レース中のパフォーマンスを高めるためには、補給が不可欠だ。これまで、様々な補給を試してきたが、効果が感じられる製品もあればそうでない製品も多かった。エビデンスレベルが高い成分が配合されていれば、ある程度の効果が期待できるのだが、個人差がある。
実際に自分に合うか合わないかは、試してみなければわからない。今回は、SAURUSの「アミノサウルスジェル」をレースで試した。
このジェルは「01」と「02」に分かれており、配合している成分の方向性が異なっている。デュアルソースのエナジージェルであることと、レースで期待する効果がこの2つで完結できると判断したため、実戦で使うことにした。
使用した結果や、使用するタイミングと量、狙いなどをまとめた。
エネルギー補給とパフォーマンス向上
SAURUSのアミノサウルスジェルは、レースのエネルギー補給に最適化されたエナジージェルだ。01と02で成分が異なっているため、成分や量に関して以下にまとめている。ポイントとしては、デュアルソースのジェルであることと、カフェイン有り無しを選択できる点にある。
- 01 マンゴー風味
- 果糖(フィンランド製造)、マルトデキストリン、シトルリン、寒天、アンセリン含有フィッシュペプチド/酸味料、アルギニン、塩化マグネシウム、香料、カフェイン
- クエン酸 2,700mg
- アルギニン 2,000mg
- シトルリン 1,000mg
- マグネシウム 50mg
- カフェイン 75mg
- 02 レモン風味
- 果糖(フィンランド製造)、マルトデキストリン、シトルリン、寒天、アンセリン含有フィッシュペプチド/酸味料、アルギニン、塩化マグネシウム、ロイシン、イソロイシン、バリン、香料
- クエン酸 2700mg
- アルギニン 2000mg
- シトルリン 1000mg
- マグネシウム 50mg
- BCAA 500mg
ベースは、フルクトース(果糖)とグルコース(デキストリン)のデュアルソースだ。
それぞれの糖は、別々の輸送体を用いて体内で運ばれるため、身体に取り込まれる際の吸収効率が良い。デュアルソース飲料は、プロ選手やマラソンランナーがこぞって使用している。当ブログでも何度も登場しているため、詳細は以下の記事に譲る。
このデュアルソースをベースに、クエン酸、アルギニン、シトルリン、マグネシウムの4つの成分がそれぞれ共通して配合されている。エビデンスレベルは低いが、アルギニンとシトルリンは血管を拡張し、血流をよくする効果が期待されている。マグネシウムは脚つり対策として期待されている。
クエン酸は乳酸を体内で分解して新陳代謝を促進してくれる働きを持っている。また、疲労回復以外にも全身における血流の促進が期待されている。これら基本となる糖質と成分をベースに、01と02には追加で以下の成分が配合されている。
- 01:カフェイン
- 02:BCAA
エビデンスレベルが高いのがカフェインとBCAAだ。カフェインは常に摂取すればよいというわけでもなく、タイミングを見計らって使用する必要がある。BCAAは筋肉中のタンパク質分解を抑える効果がある。
ひとつの製品で、カフェインとノンカフェインを使い分けているジェルはそれほど多くない。この特徴の異なる2つのジェルを、レースのどの時点で摂取するのかが重要になってくるのだ。
いつ、どれだけ飲むか
エナジージェルのどれもが、飲んでから体内に取り込まれるまでタイムラグがある。悩ましいのは、人それぞれ吸収の反応が異なっており、一貫した吸収時間は存在していない。おおむね、30~60分程度のタイムラグがあるようだ。そこで、自身の経験と感覚から、逆算して摂取する必要がある。
また、糖質を吸収できる上限も人それぞれ異なっている。多ければ多いほど良いというわけではないし、吸収できない場合もある。成人男性であれば、おおむね60分あたり60gから80gの糖質を吸収できるという。
アミノサウルスジェルは約25gの糖質が含まれているため、糖質補給が目的ならば30分毎に1本のペースで摂取することが望ましいだろう。ただし、カフェインが含まれている場合は、多くても200mg~300mg程度に摂取する量を抑えておきたい。
カフェインの摂取は、目的と効果から逆算する必要がある。レース時間が短い場合は、レース前が良いだろう。レース時間が4時間程の場合は、勝負所までの残り時間を逆算して摂取する必要がある。
60分のヒルクライムであれば、スタート前が直後が良いだろう。したがって、「カフェインだから後半に摂取する」などという、固定された考え方はしないほうがいい。
参考までに、01と02を使用したレースの時間は60分弱であるため、スタート30分前に01のカフェイン入りを、スタート直前に02を摂取して60分走った。
01の摂取は「何分後に集中したいか」が重要になってくる。私の場合は、30分を過ぎたあたりから垂れ始めることがあるため、吸収まで60分かかると想定して逆算してレーススタート30分前に摂取した。
以前はカフェイン入りをレース中に飲んでいたが、レース後に気合が入るという効果のズレを感じていた。最近ではレース前に摂取するほうが向いていることがわかった。ジェルやカフェインを摂取する最適なタイミングは人それぞれだ。いろいろ試す必要がある。
レビュー:レースで使ってみた
実際にアミノサウルスジェルをレースで試した。レースは60分弱だが、スタート直後から全開で60分の平均心拍は180bpmに張り付く。常に全力であり、序盤から垂れない程度のフルパワーを出す必要がある。ダッシュを繰り返すが、心拍の傾向はヒルクライムと似ている。
そのため、先ほども記した通り、レース30分前に01カフェイン入りを、レーススタート直前に02カフェインレスの2本立てで挑んだ。01→02という順番通りで迷わなくていい。この組み合わせの理由は、01で序盤からレース中盤の高強度域を耐えることと、02で補給の意味がある。
アミノサウルスジェルは、ドリンクと一緒に飲むのがおすすめだ。飲み心地はサラッとしている。ウィダーのようなジェルというよりは、ほぼ液体だ。水なしでも飲めるがクチの中にまとわりついて残る感じがある。飲んだ後はドリンクで流し込むのが良いだろう。
糖質は25g前後と、比較的カロリーが少ないためおなかに溜まりにくい。そのため、レース直後にインターバルがかかっても胃もたれや、食べたものを戻す心配もなかった。レース前に合計50gの糖質を取っているが、60分以内のレースであれば十分に足りる量だと思う。
これまで、レース後半になると徐々にペースが落ち、ラップタイムが乱れてくることが多かった。今回は、01と02を使った補給戦略が成功したのか、後半にも大崩れすることなくラップタイムを刻むことができた。最終ラップも集中力切らさずに追い込むことができた。
後半でも大崩れしなかったことと、ジェルを飲んだことによる直接の因果関係は不明だ。カフェインの摂取タイミングは自分自身の吸収度合を把握し、効果的に使用すればレース中の身体パフォーマンスを上げてくれる可能性はある。
それゆえ、アミノサウルスジェルのように成分を明確に分けた01と02を、時間差で使い分ける方法は有効だと思う。レースだけでなく、強度が上がることが想定できるような練習前に使用することも効果的だ。レースならなおさらで、01→02の順番で時間差で使用することも、さらに効果を引き出せるだろう。
まとめ:タイミングを見計らって効果的に
SAURUSの製品は薬剤師、医師、管理栄養士、アスリートやトレーナーなど様々な意見を取り入れて製品開発を行っている。競技を行う選手をサポートする製品作りから、主にランナーの愛用者が多い。
今回使用したアミノサウルスジェル01と02は、使用するタイミングや順番を好みで変えることで様々なレース形態にマッチする。競技時間が60分以上想定される場合は、本数を増やして対応すれば良いだろう。また、レース時間が短い場合は1本でも足りる。
また、勝負どころがわかっており、集中して走りたい場合は逆算して摂取するという使い方も効果的だ。基本的には01→02という使い方が良いと思うが、レースや勝負所によっては02→01という使い方もできる。ヒルクライムなら、01 x2本という2段階の使い方もよいだろう。
まずは、01と02を組み合わせて、試してみることをお勧めする。
このように、様々なシチュエーションに合わせて、様々な使い方ができるのがアミノサウルスジェルの良いところだ。多様化するレース展開や、ここ一番の勝負所に備えて、狙い通りの効果を発揮するエナジージェルに仕上がっている。
¥1,512 (¥378 / 個)