鍼灸を信じていなかった。
良い先生にあたれば、鍼は効くという話は聞いていた。しかし、残念なことに今まで何度も鍼灸院で針を刺されてきたのが、全くと言っていいほど効果を感じたことがなかった。という話を知人にしたのだが、大阪に良い鍼灸院があると聞き紹介で伺ってきた。
私はいまだに鍼が怖い。
しかし、思い切って行ってみようと思ったのには理由がある。鍼灸院の先生の略歴を見ると、少々変わっていたからだ。
- 北京中医薬大学:婦人科、中国鍼灸、外来治療
- 大阪大学大学院 医学系医学科
北京中医薬大学は、北京大学の医学部だ。北京大学はアジアの大学ランキング1位だ。東大が14位なのでその凄さがよくわかるとおもう。そのうえ医学部で最難関。帰国してからは阪大の大学院、医学科に。経歴が凄まじい。
その後、日本で「はり師国家資格」と「きゅう師国家資格」を取得したという経歴の持ち主だ。
鍼灸はどうしても科学的でない部分があると、勝手ながら思っていたので、そのあたりの話も聞きたかったのもある。鍼灸院の先生でこれだけの経歴を持つ方は珍しい。普通にお医者様としてではなくて、あえて鍼灸を行うところにも惹かれた。
というわけで、私自身を実験台にして鍼灸を受けてみた模様と効果の程をお伝えする。
舌を診る?
まず初めに、カウンセリングを受ける。
舌診、脈診、触診、心理面など多角的にカウンセリングを行った。初めての体験だったのは「舌診」だ。した、べろを診る。それ以外にも脈や心の状態から、からだの不調の原因を見極め、本場の中医学の技術から不調の根本改善を目指すのだという。
カウンセリング結果を元に、ひとりひとりに適した鍼・お灸・按摩推拿を組み合わせたオーダメイドの施術プランを組み立ててもらえる。中医学と東洋医学、鍼灸の技術を組み合わせた独自のオーダメイド東洋医術で治療を施すのが他の鍼灸院との違いだ。
何と言っても北京大学の医学部出身、信用して良いのだと心のなかで言い聞かせた。
カウンセリングでは、生活スタイル、仕事、体の不調、トレーニング、おっさんになって回復が遅くなったことなど様々な情報を先生に伝えた。恥ずかしがらずに、そのままを伝えた方がいい。そのうえで以下の施術を行うことにした。
- 鍼
- お灸
- カッピング
施術を受けたのは2月初旬なのだが、ちょうどシクロクロスシーズンが10月から5ヶ月間ほぼ毎週続き、かなり疲労が溜まっていた時期だった。仕事も繁忙期でメンタル、心身がやられていたので、できる施術をほぼすべて行うフルスペックのメニューが組まれた。
鍼
何度も言うように、鍼は苦手だ。
体に鍼を刺すことによって、身体がなぜ回復するのか私はよくわかっていない。ただ、先生はわかっているので、カウンセリングをもとに根本的な原因を解決するために、背中にどんどん鍼が打たれていった。
私が鍼が苦手なのを知っているのでやや細めの鍼が刺された。刺された場所はなにか重いものが乗っかっているような、指で押さえつけれれているような独特の感触がある。鍼自体は細いので、注射のような痛みとは違う、なにか重いものが乗っかっているような感覚だ。
希望すれば鍼から電気も流してもらえるそうだが、小心者の私はやれなかった。ただ効くらしい。うつ伏せになっている間、首や肩、背中にもかなりの本数の鍼が刺されていった。
今まで、鍼をしてきたが手慣れた手付きと刺す場所のズーンとする重みから「ああ、上手だな」とすぐに思える安心感があった。
お灸
次はお灸。
お灸は好きで、自分でおこなほど効果を感じている。家でお灸を行う際に簡単なのは「千年灸の太陽」だ。つけたままマラソンをする人もいる。足裏に貼って寝ると翌日脚が楽になることを知ってから、レース前やハードなトレーニングのあとには必ず行っていた。
しかし、問題は「どこにお灸を置くか」であって、適当に置けばいいというものではない。そこは先生にカウンセリングの結果からおまかせしたが、鍼やカッピングと比べて最も気持ちが良い施術だった。お灸は好きかもしれない。
ただし、好きであることと、身体が改善することは別の話だ。とはいえ、お灸をすると血液が流れる感じがするし、鍼よりもすぐに変化を感じやすい体質のようだ。
カッピング
強烈だったのが最後に施術した「カッピング」だ。
カッピングは皮膚にぴったりと密着させたガラス玉の陰圧(引っぱる力)を利用して筋肉をほぐす。皮膚や筋肉に対して刺激を与えることが可能となるため、血液やリンパの流れが促進されるという。その結果、老廃物や痛み物質が体外に排出しやすくなり、疲労回復効果や疼痛緩和効果が期待できるという。
PC作業による背中・肩・首のこりがあったため、マッサージではケアが難しい深層筋肉と筋膜をほぐすカッピングを試した。
その他の効果としては、睡眠不足、便秘、女性であれば生理痛などでお悩みの方、強いマッサージ、鍼の苦手な方にもカッピングは適している。
カッピングで吸われると、真っ赤になってあとから驚いた。痛みはなく、血液やリンパの流れが促進されて老廃物や痛み物質が体外に排出されるのだという。正直なところ信じられないのだが、体が熱くなって、ウォーミングアップをしたあとのような暑さを感じていたから、効いていそうではある。
効果のほどは?
施術の次の日は一気にだるさがきた。
効果を確かめるために、普段通りの生活と、普段通りのトレーニングを実行した。そうしないと変化がわからないからだ。
だるさは2~3日続いたように思う。4日目で体感した体の変化としては、ビジネスシューズやロードバイク用のシューズがスカスカだったことだ。背中中心に施術をしたのだが、脚は軽く感じた。
睡眠のデーターを確認すると、当日の2/9の睡眠は「悪い」を示していたがその後体が回復しようとしているのか睡眠スコアがどんどん向上していった。
自転車をこぐパワーが上がっただとか、そういう気の利いたことを書ければいいのだが、そういったたぐいの変化はない。ただ、体の可動部だとか脚を回した感じは「調子がいい」と感じるときそのものだった。
数値化して調子を表せられるのならば最も説得力があるのだが、肩や脚にだるさがまったく感じられなかったのは確かに効いているんだと思う。プラシーボかもしれないが、いつも月曜日は眠くて体が重くダルい。しかし、施術後は早く目が覚めて通常よりもやや高めのパワーで流すことができた。
鍼、お灸、カッピングどれが効いたのかはわからない。1つが効いたというよりは、全てが上手く組み合わさって相乗効果を産んだ可能性もある。また、継続して行うことで改善がより促されるため、定期的に伺うのが良いのだろう。
まずは試してみなければわからないので、カウンセリングを受けてご自身にあった施術を試してみては。
珠璃鍼灸院
珠璃鍼灸院は、後藤先生が一人で取り仕切っている。初めての人でもすんなりと話すことができる先生だ。完全予約制のため、事前の予約が必要になる。
冒頭でも触れた通り、先生の経歴は華々しい。東洋医学の知識と鍼・灸・按摩推拿の技術が組み合わさった施術は他ではなかなか受けられない。これだけの知見と学歴を持った方はそうそういらっしゃらない。
自転車選手に限らず、慢性的な体の不調や悩みを抱えている方は一度、珠璃鍼灸院を訪れてみてはどうだろうか。自分にあった施術で疲労や不調の根本原因がわかるかもしれない。
院名:珠璃鍼灸院 (シュリ シンキュウイン)
電話番号:080-7899-9128
住所:〒5400026 大阪府 大阪市中央区 内本町2-2-14 GSハイム内本町106
最寄り駅:谷町四丁目