スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえるを読んだ感想

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我々のような自転車競技を行う競技者にとって本書「スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」は大変有益な情報で溢れている。自転車競技というのはレース中に補給をする稀なスポーツだ。そしてレースに挑むまでの節制した生活、レース直前のエネルギー補給、そしてレース後の回復と、「食べ物」と密接に関係している。

食べ物が成績に直接影響する自転車競技だから、一つ一つの食べ物に神経をとがらすのも無理はない。ただ、「どのような裏付けを持って摂取しているのか?」というエビデンス(証拠・根拠)を理解している人はそれほど多くはない。そんな迷えるアスリートたちに本書は今最も信頼できる一冊だ。

著者は、寺田 新氏(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系准教授の)でその略歴も日本学術振興会特別研究員、2004年ワシントン大学医学部応用生理学教室ポスドク研究員、2006年三共(第一三共)株式会社研究員、2007年早稲田大学先端科学健康医療融合研究機構講師、2009年日清オイリオグループ株式会社中央研究所主管と、、、(見るからにすごい)素晴らしい経歴の持ち主だ。

というのも本書を見つけた経緯は偶然だった。昨年、たまたま寺田氏の研究室のFacebookページにイイねをしていたところ、本が発売されるというので購入した。その後全く読まず「積み本」にしていたのだが、正月にパラパラとめくっていると興味深いページに遭遇した。

「Sleep-Low法」というエンデュランス能力を「効率よく高める食事とトレーニングの方法」だった。そう、「食事」と「トレーニング内容」の組み合わせで最大限にパフォーマンスを高める方法だ。あぁ、これkwsk、、、という方は早速本書を手にとってほしい。

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる
寺田 新
東京大学出版会
売り上げランキング: 1,067

本書が魅力的な点を幾つか紹介しよう。

「トレーニングは食後・食前?」や「糖質は抜いた方がいいの?」なんて答えも書いてある。この方法を知ると差がつかなくなってしまうという懸念もあるが迷っていた人は是非参考にしてほしい。逆に知っていたという人は注意してほしい。おそらくエビデンスを含めて「本当に理解」している人は殆ど居ないだろう。

(つд⊂)ゴシゴシ

(;・∀・)・・・。

では本書の目次を見ていく。

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目次

スポーツ選手のパフォーマンスを向上させるための食事摂取法とは? 運動と食事をどのように組み合わせれば、健康の維持増進につながるのか? 本書はその基礎となる理論を紹介しながら、細胞・分子レベルで解説。「なるほど」と納得できる役立つ内容が満載。

以下の興味をそそられる内容をエビデンスと共に紹介している。

  • ついつい食べ過ぎてしまうのは、なぜ?
  • エネルギーをためる脂肪と消費する脂肪の違いとは?
  • 「腹八分目」で得られる効果とは?
  • 筋はなぜ肥大するのか? そこに食事はどのように影響するのか?
  • 高糖質食、糖質制限食、高脂肪食、ケトン食、それぞれの効果の違いは?

これらのメカニズムについて、細胞・分子レベルから詳しく解説されている。

【本書「はじめに」より】

近年多数出版されているスポーツ栄養学に関する書籍の多くが、「各種スポーツ活動をサポートするためにはどのような食事を準備すべきなのか」といった実用的な内容のものが多かった。本書では、そのような実用的な内容というよりも、スポーツ栄養学の基礎となる理論を紹介しながら、さらに一歩踏み込んで「なぜそのように摂取すると効果的なのか?」というメカニズムを細胞レベル・分子レベルで解説することを目的として書かれている。このようなメカニズムを知ることは、その栄養学的手法が本当に理にかなっているのかどうかを自ら判断できる能力を養うことにつながるためである。

【主要目次】

  • はじめに
  • 序章 スポーツ栄養学とは?
  • 第1章 身体組成と体脂肪・脂肪細胞の種類
  • 第2章 エネルギー消費量と摂取量
  • 第3章 糖質――パフォーマンスと健康のための三大栄養素摂取法(その1)
  • 第4章 たんぱく質――パフォーマンスと健康のための三大栄養素摂取法(その2)
  • 第5章 脂質――パフォーマンスと健康のための三大栄養素摂取法(その3)
  • 第6章 運動中の水分摂取法とスポーツドリンクの効果
  • 第7章 パフォーマンス・健康とサプリメント
  • コラム1 世界と日本におけるスポーツ栄養学の歴史
  • コラム2 女性の痩せ問題
  • コラム3 脂肪研究最前線
  • コラム4 栄養素の組み合わせによる相乗効果・相殺効果
  • コラム5 たんぱく質の摂取量を減らしたほうが良い?
  • コラム6 Exercise mimetics
  • コラム7 マラソンと体型、熱放散との関係
  • コラム8 効果的な食事・栄養素摂取法の確立に向けて

書籍の価格はやや高め(といっても3000円)だが、内容を考えたら安いといえる。むしろ普通だろう。内容はエンデュランス系アスリートにはもってこいだ。そして、食事制限、ダイエット、糖質制限といった我々がよくわかっていない、知らなかった部分、根拠があいまいだった点を遺伝子レベルで明確説明している。

私はここまで証拠と裏付けを持って解説されている”わかりやすい”スポーツ栄養学の書籍を知らない。エンデュランス能力を高め、健康な体を実現してくれる素晴らしい一冊だ。

補足)記事掲載後、一時的に品切れ中ですが週明けすぐに補充されるそうですので、抑えておいても損はないかと・・・。

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる
寺田 新
東京大学出版会
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