「シマノのパワーメーター」搭載システムから見えた狙い

最新のシマノパワーメーターの記事は「国内初確認 シマノパワーメーターの実物を見た」を御覧ください。

今多くのサイクリスト待ち望んでいる事は、世界1の自転車メーカーシマノがパワーメーターを出すことではないだろうか。堅実なメーカーであるシマノがいずれ必ず出してくるであろうパワーメーターを今か今かと待ち望んでいる人も多いはずだ。

シマノは高い金属の加工技術を持つメーカーであり、かつ電動といった電子デバイス方面にも高い技術力を持っている。同社の技術を持ってしてパワーメーターを作ることは無理な話ではないだろう。そして他の競合他社よりも開発力と資金力が有るのも確かだ。

ただ、時が経てど一向に製品として「シマノのパワーメーター」はお披露目されていない。多くの開発と多くの実験を繰り返し恐らく今も研究中なのだろう。ただシマノが作るパワーメーターの一つの形として以前から取り沙汰されていた「Fittingシステム用途」のパワーメーターが存在している。

その実物を見て行きシマノのパワーメーターについて探っていく。

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シマノのパワーメーター

トップの画像はご覧のとおりチェーンリング側だ。上の画像にある通りアーム部になにやら取り付けられている物がある。パイオニアペダリングモニターと同じくクランクアーム部にひずみゲージが取り付けられている。製造は「made in japan」と書いており日本製だ。

クランクアームには文字通り「SHIMANO」とある。チェーンリング側の構造で2つパイプのようなものが確認できるがどうやらこれはパワーメーターとは関係のない部品のようだ。以下の画像をご覧頂きたい。

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「Fittingシステム用途」で重要なクランクアームの長さを調節する為の機構であることがわかる。このクランク長は155mmから180mmまで2.5mm刻みで変更することができる。当然左右のクランク長を変更できる。これからはクランク長をあれこれ悩みながら替えること無く最適なクランク長を選択できる時代が来そうだ。

このクランク部分をシマノは「ペダリングアナライザー」と呼んでいる。パイオニアはペダリングモニター(監視・観察)であるのに対し、アナライザー(測定器)と呼ぶのはペダリング結果とFittingシステムを織り交ぜて測定するからなのだろうか。この辺のネーミングセンスは本来の機能と異なる為深くは追求しない。

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左側クランクアームの中身はこのようになっている。なにやらジャンクションのようなものが見えるがこのジャンクションは左右のクランクをつなげる。データー受信のためなのか、電源供給のためなのかは不明だが何かしらの情報や電力のやりとりに使われているのだろうか。

ここまではパワーを測定するためにクランクアームにひずみゲージが取り付けられていたり、センサーをつなぐジャンクションの様なものが有ったりとわりと目新しい物はない。ただ以下の構造は少し気になったので少し注意深く見て行きたい。

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こちらの画像はBB付近に装着する「BB coil unit」だ。真ん中の名前の補足がない部品はおなじみのBBである。このコイルユニットは左右でコネクターにつながっている。ただ単にコイルを使って電源供給をしているのか、はたまたパワー測定をするために必要な物なのかは定かではない。

ただ、何らかの意味を持つこの「BB coil unit」という部品はクランクアームの回転に対して何らかの作用をしていると考えられる。

ペダリング解析は三次元へ

まず「Fittingシステム」用途という事を強く申し上げておきながらパワー測定と懐石に目が行く。上記画像のボックスにはペダリングモニターと同様にベクトルの表示がされる。ペダリングモニターの12分割よりも多く24分割?程ペダリングのベクトル表記がされる。

三次元で表示されていることからひずみゲージはX軸方向、Y軸方向、Z軸方向への測定がされている。それぞれクランクアームの法線方向、接線方向、そしてアームを捻るZ軸方向だ。このZ軸方向が加わることにより「ペダルのシャフトのどこを踏んでいるか」が計測できる。

ペダルに見える矢印はペダルシャフトのどこの位置に力がかかっているのかを判別することができる。

これらは「クリートの取り付け位置」によってペダルに対してどのようにパワーがかかるのか判別が容易になるだろう。いままではクリートの位置を変えたとしても、サイクリストによってペダリングが異なるため本当に正しい位置で踏めているかまではわからなかった。

ただ、このシステムを使えばペダルの外、内どこを踏んでいるのかを測定することができる。単位のmmが示す通りペダルシャフトの位置の何ミリ先なのかまで測定できるすさまじいFittingシステムである。

その他ペダリングに関する様々な項目を測定できる。ペダリング効率もそうだし、ワットの確認も当然可能だ。ただ、項目が多く自分自身のペダリングを解析するにはそれ相応の知識が必要といえる。

ペダリングモニターの場合と同様に左右のペダリング効率を測定できるが様々な乗車ポジションを試しながら効率がよく、高い出力を出せる場所を探しだすことができる。

まとめ:小型化していく過程の装置なのか

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正直な感想を述べさせてもらうと、まだ外で使用できるレベルではない。この巨大な装置で実現していることを、小さなクランクに収めるには相当な技術と時間を要するだろう。現段階ではFittingシステムのいち機能としてのパワーメーターどまりだ。ただ実際にシマノが「パワーメーター」を意識していることには間違いない。

この巨大なシステムを見て思うのは、法線接線方向のひずみを計測できるパイオニアペダリングモニターは非常に優れたパワーメーターだと言える。自分が使っているからではなく、このシマノの装置を見て改めて思わされるのだ。デバイスの小ささ、電池で400時間駆動と「実用に耐えうる」パワーメーターである。

このシマノのX,Y,Z方向のシステムはまだ課題が有るように思う。測定方向が増えるということはセンサー数が左右で増えることになる。結果として駆動時間の減少や、受け側(サイクルコンピューター)の処理問題も出てくるだろう。現状のANTの規格ではそのような処理はできない。

もしシマノが三次元方向で出力の処理をするパワーメーターを販売するならばサイクルコンピューターも同様に開発されると予想される。

また現在は「クランクアーム貼り付け型」のパワーメーターであるが、上記写真にもある通りシマノの製品は中空構造である。この部分にひずみゲージを搭載しスマートにする方法も十分に考えられる。そのほうがトラブルレスで外的要因による破壊も免れる。

実際にROTOR POWERはこの方式をとっているため、非現実的な方法ではないことがわかる。様々な想像を駆り立ててくれる今回のパワーメーター搭載型Fittingシステムは、シマノの作るパワーメーターの一つの形として非常に好印象だ。

恐らくシマノの狙いはこの大規模なシステムを次期装置への足がかりとし、Fittingシステムで得られた様々なデーターを次期「シマノパワーメーター」の開発へフィードバックするのではないか。

いずれにせよ何かしらの形で我々の前に姿を表すであろうシマノのパワーメーターに期待せずにはいられないのだ。