この記事を記載後、実際に購入しインプレッションを行いました。
それでもカンパを選んだ理由 BORA クリンチャーインプレッション
意外な程に騒がれていないホイールが有る。私は発売すれば間違いなく購入するであろうホイールだ。それはカンパニョーロのボーラ35クリンチャーだ。ボーラ35(以下50を含む)は発売後、流行のワイドリム化の波に乗りマイナーアップデートを果たした。その際に密やかにボーラ35クリンチャーのアナウンスがされている。
ボーラ35クリンチャーが以外なほどに騒がれていない理由は、MAVICのフルモデルチェンジ、EASTONのスポークまでフルカーボンの超軽量ホイール、シャマルやレーシングZEROのアップデートとホイール界隈が騒がしいからだろうか。
私自身、「今こそカーボンクリンチャーの闇の部分について語ろう」や「他社より6倍失敗例あるレイノルズのカーボンクリンチャー開発者」でもさんざん語っているように、カーボンクリンチャー愛好家としてこのプロダクトの可能性に期待している。
そこに伝統を重んじるカンパニョーロが「カーボンクリンチャー」なんて製品を出すことに驚きと喜びを感じている。しかし、あまり騒がれずむしろなかったコトにされているボーラ35クリンチャーについて見て行きたい。
ボーラウルトラ35クリンチャーのスペック
ラインナップは2種類ある。ボーラウルトラ35とボーラワン35のクリンチャーである。それぞれ住み分けはハブのベアリングだけだが、ステッカーの文字も違うのでルックスを気にする人は要注意である。
ボーラ35クリンチャーの重量
ボーラウルトラ35とボーラワン35それぞれ重量が異なっている。主にベアリングの重量が寄与している。リム自体には違いがないとされている。
- ボーラウルトラ35クリンチャー:1370 g(F575g / R785g)
- ボーラウルトラ35チューブラー:1160 g(F480g / R690g)
- ボーラワン35クリンチャー:1406 g(F600g / R805g)
- ボーラワン35チューブラー:1215 g(F505g / R710g)
- ボーラウルトラ50クリンチャー:1435 g(F630g / R805g)
- ボーラウルトラ50チューブラー:1215 g(F520g / R695g)
- ボーラワン50クリンチャー:1485 g(F575g / R785g)
- ボーラワン50チューブラー:1265 g(F545g / R720g)
なお、オフィシャルのカンパニョーロ社の2015年カタログは誤表記(だとおもう)。BORAのプロダクト名がチューブラーから並んでいるはずだが、BORA ONE35だけクリンチャー表記が2つ有る。先に記載されているのがチューブラーで、後に記載されているのがクリンチャーだ。この辺は代理店の方は、コピペしないように注意が必要かもしれない。
リム幅は全て24.2mmのワイドリム化している所が一番大きなポイントと言える。ワイド化は今後もホイール界でスタンダードになって行くと予想している。
ボーラクリンチャーのリム
ボーラのカーボンクリンチャーは、新設計のリムを採用している。この新しいクリンチャーバージョンのリムで改善された点は、3Diamantという技術を使用しているという点だ。
3Diamant技術は前作と異なり、大幅にウェットとドライの両方の条件において制動性能を飛躍的に向上させている。3Diamantの制動性能は、シャマルといったハイエンドアルミホイールにような性能を実現しているらしい。
実際、時代の流れで24.2mmというワイドリム化を果たしているわけだが、カーボンクリンチャーという構造上、ブレーキ面が非常に弱い(チューブラとくらべて)。この辺の話は、「他社より6倍失敗例あるレイノルズのカーボンクリンチャー開発者」で記したとおりだ。
実際にカンパニョーロはカーボンの加工技術はディレイラーでもふんだんに用いている通り、ある程度の技術力は有るといえる。ただ、初のカーボンクリンチャーとであるため、破損や耐久性の部分に関しては未知数である。
ボーラウルトラのCULTベアリング
ボーラウルトラ35はお馴染みのCULTベアリングを用いている。ボーラワン35の差別化はこのCULTか否かだけであるが、この部分は機材の性能としては回転部の為、非常に差が大きい。だが、価格差も非常に大きいのがネックだ。
CULTベアリングについては、情報が出きっており既に有名すぎて補足はいらないかもしれない。しかし復習を兼ねて確認しておく。CLUTベアリングは、セラミックボールベアリングと、ドイツのシェフラー社のCronitectクロムステンレス鋼製ベアリングレースを用いている。
この組み合わせにより、非常に硬く摩耗に強い軸受として作り上げられている。シマノのホイールと同様にボールを交換できるが、シマノのホイールにセラミック球を入れると削れてしまう場合もあるので注意が必要だ。その辺の強度や摩耗を考え、本ベアリングレースを採用している。
カンパニョーロテック・ラボが公開しているCULTベアリングの結果は以下のとおり。
- ボーラワンのベアリングよりも9倍滑らかである
- ベアリングとボールは摩耗しない
- 世界で最もなめらかなグリースを充填
- 3.5W以上の抵抗軽減
これだけでも非常に魅力的だ。ただ値段はそれ相応非常に高価である。
バルブ重量を考慮したバランス設計
ホイールのバランスは回転性能に影響を及ぼす。その為重りを付けたりするわけだが、カンパニョーロの場合はダイナミックバランスという機構を取り入れている。アルミホイールと、カーボンホイールではその作りこみが異なる。
カーボンホイールの場合は、バルブの対向側のリムの積層と編み方を変えている。この重量差によりリムが常にバランスよく回転するようになっている。小さな所にも抜かりがないBORAのカーボンリムは非常に魅力的である。
まとめ:カーボンクリンチャーの本命か
恐らくボーラのカーボンクリンチャーが話題にならないのは、未だカーボンクリンチャーに対して懐疑的な部分が有ることと、他社ホイールの刷新がめまぐるしい事が挙げられる。カーボンクリンチャー愛好家の私の中では大事件なのだが、あまり人と被るのもアレなので、あえてボーラのカーボンクリンチャーを購入してみたい。
ただ、カーボンクリンチャーというリムに関してはレイノルズが2~3歩先に行っているように思える。ただ、24.2mmの幅にしてきたことはかなり良い印象だ。20mm幅のカーボンクリンチャーはクリンチャータイヤを萎めてしまい、実際に使えないばかりか、グリップ性能や転がり抵抗に影響をおよぼすらしい。
参照:「今こそカーボンクリンチャーの闇の部分について語ろう」
カンパニョーロからカーボンクリンチャーが出ることは夢にも思わなかったが、実践的に使え、タイヤの交換も楽であり、パンクしてもチューブラーのように一発アウトにならない点も大きい。そして決戦用を常に練習用として使えるアドバンテージも大きい。
しかし、未だカーボンクリンチャーは発展途上であり認知度は低い。そしてチューブラーの方が良いに決まっている、という考えが抜け切れない人もまだ多いかもしれない。しかし、実験上裏付けられたクリンチャーの利点と、利便性をもっと知ればこれから普及しても何ら不思議ではない。
まずは、人柱的にボーラのクリンチャーをいち早く使って見る予定だ。ROVALのCLX40Cと被ってしまうが、比較もまた面白いだろう。カンパニョーロが作ったフルカーボンクリンチャーの発売が今から待ち遠しい。