なにかとえげつない製品をリリースしているMageneから、新型のスマートローラーT600が登場した。本国での展開のみで、日本国内は現段階で未発表の製品だ。T600はこれまでにない夢のような機能が満載されている。
- ペダリングパワーを電力に変換
- 9種類の路面をシミュレーション
- 測定精度が±1%
- ワイヤレス通信の情報量が10倍
- 永久磁石同期モータ
- 自動車用ダイカスト技術で製造
- 動作音50db(静かな事務所、換気扇程度)
- イーサーネット有線対応
- 3チャンネルBluetooth
- 心拍計ブリッジ
「ペダリングパワーを電力に変換」は大きなトピックスだ。永久磁石同期モーターを搭載されており、ライダーがペダリングで発生させる(無駄な)パワーを電力に変換する。この蓄えられた電力によってどこでもスマートトレーナーを使用することができる。
発電した電気を売電するわけでもなく、家の電気に変換するわけではないが、スマートローラーに搭載が待ち望まれていた機能だ。
「9種類の路面シミュレーション」は路面状況を再現する機能だ。
- コンクリート板
- 牛格子
- 硬い石畳
- 柔らかい石畳
- レンガ道
- オフロード(ダート)
- 砂利道
- 氷
- 木の板
以上の9種類の路面をシミュレートできる。重い、軽いといったなめらかな走行感しかなかったスマートローラーにおいて革命的な機能だ。シミュレーションによって臨場感あふれるサイクリング体験ができる。
路面シュミレーションは、T600に搭載された負荷制御アルゴリズムによって1秒間に1000以上の路面シミュレーションを実行している。本機能は、2024年前半にアップデートで利用可能になる予定だ。
優秀なパワーメーターを製造している同社は、スマートローラーにもその技術をいかんなく発揮し測定精度±1%を達成した。
パワー測定精度を追求した結果、機械的なロスを避けるために従来のベルトドライブを廃止している。52個の電磁鋼板と48個のコイルモーターを採用し、先進のFOC(Field Oriented Control)技術と組み合わせることで、トルクと速度制御をすることで正確な出力精度を保証することに成功した。
ペダリング中の全てのデーターは、スマートローラーがリアルタイムに解析している。360°の回転中に隅々まで計測と解析を行うことができ、Mageneの高精度アルゴリズムと多段階のペダリング解析検証により、すべてのペダルストロークの要素を正確に捉えることが可能になった。
自社開発の永久磁石同期モーターは、負荷の精密なコントロール調整を可能にしている。モーターはサイクリストのペダリングや負荷のニーズに合わせて調整され、リアルなロードフィールを実現している。
レースモードは通信の情報量が10倍にアップする。ZWIFTを行っている方は、スプリント時のラグを感じているかもしれない。それらを解決できるのがレースモードだ。従来のワイヤレス通信は、1秒あたり1Hz(1秒に1回のデータ送信)に制限されていたため、急激なスプリントはパワー変化を捉えきれないことがよく発生していた。
レースモードを用いると、1秒間に10Hz(1秒間に10回のデーター送信)でデータ転送を行う。これにより、ライダーが生み出した微妙なパワー変化を確実に捉えてシステムに転送することが可能になった。ZWIFTで最後の勝負がかかった時に、スプリントを比類ないレベルにまで引き上げることができるようになる。
レースモードを使用するためには、有線ケーブル接続またはWi-FiでMageneユーティリティアプリを使用する必要がある。
T600は4つの接続方法を実装しており通信の干渉を防止する機能が盛り込まれている。
- BLE FTMS
- ANT+ FE-C
- イーサネット(有線)
- Wi-Fi(2.4GHz)
BLE FTMSとANT+ FE-Cに加え、有線のイーサネットと無線のWi-Fi(2.4GHz)で接続ができる。この4つの接続方式により、さまざまな機器やアプリと簡単にペアリングすることができる。
T600は3チャンネルのBluetoothを搭載しているため、スマートフォンやタブレットなど最大3台のデバイスを同時に接続できる。スマホのTrainerRoadでトレーナーをコントロールしながら、同時にタブレットのZwiftにパワーデータをアップロードするといった使い方ができる。
T600の製造には自動車用のダイカスト技術が用いられている。スリムなデザインながら構造強度を向上させている。
心拍計ブリッジ機能は、心拍計がANT+にしか対応していない場合でも、スマートローラーが間に入ってBluetooth対応デバイスに接続することができる。ANT+専用心拍計でもスマートフォンやタブレットに接続できるのだ。
ガーミンHRM4-RUNやHRM4-TRIのようなデバイスがこれらに該当するが、T600を用いるとBluetoothスロットを1つ解放できるので、Apple TVにおける2台のBluetoothデバイス接続制限を突破できる。
騒音はわずか56dbの静音設計だ。T600はベルトドライブを使用しないため、静音性が向上している。ボディは一体型設計により、内部スペースを最小限に抑え、振動ノイズを低減することに成功した。合わせて、折りたたみ式の脚と大きなハンドルで移動や持ち運びが簡単になっている。
T600は箱から出してすぐに使えるコンプリートセットになっている。フロントホイールライザー、4mmバイクトレーナーマット、11-28Tカセット、Bluetoothアダプター、スルーアクスルアダプターが付属する。
T600仕様 | |
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重量 | 15.6kg |
ハンドル | あり |
最大パワー | 2200W |
勾配再現 | 20% |
測定精度 | ±1% |
慣性モーメント | 動的イナーシャ |
Bluetooth | 対応(3台のBluetooth機器で接続可能) |
ANT+ | あり |
Ethernet | あり |
Wi-Fi | あり |
心拍ベルト・ブリッジ | あり |
ダウンヒルシミュレーション | あり |
路面シミュレーション | サポート(2024年前半のOnelapアプリのアップデートで利用可能) |
トランスミッション・システム | 永久磁石同期モータ |
最大サイズ | 445x735x510mm |
最小サイズ | 445x210x510mm |
騒音 | 56db以下(@1.5m & 25KPH) |
Power Supply | Input:100V~240V;Output:48V 1.35A |
Compatible Wheel | 26”~29” MTB、700C RD |
対応フレーム | 130/135mmクイックリリース、12142mm/12148mmスルーアクスル対応カセット:シマノ/スラム8~11速カセット、シマノ12速カセット、スラムXDR 12速カセット(XDRフリーハブは別売) |
日本国内の販売は行われていない。今後も発売する可能性は非常に低いが、スマートトレーナーは次の時代へ向かおうとしている。