CANYON AEROAD CF SLX インプレッション ハイエンド譲りの超コスパバイク

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CFR(後方)とCF SLX(手前)重ねて見ると違いがわからない。

記事の要約
CANYON AEROAD CF SLXは購入できる世界最速のバイクだ。上位モデルCFRのほとんどのパーツを流用しつつ、カーボンの素材を変更することでコストダウンを測っている。使用するコンポーネントはシマノやSRAMのミドルグレードが付属し、ホイールはDTSWISS ARCだ。実際に平地を走らせると上位モデルと遜色のない走りをし、エアロ効果の違いはない。完成重量は7.7kg前後とやや重い部類に入るが、純粋なヒルクライムを除けば空力性能のアドバンテージが勝るだろう。価格もドルの影響を受けず、ユーロ圏であるため70万ちょっとで世界最速のバイクと最新型のシマノ12速電動コンポーネントを搭載したマシンが手に入る。ただ、在庫が復活してもすぐに売り切れてしまうほどの人気が現在も続いており、争奪戦になっている。
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AEROADの概要

基本的なAEROADの性能面に関しては、以下の記事お読みください。

CANYON AEROAD CFR インプレッション、マチューが操る世界最速のディスクロードバイク
ざっくり言うと↓ 速い。 硬い。 安い。 CANYONは初めから狙っていたのだ、世界最速の座を。 AEROAD CFRは最も優れた空力性能を備えていることがTOUR MAGAZINEが実施した風洞実験で明らかになった。これまで世界最速の座を譲らなかったのはCANNONDALE SYSTEMSIXだった。AEROAD CFRはそれをしのぎ「1ワット」空力性能が優れていた...
世界最速のディスクロード CANYON AEROAD CFR 実験で明らかに
GSRウィンドトンネルを使った実験においてCANYON AEROAD CFRが世界最速のディスクロードバイクに躍り出た。これまで最速の座を譲らなかったデイモン・リナード氏の作品Cannondale SYSTEMSIXの記録をついに塗り替えた。GSRウィンドトンネルを使用して行われたDISCロードの頂上決戦は、エアロダイナミクスと軽さのそれぞれで優れた性能を叩き出した「S-WORKS TARM...

AEROAD CFRのインプレッションは、以下の記事をお読みください。

CANYON AEROAD CFR インプレ完結編 世界最速と引き換えに失ったもの
CANYON AEROAD CFR インプレ完結編。世界最速のために失ったものは一体何だったのか。

AEROADを「購入できる世界最速」と呼んでいる理由については、以下の記事をお読みください。

世界最速のエアロロードバイクが”また”登場!CANYON AEROADを超えた2台とは?
世界最速のロードバイクの記録があっけなく塗りかえられてしまった。これまで世界最速の座を譲らなかったCANYON AEROAD CFRの記録を破ったの1台ではない。空力性能が優れたバイクが同時に2台登場したのだ。理由は単純だった。2021年1月にUCIのレギュレーションが変更され、フレームの設計が緩和されたためだ。UCIはフレームのトライアングル形状をより大きく、より薄くすることを許可した。フレ...

UCIの新規定に準拠したAEROADに関しては、以下の記事をお読みください。

UCI規定の限界を超えたAEROAD CFRよりも4.1W空力性能が優れたバイク「Geometry 19」とは
AEROAD CFRには、わたしたちがいま目にしている製品版よりさらに空力性能が高いモデルが存在していた。コードネーム「Geometry 19」だ。Geometry 19は製品版のAEROAD CFRよりも、さらに4.1‬W空力性能が優れたバイクだ。 南ドイツのボーデン湖畔にあるGST風洞施設で行われた実験において、最速の結果を叩き出したGeometry 19は、フォーク、ハンドルバートップ...
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CFRとCF SLXの比較

CFRのホイール(左)をCF SLXに取り付けインプレッションを行った。

最上位モデルCFRとCF SLXの違いは(コンポーネント類を除き)カーボン素材だけだ。CF SLXで流用された上位グレードのパーツは以下の通りだ。

  • シートポスト
  • ハンドルバー
  • ヘッド小物
  • スルーアクスルシャフト
  • ディレイラーハンガー

フレーム以外、ほとんどのパーツが上位モデルのCFRから流用されている。フレームの塗装も上位モデルと同じように美しく、CFRと見比べてもCF SLXの塗装が劣るという印象も一切ない。したがって、純粋に使用されているカーボン素材だけの差しかないのだ。

CFRで使用されているカーボン素材はTORAYの最新素材M40Xだ。CF SLXで使用しているカーボンは非公開ながら、ある程度のグレードの素材が使われているという。おそらくT800かT700相当のグレードは使われているはずだ。

これら素材の違いは、実際に乗ったときにどのような印象を与えるのだろうか。その模様は後ほどのインプレッションで記した。

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ハンドルとシートポストの改良

AEROADといえば、過去に問題になっていたハンドルとシートポストの不具合についてまず触れておかねばならない。海外メディアでは盛んに話題になった。その後の対応についても追って詳報が公開されていた。しかし、日本のメディアに関して言えば事前事後ともにほとんど話題にはならなかった(闇)。

Canyon warns consumers, teams to stop riding the new Aeroad following van der Poel handlebar incident
Mathieu van der Poel broke the handlebar of his Canyon CF SLX in a race — without crashing. Canyon is investigating the cause.
Canyon issues 'stop ride' for Aeroad after Van der Poel handlebar failure
Alpecin-Fenix to switch models as company investigates possible handlebar fault
CANYON: 'STOP RIDING NEW AEROAD MODELS' FOLLOWING VAN DER POEL INCIDENT - Road Bike Action

AEROADが好きであるがゆえ、”あえて”本件に関して把握しておく必要がある。事例は2つあった。

  • ハンドル:ドロップ部分が折れる事例。
  • シートポスト:異音とスレによる傷がつく事例。

どちらの問題も販売中止にまで発展し、世間を賑わした問題だ。シートポストは日本人では考えられないような突き出し量の場合に傷がつく事例がでていた。

どちらも現行モデルは十分な対策が施されたため心配する必要はない。初期モデルはSTIのレバーを固定するためにハンドル専用品のクランプを使用する必要があった。現行最新型は、コンポーネントメーカー純正品のクランプをそのまま使用できるようになった。

シートポストには2つの改良が施された。シートポストとシートチューブの間にゴム製のカバーが備え付けられた。シートチューブ内部にはグリスを塗り込むことが必須になり、カバー部分にも専用の防水グリスを塗るようマニュアルに明示された。

シートポストへのグリス塗布は非常に重要で、グリスが乾いてくると筆者が所有しているAEROAD CFRでも異音が発生する症状が出た。およそ2000km前後でBBの異音のような「パキパキ」という音が鳴りはじめた。初めはBBの異音だと勘違いし、BBにグリスアップしたが異音は治らなかった。

シートポストにグリスを塗り直したところ異音は嘘のように解消された。コンディションにもよると思うが、およそ2000~3000km程度でグリスが乾いてしまうので異音が発生するだろう。使用するグリスはもちろん純正品が良いが、2回程度で使い切ってしまう量なので、硬めのグリスを使用している。

グリスアップをする際に必ず必要なのがハケだ。大人の指でも目的の箇所に届かないため、あらかじめハケを用意しておくことをおすすめしたい。後々の作業も楽になる。グリスを塗る際は「タミヤプラモデル用馬毛平筆」やワコーズのグリスが良いので後ほど紹介する。

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ステム長問題

ハンドル幅390mm、ステムj長90mmを選択。

AEROADで最も悩ましいのはステム長の問題だ。

「最速」という名のもと、設計が突き詰められ、煮詰められた機材であるがゆえ、自由度が低くなる部分がどうしても存在している。一見すると、AEROADは完全無欠の機材のようでいて、ステム長とステム角度が変えられない”しばり”がある。

完成車に付属しているステム長は以下の通りだ。基本的にこの長さから変えることは現段階ではできない。

  • 2XS:80mm
  • XS:90mm
  • S:90mm
  • M:100mm
  • L:110mm
  • XL:110mm
  • 2XL:120mm

ステム長に対する問題解決方法は2つある。別サイズで使用されている「ステム部分だけを取り寄せる」、もしくは「ポジションの変更」だ。

私は後者を選んだ。

未確認ながら別サイズで使用されているハンドルとステム部分(T字)を取り寄せて交換する方法も可能だろう。しかし、個人がAEROADのハンドルを交換することはほぼ不可能である。したがって、キャニオンの国内サポートセンターに持ち込むか、ショップに依頼するしかない。

現実的な固定ステム長への対策としては、わたし自身も行ったポジションの変更がある。ポジションはスペシャライズドのRETULで算出したデーターを用いた。以前乗っていたEMONDAとAEROADのリーチはそれほど変わらなかったのだが、以前使っていたステム長は100mmだった。

そこから10mm短くなったAEROADのステム長90mmは、おもったよりも違和感がなかった。ただ、2000kmほど乗っているうちに「もう少しサドルを後退させよう」と思ってポジションを変更した。90mmのステムはやや詰まるような印象があったため、サドルを後退させポジションを調整した

パワーの減少もなく、いまはしっくりと乗れている。どちらかといえば、AEROADのポジションに自分の体を馴染ませていったと表現したほうが正しい。理想のポジションはあるにせよ、バイクを変更したことによって僅かな違いを身体で吸収する他ない。

ただし、AEROADに完全なフィット感を求める場合、これでは不十分だ。ステム長やステム角度を変更できるという課題に対し、メーカーは最優先事項として捉えてほしいと考えている。今後、出荷前にステム長や角度などを選択できるバリエーション追加の検討はしてほしいと切に願っている。

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悩ましきBB?

北米のメーカーがスレッド式BBに原点回帰する最中、AEROADはPF86の圧入式BBを使用している。以前は「圧入式が時代遅れ」だと考えていた。しかし、最近では「ワンピースBB」の登場でむしろ圧入式のほうが良いのではないのか、と考えを改めている。

プレスフィットBBの異音よさらば ワンピースBBでスレッド式をしのぐ性能と静粛性を
大手メーカーのフレームがスレッド式BBに移行するさなか、ワケあって圧入タイプのフレームに乗らねばならない(乗りたい)人たちは大勢いる。最近話題のBRIDGESTONE RP9やCANYON AEROAD CFRのプレスフィットBB86(86.5MM)がそうだ。「なぜ、スレッド式ではないのか・・・」RP9を買ったユーザーのこころの声が、日本各地から聞こえてきそうだ。フレームにポッカリとあいた穴...

まず、余計な構造を一切排除したワンピースBBは異音とも無縁だ。構造上はカップ式のスレッド式BBを凌ぐ剛性と位置合わせを実現している。異音に関しては一切心配がいらない。1度も異音を経験していない。ワンピースBBは左右のベアリングの位置の精度が高く、ワンピースBB、ベアリング、シャフトが全て適切な位置に配置される。

AEROAD純正のシマノBBを使用するのも素晴らしいが、どう考えてもBB86にはワンピースを使用することをおすすめする。私が使用しているBBInfiniteで使用されているABEC-7スチールベアリングは、SAE 52100(クロム鋼)からつくられているのだが、セラミックベアリングのようによく回る。

ベアリングは大阪のKoyo製が用いられている。KoyoのベアリングはARAYAのトラック用ディスクホイールのベアリングにも採用されている。Koyoは日本精工、NTNと並び、軸受大手3社の一角を占めるトヨタグループの機械製造会社であった(現在は豊田工機と合併しジェイテクト)。

この回転性能が異常に高く、セラミックベアリングを使用しなくても十分な性能だ。少々高いが、PF86を使用する場合はBBInfinitのようなワンピースBBを選択したほうが良いだろう。

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インプレッション

CFRとCF SLXはハンドルバー、シートポストが共通。

ここまでAEROADに関する前提知識を理解したうえでインプレッションへと移ろうと思う。なお、AEROAD CFRのインプレッションは以下に記載している。本記事ではカーボンを変更したCF SLXを中心にインプレッションを行った。

CANYON AEROAD CFR インプレ完結編 世界最速と引き換えに失ったもの
CANYON AEROAD CFR インプレ完結編。世界最速のために失ったものは一体何だったのか。

どの機材のインプレッションでも絶対的な評価を下すことはできない。人間は測定器ではないため無理な話である。したがって、相対的な評価を行うことになる。今回はCFRという最も好都合な基準がある。ハイエンドクラスのバイクとの違いを詳細に記すことに徹した。

ホイールとタイヤはCF SLXとCFRで共通だ。タイヤの空気圧も寸分の狂いなく調整した。コンポーネント、ハンドル、ステム長、ハンドル幅も全て同じセッティングにした。したがって純粋なフレームの性能差がわかる。

正直な話、今回の比較は非常に楽しみだった。

以下、結論だ。

  • 平地の巡航性能:CFR ≒ CF SLX
  • かかりのよさ:CF SLX > CFR
  • 脚あたりのよさ:CFR > CF SLX
  • 登りやすさ:CFR > CF SLX
  • スプリント:CF SLX > CFR
  • ダンシングのしやすさ:CFR > CF SLX
  • 振動吸収:CFR > CF SLX
  • 持ったときの軽さ:CFR > CF SLX
  • 振りの軽さ:CFR > CF SLX
  • 見た目のかっこよさ:CFR ≒ CF SLX
  • 買うなら:CF SLX > CFR

思いつく限りの印象をできるだけまとめた。「フレームだけ違う」という良い条件でテストすると、思っている以上に違いがわかることが面白い。今まで実施してきたなかで、最もフレームにマトを絞った比較といえる。単純にわかったことは、明らかにカーボンの質で走りの質が変化することだった。

カーボンの質の違いは踏み込んだ時の反応にはっきりと現れる。目をつぶってそれぞれのバイクを走らせると「反応がよい」と感じるのはCF SLXだ。俗に言う、「乾いた感じ」が顕著でTARMAC SL7やスーパーシックスEVOと近い印象だった。

対してCFRは、VENGEやEMONDA SLRような、ややまったりとした印象だった。フレームの形状がバイクの印象を決定づけているとおもいきや、実際には使われているカーボン、積層の違いも走りに影響しているようだった。

CFRはM40X高級カーボンを採用している。M40Xは強度が高いため手で押すとへこむほど積層を薄くし軽さを追求している。対してCF SLXはある程度のカーボンを使用し、手で押してもへこまない堅牢さがある。この両者の違いが走りに影響を与えていると考えて間違いなさそうだ。

さらにこれらの違いは、かかりのよさ、脚あたりのよさに違いをもたらしていた。評価がはっきりとわかれたのにも納得できる。登りはダントツでCFRだ。オールラウンドの性能を求めるのならば、CFRを選択したほうが良いだろう。

しかし、平坦での空力性能は両者同じだ。同一の金型を使用しており、寸分の狂いもななく、世界最速に必要なフレーム形状、ハンドル、シートポストといったコンポーネントを両者が同一条件で備えている。

もう一つ興味深いのは振動吸収性能の違いだ。ホイールとタイヤは流用したため相対的な違いがよくわかった部分だ。CFRは振動が少ない。対してCF SLXは振動が(CFRとくらべて)多い。以前TIME ZXRSに乗っていた際に振動吸収性に驚いたがCFRはそれと近い。

パリルーベや石畳が登場するクラシックでCFRを使っていた理由も理解できる。CFRは素材自体が、ある程度の振動吸収性能を備えていそうだ。

持った時の軽さはもちろんCFRだ。数百グラムの違いは、手に持った瞬間にわかる。軽量化を求めるライダーであればCFRを購入するほうが精神衛生上も良いだろう。

見た目について、CFRとCF SLXの違いを見分けるのは難しい。かっこよさはカラーリングでしか差別化できないだろう。

最後にどちらを買うかと問われたら、CF SLXで十分だと思う。シリアスなレース、登りやヒルクライムなど様々なレースに出ないならCFRが良いだろう。平坦メインならばCF SLX一択だ。私自身はハイエンド信仰と軽さへの欲求があるためCFRを選択した。

コストパフォーマンスを考えてもCF SLX以上のバイクは国内外見当たらない。直販メーカーだからこそできる価格破壊と高性能、そして世界最速を兼ね備えたバイクは、現段階で敵なしといえる。

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揃えておきたい機材TOP10

AEROADを購入するにあたり揃えておきたい機材TOP10は以下だ。

  1. サイコンマウント
  2. ダイレクトマウント
  3. ボトルケージ
  4. ハケ
  5. グリス
  6. TONE TBS20
  7. リアライト
  8. ゼッケンプレート
  9. エアロホイール
  10. スルーアクスル予備

AEROADを快適に使用するためにそれぞれの機材を1つ1つチェックしていこう。

サイコンマウント

AEROADにはサイコンマウントが付属しない。そのため、純正品をあわせて購入することがおすすめだ。サードパーティ製のサイコンマウントも存在するが、CANYONの小物類はどれも作りがよく、当然ながら取り付けるバイクを考慮し設計されている。

よほどの理由がない限りはサードパーティ製の製品を使用する意味はないだろう。したがって、AEROADを注文する際は合わせてマウントも注文することを強くおすすめする。送料も圧縮できるため一石二鳥だ。

Canyon Garmin Mount
すっきりとしたライン、優れた視認性、空気抵抗の低減が可能な、Canyonステム一体型エアロコクピット専用のガーミンマウントを開発しました。

ダイレクトマウント

AEROAD用のダイレクトマウントハンガーは純正品が存在していない。必ず必要という訳ではないが、軽量化と高剛性化が見込めるダイレクトマウントハンガーは現代のロードバイクに必須だ。

問題なのが旧AEROAD用のダイレクトマウントハンガーは多数存在しているが、現行のAEROAD用のダイレクトマウントハンガーは1つしか見つけられなかった。形状が刷新されているため旧型のハンガーを新型に流用することはできない。

私が使用しているダイレクトマウントハンガーはSIGEYの「Model: CYN-TH2(Canyon Disc Brake Direct-Mount Derailleur Hanger-Aeroad(MY21), Grizl)」だ。このマウントは純正品のようにフィットして剛性感や変速性能も向上する。

Canyon Disc Brake Direct-Mount Derailleur Hanger-Aeroad(MY21), Grizl – SIGEYI SHOP

ハケ

AEROADで意外と見落としがちなのが、シートポストのグリスを塗る際のハケだ。指では届かない奥の部分にグリスを塗り込む必要があるため長めの平筆が必要になる。いざ塗ろうと思ったときに適当なハケがなかったため後から購入した。

購入したのは「タミヤ メイクアップ材シリーズ No.159 モデリングブラシ HG 平筆 中 87159」だ。馬毛を使用し、柔らかく塗料の含みに優れた模型塗装用の平筆、筆の毛をずらして植えた特殊構造が特長だ。

タミヤのモデリングブラシの中でも最高グレードに位置する本製品は、手間のかかるグリス作業を楽しいものへと変えてくれるはずだ。

グリス

固定する部分には、ファイバーグリップのようなアッセンブリーペーストを使う。シートポストのラバー部分には、水の侵入を防ぐためにシリコン系のグリスを使う。

結論としては、シートポストのグリスには各部位に適切な純正品を使いましょう、というのが答えだ。しかし、量が少なく別のグリスを用意しておく必要がある。実際に、シマノ純正グリス、フィニッシュラインシリコン系、AZのグリス、CHRIS KINGの黒いグリス、セラミックスピードの緑と白、ナスカルブグリースと使ってきたがAEROADに合いそうなのはワコーズだ。

行き着いたのは、「ワコーズHMG-U ハイマルチグリース M520ちょう度 2号」だ。硬めのグリスで水に強い。固定する部分(チェーンリングボルト、ディレイラーボルト、シートやぐらボルト)には必ずこのグリースを使用している。

AEROADのシートポストにも使用したが液垂れすることもなく一番適していると感じた。今のところ異音は皆無であり、我ながらとても良い製品を見つけたと自画自賛しているほどのグリースだ。グリースはテルモのシリンジに小分けして使っている。

TONE TBS20

AEROADに乗るのならばTONE TBS20は必須だ。付属するCANYON純正工具のビットと互換性があるばかりか、シートポストの調整を行う際にTONE TBS20以上に素早く作業が行える工具は存在していないとすら思う。

AEROADは全ての箇所に締め付けトルクの表記がある。もちろん指定のトルクですべて締める必要がある。その際に、純正の簡易トルクレンチを使用するよりもTBS20を使ったほうが見やすく、作業効率も高い。

「AEROAD乗りはお願いだから、TBS20は用意しておいてください。」

そう断言できる工具だ。

ロードバイクにおすすめの工具セット TONEトルクレンチTBS20 インプレッション
ロードバイクのボルトを1度でも調整したことがあるのならば備えておきたい工具がトルクレンチのセットだ。トルクレンチは単体で購入すると高価な商品が多く、先端部分のビット(六角、プラス、マイナスなど)も複数本用意すると費用がかさむ。 そして、初めはどのビットを揃えればよいのかわかりにくいのが現状だ。トルクレンチとビット一式がセットになったトルクビットラチェットセットであればその悩みも解決してくれる...

リアライト

純正品のライトも良いが、私が取り付けている「エアロ」「自動」「スリム」なリアライトが「キャットアイ(CAT EYE) セーフティライト RAPID micro AUTO TL-AU620-R」だ。

本製品の特徴は、トンネルや夕方など暗いところを走ると自動的にライトが点灯する。そして明るい場所に出るとライトが点灯する特徴がある。

ゼッケンプレート

ゼッケンプレートはレックマウントの製品がよい。様々なタイプがあるため、以下で紹介した。

ロードバイク用のゼッケンプレート台座、ホルダーのおすすめ8選
選手たちは「ゼッケンプレート台座」を取り付け対応してきた。わたしもエアロロードや、古くはリムブレーキ式時代にボルトとブレーキを挟むタイプを用いてきた。時代はディスクロードとエアロロードに移り変わってきたため、あらためてゼッケンプレートを見直すことにした。

エアロホイール

AEROAD CF SLXに付属してくるホイールはDTSWISSの廉価版だ。このホイールだけは重量を考えても交換したほうがいいと思う。上位グレードのARC1100やPRINCETON WAKE6560、BONTRAGERのAEOLUS RSL51が良いだろう。

イネオスが使う”うねったリム”プリンストンカーボンワークスWAKE6560 インプレッション!
記事の要約WAKE6560はイネオスが契約外で使い始めたことで一気に有名になったプリンストンカーボンワークス製のホイールだ。ガンナ(ineos)が世界選手権TTで使用して優勝、2021年のツール・ド・フランスにも投入された。この”うねり”は、2011年にDimitrios Katsanis氏が提出した特許「US10611188B2」が元になっており、同社は独自に数値計算からシヌソイド(正弦曲...
DT Swiss ARC 1100ホイール SWISS SIDEの開発コンセプトでわかった最速ホイールの秘密【前編】
SWISS SIDEとDTSWISSが生み出した新型ARCホイールは、最速のホイールである可能性がある。ドイツのTOUR MAGAZINEのテストでARC1100の50mmが、ROVAL RAPIDE CLXよりも優れた空力性能を備えている結果が出た。
DTSWISS ARC 1100 DICUT 最速のホイールはどのようにして生み出されたのか【後編】
ARC 1100 DICUTホイールセットでは、あらゆるコンポーネントの見直しが図られ開発がいちから行われた。AERO+リムの再設計、空力的に最適化された180 DICUT Ratchet EXPハブ、および2つの改良型エアロスポークにより、Dragとステアリングモーメントが大幅に低減された。
DTSWISS ARC 1100 DICUT ホイール 50mm 62mmインプレッション
DTSWISS ARC 1100の性能や作り込みなど魅力的かつ優れたホイールだ。ホイール市場は刻々と変化しているが、DTSWISSのホイールが今後注目されてくることは間違いないだろう。
Bontrager Aeolus RSL 51 インプレッション 真の性能はエアロにあらず
「ボントレガー史上最速のホイール」 製品開発において前作を上回ることは各社の至上命令だ。メーカーが「前作よりも10%空力が劣るホイール」なんてものを作るはずがない。ボントレガーがリリースしたAEOLUSもそうだった。新製品が登場すれば前作を超える性能、新素材を使った目新しさ、軽量性を兼ね備えていることが最低条件になる。 最新機材のAEOLUS RSL 51で悩ましかったのは51mmの「1m...
新型AEOLUS RSL ボントレガー史上最速のチューブレスホイール スプリントで前作比34W削減へ
「BONTRAGER史上最速のホイール」一見すると、米国メーカーがローンチ時にこぞって使う常套句ばかりで「またか」と思ってしまった。しかし、BONTRAGERが公開した新型RSLホイールの技術情報や、開発ストーリーを読み進めていくうちに、他社のホイール開発とは一線を画する取り組みが行われていたのだと理解した。新型RSLホイールは、あたらしい開発手法とこれまでにないリム設計で前作を大きく上回る...
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コラム:購入できる世界最速のバイク

CANYONのAEROADは「購入できる世界最速のバイク」だ。このネーミングはわたしが勝手に名付けた。理由はSIMPLON PRIDE II DISCとSTORCK Aerfast.4 Pro DISCがAEROADよりも空力性能が高い風洞実験結果が出ているためだ。

日本から購入できるバイクはAEROADだけであるため「購入できる世界最速」と表現している。空力性能の差はわずかでSIMPLON PRIDE IIは時速45kmで199W、STORCK Aerfast.4 Pro DISCは201Wだ。AEROADが202Wという事を考えると一見すると劣るようにも見える。

しかし、AEROAD以外のバイクには重量面のデメリットがある。完成車重量が重く、PRIDE IIが7.8kg、Aerfast.4 Proが7.5kg、ともにペダル無しの重量だ。筆者所有のAEROAD CFRはペダル&サイコンマウント込みで7.2kgであることを考えると、重量面を考えてAEROADの総合性能は高いといえる。

AEROADは空力性能が非常に高いことで知られているが、どのような設計によってもたらされたのか。

前作のAEROADが発表されたのは2014年だ。非常に長い開発期間は、「CANYONがAEROADの開発に時間をかけすぎてしまった」という見かたもできる。しかし、各社が「やり尽くされ、目新しさがなくなったエアロロード」に対して次の一手を模索しているあいだ、CANYONはディスクエアロロードを純粋に突き詰めていた結果ともいえる。

TOUR MAGAZINEでAEROADが当時の世界最速だと公表されるより前、CANYONは海外メディアのインタビューの中で次のように述べている。

「まだ公開されていない第三者機関のテストにおいて、CANNONDALE SYSTEM SIXやCervelo S5 などの主要なライバルよりも新型AEROAD CFRが優れている。そして、クライミング時の抗力係数も低いことが判明している。」

一般向けにローンチが行われた段階では明らかにされていなかったものの、「第三者機関」が同国ドイツのTOUR紙であることは明らかだった(GSR風洞で全く同じ実験プロトコルを用いて風洞実験を行っている)。

一方で、別のインタビューでは、

「風洞で最速のバイクを作ることが我々の目標ではなく、あらゆる面で総合的に優れたバイクを作ることだった」

と語っている。それは、各社が盛んに取り組んでいる6.8kgの重量を目指しながら、Dragを減らす開発が同様に行われたことを意味している。

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コラム:空力開発

前作の2014年に発売されたAEROAD CF SLXの空力開発は、わずか3回のCFDテストだけ行われた。3パターンのジオメトリーをテストした後、最終的なチューブプロファイルを決定したに過ぎなかった。

SWISS SIDEの協力の元、AEROADは新しい開発プロセスが取り入れられた。22回ものテストが行われ、前モデルと比べて7倍以上のテストが行われた。さらに、フレームの各部分を細く分解して、その要素に対して最も効率的なエアロ形状を評価した。

分解した要素は、ハンドルバー、ヘッド チューブ、フォーク、ダウンチューブだ。これら各コンポーネントへの変更の効果を個別に判断し、それらを組み合わせて最速の形状を追求している。

風洞実験は、時速45 km/h、ヨー角±20毎におけるダミーレッグなし、ダミーレッグありの条件において、両脚を水平にした状態や垂直にした状態で実施された。

SWISS SIDEの空力改善では「セーリング効果」も向上した。CANYONは最初のエアロロードバイクを開発して以来、セーリング効果に関する研究を進めていた。

フレームチューブをある形状で設計すると、特定のヨー角においてチューブの形状が翼のように空気と相互作用し、揚力を発生させてライダーを前進させるセーリング効果が発揮する効果がある。

つまり、横風が吹いている状況でライダーはDragを軽減しながら風に身を任せて加速することができる場合がある。セーリング効果を発揮するためには、ホイールが最も重要だが、フレームもまた重要な役割を果たしている。

新型AEROADの速さの秘訣は、空気抵抗が小さくさらに前に押し出すセーリング効果が働くことにある。

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まとめ:世界最速かつ高コスパのCF SLX

世界最速のフレーム形状はCFRとCF SLX共通。

優れた空力性能、価格間違いかと思うような値段、そして在庫があれば即購入できるという入手性。どの切り口で考えたとしても、他社よりも数歩先を行き、明確な差別化をしたのがAEROAD CF SLXだ。

合わせてマチューファンデルプールの活躍など話題にも事欠かない。

これまでディスクロードを使ったことがない方、今よりも速いバイクを求めている方、コストの問題がある方など、多方面に広く受け入れられるのがAEROAD CF SLXだと思う。それゆえ、以前日本国内で発生した「VENGEがあふれかえる」状態が今度はAEROADで起こりうる可能性がある。

世界最速が乱立し、バイクの空力性能は行き着くところまで行き、機材のアドバンテージはなくなる。機材がコモディティ化することによって機材さはなくなっていく。一見すると、また同じ機材であふれかえってしまうのかと心配になる。

ただ―――、

「AEROAD」というバイクは不思議な機材で、乗る楽しみが尽きないバイクなのだ。それは「速さ」が影響しているのかもしれないが、乗っていて楽しいと感じた久々のバイクだった。その根源にある理由は、いまでもわからない。

しかし、AEROADと共にライドする週末がいつも待ち遠しいのだ。

それは、とうの昔に忘れた、思い出しすらしなかった気持ちだった。ロードバイクを初めて買ったあの日、速さだとか、峠のタイムだとか、FTPだとか、パワーウェイトレシオだとか、

そういうものをまったく知らず、全てがまっしろだったあの日に感じた「走る喜び」を思い出させてくれたバイクだ。

その根源は、意のままに操る運動性能の高さなのか。それとも空気を切り裂くエアロダイナミクスなのか。その答えは、AEROADにこれから乗るであろうサイクリスト一人ひとりの中に存在している。

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