去年見えた風景とは、全く別の世界が広がっていた。
Coupe du Japon白山一里野国際のXCOに出場。石川県白山市の一里野スキー場を使ったコースは、登りと下り、ジャンプ3箇所、ロックセクション、シングルトラックなど複合的なレイアウトで構成される。
昨年も似たようなレイアウトで走ったが、ジャンプは怖くてどうしても飛べず迂回した。今年は3か所のジャンプ区間があり、1つ目は着地の先が直ぐにロックセクションという、いやらしいレイアウト、2つ目はキャニオン、3つ目はただ飛べば良い感じ。
難しいセクションは無いが、平均スピードは17~18km、エリートになると20kmを超えるからスピードコースになる。ハードテールを使う選手もちらほら居るので、難しいドロップはないが、登りを一生懸命登らないとどんどんタイム差が着いていく感じ。
レースのスタートリストには、島田真琴選手が。もはや説明は不要だと思うけど、シマノレーシングで欧州で走った元プロ選手。シクロクロスでも数多くの勝利、2010年の引退まで島田選手の活躍をリアルタイムで見てきたのと、シクロクロスで雲の上の存在なので、走りを見るのが楽しみだった。
というわけで、トップ選手にどこまでついていけるか、おっさんの能力を最大限に引き出して白山XCOに挑んだ。
コースレイアウト
スキー場を使ったコースは、芝、ジャンプ、ロックセクション、砂利、キャニオン、ドロップ、丸太越え、ガレ場、スキー場の登り、シングルトラックと色んな要素が組み込まれている。その割にスピードコースでエリートで平均スピードは20km/hを超える。
それでも下りは40~50km/hほど出るし、いろんな要素が組み込まれた走りがいのあるコースだ。昨年はジャンプ区間が2か所だったが、今年は3か所に増えていた。去年は「こんなの飛べるわけない」とビビッて全部迂回していたため、今年飛べるかとても不安だった。
現地に到着するまで絶対飛べないだろうと思っていたが、見ると「あれ、こんなに低かったっけ」と昨年とは見える景色が全く変わったことに気づいた。もっと大きなジャンプを練習で飛ぶこともあり多少は成長していたようだ。
「こんな小さいのも飛べなかったのか・・・。」と思ったが、はっきりとした成長を感じられたのは良かった。できる事をひとつひとつ、限界を地道に上げていくしかない。
テニスコート横のジャンプ区間は、飛んだ後すぐロックセクションといういやらしいレイアウトだった。昨年は岩がゴロゴロ動くという難しいセクションで、何回も転んで流血したが今年はラインが良く見えて通過することができた。
その後、キャニオン超えがありスピードを付ければ飛べるが、川にはオタマジャクシが大量に生息しているので、落ちると大変なことになる。その後、小さなドロップを下った後にまたジャンプセクションと、短い区間で3回飛ばないといけない。
そのあとは、登りってフィードゾーンへ。少し下ってシングルトラックに入る。去年は岩を避けて走っていたけど、今年は岩の上を最短ルートで通過するラインを走った。去年とは走るイメージが変わっていること、「ここ通れるんじゃないか」というイメージが湧くようになったのは大きい。
これは、菖蒲谷の小野さんが主宰するMTBチャレンジで、コースウォークをしながらラインを考えるクセが着いたんだと思う。ライン取りは大事。超大事。走れるか、走れないかは別として。
全体的に難しいセクションは無いが、スピードコースになるためタイム差が付きやすい。ミスも大きなタイムロスになる為丁寧に集中して走ることを心がけた。
白山一里野XCO MM 総合3位、年代別優勝
去年は知り合いもほとんどおらず、一人で寂しく、わけがわからぬまま試走してたけど今年は藤川さん達と走りつつ、笛木さんらとも走った。試走というよりは、楽しく走っただけだけど人の走るラインはとても参考になる。
前日試走もダラダラ7~8周ほど反復しながら走ったので、おおむね全体のイメージはついた。
レースは、MMナショナルチャンピオンで世界戦帰りの岡本選手とペダル島田選手にどこまで食らいつけるか・・・、という想像をしていた。どれだけ想像しても、着いていけないものは着いていけないので、自分のベストを尽くすという走りは変わらないのだけど。
スタートは安定の岡本さんと酒井さんに挟まれて、最初の登りに入る。岡本さんはペースで進むが、初めの登りでトラバースする区間でもう島田選手が上がってきた。やっぱり脚もテクニックもあるしこのスピードは速い。
パワーメーターを見ると、450W前後で張り付いている。8倍近く出てるけどこれはインタ-バルメニューでも1分持たない。しかもレース序盤で1時間近く走らないといけないのに序盤からかなりの高強度だ。
岡本選手を島田選手がパスし、私は3番目でパックになる。フィードゾーンは3名で通過するも、下りで一気に2人から遅れる。両名とも華麗にジャンプ区間を過ぎ、登りが始まる頃に島田選手がややペースダウンした。
私は自分のペースで登りを淡々と踏むと、島田選手をとらえてパスした。おそらく序盤のオーバーペースで一旦呼吸を整えるのかなと思っていた。そのまま1周目が終わり、2周目は2番手で入る。岡本選手との差は20秒と伝えられた。
いつもはこの時点で30~40秒ほどタイム差がつくんだけど、今日はわりと前で見える場所に岡本選手が居た。ただ、岡本選手が上手いのは、序盤のハイペースのままラストまでほぼ同じラップを刻み続ける強さがある。
私もラップを整えることをこころがけているけど、どうしても小さなミスをしてしまいラップタイムが崩れ始めた。集中力は切れていないが、「これ以上上げるとまずそう」というセーブする弱い気持ちになる。これはよくない。
2周目、3周目は島田選手よりも先行していたが、徐々に差が縮まってきており抜かれるのは時間の問題だな・・・、と思いながらも淡々とペースを刻んだ。
登りで島田選手にパスされた後、気温が上がり暑さで掛水を何度も頂いた。今回もAXのniwaさんや、恐らく中曽さんから掛水を毎周回掛水を頂いた。風も無く暑さでやられそうだったのでとても助かりました。ありがとうございます!
3周目以降は、集中力が切れて小さなミスをすることが多発した。2つ目のジャンプ後に小さなドロップがあるのだが、ラインをミスってコースアウトして転倒してしまった。これでリズムが崩れて、大幅にタイムロス。
すぐさまジャンプセクションが登場するのだが、スピードが乗らないままジャンプに挑戦して成功したのはレース中にしては今のスキルにしては頑張ったと思う。
そうこうしているうちに、島田選手ははるか遠いところへ。後半に一気にタイムが落ちかなりバラついているのがわかった。暑さもあったと思うが、もう少しペースアップできる中、キツさがあり踏み抜けなかったというのもある。
後半になると、途端にペースダウンするのはどうしたらよいものか。最終周回はできるだけ早くセクションをクリアしようと思って走るが、そこまでタイムは縮まらなかった。
結局、島田選手から1分遅れ、岡本選手からは2分半ほど遅れてゴール。なかなかタイム差は縮まらないもんだ。まだまだ下りは遅いし、下手くそだけど、小さな成長を確実に感じられているのは嬉しい。
レース後、島田選手や岡本選手とお話ししたが、このレベルの選手とのタイム差をもう少し縮めたいところ。またトレーニングをしなおさないといけない。フィジカル、テクニック、全てにおいて劣っている。
今回のレースで思ったのは、日々のトレーニングから、走ったことのないセクションや、難しいと感じるセクションに挑戦して反復練習する大切さだ。確かに怖いし、恐ろしいドロップやジャンプは多数あるけど、挑戦しないと上手くはならない。
そのうち、怖かったような場所も、スキルや限界値が上がれば「あれ、こんなところも飛べなかったのか」と思うようになる。そこに必要なのは勇気なのだけど、なかなか怖いもんなんだけど、段々とその限界値は上がっていくと思う。
ジャンプは余裕が無いと出来ないが、そこまで持っていくには多くの経験を積まないといけない。その感覚が今回得られただけでも収穫だった。確実に成長はしているとは思うけど、そのためには、また転びながら何度も練習するしかないな。
次戦の湯船CJは家族旅行のためパスして、6月は菖蒲谷のMチャレに参加。小野さんの作る厳しいコースを走ったから今があるなぁと、常々思う。7月までは菖蒲谷でできるだけ走り込んでスキルアップしないと。
今シーズンも折り返しに差し掛かろうとしてる。どこまでやれるかわからないけど、怪我をしないように徐々に調子を上げていきたいと思う。
- バイク:SPECIALIZED S-WORKS EPIC 8 Mサイズ
- ホイール:Roval Control World Cup
- ショック:ROCKSHOX Flight Attendant 120
- バイアス:0
- サスペンションセッティング:F 58psi(12クリック)、R 133psi(8クリック)
- サスペンション潤滑剤:WPL Forkboost Lube
- R タイヤ:SCHWALBE レーシングラルフ スーパーレース 2.35、1.28bar
- F タイヤ:SCHWALBE レーシングレイ スーパーグラウンド 2.35、1.24bar
- タイヤインサート:Vittoria AIR-LINER LIGHT
- グリップ:Ergon GE1 Evo Factory
- チェーンオイル:モルテンスピードワックス
- ジャージ:サンボルトシームレスレーシングセパレートワンピース
- シューズ:Suplest XC
- ドリンク:サウルススポーツドリンク
- メンテナンス:RINGOROAD