ブレーキを検知してテールライトを点灯させたい。
こう思ったのには理由がある。クルマを運転していたとき、たまたま前を走っていたサイクリストがブレーキと連動するテールランプを使っているのを目撃したからだ。信号で停止するたびに、リアライトが点灯する。
日中帯にもかかわらず、視認性が高いだけでなく「減速をしている」という注意喚起にもなっていた。後続を走るクルマの運転手への配慮も素晴らしいデバイスだと感じた(サイクリストは手信号だしていなかったが・・・)。
「認識させる」という仕事をテールライトがサイクリストの代わりにおこなってくれるのだ。
「ああ、これは導入すべきだ」と直感的に思った。自分自身の安全もそうだが、後続を走るドライバー、一緒に走ってくれるサイクリストに対する配慮のほうが大きい。しかし、いざこのタイプのテールランプを探してみると、対応している製品はそれほど多くはない。
減速を検知しライトを点滅させるためには、加速度センサーを搭載する必要がある。それゆえ値段もそれなりに高くなる。そんな中2000円台で見つけたのがROCKBROSのテールライトQ4だ。
Q4は加速度センサーを搭載しブレーキを検知する機能を搭載しながらも、様々な機能を搭載する多機能なテールライトだ。
- ブレーキを検知し高輝度発光
- 振動検知で自動点灯
- 3段階の輝度変更
- 5つの点灯モード
- 輝度と点灯を組み合わせ可能
今回は、実際にROCKBROSのテールライトQ4を試し機能や使い勝手を検証した。
ブレーキセンシング
Q4にはブレーキをかけると最大輝度で発光する機能が搭載されている。
停止時や急ブレーキを行うと、重力加速度を検知して3秒間発光する。クルマの場合はブレーキランプが点灯することで前方車両の減速を知ることができるが、自転車は距離感だけで減速を判断する必要があり、後続車は減速を知る術がなく危険な場面を呼びこんでしまうことが多い。
それゆえ、集団走行時や車道走行時において、減速と連動して発光する本機能が役に立つ。トレインを組んで走行している際でも、減速していることを後続にはっきりと伝えられる。車道においてはクルマや歩行者への注意を促すこともできる。
夜間走行においては、もはや必須にしたいほど便利な機能だ。テールライトを点灯しながら、ブレーキング時には最大輝度で知らせる機能は安全性をさらに高めてくれる。
輝度を変更可能
輝度の変更は3段階で行うことができる。輝度と点灯時間の目安は以下のとおりだ。
- 低輝度:27~54時間
- 中輝度:17~34時間
- 高輝度:7~14時間
連続点灯時間の目安がばらついているが、点灯モードや使用環境の気温などによって大きく変動する。実際に使用してみると低輝度であっても日中帯、夜間帯ともに十分な光量である印象をうけた。
輝度の変更方法は非常に簡単で乗りながらでも操作可能だ。
- 電源がオフの状態にする
- 電源ボタンを長押し
- 長押し中に輝度が変わる
- 電源ボタンを離す
電源ボタンを長押しの状態にすると、輝度が順番に変わっていく。目的の輝度に変更されたら電源ボタンを離して設定完了だ。
5つの点灯モード
点灯モードは5つから選べる。
- 赤・点灯
- 赤・点滅
- 赤・速い点滅
- 赤→青→紫・点滅
- 赤→青→紫・速い点滅
点灯はずっと光り続け、点滅はパッパッと光る。速い点滅はパパパパパと光る。自転車で通常利用する際は「点灯」か「点滅」を使い分けることが多そうだ。充電が減りにくいのはパッパッと光る点滅だ。
色を選ぶことが可能だが、基本的にはブレーキランプの色として世界共通の認識がある赤色を使用することが多いとおもう。赤、青、紫と試したが視認性とブレーキ感を演出する色はやはり赤だと感じた。
そして、ここまで紹介した「輝度」と「点灯」のパターンを組み合わせて使用することも可能だ。組み合わせは15パターンある。
はじめに「輝度」を決めてから「点灯」パターンを決定する。私は定番の「低輝度x赤点滅」を選んだ。動作時間を計測したところ満充電で20時間以上は動作するようだ。ライドが7時間以上でも3回は充電不要で使えそうだ。
輝度と点灯のパターンを組み合わせられるテールライトはなかなか珍しい。青色や紫色がお好きな方はちょっとしたデコ車にすることも可能だろう。
振動検知で自動起動
振動を検知すると自動的に起動するオートモードが搭載されている。30秒間振動を検知しない場合は自動的に消灯する仕組みだ。本機能は夜間で使用する場合かつ、一部の点灯モードでのみ対応になっている。日中帯や明るい環境下では本モードは機能しない。
取り付け方法
取り付け方法は「サドルレール用」と「シートポスト用」の2つのマウントから選べる。どちらも30秒ほどで簡単に取り付けられるが、取り付け方法が異なっている。
- シートポスト用:マウントをゴムベルトで固定
- サドルレール用:マウントをタイラップで固定
愛車のスーパーシックスエボは、エアロタイプのシートポストで細いが厚みがある。ゴムベルトはこのようなエアロタイプのシートポストにも対応していた。マウントもしっかりとしているため振動でマウントが回転してしまうということもなかった。
サドルバックを使う場合はシートポストの高い位置にマウントするほうが良いだろう。
ライト本体とマウントを接続する方法は、ガーミンなどのサイクルコンピューターのように横方向に入れてからひねって固定する方式だ。
バッテリーと動作時間
260mAhの充電式リチウム電池を内蔵しており、TYPE-Cの充電ケーブルを用いて充電をおこなう。充電はUSB充電器、モバイルバッテリー、PCなどから行うことが確認できた。
充電中はテールライトがわずかに明るく光り続ける。満充電になると消灯する。満充電は2時間ほどだ。
防水性能
防水性能はIPX6相当の日常防水レベルだ。
リア方向に取り付けるライトのため、水しぶきや雨なで濡れる心配がある。ライト自体は、濡れる程度には対応しているため走行中の急な雨を受けても故障することはない。ただし、土砂降りの雨や水中での使用はできない防水性能だ。
付属品
- 充電用ケーブル
- レール固定用結束バンド
- シートポスト固定用ゴムベルト
- テールライト本体
- シートポスト固定用マウント
- レール固定用マウント
- 説明書
TYPE-Cの充電用ケーブルは付属しているが、ACアダプターは付属していないため別途用意する必要がある。
まとめ:安価ながら多機能かつ実用的なライト
ここまで見てきたとおり、ROCKBROS テールライト Q4は多機能かつ実用的なライトに仕上がっている。価格も2880円と買い求めやすい設定になっている。
昨今のテールライトの相場は3000円~5000円のモノが増えてきたが、単に光るだけであったり、輝度を変えられなかったりと制限は多い。
それゆえ、テールライトQ4が持つブレーキを検知した発光機能や、 振動検知で自動点灯、輝度変更と点灯モードを好みに応じて組み合わせられる遊びゴコロが盛り込まれており、これらの機能を考えると非常にコストパフォーマンスが高い製品と言えるだろう。
あえて改善点を上げると、「常時消灯+暗闇点灯」の機能も搭載してほしかった。普段は消灯しながらも、トンネルの中に入った際に点灯するような機能だ。Q4には光量を判定する機能が標準で盛り込まれているため、実装してもいい機能だ。惜しいところだ。
重量はわずか22gとほとんど誤差のレベルだ。外装はカーボン調であってカーボンではないが、ABS樹脂とポリカーボネートの組み合わせることによってある程度の衝撃には耐えられる設計になっている。
ROCKBROS テールライト Q4は機能、価格、カスタマイズ性、安全性、実用性を考えても非常に優れたテールライトといえるだろう。