もはやポンプの代名詞となったSILCA(シルカ)の「作品」がある。SILCA スーパーピスタだ。ある程度自転車を知っているサイクリストならば間違いなく知っているポンプである。フロアポンプを選ぶ際に候補として上げた方も多いのではないだろうか。
そして、本製品とクワハラのヒラメポンプを組み合わせた「ツウ」な使い方をしている人や、既に何十年も使っているという人も中にはいるかもしれない。そんなイタリア製の古き良きデザインと、ひと目で分かるブランドロゴに伝統を感じさせるポンプの代名詞SILCA スーパーピスタに上位機種が存在している。
SILCAスーパピスタアルチメイトである。もはや原型をとどめていない名作中の名作を見ていこう。
SILCAスーパーピスタアルチメイト
まずは先代のスーパーピスタと異なるのは全体的に削り出しの金属のボディで構成されていることだ。かつてのモデルも金属は使われていたもののより堅牢な佇まいを醸し出している。挿入口は独特の形状でこの一部分だけ見ればポンプだとはわからない。さすがイタリアのデザインの良さと、ポンプを知るSILCAの製品だ。
このロゴマークの部分はヘッドを置く台座である。台座にも手を抜いていない。使わない時に置いて置くだけでも様になるポンプは他にないのではないか。冒頭の写真でもわかるが、金属と赤色のホースのコンビネーションが物欲をそそる。
一見、レザインの様に全部メタル調と思いきやそこはやはり老舗のSILCAである。ポンプを使う際に唯一肌と触れる部分のグリップは木製である。実はここは重要な部分でグリップがメタルで合わないと言った理由でレザインを見送る場合もある。私のレンコンプレッサーも木製だが、やはりポンプのグリップは木製一択だ。
使えば使うほどにグリップに馴染みが出てきてまるでオーダーメイドのような感覚にすらなってくる。年季が入れば手垢や油汚れが染み付いて取れない。しかし、その辺も「ツウ」っぽい要素であり、メタル素材には到達できない至高の部材なのだ。
空気圧の測定精度の高さでも知られる本ポンプであるが、メーターはまるでF1のコクピットを彷彿とさせる。空気を入れるごとにどんどんメーターが上がって行くのは、まるでエンジンの回転数が上がるタコメーターを見ているかのようだ。赤と黄色の目立つ表示は、視認性にも優れ見誤る事は少ないだろう。
高圧を入れてもその沈み込む力に大幅な変化がないポンプである。
メーターは黄色バージョンも存在している。フロアポンプにとって重要なのは確実堅牢な足元周りである。この部分は見るからに重そうだ。ガタついてしまうと思うように空気を入れることが難しくなってしまうだろう。しかし、土台は金属で構成され安定感と安心感がある。
最近のポンプは空気圧を示すゲージが上の方に備わっているが、本モデルは伝統的に下の方に位置している。やや遠くはなるだろうが、重心バランスと見た目のデザインの良さはやはりこの低重心を感じさせてくれる位置だ。
名作のアルチメイトは裏側も手を抜いていない。裏を見るとロゴの刻印と赤色の滑り止めゴムが備わっている。バランスを取るのに最適な三点バランス構造で足元がフラットでない場合も全ての脚が地面に設置してくれる。細部にも手を抜かない
どんな機材でも細部に手を抜かない機材はサイクリストの所有欲を満たしてくれる。
本製品は2014年のInterbike Awardを獲得している。伝統的なポンプから一転、最新ハイエンドの究極のポンプを目指した結果と言えるだろう。お値段は400ドルと高めだが、ポンプだけは良いものを使った方が良い。私もレンコンプレッサーは一万円以上するが良いものは長持ちするし、使っていて楽しい。
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高級ポンプは替えの物品もメーカーで備えているところも魅力的だ。長く使うために保守交換ができるところはやはり老舗のSILCAならではだろう。一度買えば何十年も使える同社の製品なのでこの値段は妥当だと言える。実際にかなりくたびれたスーパーピスタを見る機会が多い。
使っているサイクリストもだいたい健脚な年季の入ったサイクリストだ。
上位機種にはキャプテン・アメリカバージョンも存在しているが、デザインだけで性能には変わりない。お値段は900ドルとあまり手軽に買える値段ではない。
昔のスーパーピスタを知るおっさん達は全く別物になってしまいガッカリするかもしれないが、これから先はこのスーパーピスタアルチメイトがポンプの新たな時代を切り開いて行くのだろう。やはりSILCAのポンプは時代が変わっても名作であり続けるのである。
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