ポガチャルとUAEの要求に応え、設計変更により155gの軽量化を実現したホイール。リム単体で74gの削減を達成し、Innerdrive PROハブやセラミックベアリングを採用。ミニフック構造やAlpina Ultralite Aero R5スポークの選定など、SES 4.5 PROはプロが求める速さを追求した全知全能と呼ぶにふさわしい。
- ➕️リアルワールド最速
- ➕️リム単体での74g削減
- ➕️Innerdrive PROハブの進化
- ➕️PRO仕様セラミックベアリング
- ➕️プロの要求に基づく設計
- ➖️65万円という超高価格。
ENVE SES 4.5 PROは、ホイールセット重量わずか1,295gという驚異的な軽さと、実世界で証明されたエアロダイナミクスを高次元で両立させた、最先端のエアロクライミングホイールだ。
タデイ・ポガチャルとUAE Team Emiratesとの2シーズンにわたる共同開発から生まれ、従来のSES 4.5から約155gの軽量化を達成している。
2025年7月3日、ツール・ド・フランスのグランデパールわずか2日前にローンチされたこのホイールは、リエージュやジロでのステージ優勝、ツール・ド・スイス、ドーフィネなどプロレースで25勝以上を積み上げた。
価格は\649,990。ホイールの製造と組み立てが中国や台湾に移行するなか、ENVEがユタ州オグデンの自社工場でハンドビルドする。同社史上最も手の込んだロードホイールである。
ポガチャルの要求が設計を変えた
SES 4.5 PROの物語は、2022年後半にさかのぼる。UAE Team Emiratesは独自に競合他社のトップホイールを購入し、風洞試験とロードテストをブラインドで実施した。その結果、ENVEが両方のテストで最も優れていた。
パートナーシップは2023年1月に正式発表され、チームはツアー・ダウンアンダーでENVEホイールをデビューさせている。ポガチャルは2023年から2024年にかけて、標準のSES 4.5でツール・ド・フランス、世界選手権、ロンド・ファン・フラーンデレンを制覇した。
PROプロジェクトが結晶化したのは、ひとつの切実な問題があったからだ。UAE Team Emiratesのバイクは一貫して重かった(コ○ナゴ・・・)。ENVEのプロダクト&ブランド担当であるジェイク・パントンは、こう明かしている。
PROの最大の目的は、タデイとUAEのためにより軽いホイールを作ることだった。歴史的にUAEのバイクは重い側にあり、ENVEにはより軽いホイールを作るよう強いプレッシャーがかかっていたんだ。
チームが求めたのは、SES 4.5が証明済みのエアロ性能を維持しながら、専用クライミングホイールに匹敵する軽さを手に入れることであった。
開発は2シーズンにわたり(2023~2025年)、プロトタイプは2025年初頭からプロトンに登場していた。シルバーのAlpinaスポークと切削加工されたハブシェルが特徴的だったが、標準SES 4.5のグラフィックスで偽装されていた。
ポガチャルの2024年トリプルクラウン達成後、複数のホイールメーカーがUAEに莫大なスポンサー料を提示したにもかかわらず、ENVEは異例の契約形態を選んだ。勝つために製品を共同開発することでスポンサー料をなしにするという、前代未聞の契約を締結したのである。
2025年6月にはこれが正式な複数年の独占パートナーシップとして公表され、UAE Team EmiratesはENVE唯一のワールドツアーのパートナーとなった。
155gの軽量化を生み出す
ホイールセット全体で約155gの削減(1,450g→1,295g)は、カーボン積層技術の革新、ビード形状の最適化、ハブ設計の刷新という3つの工学的アプローチが連動して実現したものである。
リムだけで74gの削減
フロントリムは411gから369g(-42g)、リアリムは415gから383g(-32g)へと軽量化された。この削減は5つの異なる変更の積み重ねであり、いずれも単独では劇的ではないが、総合すると変革的な効果を生んでいる。
基盤となるのは、高弾性率かつ低面積重量のカーボンファイバーである。
ENVEは具体的な繊維グレードを公開していないが、新しいラミネートはより高剛性の繊維を使用しており、構造的な剛性を犠牲にすることなく、より薄い壁面のレイアップを可能にしている。
これは例えるなら、同じ強度の鉄骨を、より細い高張力鋼で組み直すようなものである。内壁、外壁、リムベッド、内部チャンネル、すべての面が標準SES 4.5よりも薄い。
薄くなった壁面がしなやかな乗り心地を生み出すため、薄壁化が制御されたコンプライアンス(路面追従性)をもたらしていることが示唆されている。
リム全体寸法の縮小が、単独では最大の重量削減に貢献している。パントンは率直にこう述べている。
実はリムを狭くしたことが、最も重量を削減した。
内幅は25mmから23.5mm(フック部での測定)へ、外幅は約32mmから30.8mmへ縮小された。リムハイトもフロント・リアともに1mm削減され、50/56mmから49/55mmとなった。
これらの寸法縮小は、リム全周にわたってカーボン素材を取り除くことを意味する。
ENVEの特許技術であるワイドフックレスビードからの材料除去は、リム1本あたりさらに15~20gの削減をもたらした。これこそが、後述するミニフックを偶発的に生み出した変更である。
パンクに対する保護性能を発揮する幅広のリーディングエッジは維持されつつ、その下部の材料が削ぎ落とされた。
リムグラフィックの軽量化も見逃せない。PROではシルバーのロゴ、あるいはオールホワイトのビニールデカール(プロチームが好む仕様)が用意されている。これらは標準SES 4.5のデカールよりも軽い。わずかな差ではあるが、意図的な最適化である。
Innerdrive PRO
新設計のInnerdrive PROハブセットは、フロント87g、リア194gの計281gである。標準のInnerdrive Premiumの約326gから60gの削減を達成している。281gという数値は、DT Swiss 180(272g)やOquo Q10(279g)と直接競合し、Zipp ZR1 SL(303g)を下回る。
高強度7075-T6アルミニウムによるハブシェル形状の最適化、ラチェットリング径の縮小、カスタム軽量アクションラチェットスプリング、フリーハブボディの切削加工によって、ワールドツアーの剛性要求を満たしつつ構造的に不要なグラムをすべて排除した。
ミニフックは軽量化の副産物?規則対策?
SES 4.5 PROで最も議論を呼んでいるのが、リムビード先端に設けられた0.5mmの突起、ミニフックである。
面白いのは、ENVEがフックを作ろうと思って作ったのではなく、「リムを最適化して削っていったら結果的にフックのようなものが”できてしまった”」と主張している点である。そう、主張している。
この構造を理解するには、ENVEのビード設計が4世代にわたってどう進化してきたかを追う必要がある。
第1世代は従来型のフックドリムである。内側に湾曲したフックがタイヤビードを保持するが、製造時に膨張式シリコンブラダーを使用していたため、ビードシート寸法の精度が不十分だった。チューブレスのシーリングには不向きである。
第2世代は薄型フックレスリムである。フックを取り除くことで、剛性のある金属ツーリングでの成形が可能になり、ビードシート径の精度が向上した。チューブレス性能は改善されたが、薄くて鋭いリムエッジが激しい衝撃時にタイヤビードを切断するリスクがあった。
第3世代が2022年に登場したENVE特許のワイドフックレスビードである。幅広のリーディングエッジを追加することで衝撃力をより広い面積に分散し、標準的なフックレスリムと比較してピンチフラット耐性が60%向上したと主張している。ただし、この追加材料は重量増をもたらした。
そして第4世代が、2025年のSES 4.5 PROに搭載されたミニフックである。高弾性率カーボンを使用してワイドフックレスビードの下部から材料を除去した結果、衝撃保護のための幅広リーディングエッジを維持しながら、構造的な副産物として小さなフックが生まれた。
新しい製造プロセスでは、硬化後に0.5mmのフックを物理的に通過させて抜き取る剛性金属ツーリングを使用する。手間もコストもかかるが、フックレスの利点であった寸法精度は維持されている。
ENVEの公式見解は明確である。マイクロフックは主として軽量化のためのソリューションであるという。
ブローオフテスト(タイヤが外れる圧力の試験)では、フック付きとフックレスの両バージョンとも9.6barをはるかに超え、11barまで試験を続行しても問題なかったという。
フックはタイヤ保持における現実的な安全要因として無関係であり、ビード保持はタイヤとリムの寸法公差、そしてタイヤ構造に完全に依存する、とENVEは主張している。
しかし、規制面の意味合いを無視することは不可能である。
2024年2月のUAEツアーでトーマス・デヘントがZipp 353 NSWフックレスリム上でタイヤのブローオフによる落車事故を起こした後、CPA(選手協会)はフックレスリムに100%反対すると宣言した。
UCIは緊急調査を開始し、全面禁止こそ実現しなかったものの、その脅威は依然として残っている。0.5mmのフックは、SES 4.5 PROをETRTO/ISO 5775-2規格に基づくフックドリムとして認定させるのに十分である。
理由は、「最小フック深さの規定は存在しない」からだ。この件に関して、ENVEは「この設計がENVEとスポンサードプロチームの両方をUCIの規則変更から保護するもの」と語っている。
ミニフックはもうひとつの実用的なレース上の利点も解き放つ。28mmタイヤに対するETRTOコンプライアンスである。
標準SES 4.5の25mmフックレス内幅では、ETRTOガイドラインに基づき29~30mm以上のタイヤが必要となる。PROのフック付き23.5mm幅は28mmタイヤに適合するため、UAEは山岳ステージでより軽量なContinental GP5000 TT TR 28mmタイヤを使用できる。
ENVEは、両者が30mmタイヤを装着した場合、PROの方が標準SES 4.5よりもエアロ的にはわずかに遅いと認めている。PROがエアロで互角になるのは、28mmのような小さいタイヤを装着した場合だけである。
狭いリムに狭いタイヤという組み合わせが、エアロと重量のバランスを維持するのである。
1mm浅く1.5mm狭く
寸法の変更は控えめだ。リムハイトは49/55mm(従来50/56mm)、内幅は23.5mm(従来25mm)。しかし、その影響は重大である。
1mmのハイト削減は、リム全周からカーボンを除去し、1本あたり50gの削減に貢献しつつ、エアロダイナミクスにはほとんど影響しない。
2009年以来エアロダイナミシストのサイモン・スマートと共同開発した特許取得済みのSES形状がほぼ維持されている。シルバーストーン・スポーツエンジニアリングハブでの風洞試験では、PROと標準SES 4.5の差は48km/hで1ワット未満だという。
幅の縮小はより重要である。23.5mm(フック部測定)の内幅は、標準品の25mmフックレス測定値より1.5mm狭い。しかし決定的に重要な点として、フックの下のビード間実幅は24.5mmであり、標準リムでタイヤビードが着座する部分とほぼ同一である。
つまり、タイヤ容積、接地面積、転がり抵抗特性は実質的に維持される。Continental GP5000S TR 28mmをPROに装着して計測したところ、実幅29.7mmという健全なタイヤ膨張が確認できている。
狭いリムは、標準品の30mm最適タイヤではなく28mmタイヤに特化したシステムを形成する。
UAE Team Emiratesにとって、これは山岳ステージでより軽いタイヤを使いつつ、フラットステージでは標準SES 4.5に30mmタイヤを装着して最大エアロを維持するという二刀流戦略を可能にする。
PROは軽い加速力でスイッチバックの登りに秀で、一方で標準4.5は45~50km/hの巡航域でより伸びがあるような違いがある。ゴローさんは、「PROは登坂能力を極限まで高めたオールラウンダー」と評しいているが、的を射ていると思う。
クリンチャータイヤは使える?
使えない。
ミニフックがあるにもかかわらず、SES 4.5 PROはチューブレス専用システムである。フックレス非対応のクリンチャータイヤは使用できない。海外メディアのVeloNewsがENVEに直接確認しているが、フックレス対応でないクリンチャータイヤは使えない。
フックが小さすぎて従来型クリンチャービードを機械的に保持できず、リムのビードシート形状はチューブレスタイヤのプロファイルに合わせて設計されている。
ただし、チューブレス対応タイヤの中にインナーチューブを入れてロードサイドでのパンク修理に使うことは可能である。最大定格タイヤ圧は6.8barで、標準SES 4.5のフックレス制限値5barから大幅に引き上げられた。
ただし実際の使用圧はタイヤ自体の定格に従う。リムハイトを考慮し、スペアチューブ使用時は最低40mmのバルブステム長にエクステンダーの使用が推奨されている。
対応タイヤサイズは28~30mmで、28mmが最適幅である。ENVEの自社SESタイヤであれば最小27mm、サードパーティタイヤでは28mmが最小となる。
Real-World Fast
SES 4.5のエアロプロファイルは2009年にさかのぼる。ENVEは元F1エアロダイナミシストのサイモン・スマートとパートナーシップを組んだ。
スマートはレイナード、ジョーダン・グランプリ、そして後にレッドブル・レーシングへと発展するチームで働いた人物である。彼がもたらした根本的な洞察が、ENVEのアプローチを他社と差別化した。
ホイール単体ではなく、ホイール+フォーク+フレーム+ライダーという完全システムでテストせよ、というものである。
Real-World Fastの方法論は3つの柱で構成される。第一に、32km/hと48km/hの二速度テストである。多くの競合が48km/hのみでテストするのに対し、現実的なレクリエーション速度、およびレース速度の両方を捉える。
第二に、現実的なヨー角分布に基づく加重平均ドラッグである。風速計データは走行時間の大部分が12°以下のヨー角で発生することを示しており、めったに起こらない極端な横風角に最適化することを避ける。
第三に、フロントとリアで異なるプロファイルを採用する。フロントホイールはより丸みを帯びたU字形状で横風安定性を確保し、リアはフレームとライダーの空力的な影影を利用して、より深くシャープなV字形状でドラッグを低減する。
シルバーストーンでの風洞データがこの哲学の有効性を裏付ける。32km/hでは、SES 4.5はより深いSES 6.7のドラッグ数値に匹敵し、10°ヨーでは実際にそれを上回る。
独立CdAテストでは、標準SES 4.5が40km/hでMavic Ksyrium Eliteに対して14ワットの節約を達成し、Zipp 303 NSWよりも3W速かった。そして、40~50mmハイト帯でテストされた中で最速のホイールだという評価であった。
このエアロの血統こそが、ポガチャルとUAEが軽量化を求めながらも決して犠牲にしなかったものである。
Innerdrive PROハブの進化
Innerdrive PROは、既存ハブの肉抜き版ではなく、ENVEのハブプラットフォームをゼロから再設計したものである。フロント87g、リア194gの計281gは、ENVE史上最軽量であり、業界でもトップクラスの軽さに位置する。
40歯のPROラチェットは9°のエンゲージメント角を持ち、惰性走行時の抵抗を最小化するカスタムの軽量アクションスプリングが組み込まれている。これは意図的な設計選択のようだ。
40歯のカウント(標準ハブはさらに多い)は、即座のエンゲージメントよりも低転がり抵抗を優先し、ON/OFFのメリハリが明確である。クライミングでは持続的なパワーのほうがスプリント反応よりも重要になる。このトレードオフは効率性に寄与する。
ラチェットは2枚の硬化合金リングがベアリングの内側かつ上方に配置される。これがInnerdriveの核心となる原理であり、アクスルとベアリングへのストレスを軽減し、耐久性を向上させつつドラッグを低減する。
標準では40歯ラチェットが搭載されるが、60歯、80歯、100歯のラチェットがチーム向けに別売りされている。フリーハブ互換性はShimano HG(11/12速)、SRAM XDR、Campagnolo N3Wをカバーする。
新型ハブは、実走での改善が実感できるレベルまで昇華しており、特に加速時に、より速いエンゲージメントとスムーズな転がりが際立ち、標準SES 4.5と比較して横剛性の向上も体感できるという。
PRO仕様のセラミックベアリングは何が違う?
ENVEはこれまで、消費者向けホイールにおけるセラミックベアリングの費用対効果に懐疑的だった。SES 4.5 PROでその方針を転換した背景には、ENVEのベアリング抵抗分析がある。
シールがベアリング全体の抵抗の最大60%を占め、グリスが約26%、ボール/レース/ケージのアセンブリはわずか約12%にすぎない。つまり、ボール素材だけを変えるよりも、シールとグリスの最適化がはるかに重要なのである。
PROベアリングはグレード5の窒化ケイ素セラミックボールを使用し、0.000005インチという真球度を謳う。レースは耐食性に優れピッティング(孔食)に強い硬化440ステンレス鋼である。ケージは低摩擦ポリアミド設計だ。
シールは配置位置によって使い分けられており、内側向きベアリングにはドラッグを最小化する非接触シール、外側向きベアリングには路面からのデブリを防ぐセミコンタクトシールが採用されている。
ENVEはボール、レース、シール、グリス、ケージのすべてを専門ベアリングベンダーとの協業で統合パッケージとして開発した。
特筆すべき主張がある。セラミックボールがステンレスレースを慣らし運転で研磨することで、使い込むほど効率が向上するというものである。これはChris Kingハブでも類似の主張がなされている。ENVEはベアリングに5年間の保証を付与している。
Alpina Ultralite Aero R5が選ばれた理由
PROはAlpina Ultralite Aero R5ストレートプルステンレススチールスポークを採用している。
バテッドプロファイルは2.0/1.5/2.0mmで、Alpina Nylockアロイロッキングニップルと組み合わされる。スポーク本数はフロント24本、リア24本、テンション120kgfである。
これは、Roval Rapide CLX IIIやHunt Sub50 Limitless Aeroなどが採用するカーボンスポークへの業界トレンドとは意図的に異なる選択である。
パントンの説明は具体的だ。カーボンスポークをテストしたが、軽い一方でその形状がエアロダイナミック性能を低下させる、と。カーボンスポークは断面幅が広くなりがちで、薄いステンレスブレードよりもドラッグを多く発生させる。
ENVEの内部テストでは、インターナルニップルによりホイール1本あたり0.75ワットの節約が確認されており、コンポーネント単体の重量よりもシステム全体のエアロを優先していることがわかる。
Alpina Ultralite Aero R5のブレーデッドセンターは、レースに関連する速度域でのエアロ対重量比がカーボンスポークより優れているとENVEは判断している。
SES 4.5とSES 4.5 PROの違いとは?
ENVEはこの2つを代替ではなく、補完的なツールとして明確に位置付けている。PROは標準品を置き換えるものではない。
| 仕様 | SES 4.5(標準) | SES 4.5 PRO |
| ホイールセット重量 | 約1,450g | 1,295g(±3%) |
| リムハイト(F/R) | 50/56mm | 49/55mm |
| 内幅 | 25mm(フックレス) | 23.5mm(ミニフック)/ビード間24.5mm |
| 外幅 | 約32mm | 30.8mm |
| ビード設計 | ワイドフックレスビード | ミニフック(0.5mm) |
| リム重量(F/R) | 411g/415g | 369g/383g |
| ハブ | Innerdrive Premium | Innerdrive PRO |
| ハブ重量 | 約326g | 281g |
| ベアリング | NTNステンレス | PROセラミック(グレード5) |
| ラチェット | 40T標準 | 40T PRO軽量アクションスプリング |
| スポーク | Sapim CX-Ray | Alpina Ultralite Aero R5 |
| 最適タイヤ幅 | 30mm | 28mm |
| 最大タイヤ圧 | 72.5PSI/5bar | 100PSI/6.8bar |
| 価格 | \649,990 |
標準SES 4.5はフラットコースや、荒れた路面、30mm以上のワイドタイヤが求められる状況で依然として優位だ。タイヤ選択の観点から混合状況の路面における汎用性も高い。
PROは狭く浅いプロファイルによりエアロ効率をわずかに犠牲にするが、28mmタイヤとの組み合わせでそれを回収し、劇的に軽い重量でエアロ性能の均衡を達成している。富士ヒルなどの高速区間のあるヒルクライムレースでもPROが最適だろう。
軽量デカール
PROのデカールは単なるコスメティックではなく、軽量化の一環として設計されている。シルバーロゴとオールホワイトのビニールデカールの2種類が用意され、プロチームは白を好んで使用している。
デカールの重量差はわずかではあるが、1,295gという公称重量にデカール重量も含まれており、ENVEが全体設計の中でグラフィックまで最適化の対象としていることを示している。
ホイールの見た目をさりげなく変えつつ、グラム単位の軽量化に貢献する。プロの世界では、こうした微差の積み重ねが最終的にレース結果を左右する。
スペック
| パラメータ | 値 |
| ホイールセット重量 | 1,295g(チューブレステープ+バルブ込み、HGフリーハブ) |
| フロントホイール | 587g |
| リアホイール | 708g |
| フロントリム | 369g |
| リアリム | 383g |
| リムハイト(F/R) | 49mm/55mm |
| 外幅 | 30.8mm |
| 内幅 | 23.5mm(ビード間24.5mm) |
| フック深さ | 0.5mm |
| ERD(F/R) | 563mm/553mm |
| ハブ重量(F/R) | 87g/194g |
| ハブ素材 | 7075-T6アルミニウム |
| ラチェット | 40T PRO(軽量アクションスプリング) |
| ベアリング | PROセラミック―グレード5 、440ステンレスレース |
| スポーク | 24F/24R Alpina Ultralite Aero R5 TCX 2/1.5/2mm |
| ニップル | Alpina Nylockアロイ(ロッキング) |
| スポークテンション | 120kgf |
| アクスル | 12×100mmフロント/12×142mmリア |
| ブレーキ | ディスク―Centerlock(ロックリング付属) |
| フリーハブ | Shimano HG、SRAM XDR、Campagnolo N3W |
| 最適タイヤ | 28mmチューブレス |
| 最大タイヤ圧 | 100PSI/6.8bar |
| デカール | シルバーまたはホワイト |
| 価格 | \649,990 |
| フロント単体 | $1,700 |
| リア単体 | $2,050 |
| 製造 | ユタ州オグデン、USA |
まとめ:プロが求める速さの全てが融合
ENVE SES 4.5 PROは革命ではない。精密に計算された進化であり、マージナルゲインがどのように積み重なるかを示す実例である。1mm浅いリムハイト、1.5mm狭い内幅、わずかに薄い壁面、再設計されたハブ、セラミックベアリング。
いずれも単独では劇的ではないが、総合すると49/55mmのエアロホイールセットが1,295gという、数年前には物理的に不可能だった数値を叩き出す。
戦略的に最も興味深いのは、重量ではなくミニフックである。ENVEが本当に軽量化の過程で偶然たどり着いたのか、それともUCIコンプライアンス上の判断を後付けのナラティブで包んだのか。
真相はともかく、その結果はエレガントである。機能的にはフックレスとして振る舞い(チューブレス専用で、ビード寸法は維持され、安全マージンは同等)、法的にはフックドリムに分類される。
ENVEとそのチームを規制リスクから隔離しつつ、ETRTOルール下での28mmタイヤ適合を可能にしたのである。本気で結果とタイムを出しにいくなら、PROを選ばない理由がない。
標準SES 4.5はより汎用性の高いホイールであり続ける。PROは、すべてのグラムが意味を持ち、道が登りを迎えた瞬間に真価を発揮する専用兵器だ。
ENVEはホイールがどこまで速くなれるかという永遠の問いに、最も完全な答えを提示している。
後半のインプレッションは以下の記事から。
































