Nova 45とRELI 46の二つのホイールについて、設計思想や性能の違いを比較。登り性能や平地巡航、特性に基づき、体重、脚質、コース、予算に応じた選び方を提示した。一台で多用途にこなしたい場合はRELI 46が推奨、レースならNOVA 45。ただし、この違いは単純な速さだけの話ではない。
RELI 46は「Novaの廉価版」ではない。
全くの別ベクトルで設計された、平地巡航と耐久性に振った姉妹機である。両者の差はグレードではなく方向性Novaが「決戦用の鋭さ」を磨いた一方で、RELI 46は「150km走り終えた身体の状態」を競争軸にした。
根本的な方向性が異なるため、どちらを優先したいかで選べばいい。
価格差は約6.48万円。レースに勝つためのNova、毎日を勝負に変えるRELI、という棲み分けが、実走で明確になった。
設計思想の差

両機は同じCarbonTrue™塗装レス仕上げ、同じ2:1ラージフランジ構造、同じ36T/54Tラチェット選択を共有する。決定的に違うのはリム幅、スポーク、ハブ仕様、対応タイヤ、そして価格である。
| 項目 | Nova 45 | RELI 46 |
|---|---|---|
| カタログ重量 | 1,220g ±30 | 1,245g ±30 |
| 実測 | 1,218g ~ 1,238g | 1,261g(リムテープ15g込み) |
| リム単体重量 | 380g ±15 | 400g ±15 |
| 内幅 / 外幅 | 23mm / 30mm | 24mm / 33mm |
| リムハイト | 45mm | 46mm |
| スポーク | VONOA SLR-320(T-head、Φ3.2mm相当、約1.8g) | VONOA ST-520(Φ1.8mm丸→3.2×0.8mm扁平、約2.5–2.8g) |
| 本数 F/R | 21/21 | 18/24(180°対向引き) |
| ハブ | NP-C02、CEMAフルセラミック | NP-C04、ハイブリッドセラミック |
| フランジ固定方式 | 「引っ掛け式」非脱落フランジ | 「貫通式」スポーク |
| 対応タイヤ | 28–36C | 28–40C(25C非対応) |
| 国内価格 | ¥249,800(36T)/ ¥268,000(54T) | ¥185,000(定価)/ ¥165,000(発売記念)/ ¥151,800(クーポン「8Nepest」適用、4/25–5/12限定) |
公式日本サイトはRELIを 「平地のために生まれたホイール」 と銘打ち、
日本のサイクリングの約70%は平地で行われているにもかかわらず、市場のほぼすべてのカーボンホイールは登坂の軽量化やスプリント時の剛性ばかり追求している
と明示している。「瞬間的な爆発力ではなく、持続的な効率性」 という設計コピーが、本機の性格を端的に表す。
登り性能

Nova 45は登りが軽快だ。踏み抜けるし、軽さとしなやかさがある。Cosmic Ultimate 45やLightweightの「踏み続けないと死ぬ」感とは無縁だ。剛性はあるのに不思議と脚に優しく、リズムが自然に出て、もっと登っていたくなる。
物理的にも理屈は通っている。リム周辺質量はNovaが約25–30g軽い(リム20g + スポーク約33g)。外周質量の影響は重力分の約2倍として効くため、Novaは約0.4–0.6秒のタイム差を理論値として持つ。短いが、決勝では決定的だ。
RELI 46の登坂性能の評価はNova 45ほど登る感じがしない。46mmという深さは、フラットでの巡航とヒルクライムのどちらにも致命的な欠点を生まないレンジだ。あえて50mmを使わずとも反応性が良くよく走るのが46mmという位置づけだろう。
RELI 46はピュアクライマー機ではない。RELI 54(実測1,327g)はさらに平地寄りで、46との差は、40km/hからペダリングを止めた時の失速感の違いが最も大きな違いだ。
平地巡航:ワイドリム33mmと30mm

平地巡航に関しては、それぞれ特徴が異なる。Nova 45は平坦区間で、速度が緩やかに落ちていく。リム質量が低すぎて良い意味で慣性が効かない。ペダリングを止めた瞬間に減速が開始することがわかる。
50mmを常用するレーサーであれば、40km/h以上で巡航維持がしにくいと感じるかもしれない。全体的に軽すぎて、ふわつく感じが残る。Nova 45の慣性不足は逆の意味もある。軽量型として加速の優位性がある。

RELI 46の平地性能については、46mmという数字に還元されない巡航の質がある。46mmなのに50mmと間違えるほどよく走る。46mmハイトながら、50mmクラスのような巡航速度の維持が特徴だ。

そして、RELI 46の外幅33mmは 「105%ルール」適合する。28Cタイヤを24mm内幅で履くと約30mm膨張するが、外幅33mmは33/30=110%と楽々合格する。Novaの30mm外幅は28Cで30/29=103%と境界線、30Cでは完全に外れる。
Roval Rapide CLX III(21/31.3mm)が28C前提なのと同じ思想を、RELIはより内幅広めに振った。

第二に VONOA ST-520のスポーク空力。Sapim CX-Ray(2.2×0.9mm)より薄い3.2×0.8mm扁平断面で、Novaの円形3.2mmスポーク42本に対し、扁平42本(F18+R24)は45km/h時の総スポーク抗力で約1~2Wのアドバンテージを持つ可能性が高い。
FLO Cycling風洞データによれば、リム深さ1mm差より、スポーク形状の差の方が空力では大きい。

第三にRELI 46のU字リムプロファイルだ。U字断面が50mm級に近い実効空力をもたらす。要するに 「平地・ローリングメインなら、リム重量20gの不利を空力で取り返せるのはRELI」 というのが、現状最も整合的な解釈だ。
Nepest自身がRELIを「平地のために生まれた」と公式声明している以上、ここを否定する材料はない。
かかり:「一蹴り」 対「踏んでも静か」

加速応答の差は、両機の性格を最も端的に表す部分だ。
Nova 45の「かかり」を表現すると、「俊敏」「滑らかに伸びる」「立ち上がりが速い」という言葉が合う。爆発的なスナップではなく、スルスルとなめらかな加速であり、持続加速に強く、瞬発バーストでは一拍の溜めがある。

対する RELI 46のかかりは、物足りなさを認めなければならない。RELIのインプレッションでも書いたが、
「ペダルを踏んだ瞬間に車体が跳ねるような加速感を求めるライダーには、RELIは静かすぎる」
「レーシングホイールを使い慣れたライダーからすると、反応の鋭さが物足りない」
「ペダリング入力に対するホイールの応答が穏やかである」
これは欠点ではなく設計思想だ。
VONOA ST-520は、断面積を約30%削減しつつ引張強度を維持し、振動吸収性を高めた第4世代カーボンスポークで、スポークの柔軟性がホイール全体のコンプライアンスに寄与し、路面からの微振動をスポークの弾性変形で吸収する。
RELIではこのスポークがレーシング性能のためではなく、乗り手の身体を守るために機能していると位置づけられる。「速いけど扱いやすいプリウス。トヨタGR86ではない」と表現したのはこのためだ。

ただしF18/R24という前後非対称配分と180°対向引き構造は、ドライブサイドの横剛性ではむしろNovaを上回る公算が高い。21/21対称のNovaは小柄な回転系ライダーの細やかな入力には追従する。
一方で、70kg超のパワー系ライダーが大ギア踏み抜く局面では、ST-520の太い扁平断面と180°対向のRELIの方が受け止めが固い。

貫通式スポーク(フランジに引っ掛けるのではなく、スポークがフランジを物理的に貫通)はテンションがゼロに落ちても機械的に抜けない冗長性を持っている。
どちらを選ぶ?:体重・脚質・コース・予算

- Nova 45は「決戦用ピュアレーサー」
- RELI 46は「実用域全部取り」
明確な使い分けが成立する。
ヒルクライム: Nova 45

リム周辺質量で20~25g軽く、CEMAフルセラミックが活きてほしい(セラミックベアリングは懐疑的だが)。低速登坂ではスポークの空力ペナルティはほぼ消え、軽さの恩恵が純粋に出る。もしもヒルクライムレースでどちらかを選ぶならNOVAだ。
クリテリウム/TT的ロードレース:RELI 46

33mm外幅×24mm内幅×ST-520扁平スポークの空力優位が、20gのリム重量不利を上回る(可能性が高い)。F18/R24の前後非対称配分は、加減速の多いレースでも活きてくる。
起伏のあるロードレース/グランフォンド:RELI 46

これは悩みどころだが、RELIは150km走った後の身体の状態を考えると、このホイールの真価を証明してくれる。明らかに快適だと感じる。28–40C対応で軽グラベルまでカバーし、貫通式ハブとハイブリッドセラミックの耐久性が日常運用に耐える。
体重別の指針

Nova 45は56–59kg級の私には完璧だが、ハイパワーで重量級のライダーには剛性が不足していると感じてしまう可能性がある。
| 体重帯 | 第一推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 50–60kg | Nova 45 | リム周辺質量の軽量恩恵を最大化、横剛性も十分 |
| 60–70kg | コース次第 | 山岳ならNova、平地・ロングならRELI |
| 70kg+ | RELI 46 | F18/R24と180°対向引きでドライブサイド剛性を確保、貫通ハブで安全余裕大 |
脚質別
脚質別は難しいがそれぞれの向き不向きを考えてみた。
高ケイデンスのライダーにはNova 45が向くと思う。一定ケイデンスのリズム維持と細かなアタックに即応する。パワー系で低回転、高トルクで回(70–80rpm)にはRELI 46。180°対向引きと太い扁平スポークがピークトルクを受け止めるのだろうか。
タイヤ選択との相性

25C派は強制的にNova 45。RELI 46は28C以下を公式に非対応とする。リム内幅24mmで28Cが最適、25Cは使えないがここまでタイヤを細くすると巨大なリムに細タイヤを履く構図に近づき、ハンドリングが軽くなりすぎる。
30C・32Cの低圧運用を狙うならRELI一択。Silcaの適正空気圧の試算では、75kgライダー28CチューブレスでNovaが4.48bar、RELIが4.13bar、30CではNovaが上限ぎりぎりに対しRELIが余裕を持って3.5bar付近で走れる。
予算
実勢価格差は6万円弱。
発売記念キャンペーン(4/25–5/12、クーポン「8Nepest」)適用後のRELI 46は¥151,800まで下がり、Nova 45の¥249,800(36T)に対し約60%の価格でCEMAでなくとも同等のセラミック・同等の2:1ラージフランジ・塗装レス・カーボンスポークを手に入れられる。
コスパ単独評価ではRELIの圧勝だ。
一台で全部やりたい派 → 迷わずRELI 46

ロードからライトグラベル、トレーニングから決戦、雨天通勤から週末グループライドまで一本で賄うなら、RELI 46が現状Nepestラインナップで最も汎用性が高い。Novaは「決戦兵器」として割り切ったセカンドホイール枠で持つ性格が強い。
まとめ

それでも、両機の性格分担は明瞭に描ける。
Nova 45は2025年カーボンホイール市場のひとつの到達点の一つとして既に確立した存在だ。
RELI 46は2026年に登場した「平地最適・耐久最優先」の新提案であり、その仕様(24/33mm、F18/R24、貫通フランジ、28–40C対応)は、日本のロードレーサーが直面する実走条件、平坦河川敷の100km、起伏のあるロング、雨天トレーニングに対し、Novaよりも遥かに合理的な選択である。
唯一気がかりなのは、RELI 46には魂を揺さぶるような切れ味がないことだ。これは設計者が意図して取り去ったものであり、ある意味で日本のカーボンホイール市場における初の「成熟した選択肢」と呼ぶに値する。
レースで勝負をするならNova、毎日を勝負に変えるならRELI。この二択を提示できるブランドとなった時点で、Nepestはもはや「中華新興」のラベルでは捉えきれない位置に立っている。
RELI発売記念として、定価\185,000から20,000円引きで売り出される。実質165,000円になり、クーポンコード「8Nepest」で8%offになるので、最終的に151,800円になるという。5/12までの期間限定、Nepestは発売時が最安だ。





