日本ではありえない記事だ。
海外大手メディアRoad.ccで「スペシャライズド・ターマックSL8にアップグレードしない理由は以下の通り。」という記事が公開された。
日本であっても海外であっても、メーカーとメディアの間に波風を立てないのはビジネス的には理解できる。しかし、「アップグレードしない」という明確に片方に倒れる判断を公言し、買わないという結論を下すことは非常に珍しい事態だ。
記事を執筆したのはJamie Williams氏だ。road.ccにフルタイムで加わっている。技術系ニュースをメインに、同メディアのYoutubeチャンネルの作成に関わるなどメディアのかなめだ。
Jamie氏の愛車はもちろんTARMAC SL7だ。自腹で購入してすでに2年以上乗っている。Tarmac SL8発表後すぐさま、2週間試したという。記事の冒頭で結論が書かれており、以下のような内容で始まっている。
この新しいロードバイクはアップグレードするほど私を感動させたのだろうか、それとも私は当面SL7にこだわるのだろうか?答えはもうお分かりだろうが、この記事とビデオでその理由を説明しよう。
様々な角度からTarmac SL7とSL8が検証され、記事は次のように締めくくられる。
“So, will I be upgrading? Nope, probably not.”
(では、私はアップグレードするのだろうか?いや、たぶんしない。)
記事の内容も直球で、SL7とSL8どちらであっても「コストパフォーマンス賞」を受賞するようなバイクではないこと、現代のバイクはどれも高性能であるため、SL8の性能の95%は半額以下のバイクでも手に入れられるようになった、とまで辛辣に書いている。
スピードについては、計測して違いがでるほどの速さは確認できなかったという。時速45kmで約8ワットの節約も、ほとんどの人のライディングは平均してそんなスピードには出ないため、8ワットといううたい文句よりも少ないアドバンテージしか一般人は得られないと結論づけた。
剛性対重量比は33%の大幅な向上があった。2台のバイクを乗り換えると、最も顕著な違いとして体感できるほどだったという。SL8はリアエンドに張りがあり、リアエンドが “ダイレクト “なバイクに変化していた。
軽さについても、フレーム重量がわずか680gであることは、非常に優れた技術の結晶であると評価している。
しかし、この「数字」が他のフレーム重量を圧倒しているにもかかわらず、現実の世界ではほとんどのライダーにとって重要かどうかは疑問が残るという評価を下している。
リアコンプライアンスが6%向上については、現実の世界ではタイヤ交換の方がはるかに支配的であるため、判断が難しいと評価された。コンプライアンスに対して「タイヤが支配的」であり、私もこの点については強く同意する。
結論としてはSL7からSL8へのアップグレードは”しない”という結びになっている。そして、S-Works SL8に装備されているRoval Rapideの一体型コックピットの購入を検討するほうがいいだろうとアドバイスが添えられていた。ワット数の50%以上を節約でき、SL7の一体型でないものよりも50g軽いからだ。
SL8にアップグレードする理由のひとつは、リアエンドのコンプライアンスが向上がある。スペシャライズドによれば、このコンプライアンス強化の主な動機は、プロチームが連日6時間のステージで打ちのめされることなく、26mmタイヤで数ワットを節約し続けられるようにするためだった。
SL8は、SL7のすでに素晴らしいプラットフォームをあらゆる面で改善している。しかし、大きな変化がなく、コストをかけてまでアップグレードすることは正当化できないという厳しい結論がならんでいた。
最後に、SL7やSL8どちらのバイクも持っていないとしたらどちらを選ぶかについても言及している。結論は、SL8を購入したほうがいいという。理由として、SL7よりもあらゆる面で”わずか”に優れているからだ。
総じて、すでにSL7のユーザーは、SL8にアップグレードするほどの性能向上やコストバリューはないようだ。