CANYON AEROAD CFR インプレッション、マチューが操る世界最速のディスクロードバイク

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CANYONは初めから狙っていたのだ、世界最速の座を。

AEROAD CFRは最も優れた空力性能を備えていることがTOUR MAGAZINEが実施した風洞実験で明らかになった。これまで世界最速の座を譲らなかったのはCANNONDALE SYSTEMSIXだった。AEROAD CFRはそれをしのぎ「1ワット」空力性能が優れていた。

「1ワット」の意味を軽くあしらうか、それとも重量や仕組みを理解し魅力的に感じるのかは人それぞれだ。

世界最速の結果は運も味方につけた。

オリンピックイヤーという重要な節目であるにもかかわらず、スペシャライズド、トレック、キャノンデールが「世界最速のエアロロード」をリリースしなかった。各社があれほどエアロダイナミクスにやっきになっていたのにもかかわらず、最速を塗り替えようとしなかった。

(3:1のルール改定後の最速バイクが某社からリリースされるウワサは確かにあるのだが。)

TARMAC SL7の設計思想のように、新たな領域を模索した結果という考え方もできる。そして、やり尽くされた感のあるエアロロードの開発はいったん休止する、ことが各社の方針だった可能性も十分有り得る。スペシャライズドは重量と空力のバランスをうまく整えた。TREKはクライミングエアロという別の領域へと進み始めた。

これまでのエアロロードバイク市場は、様々なブランドがしのぎを削り続けた結果レッド・オーシャン化していた。しかし、ここ数年はいつの間にか手薄になっていた。「エアロ」ばかりが注目されてきた結果、ユーザーは少し飽きてしまっていたのかもしれない。

世界最速のディスクロード CANYON AEROAD CFR 実験で明らかに
GSRウィンドトンネルを使った実験においてCANYON AEROAD CFRが世界最速のディスクロードバイクに躍り出た。これまで最速の座を譲らなかったデイモン・リナード氏の作品Cannondale SYSTEMSIXの記録をついに塗り替...

スペシャライズドの新型AETHOSの発表で、10年以上前に流行した”重量剛性比”という「古臭い言葉」が「新しい言葉」として再びお目にかかる日が訪れるなど、流行や時代が一周した流れを感じる。

前作のCANYON AEROADが発表されたのは2014年だ。新型AEROAD CFRの発表はツール・ド・フランスと世界選手権の後であり、自転車機材の発表時期としてはとても遅かった。米国ブランドが「どちらが先に刀を抜くか」という探り合いが行われている最中、TREKやスペシャライズドの大規模な発表よりもさらに後だった。

CANYON AEROAD CFRはマイペースを守りながら登場した。逆説的に捉えるとCANYONはAEROADの開発に時間をかけすぎてしまった、という見かたもできる。各社が「やり尽くされ、目新しさがなくなったエアロロード」に対して次の一手を模索しているあいだ、CANYONはディスクエアロロードを純粋に突き詰めていた。

TOUR MAGAZINEで結果が公表されるより前、CANYONは海外メディアのインタビューの中で次のように述べていた。

「まだ公開されていない第三者機関のテストにおいて、CANNONDALE SYSTEM SIXやCervelo S5 などの主要なライバルよりも新型AEROAD CFRが優れている。そして、クライミング時の抗力係数も低いことが判明している。」

と。

メディア向けの資料にも同様の内容が記されていた。一般向けにローンチが行われた段階では明らかにされていなかったものの、「第三者機関」が同国ドイツのTOUR紙であることは明らかだった(GSR風洞で全く同じ実験プロトコルを用いて風洞実験を行っている)。

一見すると空力性能一辺倒かと思いきや別のインタービューでは、

「風洞で最速のバイクを作ることが我々の目標ではなく、あらゆる面で総合的に優れたバイクを作ることだった」

と語っている。それは、各社が盛んに取り組んでいる6.8kgの重量を目指しながら、Dragを減らす開発が行われたことを意味していた。

すなわち――、

S-WORKS SL7は「重量6.8kg」を軸に、最大限の「空力向上」をめざした。
AEROAD CFRは「世界最速」を軸に、最大限の「軽量化」をめざした。

それぞれ譲れない(ブレない)「軸」を基準として、ロードバイクの「何」を犠牲にしなければならなかったのか、という「論点」が異なっていた。

今回の記事は、世界最速のディスクエアロロードバイクCANYON AEROAD CFRに実際に乗り込み、性能から走りまで広範囲にテストした。特殊なハンドルバーやTREKの新型フレームにも採用された新素材M40Xカーボンを用い、軽量性と剛性を限界まで高めた史上最速のディスクロードバイクに迫る。

AEROAD CFR進化のポイント

新型AEROADの改良点は以下のとおり。以下の要点から進化の全体像が見えてくる。

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