CANYONのINFLITEの2023モデルが発表された。INFLITEは世界選手権で男女同時優勝を果たし、マチューが世界選手権3連覇(2019, 2020, 2021)したシクロクロスの世界最強のレースバイクだ。
INFLITEは、シクロクロスバイクとして最先端の設計を取り入れている。それは、コクサイデの砂の壁を「かつぐ」ときや、シケインを越える際に「持つ」といったシクロクロス競技特有の動作をフレーム側の設計で快適にしている。
特徴的なトップチューブのキンク(屈曲部)はバイクの担ぎ動作を快適にし、小さなフレームサイズでも腕を通すための十分なスペースが確保されている。そして、バイクを安定して掴むための重心バランスも整えられている。
また、キンクによりシートポストが長く露出するため振動吸収力が向上している。H31 Ergocockpitの短めのステムや、幅広のハンドル、フレアしたドロップにより、ダイレクトなハンドリングとコントロールを実現している。
最先端の設計が取り入れられつつも、伝統的な「シクロクロスバイクらしい」設計が採用されている。それはBBの高さだ。
シクロクロスは180°ターンや、急なコーナーなどが繰り返し登場する。また、バイクの方向を一気に変更するシチュエーションが多い。そのため、BBの位置を高めに設定しバイクの旋回性能をあげている。BBの位置が高い事により、キャンバーセクションなどでもペダリングしやすいといったメリットがある。
BBの位置が高いことによる弊害は、直進安定性が犠牲になることが多い。しかし、シクロクロスは特異なコース設計と「60分間で一番遠くまで走った人が勝ち」という競技性のため問題にはならない。グラベルレースの場合は直線が多いためシクロクロスバイクとはBB異なる設計になる。
INFLITEはBBが高い部類だ。以前、マチューやワウトが愛用していたSTEVENS Super Prestigeや、本場ベルギーのリドレーのシクロクロスバイクのようなジオメトリ設計が施されている。INFLITEは、伝統的なシクロクロスバイクの血統を受け継いでいるのだ。
また、泥詰まりの問題も考慮している。INFLITEのフレームは、泥が付着しにくいチューブ形状、内装ケーブルルーティング、十分なタイヤクリアランスなど、さまざまな工夫により泥詰まりを防止する。過酷なコンディションでもピットインの回数を減らしタイム短縮を図ることができる。
2023モデル「インフライト」のラインナップ
インフライト CF SLX 9 | SRAM Force eTap AXS + Quarq Powermeter | DT Swiss CRC 1400 Spline | 7.72kg | 569,000円
インフライト CF SL 8 | SRAM Rival eTap AXS + Quarq Powermeter | DT Swiss CRC 1600 Spline | 8.24kg | 449,000円
インフライト CF SL 7 | Shimano GRX 800, Ultegra 2x + 4iiii Powermeter | DT Swiss C 1800 Spline | 8.50kg | 359,000円
インフライト CF SL 6 | Shimano GRX 600 1x, 810| DT Swiss Cross LN | 8.68kg | 239,000円
CANYONのバイクは全世界同時発売だ。日本用の在庫という概念がない。かつシクロクロスバイクというのは在庫数がそもそも少ない。よって、シクロクロスシーズンに間に合わせたいユーザーは、すぐさまINFLITEシクロクロスバイクを手に入れたほうが良いだろう。