Strength Training for Middle- and Long-Distance Performance: A Meta-Analysis(中長距離走のパフォーマンス向上のための筋力トレーニング:メタアナリシス)
本論文は、ランニング、バイク、クロスカントリースキー、水泳などの競技に対して筋トレを行うことでパフォーマンスにどのような影響が生じるのか。似たようなテーマを題材にした28本の論文を元にメタ分析を行っている。
結論としては、
- 筋トレで運動効率、最大筋力、最大パワーが向上する
- 競技に特化した練習に筋トレをプラスすると、パフォーマンスが向上する
- 競技に特化した練習に筋トレをプラスしても、VO2maxと持久力に影響はない
- 低負荷&高レップよりも、高負荷&低レップのほうがパフォーマンスが向上する
- すべての競技種目が筋トレの恩恵を受けられる
- 筋トレの恩恵は選手のレベルに関係なく有益な効果が一貫してある
メタ分析の結果は、従来のスポーツに特化したトレーニングにプラスして、筋力トレーニングを実施することで、運動エネルギーコスト、最大パワー、最大筋力の改善が行われパフォーマンスが選手のレベルに関係なく向上するというものだった。
4の「低負荷&高レップよりも、高負荷&低レップのほうがパフォーマンスが向上する」という結果は以前から話題になっていた。持久系スポーツの筋トレといえば、競技の特性とよく似た「軽負荷で高レップ」する手法を行う場合が多かった。
しかし、実際にパフォーマンスを向上させるのは「高負荷&低レップ」だった。高負荷&低レップの具体的の例としては1RMの80%以上の負荷で、1~5レップを行うのが望ましいようだ。よくある10レップもできるような軽い重量よりも、高負荷と低レップの筋トレを行ったほうがパフォーマンスの向上が見込めることになる。
5と6は既に熟練した競技者であっても、初心者であっても筋トレの効果があるという結果だ。これは、まだ筋トレを行っていないサイクリストには朗報だ。まだ伸びしろが残されており、パフォーマンスの向上が期待できる。
また、先般紹介した「書籍「50を過ぎても速く!」を読んだ感想。おじさん以外、読んではいけない本。」にもあるとおり、年齢を重ねれば重ねるほど筋力は落ちていく。その落ちていくスピードをできるだけ留めるために有効なのが筋トレだ。
したがって、競技の初心者~上級者、若者~おっさん、これら全てにおいて筋トレがパフォーマンスを向上させる重要な役割を秘めている。
では、これから早速「筋トレをしよう!」と決意するのは良いと思う。しかし、初めはトレーニングの方法、正しいフォームを教わったほうが良い。できれば、パーソナルトレーナーをつけて実施した方がいい。わたし自身がやってきて思うのは、自己流でやるよりもパーソナルトレーナーをつけたほうが近道だ。
慣れてきたら、自宅にホームジムを作ると良い。
これまで、筋トレを行ってこなかった方は、まだまだパフォーマンス向上の余地があり、伸びしろもあるということだ。結果が出るまでは時間がかかるが、正しいフォーム、正しい知識をもってトレーニングを行いパフォーマンス向上につなげてみてはどうだろうか。