Compatible with a new, as of yet unannounced Shimano rear derailleur standard.
(未発表の新しいシマノリアディレイラー規格に対応)
opencycleの新型バイクの紹介で、この興味深い一文が公開された。
Opencycleは、グラベルバイクとロードバイクのフレームのメーカーで、スイスのバーゼルに拠点を置いている。この何気ない一文には、新世代のシマノリアディレイラーのヒントが隠されている。
Opencycleの新型バイクの説明にはさらに以下の一文がある。
UDH rear derailleur hanger as we already discussed.
(UDHリアディレイラーハンガーについては、すでに説明した通り。)Compatible with a new, as of yet unannounced Shimano rear derailleur standard.
(未発表の新しいシマノリアディレイラー規格に対応)
どういうことだろうか。
SRAMが主導し、事実上のデファクトスタンダードになったUDHに対応するリアディレイラーハンガーを有しながらも、「未発表の新しいシマノリアディレイラー規格に対応」するという。
いま、大手メーカーから登場するMTBやグラベルバイクにはUDHが搭載れているが、シマノの未発表リアディレイラーもUDHに対応してくる可能性がある。
UDHの表向きは、交換部品が入手しやすく、構造も簡素、どのブランドのディレイラーであっても(もちろんシマノも)使用できる。標準化された位置決めなど、多くの利点がある。
SRAMは1段階目としてUDHを市場に投入した。ある程度業界にUDHが普及して、規格がこなれてきたあと、2段階目として密かに出番を待っていた新しいイーグルトランスミッションのフルマウントがデビューした。
UDHは見事にトロイの木馬の役割を果たした。
UDHはどうだってよく、UDHがマウントできるフレーム設計が欲しかったのだ。SRAMの目的はフルマウントに他ならない。
ただし、シマノがUDH規格に対応したフルマウント式リアディレイラーを開発することは可能だが、パテント問題は必ず絡んでくるだろう。パテントをうまくすり抜けたマウント方式をシマノが採用してくるのか、それとも全く別の方法で「未発表のリアディレイラー」を展開してくるのかは未だ不明だ。
Opencycleの記事を見る限り、シマノはすでにフレームメーカーに新しいリアディレイラーのマウント規格の通達をしていることは間違いない。その影には、「未発表の新しいシマノリアディレイラー規格に対応」した新型リアディレイラーの存在が間違いなくある。
しかし、グラベルやMTB、さらにはロードにまで普及しつつある事実上のデファクトスタンダードになったUDHの存在をシマノは無視することはできないだろう。ユーザーにとってみれば、UDHは非常にありがたい規格だ。
すべてが定数化されており、スルーアクスルの規格すら統一されている。
王者シマノがどこまで譲歩するのか。2024年末から2025年はじめにリリースが予定されている新型XTRですべての答えが出るだろう。