偽りのサイクル
世界十六カ国で発売されたランスアームストロングの「アレ」な話が綴られている書籍が明日23日に発売する。タイラー・ハミルトンによるシークレットレースは本当に面白かった。相当量の文章と厚い本であるがあっという間に読めた。本書はどのような内容なのだろうか。
偽りのサイクルというのは一見邦題向けタイトルのようであるが、アメリカで発刊されたタイトルを見るとサイクルという言葉はいい意味でも、悪い意味でも使える言葉だなと感心する。
翻訳者はあの児島修氏
偽りのサイクルは今年2014年3月に米国で刊行された『CYCLE OF LIES:THE FALL OF LANCE ARMSTORONG』を翻訳したものだ。翻訳者は 児島 修氏。ジョー•フリールのサイクリストトレーニングバイブルなどを翻訳されている方なので翻訳内容も期待できる。
肝心の『CYCLE OF LIES:THE FALL OF LANCE ARMSTORONG』の著者はニューヨーク・タイムズ紙において長年スポーツ記者として活躍してきた、ジュリエット・マカーという女性の方だ。この方が10年にわたりランスアームストロングを取材してきた事が綴られている。
本書がシークレットレースと異なる点は、シークレットレースの最後を読まれた方はご存知のことと思うが「ランスが自白してない」時点での内容に対し、本書は「自白後」のインタビューを含む。
小学館 (2013-05-08)
売り上げランキング: 4,584
アームストロング本人へのインタビューをはじめとして、選手を含む多くの関係者への取材内容も綴られており、ドーピングがどのような手法で行われていたのか、そしてどのように検査の目をくぐり抜けてきたのかが綴られている。
ドーピングはウンザリだが
シークレットレースを読む前は「ロードレース界のドーピング問題にうんざり」だった私も、ドーピングをしなければならなかった事(ドーピングを推奨しているわけではない)を取り巻く人間の葛藤が見え大変興味深かった。
本書もランスアームストロングが自白後に語った内容を読めるとあり非常に興味深い。ただこのような書籍が出版され言えることは、やはり『ドーピング=自転車』というイメージをさらに加速させていると考えてしまう。
しかし、このようなマイナスの要素が注目され、話題になる現在の状況をサイクルロードレース界は耐え本当にクリーンな競技になって欲しい。そう考えると、ドーピングが無くなろうとしている過渡期だからこそ読める本だ。
いつか、「昔ロードレースではドーピングが蔓延しててな…」といつか昔話できるような日が来ることを期待しながら読んでみたい一冊だ。
洋泉社
売り上げランキング: 3,440