Lightweightのチューブラーモデルとクリンチャーモデルの前輪重量について。単純にスポーク本数が異なるモデルを引き算する。そうすると、クリンチャーモデルとチューブラーモデルの1本あたりのスポーク重量が異なっている。これはなぜなのだろうか。
そんな疑問を先日、述べた所色々とご指摘を受けた。
というわけで改めて考えてみた。色々話を聞いたり指摘を受けて再考した。最終的には「リム幅が違う!」という所に落ち着いたが、どうもそうではないらしい。原因は違うところにあるようなのだ。
Lightweigtのフロント重量差
以下にチューブラーモデルのスペックを記す。
- 2014 MEILENSTEIN 16/20 TU
- フロント 475 gr
- リア 625 gr
- RIM DEPTH47,5 mm
- RIM WIDTH20 mm
- SPOKES (FW/BW)16/20
- Spokes: bladed | 5mm
- TYRE WIDTH19-27 mm
- MAX. SYSTEM WEIGHT100 kg
- 2014 MEILENSTEIN 20/20 TU
- フロント 500 gr
- リア 625 gr
- RIM DEPTH47,5 mm
- RIM WIDTH20 mm
- SPOKES (FW/BW)20/20
- Spokes: bladed | 5mm
- TYRE WIDTH19-27 mm
- MAX. SYSTEM WEIGHT120 kg
上記のMEILENSTEINチューブラーモデルの場合、フロント重量をそれぞれ引いてみる。そうすると500-475で25gと出る。この25gがスポーク4本分に相当すると(リム、ハブは同一としたと仮定して)一本あたり6.25gとなる。
スポーク本数によってやハブやリムを変えている場合も十分に考えられるが、推測の域を出ず、今回はリムもハブも同一のものを使っていると仮定し、話を進めている。
- 2014 MEILENSTEIN CL 16/20
- フロント 520 gr
- リア 660 gr
- RIM DEPTH47,5 mm
- RIM WIDTH20 mm
- SPOKES (FW/BW)16/20
- Spokes: bladed | 5mm
- TYRE WIDTH18-25 mm
- MAX. SYSTEM WEIGHTS120 kg
- 2014 MEILENSTEIN CL 20/20
- フロント 540 gr
- リア 660 gr
- RIM DEPTH47,5 mm
- RIM WIDTH20 mm
- SPOKES (FW/BW)20/20
- Spokes: bladed | 5mm
- TYRE WIDTH23-25 mm
- MAX. SYSTEM WEIGHTS120 kg
上記のMEILENSTEINクリンチャーモデルの場合、フロント重量をそれぞれ引いてみる。そうすると540-425で20gと出る。この20gがスポーク4本分に相当すると(リム、ハブは同一としたと仮定して)一本あたり5.00gとなる。
チューブラーの場合は25g(F20H-F16H)の差だった。一本あたり6.25gである。クリンチャーモデルは20g(F20H-F16H)の差で、1本あたり5.00gである。この5gの差は何か。単純に引き算した場合以下の仮説を立て考えてみた。
1.25gの仮説1:リムを変えている場合
TUとCLのスポークは同一長、同一重量とすると1.25(合計5.00g)の差はどこに生まれるのだろうか。仮説としてスポーク数でリムを変えているとすると次のようになる。
TU/CL双方スポーク重量が1本あたり5gの場合
TUの場合4本で20gだ。しかし、500-475で25gと出る5g分はリムが重くなっているのか。ただリム幅とリム深さを見るとプロファイル自体に違いはなさそうだ。またCLの場合は5gで統一した場合は差がない。
TU/CL双方スポーク重量が1本あたり6.25gの場合
TUの場合4本で25gだ。この場合TUのリムの重量に変化はなさそうだ。6.25gとした場合、クリンチャーはどうか。540-425で20gと出る。結果”-5g”と出るがクリンチャーリムも同様にリム幅とリム深さを見ると、プロファイル自体に違いはなさそうだ。どうやらリムを変えているわけではなさそうだ。
この考えに至る仮定で「リム幅が違う」という事を考えていた。実はそれはデーターの見間違いだった。以下の情報から「リム幅が違う」と思い込んでいた。以下のように同じ”MEILENSTEIN”でも2013年のモデルの情報を見ると19.5mmという廃盤になったモデルが存在している。重量もいくらか現行より軽い。
調べていると、19.5mmと20.0mmのMEILENSTEINが存在して疑問に思った。理由は2013年モデルと2014年モデルの違いのようだ。2014年モデルはリムハイトが47.5mmの20.0mmに変更されている。ところが2013年モデルは53.0mmの19.5mmだ。
2014年のMEILENSTEINは全てリム幅20.0mmに統一されている。
- 【廃止】2013 MEILENSTEIN 20/24 TU
- フロント 500 gr
- リア 625 gr
- RIM DEPTH53.0 mm
- RIM WIDTH19.5 mm
- SPOKES (FW/BW)20/24
- Spokes: bladed | 5mm
- MAX. SYSTEM WEIGHT120 kg
- 【廃止】2013 MEILENSTEIN CL 20/24
- フロント 500 gr
- リア 640 gr
- RIM DEPTH53.0 mm
- RIM WIDTH19.5 mm
- SPOKES (FW/BW)20/24
- Spokes: bladed | 5mm
- TYRE WIDTH19-27 mm
- MAX. SYSTEM WEIGHTS120 kg
上記のように「リム幅説」はどうやら2013年と2014年を比較していた間違いだった。2014年モデルはリム幅の違いはない。どうやらこの仮説はやや違うようだ。
1.25gの仮説2:スポーク長が違う場合
TUとCLそれぞれおいて、スポーク本数に限らずリムとハブが同一という条件ならばスポーク長が違うのか。見た目ではスポーク長は変わらない。ただ、リムがクリンチャーとチューブラーそれぞれリム形状が異なるので「リム内部に入り込んだスポーク長」が異なっているのだろうか。
実際に割ってみないことにはわからないが、その場合チューブラーのほうがスポーク長は長く、クリンチャーのほうが短いといえる。クリンチャーの場合はリム剛性を確保できていると想像しているので短くしても問題ないとしている、のだろうか。
事実、もしかしたらあながち的外れでもないかもしれない。ここでチューブラーとクリンチャーの対応最大体重をおさらいする。
- 2014 MEILENSTEIN 16/20 TU:100 kg
- 2014 MEILENSTEIN 20/20 TU:120 kg
- 2014 MEILENSTEIN CL 16/20:120 kg
- 2014 MEILENSTEIN CL 20/20:120 kg
上記のとおり、フロント16HのTUのみ、対応体重が100kgまでだ。かたやクリンチャーの16Hは120kgまで対応している。ということは”どこか”に16本のスポークでも20kg分の余裕を持った剛性を確保することができているのではないか。ハブとスポークが同じだとするとやはりリムということになる。
クリンチャーのリムの剛性が高いとすると、スポーク長をいくらか「短くしているかもしれない」という事も1つの仮説として導き出せる。
1.25gの仮説3:Lightweigt社の数値表記の影響
実のところ、色々と仮説を立て、考察したが、フェイスブックページでご指摘いただいた最も確からしい内容が数値表記上の誤差かもしれない。このライトウェイト社の『5刻み』の数値表記方法に影響されているのではないか。
ということで、2014年から2013年に発売されたホイールの重量スペックを以下のとおり確認してみた。
- 2014 AUTOBAHN:リア 780 gr
- 2014 AUTOBAHN VR:フロント 830 gr
- 2014 FERNWEG TU:フロント 640 gr
- 2014 FERNWEG TU:リア 780 gr
- 2014 FERNWEG CLINCHER:フロント 720 gr
- 2014 FERNWEG CLINCHER:リア 820 gr
- 2014 GIPFELSTURM:フロント 450 gr
- 2014 GIPFELSTURM:リア 575 gr
- 2014 MEILENSTEIN OBERMAYER:フロント 395 gr
- 2014 MEILENSTEIN OBERMAYER:リア 540 gr
- 2014 MEILENSTEIN 20/20:フロント 500 gr
- 2014 MEILENSTEIN 20/20:リア 625 gr
- 2014 RUNDKURS:フロント 555 gr
- 2014 RUNDKURS:リア 620 gr
- 2013 MEILENSTEIN 20/24 TU:フロント 500 gr
- 2013 MEILENSTEIN 20/24 TU:リア 625 gr
- 2013 MEILENSTEIN CL 20/24:フロント 500 gr
- 2013 MEILENSTEIN CL 20/24:リア 640 gr
上記のとおり1の位は全て5g刻みである。
ということは、Lightweight社のスペック表記は四捨五入されている。従って次のように仮説が立てられる。クリンチャーモデルとチューブラーモデルそれぞれ製品化した際の重量は当然異なる。それぞれのモデルの平均値の1の位を四捨五入した場合差が生まれる。
Lightweight社が5刻みで表すという表記方法をとっていると仮定すると、クリンチャーとチューブラーでフロントホイールを「単純に」引き算してしまった場合、1本あたりの差が出てもおかしくない。この方が腑に落ちる。
私は当初、構造的な問題をどうしても追いかけてしまった。しかし、製品の重量数値表記のポリシーの違いの方が「5gの誤差」の話は有力だといえる。当初なぜ5gの差が生まれるのか非常に興味を持った。構造的な部分が見えない状況下では仮説1~3を見ていくと3が有力である。
まとめ:
結論だけ見ると、「なんだそんなことか」である。しかし疑問に思った初めは、5gの差がどこに生まれているのか知る由もなかった。5gの所在を追っかけていくとライトウェイトが年度によってマイナーチェンジをしている事がわかり面白い。
実際の所、Lightweight社は細かな数値で重量を表していない。全て5刻みだ。私が当初疑問に思っていた「前輪のスポーク重量差」はどうやら数値表記の仕方、ただそれだけのようだ。
しかし、その一つの疑問から様々なLightweightの特徴を知ることが出来たのでこれは収穫である。究極の回転体の数値表記は意外とアバウトなのかもしれない。
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