ロードバイクシーンにおいて、ディスクブレーキが主流になりつつある。ディスクブレーキフレームの優れたエアロダイナミクスや、ホイールの設計自由度の高さからディスクブレーキシステムがリムブレーキシステムよりも優れていることは明らかだ。
しかし、現代のサイクリストたちは一つの疑問を投げかけている。「なぜ、イネオスはリムブレーキを使い続けているのか」と。
世界最高峰の英国チームはマージナルゲインを追い求めていることで知られている。マージナルゲインとは、小さな改善を重ねることで大きな成果が生まれるという考え方だ。イネオスが登場してからというもの機材の優位性や、ロードバイクシーンを席巻してテクノロジーを利用してパフォーマンスを最大化することは目新しいことではなくなった。
ではなぜリムブレーキなのか。その答えはcyclingnewsの2021年6月の記事にある。
Utilising technology to maximise performance is nothing new, and the British team coined the term ‘marginal gains’ long ago, so unsurprisingly, meeting the 6.8kg weight limit has always been an important factor for the team on mountainous terrain. As a result, the inability of the Pinarello Dogma F12 Disk to meet the UCI’s lower limit of 6.8kg has long been cited as the main reason that Ineos Grenadiers remain the only team steadfastly committed to rim brake technology, and it’s the very reason the team switched to the 935g wheels from Lightweight.
But, with the launch of the new Pinarello Dogma F this week, which is said to be 265g lighter than the previous Dogma F12, the team have clearly been given some breathing room.
直訳すると、
性能を最大化するためにテクノロジーを活用することは今に始まったことではない。英国チーム(ineos)はずっと前から「マージナルゲイン」という言葉を追い求めていた。その結果、ピナレロ・ドグマF12のディスクブレーキモデルがUCI既定の下限重量である6.8kgを満たせないことがわかった。
これらは、イネオス・グレナディアがリムブレーキ技術に固執する唯一のチームであることの主な理由として挙げられてきた。そして、同チームが2021年にLightweightから935gのPRINCETON WORKSのPEAK4550に(一部のステージにおいて)切り替えたのもそのためである。
ここで重要なのは、「リムブレーキが優れている」という理由で使っていたのではなく、スポンサードされているピナレロ社のDOGMA F12のDISCブレーキモデルが単純に重すぎるため、リムブレーキ用のF12を使用していた。そのフレームにつける必要のあるホイールがリムブレーキ用のホイールだったという理由だ。
しかし、機材が好きなサイクリストは、発表された新しいピナレロ・ドグマFは、従来のドグマF12よりも265g軽いことを思い出すはずだ。そして、ツールドフランスという最高のプロモーション舞台でドグマFのリムブレーキが使われた。
この方針に関しては、明確な答えが見当たらないのが現状だ。運営資金も潤沢、世界最高峰のプロチームであるがゆえ、機材供給や世界的な品不足でディスクブレーキシステムが入手できないというのは理由の可能性としては非常に低いだろう。
また、タイムトライアルバイクのBOLIDE TTのディスクブレーキモデルが間に合わなかったことが別の理由として挙げられているが、TTはなおさらスポンサー外の機材を使うためその可能性も低い。最も有力な理由としてホイール交換のタイムロスという考え方もある。
様々な憶測が飛ぶ中、イネオスが今後のツールドフランスでどちらを使うのかが注目される。
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