AEROVERハンドルバーは、空力性能を4ワット向上させ、MONOCOQUE+テクノロジーによる軽量性と高剛性設計を実現している。32種類のサイズ展開と人間工学に基づいたグリップにより、幅広いユーザーに適合し、ISO-4210およびSGS認証による品質保証も備えている。
- ➕️空力性能の向上(4ワット減)
- ➕️MONOCOQUE+テクノロジーによる軽量性と高剛性設計
- ➕️高剛性と快適性の両立
- ➕️32種類のサイズ展開による適合性の高さ
- ➕️ISO-4210およびSGS認証による品質保証
- ➖️塗装が剥がれる
一体型ハンドルバーの世界は、かつてENVE、Bontrager、Roval、Canyonといったブランドが独占していた。この領域に、中国のブランドが切り込んできている。EXS CyclingのAEROVERだ。
公称290g、4Wの空力改善、32サイズ展開、ISO-4210+SGS第三者認証を取得している。
筆者がこのハンドルに最初に興味を持ったのは、SuperSix EVO Gen4に対応するハンドル用ヘッドパーツをEXSが展開していることを知ってからだ。EVO以外にも数多くのハイエンドバイクに合うオリジナルのヘッドパーツを作っている。
SuperSix EVO Gen4で導入したこのEXS AEROVERを、Gen5でも使用するために新たに購入した。AEROVERを構成する技術と、購入に必要な情報をまとめていく。
空力性能:4ワット減
出オチになってしまうが、40km/hで走行したときに4W削減するという数値は業界標準域の妥当な主張であるが、EXSが提示しているのは風洞検証ではなくシミュレーション上で行われたCFD解析のデータである点に注意が必要である。
EXSはAEROVERの空力性能として、時速40kmにおいて従来型のエアロバー+ステム組合せ比で4Wの削減を謳う。40km TTに換算すると約15秒の短縮に相当する計算である。この数字自体は誇張ではない。
業界の比較データを見ると、Roval Rapide Cockpitが旧2ピース構成比で4W、Cerveloのエアロバーが丸型バー比で40km/hで4.4W、AeroCoach OrnixがENVE SES比で45km/hで4.7Wといった値が公表されており、AEROVERの主張はその中央に位置する。
しかし、ここで見落としてはならない本質がある。ハンドルバー形状の空力最適化で得られる4Wより、ハンドル幅のナロー化で得られるゲインの方が遥かに大きいという事実だ。
AeroCoachのXavier Disley氏による風洞計測では、ハンドル幅が10mmナロー化するごとに45km/hで約2Wの削減が確認されている。つまり420mmから360mmへナロー化すれば、ハンドルの機材形状由来の4Wとは別に、ライダーの前方投影面積の減少による12W前後の削減が見込める。
AEROVERの真の空力的価値は、カムテール断面の4Wそのもの以外にある。360mm幅×各種ステム長という、市場でそれほどラインナップされていないハンドルジオメトリの組合せを提供することで、ナロー化由来の大幅なゲインを獲得できる点にある。
一方で、指摘せざるを得ないのは、EXSが風洞テストデータ(CdA値、ヨースイープ、加重平均ドラッグ)を一切公開していない点である。
Swiss Side(Canyon、DTSWISS)、ENVE、Zipp、AeroCoachが標準的に開示する±15~20度ヨーレンジでの加重ドラッグ係数は不明のままだ。CFD(計算流体力学)のみの主張は、現代の空力エビデンスとしては透明性に欠ける。
筆者がDT Swiss ARC 1100やPirelli P ZERO Race TLR SL-Rのレポートで繰り返し強調してきたように、空力データは「どの条件で、何と比較して」が命である。この点でAEROVERは、まだ宿題を残していると思う。
余談だが、4Wという数字は250Wで巡航するライダーにとっては出力の約1.6%に相当する。レース終盤の集団スプリントで半車身差が勝敗を分ける世界では、決して無視できない数字である。先日のJBCFのレースがそうだった・・・。
ただし、ナロー化によって肺が広がる幅が制限されるため、呼吸がしにくくなることも考慮する必要がある。ハンドリングの変化を考慮すれば、360mmが万人に適するわけではない。ここに32サイズ展開の意味が浮かび上がる。
軽量性と高剛性設計:MONOCOQUE+テクノロジー
MONOCOQUE+は製法としての本質的な新規性よりも、32サイズ展開を経済的に実現するための合理的なアーキテクチャ選択と言える。
カーボンハンドルバーの製造工程を簡単に振り返ろう。一般的なモノコック成形では、T700やM40級の炭素繊維プリプレグを金型内に積層し、内部にエアブラダー(空気袋)を挿入して130~150度、内圧で同時硬化する。
この方法では、1サイズごとに専用の一体金型が必要となる。32サイズ分の一体金型を用意するコストは膨大になる。
EXSが「MONOCOQUE+」と呼ぶ製法の実態は、T字型のステム部、左右ハンドルトップ部、ドロップ部をそれぞれ別の金型で成型し、最終工程で結合する3ピース構造である。
たとえるなら、和菓子の型抜きで上下を別々に作り、最後に餡を挟んで一体化する最中(もなか)の製法に近い・・・。個々の部品金型を組み合わせることで、幅4種×ステム長6種以上のバリエーションを限られた金型数でカバーできる。
32サイズの裏には、このモジュラー設計思想がある。
付随する「SMOOTH E+」プロセスは、カーボン内外面を平滑化する仕上げ工程で、ボイド(気泡)低減と剛性対重量比の改善を狙う。TrekのOCLV、GiantのMWCなど各社が独自名称で呼ぶ内圧成形最適化の一種であり、本質的に新しい技術ではない。
では剛性はどうか。これが議論を呼ぶポイントだと思う。EXSは自社ベンチマークで「主要競合品より約50g軽量かつほぼ全方向で高剛性」と主張するが、独立第三者による検証ではない。
実走で使用すると、わたし程度がもがいてもハンドルがしなることはなく、操舵は正確で神経質さがない。Canyon AEROADのハンドルやMOMOハンドルと比べても明確に剛性が劣るような感覚もなかった。
EXS AEROVERが発売した当時、Cannondale SuperSix EVO用の樹脂スペーサーが非常に柔らかい部品を使っていたが、一部ではこの樹脂が剛性を低下させることが指摘されていた。現在では、金属版を経て現行カーボン版へと改訂されている。
高剛性と快適性
AEROVERのトップ部はカムテール形状を採用している。これは断面後部を切り落としたフラットなエアロ形状で、航空工学でいうところの「切断後縁翼型」にあたる。
空気抵抗の低減と前面投影面積の最小化を両立しつつ、トップ部には滑り止めのディンプル加工(EXSは「puppy paws」と呼ぶ)が施されている。逃げ集団でのローテーション中、上ハンドルのポジションで手を置いた際のグリップ安定性を意図した設計である。
ステム断面は「どら焼き」と形容するのがわかりやすい。
コラム前方に向かって扇形に広がる形状で、垂直方向の剛性を高めつつ前面投影面積を抑えている。リーチ70mm、ドロップ125mmというジオメトリは、コンパクトとトラディショナルの中間に位置する。ステム角度は-10度固定である。
この70mmリーチという数字が、日本人ライダーにとっては大きな意味を持つ。多くの欧米ブランドの一体型コックピットはリーチ75~80mmが標準で、手の小さいライダーやショートリーチを好む小柄な体型には遠いのだ。
筆者自身の経験上、ショートリーチは数時間を超えるライドの終盤において、手首と前腕の疲労に明確な差として現れる。
下ハンでのスプリント時、フード基準で下端が+20mm広がるフレア設計が安定感に寄与する。360mm幅(フード位置)でも下ハンでは実質380mmとなり、体重を預けた全力スプリントでも窮屈さを感じにくい設計思想である。
快適性について、路面振動は増幅されず”減衰されるような気もする”が、ただし、これはカーボン積層の振動減衰特性とバーテープの組合せに大きく依存するため、一般論としての快適性を判定することは難しい。
一体型コックピット共通の特性として、分割式に比べてステム接合部での振動吸収機構が失われるため、荒れた路面でのインフォメーション量は増える傾向にある。
32種類のサイズ展開と適合性
従来の分割式ハンドル+ステムであれば、ハンドル幅、ステム長、ステム角度をそれぞれ独立に選択・交換できた。10mm刻みのステム長変更は工賃数千円の作業である。しかし一体型は、文字通り一体である。
購入後にステム長を10mm伸ばしたいと思っても、新たに1本買い直すしかない。この「フィットの非可逆性」が一体型最大のリスクであり、サイズ展開の広さは直接的にそのリスク軽減に繋がる。
業界比較を整理する。
| ブランド / モデル | 幅の選択肢 | ステム長の選択肢 | 総組合せ数 |
| EXS AEROVER | 4種 (360-420mm) | 6種 (90-140mm) | 32 |
| Black Inc AB02 | 4種 (360-420mm) | 7種 (80-140mm) | 28 |
| Farsports F1X | 4種 (360-420mm) | 7種 (80-140mm) | 28 |
| ENVE SES AR 1pc | 5種 (380-460mm) | 5種 (90-130mm) | 25 |
| Roval Rapide Cockpit | 4種 (380-440mm) | 7種 (75-125mm) | 15 |
| Deda Alanera DCR | 3種 (420-460mm) | 5種 (90-130mm) | 14 |
| Canyon CP0018 | 3種 | 4種 | 10 |
注目すべきは、AEROVERが360mm幅を90mmから140mmまでの各ステム長と組み合わせられる点である。
ENVE SES AR 1pcは最狭380mm、Roval Rapideも最狭380mm。現代のナロー化トレンドの中で、360mm一体型を選べる主要製品はAEROVER、Black Inc AB02、Farsports F1Xに限られる。
ただし「32サイズ」というマーケティング上の数字には注釈が必要である。実際のSKUでは420/90mmおよび一部140mm構成が未生産で、流通実数は約23SKUである。それでもENVEやRoval、Dedaの2倍近い選択肢であることに変わりはない。
もうひとつの適合性要素が、3Dプリント・スペーサーによるフレーム別フィッティングである。EXSは主要フレームごとにカスタム設計されたトランジション・スペーサーを無償供給している。
対応機種は以下の通り。
- Specialized Tarmac SL7/SL8
- Trek Madone Gen6~8
- Cannondale SuperSix Evo 3/4
- Colnago V4RS/C68
- Giant Propel Gen3/TCR Gen10
- BMC Teammachine SLR
- Factor Ostro VAM
- Pinarelloの各Fシリーズ(Dogma F 2024/2025のみ非対応)
- Bianchi Specialissima
- Bridgestone RP9/RP8/RE8
以上のように、広範に及ぶ。このサービスは他社では数万円相当のカスタム加工に該当するものを無償で提供しており、\79,800という本体価格を考慮すると実質的な付加価値は極めて大きい。
ISO-4210およびSGS認証による品質保証
しばしば「中華ハンドルに命を預けられるのか?」と問われることがある。
もちろん、自分自身に対しても同じ質問をした。「ISO-4210+SGS第三者認証を取得している点で、少なくとも認証面では大半の西側プレミアム製品と同等以上の透明性を持つ」と解釈している。
ISO 4210は自転車の国際安全規格で、ハンドルバーとステムはPart 5(操舵系部品の試験法)が該当する。
この規格で実施される試験は苛烈だ。
まず静的試験として、水に1時間浸した後に-5度以下で凍結させた状態での70Nトルク試験、100Nの温水トルク試験、ステム横曲げ、ハンドル+ステム組立体での横曲げ、前下方45度曲げ(永久変形量10~15mm以下が合格条件)が行われる。
続く疲労試験では、ブレーキレバー位置に荷重を12万サイクル(位相ずれ)、さらに12万サイクル(同位相)と、合計24万サイクル以上の繰り返し荷重を加える。クラック、破断、グリップの移動が一切ないことが合格条件である。
これをわかりやすく言い換えれば、毎日100kmを走行するライダーが2~3年間使い続ける荷重パターンを、加速試験で再現しているようなものである。
ISO-4210の法的位置付けは地域によって異なる。EUではEN ISO 4210としてCE適合の事実上の必須要件、米国ではCPSC規制(16 CFR 1512)とASTM F2711が連邦規制として存在する。
アジア(中国・台湾)では任意規格であり、台湾にはTBIS 4210という並行規格がある。アフターマーケット部品単体としては、ほとんどの法域でISO-4210は強制ではないが、EU流通と製造物責任リスクの低減のために多くのプレミアムブランドが自主的に取得する。
SGSは世界最大の試験・検査・認証機関である。「SGS認証」とは、SGSが独立第三者としてISO-4210規格に基づく試験を実施し、適合証明書を発行したことを意味する。SGS独自の規格が存在するわけではない。
ここで注目すべきは、業界全体の認証状況である。ISO-4210規格番号とSGS第三者認証の両方を公的に明示している一体型ハンドルは、実は少数派である。
Canyon(2021年のCP0018リコール問題以降に認証体制を強化)やFarsports F1シリーズがISO 4210を明示する一方、ENVE、Vision、Black Inc、Deda、Rovalはいずれも社内試験のみで、ISO規格番号を製品ページに掲示していない。
この観点では、EXSの透明性はむしろ西側プレミアム勢を上回る。
もちろん認証があるから絶対に安全とは言えない。Canyonは2021年にISO準拠を謳いながらAeroad CF SL/SLX/CFRのハンドルバー/ステム問題でリコールを出している。
認証は「最低限の品質ゲート」であり、実使用における長期耐久性とは別の話である。EXSにはワールドツアーでの実戦投入歴がなく、プロ選手が毎日4~6時間、年間3万km以上を走り込む実環境での長期信頼性データが蓄積されていない。
この点は正直にリスクとして認識すべきである。
人間工学に基づいたグリップと快適性
トップ部のフラットなカムテール形状と滑り止めディンプル加工により、上ハンポジションでの荷重分散は良好である。従来の丸断面バーでは手のひらの一点に圧力が集中しやすかったが、フラットトップは接触面積を広げ、尺骨神経への圧迫を軽減する方向に働く。
リーチ70mmという短めの設計は、手首の背屈角度を小さくする効果がある。
リーチが長すぎると手首が過度に反り返り、手根管症候群の原因となることがある。創業者のKirito Zhang氏がバイクフィッターとしてのバックグラウンドを持つことが、この設計判断に反映されているようだ。
ドロップ部のフレア(フード基準+20mm)は、下ハンでの握り幅を確保しつつフード位置でのナロー化を実現する合理的な設計である。
これは現代のスプリンター系が好むバーに共通するトレンドだが、AEROVERの場合、360mm幅モデルでもドロップ部は実質380mmとなるため、全力スプリント時の安定感が確保される。
ただし実走での快適性は、バーテープの選択に大きく左右される。一体型コックピット全般に言えることだが、ステム接合部がない分だけ振動伝達経路が短くなり、路面からのインフォメーションがダイレクトに伝わる。
これをポジティブに捉えれば「路面状態の把握がしやすい」、ネガティブに捉えれば「長距離で手が疲れやすい」となる。
筆者の経験では、ENVEの厚手テープとの組合せが快適性と操作性のバランスを取りやすかった。EXS純正のAirtapeバーテープも用意されているが、現時点では使用したことが無いため断材料に乏しい。
コンピューターマウント
正直に言えば、付属の樹脂製マウントは「とりあえず使える」レベルであり、BARFLYのような専用メーカーのようなクオリティとは言い難い。
AEROVERには樹脂製のGarmin互換コンピューターマウントが同梱される。GoPro/ライトマウント一体型で、重量は約48g。Out-front型でハンドル前方にサイコンを配置できる設計である。
マウントとハンドルの間にはわずかな隙間が生じる。私のように見た目の精度を求めるユーザーには気になるポイントになるかもしれない。
そのため、チタン製アフターマーケット品の置き換えも考えた。EXS自社のTiコンピューターマウント、Lucendi 3Dプリントチタンマウント(わずか16g)などが代替品がある。
筆者としては、\79,800のハンドルを買うユーザーが追加で\10,000のチタンマウントを買わされるのは、製品としての完成度に疑問を感じる部分である。
とはいえ、マウント一体型ではなくアクセサリーとして付属する設計は、将来の規格変更や好みの変化に対応しやすいという利点もある。マウント部が破損した場合にコックピット全体の交換するのではなく、マウントのみの交換で済む。
これは設計思想としては合理的で、実用的な判断としても悪くない。
GoProマウントは下面に配置され、レース映像の撮影に対応する。ただしGoProの重量(約120g)をハンドル先端に追加した際の操舵感変化については、特に軽量なAEROVERでは体感しやすい可能性がある。
競合比較とポジショニング
AEROVERの競合環境を整理し、ポジショニングを明確にする。
| 項目 | EXS AEROVER | Roval Rapide | ENVE SES AR 1pc | Black Inc AB02 | Farsports F1 Ultimate | Deda Alanera DCR |
| 公称重量 | 290-332g | 310g | 330-380g | 398g | 257g | 395-400g |
| サイズ展開 | 約32 | 15 | 約25 | 28 | 28 | 14 |
| 最狭幅 | 360mm | 380mm | 380mm | 360mm | 360mm | 420mm |
| 空力主張 | 4W@40km/h (CFD) | 4W (旧2pc比) | 非公表 | 風洞優位主張 | 非公表 | 非公表 |
| 認証 | ISO-4210+SGS | 非開示 | 非開示 | 非開示 | EN ISO 4210-2 | 非開示 |
| プロチーム採用 | なし | Soudal QS等 | UAE/Pogacar | Israel-PT | 五輪金 (Kiesenhofer) | なし |
| リーチ/ドロップ | 70/125mm | 75/125mm | 76/129mm | 80/120mm | 75/127mm | 80/125mm |
| コラム径対応 | OD1/OD2両対応 | 1-1/8″ | 1-1/8″+1.5″上 | 1-1/8″ | OD1/OD2 | ACR独自 |
この比較表から浮かび上がるAEROVERの明確なポジショニングは、「価格対サイズ対認証のトライアングルの中で最強の組合せ」ということである。$450で32サイズ+ISO/SGS認証という構成は他に存在しない。
最も近いのはFarsports F1 Ultimateだが、重量では257gとFarsportsが頭ひとつ抜けている。
一方、プロチームが使用していない点はウィークポイントだ。Roval RapideはSoudal Quick-Step、ENVE SES ARはUAE Team EmiratesでPogacarが使用、Farsports F1はKiesenhoferが五輪金メダルを獲得した際に使用していたとされる。
機材の信頼性は「何万キロの実戦で壊れなかったか」で証明される側面があり、ワールドツアーでの採用実績がない点は、導入判断の一つのハードルとなる。
保証
EXS Cyclingは2019年に中国・福建省厦門で設立された新興D2Cブランドである。
保証体制は24か月の製品保証に加え、クラッシュリプレースメントプログラム(QRコード認証、1回限り譲渡可能)が付帯する。3Dプリント・スペーサーの不適合に対して創業者が直接対応し、改良版を無償送付する。
筆者自身もEXS AEROVERが登場した時から何度も担当者とやり取りしているが、非常にレスポンスが速く、私が愛用している同じ3Dプリンター使いということから、技術的に深い話も交わしている(初期のEVO4スペーサー問題を報告など)。
小規模ブランドならではの機動力と言える。
まとめ:AEROVERは誰のためのハンドルバーか
EXS AEROVER Integrated Handlebarは、一体型コックピットとして多彩なサイズ展開と品質、剛性、軽量性、価格で非常に優れた製品である。
79,800円で32サイズ展開、290g、ISO-4210+SGS認証、フレーム別3Dプリント・スペーサー無償供給というパッケージは、2026年5月時点で他に類例がない。
最適なユーザー像は明確だ。Specialized、Trek、Colnago、Cannondale、Giant Propelといった主要レース機材に乗るShimano Di2ユーザーで、390mm以下のナロー幅を求める体格の選手。
このプロファイルに合致するならば、AEROVERは現状最良の選択肢のひとつである。フレーム別スペーサーの無償供給は、他社では数万円の加工費に相当する価値を持つ。
一方、次のユーザーには推奨しない。SRAM AXSユーザーでレバー干渉リスク、Pinarello Dogma F 2024/2025オーナー(非対応)、UCIワールドツアーレベルの機材選定で長期信頼性データが必須な環境。
かつてENVEやRovalの一体型を手にするには10~20万円が必要だった。そのうち認証の透明性で劣らず、サイズの選択肢で勝り、重量で互角の製品が半額で手に入る。
プロ実戦データと風洞透明性という最後のピースを欠くが、ロゴが大手メーカーなら誰も疑わない品質で、このハンドルの到達点を端的に物語っている。コストパフォーマンス最強の現実解であり実利を両立させる興味深い選択肢だ。
それが、現段階でのAEROVERの妥当な評価と言える。
EXS公式サイトで詳細スペックと対応フレームリストを確認し、自身のフレームとサイズが合致するか、まずは調べてみてほしい。一体型コックピットは試着して買える製品ではないからこそ、サイズ選択の広さが最大の保険となる。
その保険の厚さにおいて、現在AEROVERに並ぶ製品はそれほど多くない。
次の記事では、実際にEXS AEROVERを使ったインプレッションを紹介する。


























