TREK MADONE DISC インプレッション

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ざっくり言うと↓

  • 見た目よりも重くない。
  • 一番柔らかくして使うのがオススメ
  • リムブレーキ最後の最速のバイクか

madone

本記事は、「TREK MADONE DISC 剛性と振動吸収を調整できる 究極のオールラウンドバイク」の後編です。まだ前編を読まれていない方は、先にお読みいただくことをおすすめします。

TREK MADONE DISC 剛性と振動吸収を調整できる 究極のオールラウンドバイク
ざっくり言うと↓剛性を自在に変更可能。振動吸収性も変更可能。リムブレーキ式が大穴。最速のバイクを生み出すためのアプローチは、「エアロ」と「軽量化」の2つだけではない。新型Madoneを知っていく過程で、それだけでは不十分なのだと次第に思い知らされた。これら2つの要素に加えて、新しい切り口である「振動吸収」の話しをせずに現代の最速のバイクは語れない。エアロ、軽量化、振動吸収と、異なる3つの要素を融合...
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インプレッション

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「究極のオールラウンドバイク」

この言葉の意味は、MADONEに乗るまでさっぱり理解できなかった。というのも、「MADONE」と名づけられたバイクはTREK社において最高峰のバイクに位置づけられている。そして、ランスアームストロング、コンタドール、カンチェラーラなど数多くの名選手が操ってきた。だから、「MADONEはプロがレースで使う最高峰のバイク」というイメージが強い。

今回乗って率直に感じたのは、MADONEは最高峰の性能を備えながらも汎用的なバイクだったことだ。速く、快適に、乗ることを誰でも楽しめるバイクだ。わたしの中でMADONEに対する結論はあっけなく出てしまった。しかし、それではMADONEというバイクをすべて表現しきれているわけではない。もう少し深堀してみよう。

なぜ「汎用的」だと思ったのか。汎用的という意味をかみ砕くと「1つのモノを広く様々な使い方をすること」と言い表される。MADONEという1つのバイクは、様々な調整をし無数の扱い方ができる。今までのバイクは「ライダーがバイクに合わせる」ということが当たり前だった。というよりも、調整は不可能だった。しかし、新型MADONEは「バイクをライダーに合わせる」という調整が可能になる。

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調整式のISPSPEEDがもたらす効果は予想以上に大きい。フレームの剛性や振動吸収性を調整できるようになったということは、自分好みにバイクを変えられるということだ。剛性の話をすると必ず出てくるキャッチコピーがある。「前年比○○%剛性アップ!」と。もはや死語に近いが、剛性が高くて一般人では到底扱えないガチガチバイクに心底うんざりしていた。

ただMADONEはそんな悪しき流れとは一線を画し、好みの剛性でバイクをチューニングすることができる。バイクを自分好みにチューニングするということは一見新しい。しかし、MADONEに乗っていくうちに、本来あるべき姿なのだと強く感じるようになった。

わたしは、最も柔らかくセッティングして使用することが好みだ。スライダーをめいいっぱい前方に移動してISOSPEEDのしなりを十分引き出すセッティングに調整している。バイクが硬すぎると2~3時間走ると疲れてしまう。硬いバイクは突き上げも大きくなるため、体へのダメージも徐々に蓄積されていくのだ。しなやかなバイクはその負担を減らしてくれる。

ISOSPEEDのスライダー調整は剛性の変更だけをもたらすわけではない。同時に振動吸収性も変化する。振動吸収のテクノロジーにおいてTREKは一歩先を行っている。振動吸収に関して(昨今のディスクエアロロードに限って)言えば、「MADONEかそれ以外」という区分けが成り立つ。明確に振動吸収のための構造を備えているディスクエアロロードは、今のところMADONEだけだ。

ただ、振動吸収と剛性の話が出てきたとしても「究極のオールラウンドバイク」という解釈には程遠い。そこで、もう少しMADONEを注意深く観察してみることにしよう。

新型MADONE3つの特徴

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新型MADONEの特徴を3つにまとめてみよう。「地面追従性が非常に高い」「乗り心地が良い」「重量よりも軽く感じる」という3つで表すことができる。「路面追従性」に関して言えば、極端な例だがサスペンション付きのバイクで悪路を走っている感覚に近い。

フロントサスの補助的な動きというよりも、ショートトラベルの”チョイ”リアサスのイメージに近い。たとえば、河川敷の荒れたアスファルトを走るとすぐにISOSPEEDの効果に気づくことができる。体に伝わってくる小さな振動が明らかに減るのだ。

タイヤはいつもと同じコンチネンタルGP5000 25cを使っているし、パナレーサーの空気ゲージで計測している。機材差はフレームだけなのだが、振動が少なくなり結果的に路面の追従性が高くなったと感じる。この体験は過酷であればあるほど顕著に体感できる。というのもシクロクロスのレースで、奇しくもTREK BOONEよりも「振動吸収性が高いクロモリ」に乗り換えてレースを走った。

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カーボンしか乗らないロード乗りにとって、クロモリの乗り心地は理解が難しい。走れば体感できる簡単な話なのだが、クロモリはとてもしなやかだ。そして、フレーム全体で衝撃を受け止めてくれる。同じタイヤと空気圧であっても、カーボンとクロモリでは路面追従性がまったく異なる。

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ISOSPEEDは同じように衝撃をいなしてくれる。ほかのエアロロードとは明確に異なる路面の追従性能にはじめは驚いた。究極のオールラウンドバイクと銘打つのならば、エアロ、重量、振動吸収すべてのバランスがとれていなければならない。TREKはこれらの要素を高めることによって「究極のオールラウンドバイク」生み出した。

荒れた路面での快適性や、走破性、追従性、ライダーへの衝撃の伝わりにくさは(一見すると)速さには関係のない話だ。しかし、わたしはそうは思わない。

いくらバイクが空力的に速くても、ライダーに不快な衝撃を伝え続け、過度な剛性のバイクでは知らぬ間に疲労がたまってしまう。そうなってしまうと、ゴールまで万全の状態で走りきることなどできない。キャッチーなエアロダイナミクスや重量ももちろん重要だ。しかし、MADONEの登場やSILICAの実験結果から振動吸収性という要素はこれからさらに注目されていくのだろう。

ここまでで路面追従性や乗り心地の良の結論を出しておく。「MADONE > VENGE > SYSTEMSIX」とはっきりと言い表すことができる。

ISOSPEEDのチューニング

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ところでプロ選手たちがどのようなISOSPEEDのチューニングをしているのだろうか。別府選手は意外にも一番柔らかいセッティングをしているらしい。なんとわたしと同じセッティングである!(勘違い)。プロ選手は硬いフレームを好むと思っていた。ところが、意外にも柔らかいセッティングに調整していると言う。長い距離のレースを連戦するため、できるだけ体への負担を少なくしたいと考えてもおかしくはない。

不思議な話だが、「剛性」は進みのイメージを大きく変えてしまう。柔らかいバイクはワンテンポ遅れると感じるし、硬いバイクはよく進むと感じる。ISOSPEEDは剛性を調整することが可能だが、柔らかくても硬くてもよく進むバイクだ。

MADONEは持つとやや重さを感じる。しかし、その結果とは裏腹に走りはとても軽く感じる。先般の記事「TOYOフレームに乗ってはいけない」でも記した通り、持った重量と乗り味は相反する要素だ。TREK MADONEは見た目もエアロで重たく感じてしまうが、実際に乗るとVENGEと違いがわからない。VENGEよりも柔らかく感じる。

最近の「よく考えられたバイク」は過度な高剛性を追い求めることはない。TREKのバイクは限界ギリギリのワイドBBのBB86を採用しており、見た目にも剛性が高そうに見えるがそんなことはない。

スライダーの調整方法のお勧めとしては、はじめのうちは一番柔らかくした状態で使用し、慣れてきたら硬くして使うというアプローチだ。というのも微妙な調整量だと変化が感じられにくい。はじめのうちは「最も柔らかい」か「最も硬い」のどちらか2通の使い方で良いと思う。

シチュエーション

MADONEを使うシチュエーションを考えてみよう。レースと普段のライドの2通で話を進める。まずレース用途で考えると長距離のレースからある程度のアップダウンのコースが適している。広島森林公園、群馬CSC、修善寺(日本CSC)程度の登りであればMADONEでも良いと思う。サーキットコースのエンデューロやクリテリウムならば、さらにMADONEの恩恵が得られるはずだ。

MADONEがヒルクライムに向くかと聞かれたら「EMONDAを使うべき」というはっきりとした回答をする。重量面や踏んだときの進むフィーリングを考慮すると、ヒルクライムに特化するならEMONDA1択と明確な区分けができる。昨今のインプレッションで「登りもこなすがクリテリウムも(以下略」という「カウンターインプレッション」が横行している。しかし、わたしはあの類の話をまったく信じていない。

エアロにはエアロが最も活躍できるシチュエーションがある。軽量バイクには重さがアドバンテージになるシチュエーションで使うのが最も好ましい。適材適所、長所を最も生かせるバイクを選択すればいい。そういう意味では「究極のオールラウンドバイク」という表現は登りも下りも平坦もソツなくこなすが、ものすごい激坂や、悪路を走るためには、別のバイクよりも劣る部分があるという解釈としてとらえねばならない。

ヒルクライムを除いた日本レース(ロード、エンデューロ、クリテリウム)を考えると、MADONEのようなバイクを選んでおけば”外した”選択ではないという結論に至る。読者はVENGEとの比較が最も知りたい話題だと思うが、その模様は後半で書いているので、もう少し結論は待ってほしい。

先般のVENGEインプレッションのまとめでも記したが、今後の開発戦争の主導権を握るのは「軽量エアロロード」をどこが一番先に作るかだ。SYSTEMSIXのように「ある程度の勾配まではエアロロードのほうが速い」という話もある。いつか、その「ある程度」が国内の登りにおいてすべてカバーできるバイクが登場すれば、細身の軽量バイクは絶滅するのだろう。

ただ、本記事執筆時点ではそのようなスーパーバイクは存在せず、純粋にヒルクライムをするのならばMADONEをあえて選ぶ必要はない。

ただ―――、

6.8kgの制限があるヒルクライムレースにおいて、「MADONEリムブレーキ」は隠れたスーパーバイクだ。おそらく6.8kgの制限の中において最速の性能を持っている。TOURマガジンでも公開されていた通り、重量面とエアロダイナミクスのバランスを考えるとMADONEのリムブレーキ版に勝るバイクは数えるほどしかない。規定重量を順守しなければならないレースに参加するとしたら、最も速いバイクはMADONEリムブレーキということも書き残しておく。

まだリムブレーキも死んでいない。ただ6.8kgのエアロディスクロードが出たらそのときは役目を終えるのだろう。

ステアリング

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ステアリングの良しあしは、ヘッド角、フォークオフセット、トレール量、ステム長、ハンドル幅と様々な要素から決定される。ステアリングは競技の違いで変更することが本来は望ましい。オフロード系バイクは特に顕著でXC(クロスカントリー)、AM(オールマウンテン)、DH(ダウンヒル)とカテゴリーに応じてヘッド角は大きく変わってくる。

XC系はヘッド角度が71°や70°が主流だったが、昨今はよりテクニカルなセクションが増えてきているため、69や68.5°といった「寝たヘッド角」が徐々に増えてきた。ただロードバイクの場合はそれらとは異なり「サイズ別でヘッド角が異なる」ということが当たり前になっている。ロードバイクの設計上小さなサイズはトレール量が大きくなりいわゆる「モッサリステアリング」になってしまう。

当ブログでしつこいほど述べているが、小さなフレームサイズでまともなトレール量を確保していたブランドはアンカーぐらいしかなかった。ところが、最近のアメ車系(TREK、スペシャライズド、キャノンデール)はまともな設計でしっかりと作ってきている。今回のTREK MADONEのジオメトリもいたってまともだ。小さなサイズでも十分なトレール量が確保されており、ステアリングが鈍いと感じることも少ない。

ハンドル周りは前作の一体型から大幅にアップデートがなされた。正直に書き残しておくと、ハンドルのしゃくり量やブラケットポジションを気にする人は、一体型ハンドルは使わないほうがいい。確かにエアロダイナミクスに優れたハンドルなのだが、手を置く位置は重要である。わたしはステム角度を1°だけ変えたりすることもあり、しゃくり量も同じぐらい気を使う。

新型MADONEで一体型ハンドルを採用したかったことは喜ばしいことだが、現段階で市販のノーマルステムが付けられないということは、どうにかならなかったのだろうか。ステアリング角度に制限があることなど、VENGEに比べるとネガティブな面があることも触れておかねばならない。

ただ、ステアリングの操作は違和感がなくむしろ素直な動きをする。シクロクロスでお馴染みの8の字走行をしても気持ちよくハンドルが切り込んでいく。操作性の高いバイクは内輪差がよくわかる(BOONEやTOYOフレームがそれ)のだがMADONEも同じく操作性が高いバイクの1台だ。「リアホイールがどこを通っているのかわからない」のは実はヨーロッパ系バイクだったりする。トレールもリーチもめちゃくちゃ(サイズによってテレコになっていることもある)で、1世代遅れている印象だ。

確かに速いバイクには惚れるが、操作性が悪いバイクはただの張りぼてである。MADONEは速くもあり操作性も良い。まさにオールラウンドバイクの名に恥じない設計だ。

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コラム:プロジェクトワン

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TIMEやコルナゴの塗装は美しい。パマペイントはもはや芸術作品であり、所有欲を十分に満たしてくれる。TREK MADONEはプロジェクトワンというカスタムカラーに対応している。組み合わせは無数にあり、あれこれ色を変えるのも楽しい。実際にバイクを眺めているとTREKの塗装技術は他のメーカーの2歩先を行っている印象だ。本当に美しく艶やかで、まるで高級外車のような塗装である。

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既製品のカラーも魅力的ではあるが、MADONEを検討するとしたらカスタムカラーのプロジェクトワンも視野に入れたい。オリジナルなカラーでもいいし、チームカラーでもい。自動車でホワイトパールという塗装があるが、今回紹介しているバイクはまさにあのカラーと遜色ない。というよりもほとんど同じ出来栄えだ。

おそらく、塗装面で満足できないという人はいないのではないか、と思う出来である。

TREK PROJECT ONE

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コラム:MADONE VS VENGE

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いよいよこの話だ。人によってはここからが本当に知りたかった話題かもしれない。

MADONEのインプレッションをすると決まって「結局VENGEと比べてどうなのか」という疑問を抱くはずだ。両方乗って思うのは、それぞれのバイクは特色が異なっており単純比較するのが難しい。というのも「お題次第」だと思う。「エアロ」という話に限ると、風洞実験結果は以下の通りになる。それ以上でも、それ以下でもない。

  • VENGE DISC > MADONE リムブレーキ > MADONE DISC

重量面というお題で話をすると以下の通り。なおホイールはCLX50を使用した場合。左に行くほど軽い。

  • MADONE リムブレーキ > VENGE DISC > MADONE DISC

MADONEリムブレーキはコンポーネントしだいで6.8kgを切るバイクだ。MADONE DISCとVENGEの重量差は100gほどである。VENGE DISCは軽量ステムを使用するとさらに重量を削減できる。

次に振動吸収性や乗り心地というお題に話を移すと、

  • MADONE DISC >  VENGE DISC

振動吸収性や好みの剛性という話をすると、どう考えてもMADONEだ。このように「お題で良くもなり、悪くもなる」というのが結論だ。各社が「軽くてエアロなスーパーバイク」をリリースしさえすれば、クライミングバイクもなくなるはずなのだ。ただ、もう少し先の話だ。

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実際にVENGEとMADONE双方のバイクに乗って思うのは両方速いバイクだということだ。そして、性能差を体感できるかと言うと、実際に感じることは難しい。しかし、「VENGEとMADONEの差は感じられない」という言葉の意味については、もう少し裏を読む必要がある。

人間は測定器ではないから、機材を絶対評価することはできない。必ず相対評価でしか機材を判断できない。「VENGE VS MADONE」は測定器の中での差なのだ。実際に乗るとそれぞれのバイクに明確な違いは感じられなかった。では、VENGEとTIME ZXRSとの差を考えるとどうだろう。この条件であれば、残酷なまでにエアロダイナミクスの性能差を感じることができる。

残酷なまでに。

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速さとは絶え間ない技術改良の賜物だ。しかし、定められたレギュレーション内でフレームを作ろうとすると、機能や性能面で大差がなくなった状態、いわゆるコモディティ化になっていく。「速いバイク対速いバイク」の差は徐々に埋まっていく。このレベルになってくると、風洞実験での実験データや数値で示された情報が力を持ち始めてくる。

現状、世界最速のエアロロード(エアロダイナミクスに限る)はキャノンデールのシステムシックスらしい。ただ、バイクのスタイリングや操縦性、メンテナンス性、振動吸収性、剛性、そして重要な重量面を考えていくと、エアロダイナミクス”だけ”を優先しせずに、自分のライディングスタイルに合わせてバイクを選択するほうが良い。

VENGEとMADONEどちらかが良いか、については「お題しだいで良くもなり、悪くもなる」というありきたりな答えになってしまうが、エアロと重量であればVENGE、剛性面のチューニングや振動吸収性を考えるとMADONEだ。それぞれ一長一短である。いまだ軽量、エアロ、振動吸収を併せ持ったスーパーバイクは存在していない。

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まとめ:インピーダンスロスも味方につける万能エアロロード

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昨今のエアロロードはどれも速い。何を乗っても旧世代のバイクよりも速いことは間違いない。しかし、バイクのレギュレーションが存在している限り、高まったエアロダイナミクスの性能差はわずかになっていく。

そんな昨今のエアロダイナミクス至上主義に対して、TREKは「振動吸収性」という新しい付加価値を加えた。振動吸収性は「速さのイメージ」とは一見結び付きにくい。しかし、SILCA研究所の実験で「インピーダンスロス」という抵抗の存在が明らかになり、振動も速さを決定する要素の1つとして認識されるようになった。

振動はエネルギー損失であり、結果的に進むための力を台無しにしてしまう。そればかりかライダーは不快な感覚を抱き、長時間の振動はやがて体へのダメージとして徐々に蓄積していく。新しいISOSPEEDは当初理解しがたい機構だった。しかし、MADONEに乗り込んでいくうちに、振動という名の抵抗に打ち勝つべく生み出されたのだと理解していった。

MADONEは他のバイクと比べ、剛性面や振動吸収性をチューニングできるという明らかな差別化が図られている。FTPが200Wの人もいれば300Wの人もいる中で、市場に出回るほとんどのフレームは「フレーム=1つの剛性」という枠組みからは逃れられない。ライダーそれぞれに適した剛性や振動吸収性が本来はあるはずなのだが、「普通のバイク」では調整することは不可能だ。

ISOSPEEDはそれらを打ち破り、剛性や振動吸収量を調整することが可能になった。今までは「バイクにライダーを合わせる」というアプローチしかなかった。しかし、新型MADONEは「ライダーにバイクを合わせる」という新しいバイクの付き合い方を提案してくれた。いわずもがな、ライディングや自転車という特性を考えると後者のほうが正しい付き合い方である。

バイクのポジションを正確に合わせるように、バイクの剛性や振動吸収性も自分に合わせてチューニングする。その調整ができるエアロロードバイクは地球上でMADONEだけだ。

「速く走る」という話題は、いつの時代もサイクリストを引き付ける。ただ、MADONEと共に走っていくうちに、速く走るための要素は必ずしもエアロダイナミクスだけではない、ということに気づかされた。いまだ完璧なバイクには出会えていないが、真の最速バイクを決める戦いは今ここから始まっていく。「速さ」を求める戦いは、エアロダイナミクスから次のステージに移ろうとしている。

TREK NEW MADONE

TREK MADONE White paper

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