DTSWISS、SWISSSIDE、Continentalの3社が共同開発したエアロタイヤが一般向けについに販売開始した。
2024年のツール・ド・フランスで実践投入されたContinental AERO 111は、空力性能を高めるためにゴルフボールのディンプルのように、渦を意図的に発生させるトレッド形状を採用している。
AERO 111はディープリムと組み合わせることが考慮されており、フロントタイヤに取り付けることでホイールシステム全体の空力性能が向上がする。
横力方向の空力も改善するため、横風にあおられにくくなる。結果、ハンドリング性能が向上するという。Dragも減少するため走行中の失速が起こりにくくなっている。
ボルテックスを意図的に発生
Continental AERO 111には、エアロに最適化された48個の小さなトレッドパターンが表面に規則的に配置されている。このパターンがボルテックス(うず巻)を意図的に発生させることによって空力性能が向上する。
ブロックのようなくぼみは、タイヤとホイールの周りに意図的に渦巻きを発生させる役割がある。空気力学ではよく知られた原理であり、ゴルフボールやZIPPリムのディンプル、ポガチャル着用して話題になった腕に縦のリブ生地も同様の原理だ。
具体的には、ホイールから空気が離れる(剥離抵抗)を遅らせる効果がある。通常のタイヤは早期の気流分離が乱気流を増加させるため、タイヤを含めたホイールシステム全体の空気抵抗が増加する。
AERO 111は物体を前方向に引っ張るセーリング効果が増大する。リムハイトが低くとも、層流がリムに隣接している時間が長いため、ライダーはこの効果の恩恵を受けやすい。低速域でもホイールシステム全体の空気抵抗が減少する。
開発はContinental、DTSWISS、SWISSSIDEの3社が集結した。この3社はタイヤ開発、ホイール開発、エアロ開発の分野で世界トップレベルの企業として知られている。AERO 111の”111″は3つのパートナーの相互作用を表している。AERO 111はシナジーの結果といえよう。
AERO 111タイヤのベースはGP5000 STRだ。AERO 111のラバー、カーカス、構造は5000STRと同一でトレッドだけが異なっている。
空力性能、遅いほど速い。
AERO 111は他社のタイヤを含め特に空力性能が優れている。ブロック状のエアロトレッドはタイヤが風に対して斜めになったときに、ホイールから空気が離れる(剥離抵抗)を遅らせる効果がある。リムによっては、AERO 111装着するとセーリング効果が発生するものもある。
AERO 111が最も効果を発揮するのは速度が”遅い”ときだ。速度が遅くなると、タイヤとリム側面に対して、斜めから風が流れてくる可能性が高くなる。フロントタイヤで削減できる空気抵抗は1~2Wであるが、リムに対して空気の流れが斜めになる場合は10W以上抵抗が削減できる可能性があるという。
したがって、AERO 111の恩恵が得られるのは決してグランツールに出場するような速いライダーだけでなく、様々な速度域で走る人(比較的遅いサイクリストにこそ)メリットがあるのだ。
タイヤにパフォーマンスを求める全てのライダーにとって、AERO 111を使うことでさらに速く走ることが可能になる。
転がり抵抗
転がり抵抗はGP5000 STRがベースになっているということもあり、ほぼ同等の性能になっている。
- GP5000STR28(7.4bar):8.5 W(CRR: 0.00255)
- AERO 111 29(7.4bar):8.8 W(CRR: 0.00264)
- AERO 111 26(8.3bar):9.1 W(CRR: 0.00273)
- GP5000STR28(6.2bar):9.1 W(CRR: 0.00273
- AERO 111 29(6.2bar):9.3 W(CRR: 0.00279)
- AERO 111 26(6.9bar):9.6 W(CRR: 0.00288)
スペック
AERO 111はチューブレスおよびフックレス対応だ。26mm幅と29mm幅から選べる。重量は26mmが248g、29mmが280gと比較的軽量に仕上がっている。ベースはGP5000 STRであるため転がり抵抗は小さい。
AERO 111は価格は19、800円(税込)だ。2025年1月以降の国内入荷を予定している。