
image: スペシャライズド
同時に同じ質問をうけましたので、ざっと5機種上げたいと思います。
40万円代でおすすめのロードバイクですが、ハイエンドモデルを踏襲したモデルがおすすめです。機能、性能、使用するカーボンで下位に位置づけられながらも、ハイエンドと同じ金型を使用している下位互換品が手堅いです。
40万円でどんなコンポーネント(自転車部品の総称)がついてくるのか、ポイントは以下です。記事内でも紹介しますが、GIANTは他社の機械式の価格帯で電動コンポがついてきます。
- 40万円前半は機械式105、40万円後半は電動式105に
- フレーム、フォーク、シートポストはカーボン製
- 重量は8kg台
- ハンドル、ステム、ホイールはアルミ製
- タイヤはエントリーグレード
ハイエンドモデルのDNAを汲んだミドルグレードモデルのどれもが、フレームの金型はハイエンドと同様で、廉価なT700やT800カーボンを用いることでコストダウンを図っています。大手ブランドのミドルグレードは全体的に良い出来になっています。
例えば、DURA-ACEの技術、仕組み、構造を用いて素材を変更しコストダウンした105のようなバイクです。大手ブランドは100万円を超えるハイエンドバイクが存在していますが、その技術をふんだんに流用したモデルは、性能もハイエンド譲りでハズレを引くことはまずありません。
大手メーカーはハイエンドバイクを開発する際、資金や技術をふんだんに投入しますが、金型償却や販売拡大を考慮し、ミドルグレードであっても惜しまず技術を投入しています。そのため、ミドルグレードは上位モデルの恩恵を十分に受けているのでお得です。
大手だからこそできる、5ブランドのモデルを紹介します。
キャノンデール SuperSix EVO 4

image: キャノンデール
SuperSix EVOの第4世代モデル。40万円を切る価格ながら、空力と軽量性を兼ね備えた人気のSuperSix EVOのハイエンドモデルと同じフレーム金型を使用。カーボンのグレードを落としながらもフレームの空力性能は同等に。
ハイエンドモデルとの違いを、見た目だけで見分けるのは難しいほどの仕上がりで、機械式105を搭載し、ステム、ハンドル、ホイールはアルミ製。
- 価格:¥399,000
- フレーム:SuperSix EVO Carbon
- コンポーネント:シマノ 105 機械式
- ホイール:アルミ




スペシャライズド TARMAC SL7 SPORT

image: スペシャライズド
S-WORKS TARMAC SL7がベース。現行最新のSL8の金型では無いが、価格は今回紹介するモデルの中でも最も安い戦略的なモデル。
できればSL8をベースにして数万円アップでもよいが、できるだけ安くハイエンド譲りのバイクを手に入れたい場合は、TARMAC SL7 SPORTの優れたコスパは見逃せない。
- 価格:¥385,000
- フレーム:Tarmac SL7 FACT 9r Carbon
- コンポーネント:シマノ 105 機械式
- ホイール:アルミ

ジャイアント TCR Advanced 1 KOM

image: GIANT
電動105を搭載しながら他社の機械式並みの価格。性能も申し分ない直販会社も驚く最高のコスパモデル。
42.9万という価格設定ながら、シマノ105 Di2電動を搭載した2025年モデル。電動一式が21.3万円であるため、メーカーとして身を削る努力したモデルというのが伝わってくる。それができるのも世界最大の自転車メーカージャイアントだからこそ。
重量も8.3kgと2kgを超えるホイール、タイヤなどを変更すればあっという間に7kg代に。
- 価格:¥429,000
- フレーム:Advanced-Grade Composite
- コンポーネント:シマノ 105 Di2 電動
- ホイール:アルミ


トレック Madone SL 5 Gen 8

image: TREK
「ハイエンド譲り」の恩恵を存分に受けたモデル。特徴的なISOFLOWを採用し空力性能も申し分なし。
ハイエンドのDNAの良さを存分に受け継ぎ、特徴的なISOFLOWを搭載することで空力性能を高めたモデル。ロゴもフレーム造形も見た目だけではハイエンドモデルと区別することは至難の業。見ても、走っても、TREKロゴのブランドも全て満足のいく一台。
- 価格:¥449,000
- フレーム:500シリーズOCLV カーボン、T47BB
- コンポーネント:シマノ 105 機械式
- ホイール:アルミ


ブリヂストン RP8

image: BRIDGESTONE
T800とT700を組み合わせ、上位モデルを食う乗り味の良さがある国産ブランド。
数値やカタログデーターには表れない乗り心地の良さがある。ハイエンドRP9よりも走らせたときの扱いやすさ、小サイズでも優れたジオメトリ設計など、一つ一つに真面目な設計がうかがえる。中国製であるが、ブリヂストン品質。
- 価格:¥414,000
- フレーム:PROFORMAT, TORAY T800 + T700
- コンポーネント:シマノ 105 機械式
- ホイール:アルミ


パーツを変更するとしたら
初期状態で取り付けられているコンポーネントでも十分である。しかし、乗り込んで行きながら交換を検討したい機材もいくつかある。費用対効果、走りに及ぼす影響など総合的に考慮して優先度が高い順に並べた。
- チューブ
- タイヤ
- ハンドル
- ステム
- サドル
- ホイール
よほど親切なメーカーで無い限り、完成車に取り付けられているチューブは安物を使っている(CANYONはシュワルベのTPUを使っているが)。チューブは、コストダウンするにはもってこいの機材なのだ。スペック表にメーカー、モデル名はおろか規格すら書いていない場合も多い。
購入する際、チューブのモデル銘柄までユーザーが気が回らないのはどのメーカーも熟知しているのだろう。したがって、初めから付属しているチューブは変えたほうが懸命だ。
そこで、初期状態の交換したチューブは予備チューブとして使おう。初めから付属しているチューブを使用するのではなく、別の新しい少しばかり性能の良いチューブを買って、初めから付属していたチューブは予備にするのが合理的な使用方法だ。
お勧めのチューブはいくつかある。軽めのブチルか、性能を追及するならラテックスがいい。流行のTPUは軽いが、乗り心地が大変悪く、ブチルと比べると取り付ける際の作法もやや難しい。
銘柄としては、入手性、性能、価格などを総合的に加味してパナレーサーR’AIRを第一候補としたい。
次にタイヤだ。40万円のバイクに付属しているタイヤはミドルグレードが多い。5000~6000km乗ったらハイエンドタイヤに変更することをお勧めする。タイヤは利便性を考え、初めはチューブレスでなくてもよい。チューブを入れて使用するクリンチャーでいい。
おすすめのタイヤは一つに限定できないが、コンチネンタル GP5000、パナレーサーアジリスト、VITTORIA CORSAなどが真っ先にあがる候補だ。タイヤ一つでバイクの特徴が変わるほど重要な機材だ。ハイエンドを選ぶのが良い。
¥5,190 (中古品)
そして、空気圧管理を正しく行おう。2000円弱で購入できるパナレーサーデジタルゲージで、0.1bar単位の空気圧管理するのがお勧めだ。
¥2,591
続く、ステム、ハンドル、サドルの変更に関しては次章で詳しく紹介する。どんなにベテランのライダーであっても、自分自身に合う合わないを見つけ出すのに苦労することが多い。ポジションに正解はなく、「現状最も正しいであろう位置」に落ち着いている事が多い。
機材を生かすポジション出し
ステム長、ハンドル幅と形状、サドル種別はどのようにして決めれば良いのだろうか。
最も合理的かつ、機材を生かせる方法はフィッティングサービスを利用することだ。RETUL、BGFit、idMatch、シマノダイナミクス、BikeGeometryなど、日本国内で受けられるフィッティングサービスを試してきたが、乗り始めで真っ先に受けたほうが良いのはフィッティングサービスであると断言できる。
これからスポーツバイクを始める人、歴が浅い人、快適に乗りたい人、駆け出しの人こそフィッティングサービスを受けてほしい。ポジションで迷子にならず、遠回りせず、自分に合っているかどうかわからないステム長やハンドル幅をあれこれ悩まなくて済むからだ。
フィッティングの良いところは、1回のフィッティング中に様々なステムやハンドルを試すことができる。あれこれ試して、無駄なステムやハンドルが増えていく事を考えると、高価にも思えるフィッティングサービスは非常に合理的かつ、理にかなった投資しがいのあるサービスだとわかる。
フィッティングサービスを受けて、ハンドル幅、ステム長を決めて好みのモデルを思い切って買うことをお勧めしたい。

まとめ:40万円代は激戦区、コスパ高し

image: GIANT
世界的に最も数が出るのはミドルグレードだという。
日本はハイエンドが売れる傾向にあるという。ハイエンドは本来競技者のためにあるのだが、スペックやステイタスを求める一定の層に響くのだろう。
話が脱線したが、メーカーは40万円代のモデルのアッセンブルと価格設定に苦慮しているようだ。ミドルグレードはS-WORKSのように指名買いが行われることはなく、他社と横並びに比較され、コンポや価格などの違いで買われていくからだ。
「戦略価格」の場合が多く、利益が薄い。その割に台数が出ることが見込める。メーカーが力を入れるモデルがミドルグレードに集中するのも理解できる。
だからこそ、40万円代のロードバイクは美味しいのだ。
とはいえ、40万円というお金は平均的な初任給の1.5ヶ月分にも及ぶ。決して安い買い物とは言えず、世間的には信じられない価格設定だ。40万円あれば、500L以上の冷蔵庫、乾燥機能付き洗濯機、スチームオーブンレンジを買って、ちょっと良いディナーを食べてもおつりがくる。
ロードバイクに何を求めるかは人それぞれだが、40万円という大金を本気でロードバイクに投じるわけだから、少しでも性能が良く、コスパに優れたモデルに巡り合って欲しいと思う。