90gのペダル!Xpedo SONIK TIインプレッション:軽量性と性能が織りなす新境地

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Xpedo SONIK TIペダルは、90gの軽量性とシマノSPD-SL互換性を両立したロードバイク用ペダルだ。

本インプレッションでは、SONIKのチタン軸採用モデルを実際にテストし、その技術的特徴、実測性能、そして実際の使用体験に基づき多角的に検証する。

特に、実測181gという驚異的な軽さが、走行性能や耐久性にどのような影響を与えるのか、また、競合製品と比較してどのような優位性や課題を抱えているのかを詳細に分析し、今後のロードバイクペダルの展望についても考察した。

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Xpedoブランドの哲学とSONIKシリーズ

Xpedoは30年以上にわたりペダル開発に携わってきた実績を持つブランドだ。この長年の経験は、自転車ペダル技術における深い専門知識と製造ノウハウの蓄積を明確に示唆している。

同社は、すべての製品が市場に投入される前に、最も過酷な条件下で集中的なテストを受けていると公表しており、これは製品の信頼性と性能に対する厳格な品質管理の姿勢を裏付けるものである。

SONIKシリーズは、Xpedoが長年培ってきたレーシングペダルの技術的基盤を継承しつつ、市場で最も広く普及しているクリートシステムの一つであるシマノSPD-SLシステムに対応することで、製品ラインナップの戦略的拡充を図ったモデルである。

この製品開発の方向性は、Xpedoが自社の軽量化技術と性能追求の専門性を活かしながらも、市場の主流ニーズに積極的に適応しようとする柔軟なブランド哲学を有していることを示唆している。技術力と市場性のバランスを重視する姿勢が、このシリーズの背景にあるのだ。

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ロードバイクペダル市場におけるSONIK TIの立ち位置

Xpedo SONIK TIは、軽量性を追求するハイエンド市場において、強力な競争力を持つ製品として位置付けられている。シマノDura-Aceペダル(公称234g)の重量を大幅に下回りながらも、ペダルとしての調整機能や長期的な使用に耐えうる耐久性を犠牲にしていない。

これは、軽量性を最優先するサイクリストにとって、主要ブランドの製品に対する魅力的な代替品となり得ることを意味する。

また、Look Keo互換のXpedo Thrust SL Tiペダルは、LookのトップエンドモデルであるBlade Tiと比較して、30%から40%安価でありながら、より軽量である点は大きい。

SONIK TI(シマノSPD-SL互換)も同様に、優れた軽量性と性能を維持しつつ、価格面で高い競争力を持つ戦略を採用している。さらに、XpedoはSONIK OMNIやThrust OMNIといったパワーメーター内蔵ペダルの開発も積極的に進めている。

これは、サイクリング業界におけるパワー計測の普及という大きなトレンドに同社が対応しようとしている動きであり、単なる軽量ペダルメーカーに留まらず、高機能化とデータ駆動型トレーニングのニーズに応えようとする戦略的な展望を抱いていることを示唆している。

Xpedoは、軽量性という強みを基盤としつつ、パワーメーターという高付加価値機能を統合することで、製品の魅力を多角的に高め、より広範なハイエンドユーザー層の獲得を目指していると言える。

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実測重量

Xpedo SONIK TIペダルは、メーカー公称値でペアあたり188gとされている。この数値は、ロードバイクペダル市場において非常に軽量な部類に属する。しかし、多くのサイクリストが注目するのは、公称値だけでなく、実際の製品の重量である。

早速だが実測重量は、片側90.4g、両側で181gだ。

複数の海外サイトの報告を調査したところ、Xpedo SONIK TIの実測重量は公称値をわずかに下回る傾向が見られた。具体的には、R2-BikeやThe Sweet Cyclistsでは184g、Weight Weeniesフォーラムでは181gといった数値が報告されている。

実測値が公称値を下回ることは、メーカーが公表するスペック以上に軽量化が実現されていることを意味し、これは軽量化を極めるサイクリスト、いわゆる「Weight Weenies」にとって特に魅力的な要素となる。

主要な競合製品と比較すると、シマノDura-Ace PD-R9100の公称重量は234g、実測重量も同程度である。また、Look Keo Blade Carbon Ceramic Tiの公称重量は190g、実測重量は188gと報告されている。

Xpedo SONIK TIは、シマノDura-Aceと比較して約50g軽量であると具体的に指摘されており 、この重量差は、ペダルという回転部分の慣性モーメントの低減に大きく寄与する。その結果、ヒルクライムや加速時のパフォーマンスに明確な体感差をもたらす可能性があり、これは競技志向のライダーにとって重要な優位性となる。

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素材と構造

SONIK TIペダルのボディは、一体成形されたカーボン繊維強化射出成形によって製造されている。この素材選択は、軽量でありながら高い剛性と耐久性を両立させるための設計思想を反映している。

ペダルとシューズの接触面には、オーバーサイズのステンレススチール製トレッドが採用されており、クリートとの安定した接合を確保しつつ、ペダルボディの摩耗を効果的に防ぐ役割を果たす。

スピンドル(軸)には、軽量かつ高強度なチタンが用いられている。チタンは、その優れた強度重量比から航空宇宙産業や医療分野でも利用される高性能素材であり、自転車部品においては軽量化だけでなく、路面からの微細な振動吸収性向上にも貢献するとされる。

しかし、このチタン軸には最大ライダー体重86kgという制限が設けられている点には注意が必要である。これは、軽量化と引き換えに、軸の強度に特定の限界があることを示唆しており、製品設計における性能と耐久性のトレードオフの典型的な例である。

クリート保持システムには、一般的なスクエアSWP(Square SWP)スプリングが採用されている。PosiLock Microadjust機構により、クリートのテンションを細かく調整することが可能であり、これによりスムーズなクリップイン・アウトを実現するとされている。

また、Look Keo Blade Carbonのようなカーボンリーフスプリングではなく、MDU(Microcellular Ductile Urethane)エラストマーが「バネ」として機能するモデルも存在し、これにより静音性や独自のクリップ感が向上している。

これは、Xpedoが単なる軽量化だけでなく、ユーザーの総合的な体験向上を目指し、従来のペダル設計にとらわれない革新的な技術を導入していることを示す。

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ベアリングシステムと剛性

SONIK TIペダルは、スピンドルに3つのシールドカートリッジベアリングを採用している。この設計は、スムーズな回転性能と優れた耐久性を実現するために不可欠である。シールドベアリングは外部からの異物侵入を防ぎ、メンテナンス頻度を低減する効果が期待される。

ペダルの剛性は、ペダリングパワーを効率的に自転車に伝える上で極めて重要な要素である。Xpedoは、カーボン繊維強化ボディとチタン軸の組み合わせにより、軽量化を図りつつも十分な剛性を確保している。

このペダルを表現するのなら、「ソリッドなプラットフォームとクリップセクションにより、軽量でありながらしなりがない剛性感」だ。軸のたわみはほとんど感じられない。実際にたわまわせるのは難しいだろう。

高負荷のペダリング時においても顕著な「しなり」を感じさせない高い剛性を実現していることが示唆される。これは、軽量化とパワー伝達効率のバランスを高いレベルで達成していることを意味し、競技レベルでの使用にも耐えうる性能を示している。

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Qファクターと互換性

SONIK TIペダルのQファクターは53mmである。これは、Lookペダルと同等であり、多くのロードバイクユーザーにとって標準的な範囲に収まるため、既存のバイクセッティングに大きな変更を加えずに導入しやすい。

特筆すべきは、SONIK TIがシマノSPD-SLシステムと高い互換性を持つ点である。これにより、シマノのロードペダルを使用している多くのサイクリストが、シューズやクリートを交換することなく、SONIK TIペダルに移行できるという大きな利点がある。

これは、Xpedoが既存の巨大なシマノユーザーベースにアプローチし、市場浸透を図る上で極めて重要な戦略的優位性となる。製品には0°フロートと4°フロートの2種類のSONIK 9クリートが付属しており、ライダーの好みに応じた選択が可能である。

しかし、実際に使ってみるとXpedo純正クリートよりもシマノ純正SPD-SLクリートの方が、クリップイン・アウトの感触や耐久性において優れている。特に、Xpedoクリートでは「外れにくい」または「緩すぎる」感覚があった。

互換性があるがクリートはシマノを使っておいたほうが良いだろう。したがって、ユーザーはクリートの選択に注意を払い、最適なクリップイン・アウトの感触と安全性を確保するためにシマノ純正クリートを試すことも検討すべきである。

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価格と市場価格帯

Xpedo SONIK TIペダルの日本国内での販売はない。

オンラインストアでの価格は、米ドルで269.00ドル、ユーロで159.66ユーロだ。現在の為替レート(例えば1米ドル=150円)で換算すると、それぞれ約40,000円弱となる。

日本国内での販売価格は、これらの海外価格に加えて、為替レートの変動、輸入関税、国際送料、国内流通コスト、販売店の利益などが上乗せされるため、一般的に高くなる傾向がある。

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競合製品との価格比較

主要な競合製品であるシマノDura-Ace PD-R9100の日本国内での価格は、約26,950円から32,630円程度である。また、Look Keo Blade Carbon Ceramic Tiの海外価格は、225.99ユーロから414.00米ドルであり、日本円に換算すると約38,400円から64,200円の範囲となる。

Xpedo SONIK TIは、海外価格でDura-AceやLookのハイエンドモデルと比較して、軽量性という明確な付加価値を提供しつつも、価格競争力を持つ可能性がある。特に、Dura-Aceの価格帯に近い、あるいは若干高めの価格設定となることが予想される。

しかし、日本国内での販売はなく、同製品が日本市場においてまだニッチな存在である。日本の消費者がSONIK TIを入手する場合、海外通販や並行輸入になる。

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インプレッション

実際に使用すると、剛性感はPD-R9100よりも柔らかく感じる。シャフトが細いためか、チタンシャフトによるものなのか、もしくはクリップイン・アウトの感触が弱く感じるがゆえ弱さを感じてしまうか、その理由は多岐にわたる。

ペダルが常に最適な位置で下向きにぶら下がっているため、シューズを差し込むだけでスムーズに固定できる。クリップアウトも同様に確実かつ正確である。ただ、軽さがゆえ、つけている間隔が希薄に感じられる。軽量性とのトレードオフなのだろう。

テンション調整は継続的に可能であり、ライダーの好みに合わせてクリートの保持力を細かく設定できる。しかし、調整ネジがやや抵抗感が低く、バネ感が弱いと感じられたり、微調整の範囲が狭い感じも受けた。

特筆すべきは、付属のXpedo純正クリートよりもシマノ純正SPD-SLクリートの方が、クリップイン・アウトの感触や耐久性において優れていることだ。ここはやはり、純正のシマノである。

このため、SONIK TIペダルを使用する際には、シマノ純正SPD-SLクリートを試すことが、より快適で安全なクリップイン・アウト体験を得るための有効な選択肢となるだろう。

ペダリングフィールと安定性

Xpedo SONIK TIは、その広い踏面により、安定したペダリングフィールを提供する設計がある。特にSpeedplayのような小面積のペダルから移行したライダーからは、この広い踏面がもたらす安心感とパワー伝達のしやすさが好意的に受け止められるだろう。

ワイドなクリートとワイドなプラットフォームが「しっかりとした接地感」をもたらす感じは確かにある。これにより、高負荷のペダリング時やスプリント時においても、足元が安定し、効率的なパワー伝達が期待できる。

また、ペダリング中の異音、特にきしみ音が少ないことも利点として挙げられる。Look Keo Blade Carbonで報告されるような、カーボンリーフスプリングのきしみ音がない点も評価が高いだろう。

これはMDU(Microcellular Ductile Urethane)エラストマーを「バネ」として採用するモデルの静音性によるものと考えられる。ペダリング中の不快な音がないことは、ライダーの集中力を維持し、より快適なライド体験に繋がる。

長期使用における耐久性とメンテナンス

Xpedoペダル全般について、3つのシールドカートリッジベアリングの採用により、スムーズな回転と耐久性が向上したという。旧来のブッシングシステムと比較して、早期摩耗や過度な遊びの問題が改善されている。

Xpedoによれば、チタン軸ペダルを数千キロメートル、あるいは数年間にわたって問題なく使用し、ベアリングのスムーズさを維持するという。とはいえ、ベアリングの早期摩耗や異音、公差の問題は数千キロ使用しなければわからないところだ。

これは、Xpedoの軽量チタン軸モデル全般に共通する潜在的な課題である。軽量性を追求する中で、ベアリングに高い負荷がかかりやすく、耐久性に影響を及ぼす可能性があるため、定期的なメンテナンスや部品交換が必要となる可能性をユーザーは理解しておくべきである。

雨天走行後は、クリップインがやや遅くなる現象があった。これは機構部分の潤滑不足が原因である可能性が高い。潤滑剤(例えばラスペネなど)を使用することで、元のスムーズな機能が持続的に回復する可能性がある。

ペダルは標準的な六角レンチで分解・整備が可能であり、ユーザー自身でのメンテナンスが比較的容易である点は評価できる。

総じて、Xpedo SONIK TIは優れた軽量性と操作性を持つが、クリートの選択とベアリングの長期的な耐久性には注意が必要である。特に、軽量性を追求するユーザーは、定期的なメンテナンスの頻度が増える可能性を許容する必要があるかもしれない。

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メリットとデメリット

メリット

  • 圧倒的な軽量性: 公称188g、実測181gという重量は、シマノDura-Ace(234g)やLook Keo Blade Carbon Ceramic Ti(190g)といった競合製品と比較してもトップクラスの軽さである。この軽量性は、ヒルクライム時の負担軽減や加速性能の向上に直結する大きな利点である。
  • シマノSPD-SL互換性: ロードバイクユーザーに広く普及しているシマノSPD-SLクリートと互換性があるため、既存のシューズやクリートをそのまま利用でき、移行コストを抑えられる汎用性の高さを持つ。
  • スムーズなクリップイン・アウト: ペダルが常に最適な位置で下向きにぶら下がる設計と、PosiLock Microadjust機構による調整可能なテンション設定により、直感的で確実なクリップイン・アウト体験を提供する。
  • 広い踏面による安定性: オーバーサイズのステンレススチール製トレッドとワイドなプラットフォームにより、シューズとペダルの接触面積が広く、安定したペダリングフィールが得られる。これにより、効率的なパワー伝達が可能となる。
  • 整備性の高さ: 標準的な六角レンチで分解・整備が可能であり、ユーザー自身でのベアリングの清掃やグリスアップといったメンテナンスが比較的容易である。

デメリット

  • ライダー体重制限: チタン軸モデルには86kgという体重制限が設けられており、これを超える体重のライダーは使用できない。これは、軽量化と引き換えに生じる強度的な制約であり、購入前に自身の体重を確認する必要がある。
  • ベアリングの長期耐久性への懸念: 一部のXpedoチタン軸モデル(Thrust SLなど)で、ベアリングの早期摩耗や異音、公差の問題が報告されており、定期的なメンテナンスや交換が必要となる可能性がある。これは、SONIK TIにも同様の潜在的リスクがある可能性を示唆する。
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まとめ:実用的な軽量ペダル

Xpedo SONIK TIペダルは、その驚異的な軽量性とシマノSPD-SL互換性により、ハイエンドロードバイクペダル市場において独自の地位を確立している。公称188g、実測では181gとさらに軽量な数値を達成しており、ヒルクライムや加速性能を重視するサイクリストにとって、その軽量性は大きなアドバンテージとなる。

カーボン繊維強化ボディとチタン軸、そして3つのシールドカートリッジベアリングを採用することで、軽量性と剛性、そしてスムーズな回転性能を高いレベルで両立させている。また、PosiLock Microadjust機構による調整可能なテンションと広い踏面は、快適なペダリングフィールと確実なクリップイン・アウトを提供する。

しかし、チタン軸モデルには86kgというライダー体重制限があり、体重の重いライダーは使用できないという制約がある。また、一部のXpedoチタン軸モデルで報告されているベアリングの長期耐久性に関する懸念は、購入前に考慮すべき重要な点である。

付属クリートの性能についても、シマノ純正クリートの使用が推奨されるケースがあるため、ユーザーは自身の好みに合わせてクリートを選択することが望ましい。

総じて、Xpedo SONIK TIは、軽量化を最優先し、かつシマノSPD-SLシステムに慣れ親しんだサイクリストにとって、非常に魅力的な選択肢である。

ただし、体重制限やベアリングの潜在的な課題を理解し、必要に応じて適切なメンテナンスを行うことで、その真価を最大限に引き出すことができるだろう。

今後のXpedoがパワーメーター内蔵モデルなど、さらなる高機能化を進める中で、これらの課題にどのように対応していくかが、ブランドの進化の鍵となる。

SONIK
XPEDO SONIK Clipless Pedals deliver lightweight performance, secure engagement & smooth power transfer—ideal for road cyclists and competitive riders.
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