垂直線上にくる位置(KOPS: Knee Over Pedal Spindle)に合わせることが多い。

サドル角度

サドル角度は2点ボルトを緩めて調整する。

ロードバイクでも主流になっている標準的なサドル角度を調整する方法を踏襲しているため、簡単にサドル角度を調整することが可能になっている。

リーチ調整

便利な機能がリーチ調整だ。リーチはサドルからハンドルまでの距離を調整する機能である。ハンドル部分が前後にスライドして調整できる構造になっており、これにより、ステムの交換などをすることなく、無段階で最適なリーチを探ることが可能だ。

ハンドルの突き出し量を変更できるため、パワーを入れやすいポジションなどを探ることもできる。また、乗車中に簡単に調整できるためポジション出しや、購入検討中のバイクのポジションなども簡単に再現できる。

リーチにもメモリが付いており、ミリ単位で調整することが可能だ。

スタックハイト(ハンドルの高さ)

スタックはハンドルの高さを調整する機能だ。画像ではオレンジ色のコラム部分の高さ調整を変更することができる。ハンドルの高さを変えることで前傾姿勢の深さを調整できる。

高くすれば上半身が起き、首、肩、腰への負担が少ないリラックスした姿勢になる。目的に応じたフォームを取ることができ、低くすれば、より深い前傾姿勢となり、空気抵抗を意識した本格的なトレーニングフォームを取ることができる。

ハンドルを低くすると、姿勢を支えるためにより強い体幹が要求される。

クランク長

ペダルの回転軸であるクランクの長さを調整する機能もある。個々の体格への最適化ができ、身長や股下の長さに合わせてクランク長を調整することで、より自然で効率的なペダリングが可能になる。

ショートクランクも手軽に試すことができる。クランクが短いほど、ペダリング1回転での膝の曲げ伸ばしの角度が小さくなるため、膝への負担を軽減できる。

安定性

筐体の安定性も十分に考慮されている。本体重量は28 kgあり、高強度なスプリントやダンシングの際にもぐらつくことのない安定性を確保する。同時に、設置面積は0.77 m^2と非常にコンパクトに設計されており、スペースが限られた日本の住環境にも配慮されている。

これは、自身のロードバイクを設置する必要があり、全長を含めると約1 m^2のスペースを占有する一般的なダイレクトドライブトレーナーと比較して、明確な優位点である。

バーチャルシフティング

T7は、ShimanoとSRAMという二大コンポーネントメーカーのシフティングシステムを仮想的に再現する「デュアルバーチャルシフティング」機能を搭載している。

これにより、ユーザーは自身が普段屋外で使用しているバイクの操作感に近い環境でトレーニングを行うことができ、インドアとアウトドアでの体験の乖離を最小限に抑えることができる。バーチャルシフティングはシマノSTIの操作感そのものだ。

レバーはL-TWOO製で 細身のレバーになっており握りやすい。この電動シフターは、合計8個のボタンを備え、「Total Freedom(完全な自由)」というコンセプトが示す通り、リアルな操作感と高いカスタマイズ性を両立させているのが最大の特徴だ。

このシフターは、実際のロードバイクの左右のシフターの役割を忠実にシミュレートしている。これにより、インドアトレーニングでありながら、屋外で走行しているかのような直感的な操作が可能になっている。

リーチアジャストの調整も可能だ。

左シフター:チェーンリングコントロール(フロントギアの操作)

  • 実際の自転車のフロントギア(チェーンリング)の変速を模倣
  • シフトアップ: 抵抗が増加(重いギアになる)
  • シフトダウン: 抵抗が減少(軽いギアになる)

右シフター:カセットコントロール(リアギアの操作)

  • 実際の自転車のリアギア(スプロケット/カセット)の変速を模倣
  • シフトアップ: 抵抗が増加(重いギアになる)
  • シフトダウン: 抵抗が減少(軽いギアになる)

この左右の使い分けにより、ユーザーは実際のサイクリングと同じ感覚で負荷調整を行うことができるようになっている。

このシフターのもう一つの大きな特徴は、豊富なボタンによる高い拡張性だ。

合計8個のボタンを搭載しており、左右のシフターには、それぞれメインの変速ボタン2つに加え、上部や側面に「Reserved for customization(カスタマイズ用に予約済み)」と記されたボタンが2つずつ、合計4つ配置されている。

接続性においては、業界標準プロトコルであるANT+ FE-CおよびBluetooth FTMSに完全対応している。これにより、Zwift、Rouvy、Onelap、TrainerRoad、Wahoo SYSTMといった、現在市場に存在するほぼ全ての主要なサードパーティ製トレーニングプラットフォームとの互換性が保証される。

さらに、「Multi-Device Bluetooth Connection」に対応しているため、トレーニングアプリを動作させるPCやタブレットと、心拍計などのセンサーを同時に接続するといった、柔軟なデバイス構成が可能である。

ハンドルバー調整

ハンドルバーは標準の400mm幅一体型が付属している。通常のコラムサイズであるためハンドルを好みのものに変更して使用することもできる。レバーは無線タイプのためそのまま付け替えれば流用できる。

高度な溶接技術「スムースウェルディング」

まるで一本のパイプを曲げたかのように滑らかな接合部は、「スムースウェルディング」と呼ばれる加工が施されている。

一般的な溶接では、金属のパイプ同士を接合する際に「ビード」と呼ばれるうろこ状の溶接痕が盛り上がって残る。これは強度を確保するためには必要なものですが、見た目の上では武骨な印象を与える。

スムースウェルディングでは、まずTIG溶接などの精密な溶接を行った後、その盛り上がったビードを手作業や機械で丁寧に研磨し、滑らかに仕上げていく。これにより、溶接の痕跡がほとんど目立たない、シームレスで美しい外観が実現する。

最も分かりやすいメリットは、その美しさだ。一体感のある流麗なデザインは、製品全体の高級感を格段に高める。所有する満足感にも繋がり、見た目の価値も向上する。

スムースウェルディング加工は、単に見た目を良くするためだけではない。溶接部の表面を滑らかに仕上げることで、応力(力がかかった時に内部に発生する抵抗力)が特定の部分に集中するのを防ぐ。

力がスムーズに分散されるため、金属疲労が起こりにくく、フレーム全体の耐久性が向上します。特に、トレーニングで繰り返し大きな負荷がかかるスマートバイクにおいて、この点は非常に重要である。

このような手間のかかる加工が施されていることは、その製品が高い品質基準で製造されていることの証だ。スムースウェルディングは、通常の溶接に比べて格段に時間とコストがかかる工程になっている。

製造効率よりも品質とデザイン性を優先するという、メーカーの強いこだわりが感じられる。この丁寧な仕事は、このスマートバイクが単なる運動器具ではなく、デザイン性、性能、耐久性のすべてにおいて妥協なく作られた、高品質なトレーニングマシンであることを雄弁に物語っている。

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測定精度:ASSIOMA PRO RS vs T7

  • アシオマ: assi10min.fit (グラフでは青緑色の線)
  • T7:2025-10-10-16-30-01.fit (グラフでは紫色の線)

全体として、両装置の測定値は非常に高い相関を示しており、どちらも高性能な測定装置であると評価できる。しかし、特定の条件下で一貫した測定傾向の違いが見られる。

主な傾向として、T7はAssiomaに比べて、全体的にわずかに高いパワー値を記録する傾向がある。この差は特に、急激にパワーを上げるスプリントのような高強度域で顕著になっている。

総合比較

ライド全体の統計データを見ていく。

指標 アシオマ (assi10min.fit) T7 (2025-10...fit) 差 (B – A)
平均パワー (Avg Power) 121.53 W 125.75 W +4.22 W (+3.47%)
加重パワー (Weighted Power) 163.01 W 165.16 W +2.15 W (+1.32%)
最大パワー (Max Power) 562.00 W 562.00 W 0.00 W (一致)
平均ケイデンス (Avg Cadence) 71.92 rpm 73.38 rpm +1.46 rpm
  • 平均パワーと加重パワー: ライド全体を通して、T7がアシオマよりも1〜3%高い値を記録。
  • 最大パワー: 両装置とも562Wという全く同じ最大パワーを記録しており、瞬間的なピーク値の捕捉能力は同等であることが示唆される。
  • 平均ケイデンス: ケイデンスに関しても、両者の測定値は極めて近く、実質的な差はほとんどない。グラフを見ても、両者の線はほぼ完全に重なっている。

高強度・スプリント区間

急激なパワー上昇が見られる区間では、両者の間に最も明確な差が現れる。

500W超のスプリント区間 (Highlighted Duration: 22.1s):

  • アシオマ 平均: 319.77 W
  • T7 平均: 334.23 W
  • この区間ではT7が約4.5%高い値を示している。グラフを見ると、T7(紫色)の方がパワーの立ち上がりが速く、ピーク値も高く維持されているように見える。

別のスプリント区間 (Highlighted Duration: 16.1s):

  • アシオマ 平均: 390.39 W
  • T7 平均: 408.50 W
  • 同様に、この区間でもT7が約4.6%高い値を記録しており、高強度域での測定値の高さが一貫していることがわかる。

中強度・持続走区間

比較的安定したパワーで走行している区間では、両者の差は縮まる。

250W前後の持続走区間 (Highlighted Duration: 32.1s):

  • アシオマ 平均: 176.67 W
  • T7 平均: 178.67 W
  • ここでの差はわずか2W (約1.1%) であり、ほぼ一致していると言える。

350W前後の高めな持続走区間 (Highlighted Duration: 23.8s):

  • アシオマ 平均: 344.61 W
  • T7平均: 347.17 W
  • この区間でも差は非常に小さく(約0.7%)、安定した出力に対しては両装置とも同様の測定値を示すことが確認できる。

結論

Assioma (assi10min.fit) 安定したパワー出力や変動の多い区間において、非常に安定したデータを提供する。ただし、スプリントのような急激なパワー入力に対しては、T7と比較してわずかに反応が遅れるか、やや低めの数値を記録する傾向がある。

T7 (2025-10-10-16-30-01.fit) 全体的にアシオマよりわずかに高いパワー値を記録する傾向がある。この特徴は特に高強度のスプリント区間で顕著になり、より速く、より高いピークパワーを捉える特性が見られる。よりダイナミックなパワー変化に敏感に反応する測定ロジックを持っている可能性がある。

総合評価

どちらの装置もトレーニングデータを記録する上で十分な信頼性を持っている。観測された1〜4%程度の差異は、多くのサイクリストにとってトレーニングの質を左右するほど大きなものではない。

しかし、もしスプリントの分析や、ZWIFT上でのコンマ数秒でのパワーの反応性を重視するのであれば、T7の方がより詳細なデータを捉えることができる可能性があある。

一方で、長時間の平均パワーや安定したペースでのトレーニングを主に行う場合は、両装置の間に実質的な差はほぼないと考えてよいだろう。

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競合製品比較

CYCPLUS T7の真の価値を評価するためには、その公称スペックと想定される価格帯を、市場に存在する主要な競合製品と比較することが不可欠である。

ここでは、直接的な競合となるハイエンドスマートバイクと、価格帯によっては競合しうるミドルレンジのダイレクトドライブトレーナーを比較対象とし、その戦略的ポジショニングを分析する。

以下の比較表は、T7と主要なハイエンドスマートバイクの主要スペックをまとめたものである。

表1:スマートバイク主要競合製品スペック比較

製品名 (Product) CYCPLUS T7 Wahoo KICKR BIKE SHIFT Tacx NEO Bike Smart Stages SB20 Smart Bike

価格

228,893円

415,000円

495,000円

319,000円

パワー精度 (Accuracy)

最大出力 (Max Power)

2200 W

2200 W

2200 W

2200 W

最大勾配 (Max Gradient)

+20%

+20%

+25%

+25%

下り再現 (Descent Sim.)

-15%

-15%

Yes

No

慣性システム (Inertia)

Dynamic Inertia

Electronic Brake

Virtual Flywheel

22.6 kg Physical Flywheel

慣性システム (Inertia)

Belt Drive

Belt Drive

(Internal) Belt Drive 

調整機能 (Adjustability)

6-point, Tool-Free

5-point

Highly Adjustable

4-point

この比較から明らかなように、T7の公称スペックは、価格が2倍から3倍するハイエンドモデルと全く遜色がない。特に、パワー精度、最大出力、そして下り勾配の再現機能は、Wahoo KICKR BIKE SHIFTとほぼ同等である。

T7が23万円で市場に投入され、そのコストパフォーマンスは極めて破壊的である。この価格帯の消費者は、通常、Wahoo KICKR CORE (約550) やZwift Hub One (約$600) といったミドルレンジのダイレクトドライブトレーナーに自身のバイクを装着する必要がある。

T7は、これらのユーザーに対し、バイクを別途用意する必要がないという利便性に加え、スペック上は遥かに優れた性能を提供することで、強力な価値提案を行う可能性がある。

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まとめ:高性能スマートバイクの価格破壊

CYCPLUS T7は、二つの相反する側面を持つ製品である。スペックシート上では、市場に存在する最高級スマートバイクに匹敵、あるいはそれを凌駕する性能を、潜在的に破壊的な低価格で提供する、極めて魅力的な製品として映る。

そのオールインワン設計、優れた静粛性、そして高い調整機能は、利便性を重視する現代のインドアサイクリストのニーズに的確に応えるものである。

この製品が理想的な選択肢となるのは、最新技術と高いコストパフォーマンスを追求する方だ。

最終的に、CYCPLUS T7は現状では「非常に高いポテンシャルを秘めているが、実績をこれから積み上げていく装置」と評価するのが最も妥当である。

確立されたブランドが提供する安心感と実績あるサポート体制に価値を見出すのであれば、より高価であっても、実績のある競合製品を選択することが、現時点では賢明な判断と言えるかもしれない。

しかしそれらを差し引いて、ハイエンドスマートバイクと肩を並べ、お求めやすい価格で室内トレーニングをさらにアップデートしたい方には、Cycplus T7が最有力だ。

クーポンコード「T7-off」を入力すると50ドルoffだ。

T7 Smart Bike
Note: T7 is available for pre-order. Orders will be shipped within 2 months. Delivery usually takes 3–10 business days after dispatch. We bulk-ship T7 units to our overseas warehouses first, so that y...
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