使ってみないと、良さがわからないデバイスが世の中にはまだ眠っているのだなと思わされたデバイスがある。MageneのレーダーテールライトL508だ。ミリ波レーダーで後方から接近する車両を検知し、サイクルコンピューター上で状況をリアルタイムに確認できる。
自動車(クルマ)でも、同じような仕組みがある。サイドミラーのブラインドスポットモニター(後側方車両接近警報)だ。クルマが接近すると、ランプが点灯し知らせてくれる装置で、車線変更をしようとしたときに、クルマが死角から近づいていることを知ることができる。
自転車でも同じく、ミリ波レーダーで後ろから近づくクルマの存在を逐一教えてくれるわけだが、これが想像してたよりも便利で精度が高かった。正直なところ、時代がここまで進んでいたということに驚いてしまった。
機材進化の調査を、最近怠っていたなと感じたほどだ。
今回の記事は、MageneのレーダーテールライトL508をテストした。この手のデバイスは使ってみないとその価値が本当にわからなかった。今回の記事はまず動画を見ていただき、その後に記事を読み進めていただく形で話を進めていく。
とはいえ、難しいことを抜きにして、実際の動作を先に見ていただいたほうが話が早い。
まずは、動作を見たほうが話が早い。
Magene L508めっちゃ便利だ。車近づいてくるのわかるし、後続車の台数、横通りすぎる時のタイミング誤差もほぼゼロ。。。
すごいなこれ。 pic.twitter.com/G5ckgz4dEt— IT技術者ロードバイク (@FJT_TKS) December 10, 2022
実際の動作動画だ。1日で1.1万回再生された。
ミリ波レーダー、スペック比較、付属品、開封の儀といった、いつもの小難しい話は一旦忘れていただき、Magene L508がどんな仕事をしてくれるのか、実際の動作を見ていただくほうが話が早い。
シートポストに取り付けたMagene L508はサイクルコンピューターと連動して後続車の存在を知らせてくれる。通知先は、サイクルコンピューターやスマートウォッチなど幅広い。驚いたのは、その「精度」と「反応速度」と「誤差」だ。
どれくらい遠くから検知できるかは、カタログ上は140mだ。しかし、実際にGoogleMapで測ったところ150~160mほど後方からのクルマの存在を知らせてくれた。次に驚いたのは、
「クルマが横を通り過ぎるタイミングと、サイコン上の表示が同じ」
であることだった。それは、「停止中」や「走行中」どちらであっても精度に差がなかった。走りながら「すげー、これ」と思わずブツブツと独り言を言ってしまうほどだった。さらにクルマを検知する反応速度も優れており、クルマが後方140m(カタログ上)に現れた場合にすぐさまサイクルコンピューターに表示された。
「いやいや、それ直線の道だけでしょ」
と思って、あえて峠のつづら折りで試したところ、後方のブラインドコーナーから近づいてきたクルマも検知した。どうやら、レーダーは最大40°の照射角があり、カーブで死角になっても検知することができるという優れた性能を備えている。
思ったよりも”気づけていない”
自転車に乗りなれ、道を走りなれていたとしても、接近してくるクルマに気づかないことが多くなった。特に、ハイブリッド車や電気自動車などが増え、音の静かな車には特に気がつかなくなった。ふと後ろを振り返ると、突然クルマが現れ危ないと思うことも多い。
また、ドライバー側からの逆の目線もしかりだ。自分自身がハイブリットカーに乗っているがゆえ、サイクリストにクルマで近づいても気づいてもらえないことが多いと感じている。それは、サイクリストが悪いのではなく、単純に動作音が聞こえなければ、超能力者でも無い限りクルマの存在には気づけない。
そもそも街中であれば、前方を横切る歩行者や右左折する自動車等容易に後方を目で確認出来ない場合も多々ある。そのような場合にL508を用いると、慌てることなく対応することが可能になる。自分の背中に、もう一つの目を付けることが出来るのだ。
ブレーキ連動のテールライト
「減速するとテールライトが点灯する」
ああ、これが欲しかった。Magene L508には加速度センサーが内蔵されており、自転車のわずかなブレーキングでも素早く感知し、ハイライトが3秒間点灯する。クルマのブレーキランプと同じだ。後方車両やトレイン中のライダーにも、光でブレーキ制動を知らせることができる。
この「スマートブレーキセンシング機能」は、ライド中の車体の揺れや小さな段差は検知しない。レーダーと合わせ、自動で後続から近づく車両にブレーキを知らせる事ができるため、不意な追突事故などを未然に防いでくれる効果が期待できる。
また、この振動感知は自動停止と自動機能とも連動しており、静止状態が5分間つづくと自動的にスリープモードに入る。また、自動起動機能で、バッテリー消費を最小限にする。
ライトのパターンは、ソリッドモード、フラッシュモード、パルスモード、プロトンモード、レーダーモード(ライトなし)と5種類から選べる。私は、通常はライトなしモードで使用し、ブレーキングのときだけ点灯する使い方で使用した。
テールライト自体の視野角は220°で、最大1200メートル後方からの視認性を確保している。 確かに非常に強い光で、昼夜問わずライダーの存在を後方車両などに伝えやすいため安全性も高まるはずだ。
まとめ:背中にもう一つの”目”を
ほんとうに、想像していたよりも便利なデバイスだ。
実は自動車を買うときに、サイドミラーのブラインドスポットモニターを着けなかった事を今でも後悔している。高速道路の車線変更時、車線変更したさいに死角からクルマが出てきてヒヤッとした経験を今でもする。
その経験があるからこそ、Magene L508がミリ波レーダーで後続からのクルマを察知してくれることで安全性が高まる。かといって、誤解しないでほしいのは後ろを振り向かなくてもいい、というわけではない。
この手のデバイスが出てくると、決まってネットやSNSでは「後ろを確認しなくなる」や「頼りっきりになって逆に危ない」といった指摘が出てくる。いや、それはそうかもしれないのだが、まずは自分自身が、クルマの存在を気づき、何なら道を譲り、自ら安全に走るための仕組みづくりを行う必要があるのではないか。
そのため、補助的な役割としてMagene L508は優れた価値を提供している。すべてをまかなえるわけではないが、特に子供や学生のサイクリストにも「クルマに気をつけなさい!」と、言葉でいうよりも先に、ミリ波レーダーで「クルマがあなたに近づいている」という、生の情報を突きつけるほうが話が早いかもしれない。
決して、「後方をふりむかなくてもよい」だとか「後続車が知れるから安心」というわけではない。「気づき」をいま以上に高め、不幸な事故を減らす一つの優れた策として、ミリ波レーダーテールライトのMagene L508は非常におすすめできるデバイスだ。
クルマに乗っている身としては、できればロードバイクやママチャリ問わず、ミリ波レーダーやブレーキングランプの導入を必須にしてほしいほどだ。Magene L508はサイクリスト、クルマの運転手、それぞれがお互いに「気づける」という事をサポートしてくれる優れたデバイスだ。
価格は、Garminの競合製品よりも1万円ほど安い。ただ、比較したところできることや、動作などが同じであるため、Magene L508のほうがおすすめできる。