シクロクロスを始める初心者におすすめの機材まとめ

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photo:kei tsuji

「シクロクロスを始めてみたいんだけど、どんな機材をそろえたらいいのか、どんな練習をしたらよいか、まったくわからない・・・。」こんな相談を友人から受けた。彼は実業団で走っているけど、シクロクロスとなるとまったく別の世界の話の様子だった。私は家にある予備の機材を、モノタロウの段ボールに詰め込んで「ITさんシクロクロススターターセット」として送った。信頼がなせる業である(実は2つ入れ忘れた。)。

その次の日、当ブログの読者さんから質問が届いた。「シクロクロス用の初心者用機材」について悩んでいるとのことだった。個別に返信を書いていたら、文章が長くなってしまった。ふと思ったのは、このまま返信してしまうよりも、記事化して同じような悩みを抱えるシクロクロッサーに届けるほうが有益なのではと思った。

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メールの返信は、いつの間にか記事になった。今回の記事は、これからシクロクロスを始める・始めたい人に役立てる記事としてブラッシュアップした。要点だけを抑えた記事を書こうと思う。

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シクロクロスの機材選び

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photo:kei tsuji

「ロードの機材の流用で始められるよ」という話もよく聞く。間違いではないと思う。しかし、私もその道をしっかりと通ってきたのであえて言いたい。敷居を下げてシクロクロスの導入を初心者にうながすのは素晴らしいことだと思うが、機材の特性を考えると本人の”ため”になっているのか少々疑問だ。今振り返ると、2~3回レースに出たら、ネットでシクロクロスバイクの事ばかり調べて、バイクショップに行きたくてうずうずしはじめる。

初心者でもロードの機材じゃなくて、シクロクロス用機材を私は強くお勧めしたい。理由はフレームの設計がそもそも違うからだ。ロードとCXのフレーム設計で大きく違うのはBBの高さ(ハンガー下がり、BBハイト)とチェーンステイ長だ。

スペシャライズドのバイクフィットプログラムで教育をおこなっているTodd Schoeni氏によると、シクロクロスバイク選びではまず、「リーチ」と「ドロップ」の違いを見るという。シクロクロスバイクはバイクを自由に操作しなければならないため、使い慣れたロードバイクジオメトリよりも、ドロップとリーチを短く、かつサドルを下げたり、ステムやハンドルリーチを短くするセッティングをおこなうという。

というのも、ロードバイクはBB位置が低く設計されている。理由としては、重心が低くして走行やコーナーリングを安定させるねらいがある。いっぽうで、BBが地面に近くなるためコーナーリング中にペダルをカキやすくなる。対して、シクロクロスやMTBのフレームはBB位置が高い。重心もそのぶん高くなるが、BBと地面の距離は遠くなる。結果的にコーナーリング時にペダルを掻きにくくなる。シクロクロスやMTBフレームは総じてBB下がりが高め(地面との距離がとおく)に設定されている。

そしてチェーンステイの設計の違いは大きい。シクロクロスは荒れた道を走るため、バイクに安定性が求められる。シクロクロスバイクのチェーンステイ長は425mmだ。ロードはたいてい405mm-410mmだ。この違いはバイク安定性に大きく影響している。そしてホイールベースは全く別物だ。安定性を出すためにCXフレームはホイールベースが長い。ロードバイクをシクロクロスに使えないこともないが、私はまったくお勧めしない。

「ロードフレームでも始められることは間違いないが、シクロクロスを安全にコントロールや操作感を楽しむのならばシクロクロスフレームがいい」と私は答えている。ロードバイクも使えないことはないが、金銭面や使わなくなった機材の再利用以外で、あえてシクロクロスにロードバイクのフレームを投入する理由がみあたらない。

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ところで、最近気づいたのだが、「シクロクロスをやってみたい」という人たちのほとんどは「グラベルロードを走りたい」というわけではないようだ。話を聞いていくと、コーステープが張られた特設CXコースか、もしくはシクロクロスのレースに参加したい、参加するために練習したいという想いがあるらしい。「シクロクロスのレースに出てみたい」という目標が先にある(すばらしい!)。

この感覚は、ロードバイクを初めて購入する人の動機とは逆の思考だ。シクロクロスならではの傾向で大変興味深い。ロードバイクの場合は、フィットネス目的、遠くに行きたい、ロードバイクの速さといった魅力から入る場合が多い。

はじめから、クリテリウムやヒルクライム、ロードレースに出たくてロードバイクを買う人はそれほど多くない。ただ、シクロクロスの場合はどうやらコーステープが張られたレースに出たい、出るための練習をしたいという人が多いようだ(すべてではないが)。

その上で、今回の対象を「初心者」とあいまいな表現で記すよりも、「シクロクロスのレースに出たり、そのための練習でグラベルを走りたいと思っている人」と定義しておきたい。初心者でもすぐさまC4からレースに出たい人でも、初めは初心者だ。難しい話はさておき、初めは壊れることを想定して安くそろえつつも、性能面で不安がない機材を考えてみた。

  • フレーム:アルミフレーム(ディスク)
  • コンポ:油圧ディスクブレーキ(シマノ105, スラムRIVAL)
  • チェーンリング:フロントダブル46/36T,34T or フロントシングル36から42Tの間
  • ホイール:チューブレスアルミホイール
  • ローター径:140mm or 160mm
  • タイヤ:チューブレスタイヤ
  • サドル:使い慣れたもの
  • ヘルメット:今持っているもの
  • グローブ:パッド多め
  • オフロード用ペダル:SPD、クランクブラザーズ、TIME
  • オフロード用シューズ:ハイエンドモデルは硬いので、ソールが樹脂の安いモデル

メーカー名はあえて書いていない。ただ、具体的なメーカー名や製品名も知りたいと思うので、ここからは一例を書いていく。まずは手っ取り早く完成車からみていこう。

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おすすめの完成車

シクロクロスフレームセットの単体売りはしているが、たいていハイエンドモデルだけだ。TREKにいたっては、フレームセットの販売をしていない(US本国ではホワイトBOONEの展開がある)。キャノンデール、ジャイアントも完成車のみ。スペシャライズドはフレームセット売りしているが、S-WORKSだから価格を考えて対象から外した。

というわけで完成車を買うなら以下のメーカーのモデルが、ジオメトリや付属コンポもマトモだとおもう。

  • TREK BOONE
  • スペシャライズド CRUX
  • キャノンデール SUPER-X CAADX
  • ジャイアント TCX
  • アンカーCX6
  • メリダ CYCLO CROSS
  • キャニオン CF SLX
  • FOCUS MARES
  • KONA JAKE

初めは安いアルミで良いと思う。資金的な余裕と本気度がまさればカーボンでもいいだろう。ところで、アルミだからといってバカにしてはいけない。沢田時選手が全日本CX選手権を取った時、使用していたバイクはアンカーのアルミだった。

竹之内選手もクロモリやクロモリをベースにしたハイブリッドクロモリカーボンを使用していたし、実のところ「カーボンディスクブレーキ」のバイクが全日本で勝ったのは2018年の小坂選手がはじめてだ。それまではクロモリ、アルミフレームが全日本選手権を取ってきた(優勝した本人が強いというのが一番の理由だが)。

シクロクロスでは、フレームの素材うんぬんよりもテクニックやフィジカルが重要になってくる。

シクロクロスのレースを走るならば、保守部品の入手性も考えておきたい。エンド金具などを曲げてしまうと、代理店から保守パーツを入手しなければならない。私はTREK BOONEのエンド金具を常に3つ常備している。シーズンで2回潰した。通販メーカーのキャニオンだがエンド金具の入手もかんたんなので安心して購入できる。

女性用を選ぶとしたらキャノンデール、TREK、キャニオンインフライトの650B、アンカー、東洋、パナソニック、KUALIS、TONICがいい。女性用のフレームを選ぶ際、資金に余裕があるならさらにオーダーフレームがお勧めで、東洋フレーム、パナソニック、TONIC、KUALIS、この4大メーカーから選ぶのが良いだろう。

東洋フレームは竹之内選手はもちろん、小柄な福本選手(旧姓)も使用していた。最近では東洋フレームを使用する女子シクロクロッサーが多い。パナソニックを使用している女子選手といえば豊岡選手、坂口選手だ。TONICはアラヤの中里選手と女性はオーダーフレームが目立つ。オーダーは少々値が張るが、ジオメトリがどんぴしゃに合ったバイクに乗るのは気持ちがいい。

女性シクロクロッサーたちが乗るメジャーブランドにも目を向けておこう。今井選手はスペシャライズド、與那嶺選手はGIANTやスペシャライズド、宮内選手はSCOTT(以前はアーサー)、江島選手(MAAP x IN THE WOODS)はキャノンデールSUPER-Xのシングルギアだ。それぞれスポンサーの関係もあるが、女子選手はフレームが悩みの種だ。キャノンデールの44サイズ、TREKの44サイズ、もしくはオーダーで対応したほうがいい。

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ブレーキ

これからシクロクロスバイクを買うならディスクブレーキを選ぼう。シクロクロスにおいてカンチブレーキを選ぶ理由もなくなってきている。海外のプロレース(TELNETやBRIKO)を見ていてもカンチブレーキは絶滅したようだ。ローター径は160mm、140mmどちらでもよいと思う。

2016-2017シーズンのプロレースはフロントに160mmローターを付けているのが目立ったが、2018-2019シーズンは140mmでどの選手も統一してきている。体重が70-80kgのベルギーやオランダの選手が140mmを使っているのだから、日本人の体重でも140mmで良いとおもう。

シクロクロスという競技の時期や、ブレーキのかけかたを考えてもブレーキフェードは起こったことはない。私は前後140mmを使用している。ローター径は、知り合いと統一しておいた方が融通がきくのでおすすめだ。

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コンポーネント

入手性や保守パーツを考えるとシマノ105 R7000のディスクブレーキ一式をお勧めしたい。フロントディレイラー有り無しについては様々な議論と、考え方があるが、フロントダブル(FDを付ける)から始めても良いと思う。脚力を考えて、どこでも快適に走れるようにチェーンリングは46/36で、スプロケは28T(平坦、オールラウンド)か30T(やや登りある)、32T(結構長い距離登る)どれかを選んでおくのもよいだろう。

ギア比はライダーのパワーやー走り方によって、趣味趣向が異なるので、一例としてとらえておいていただきたい。

私の場合はチェーンリング46/36でスプロケ11-30Tを標準で使用している。平坦の場合は11-28Tだ。マキノ、日吉は登りがキツイから32Tを入れている。46Tと11Tで回すことはないから、ワイドレシオになるように調整している。某ジュニア選手はフロントシングル44Tらしいが、とてつもなくデカイと思う・・・。一般人は真似をしない方がいい。

SRAMのコンポは妻が愛用していたが、あのダブルタップが好きらしい。好みによるが手が小さい人はシマノがいいだろう。そしてブレーキの効きはやっぱりシマノが良い。

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タイヤ

チューブ入りのクリンチャータイヤを使うのはやめておこう。ロードもシクロクロスもチューブレスを使用したほうがいい。チューブレス(TL)とチューブレスレディ(TLR)の違いは、「チューブレス:シーラント不要」で「チューブレスレディ:シーラント必要」だ。私はチューブレスタイヤにもシーラント(Notubeかエフェットマリポーザ)を入れている。保険みたいなものだ。

お勧めのチューブレスタイヤはIRC SERAC CXだ。練習でもレースでもタイヤは変える必要はない。普段の練習でガンガン使っても、関西シクロクロスに全戦出場しても、ほとんどトレッドは減っていない。デュガスのタイヤですらメンテナンスをしっかりすれば3シーズン以上使えるとおもう。C1選手達はチューブラーを使用する人も多い。

しかし私は、チューブレスタイヤのほうが実は好きだ。初めのうちは高価なチューブラータイヤを使うよりも、いろいろ試せるチューブレスタイヤをおすすめしたい。はじめの1本はIRC SERAC CX X-GUARDがお勧めだ。SERACノーマルタイプとX-GUARDの違いは対パンクベルトの有り、無しの違いで分かれている。

両方のタイプを試したところ、X-GUARDは0.2~0.4BARほど空気圧をさらに下げられる(ノーマルタイプと比べて)。それでいてX-GUARDはリバウンドが強く感じ、ダンピング効果が高い。最近では空気圧をできるだけ下げて、サスペンションのように使うことがお気に入りのセッティングだ。

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先日のJCXもSERAC CXを使用した。一度結果が出てしまうと、次もこのタイヤで・・・、と考えてしまいがちだが、必ず試走してから決めている。初めの一本のタイヤは悩まずにIRC SERAC CX X-GUARD。シーラントは念のため60ml入れておこう。SERAC CXででいろいろ試してから、センタースリックやMADタイヤ行っても何ら遅くない。タイヤはいまだに悩むから、楽しみはこれから先に取っておこう。

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ホイール

はじめはアルミのチューブレスホイールでいい。汚れるし壊れてしまうからだ。チューブレスに対応していないクリンチャーホイールの使用は絶対しないこと。自分で試したところ、低圧にすると空気がダダ漏れする(タイヤとホイール径が合わない)。そしてビードが上がらない。おすすめはNoTUBEのチューブレスリムだ。リム1本8000円~9000円ととてもリーズナブルだ。

ハブはCX75、R7000、NovatechかTNIで組めば安く済む。スポークはCX-RAYがいいだろうけど、コンペで十分だ。シマノ完組も良いのだが、やはりチューブレスタイヤを使うのならば、Notubeのチューブレス対応リムが安心だ(チューブレスに関しては老舗で、安心感が違うし内幅がひろい)。もしくはMAVIC OPEN PRO USTのリム。CX用のホイールはスポーク本数を多くして手組で組んだほうが安心できる。

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フレームサイズとポジション

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冒頭でも記したが、スペシャライズドのバイクフィットプログラムでをしているTodd Schoeniによると、シクロクロスバイクは「リーチ」と「ドロップ」の違いをまず見る。シクロクロスバイクはバイクを操作しなくてはならないため、使い慣れたロードバイクよりも、ドロップとリーチが短いバイクを選択することを勧めている。

「Todd Schoeni氏はバイクフィットに関わって10年以上のキャリアを持つベテランフィッター。2007年にSpecializedとDr. Andy Pruittと共に初めてフィッティングの教育を開始した。ロードから、トライアスロン、タイムトライアル、シクロクロス、マウンテンバイクに特化したフィッティングコースをスペシャライズドで実施している。SchoeniはSlowtwitch.comのDan Empfieldとのトレーニングにも付き合っている。最近ではコロラドスプリングズのUSA Cycling HQで開催された「Bicycle Fit」の会議に出席している。」

ロードバイクとシクロクロスバイクの最大の違いは、サドルとハンドルバーの間で「自分が存在している位置を理解すること」だという。「バイクのどこに自分が存在しているか」は操作感覚に大きな影響を及ぼす。そのため、ロードバイクよりも小さなフレームサイズを選んで、ステム長やハンドルリーチを変えて「自分がバイクのどこにいるか」を探る事が重要だという。

というのも大きめのフレームを選んでしまうと、ステム長の調整が難しくなる。そして、フレームサイズが大きいままステム長を長くしてしまうと、フロント側に重心がよりがちになる。シクロクロスのフレームサイズ選びはとても悩むはずだ。基本はロードバイクよりもワンサイズ小さめがいいようだ。そして、cxmagazine.comでよくみかける「伝統的なフレーム選びのアドバイス」としては、より高いBBと、より低いサドル位置に調整する事をおすすめしている。

何度もなんども見返したcxmagazine.comの「伝統的なポジション設定」をあらためて掲載すると、

  • サドル高:ロードと同じ、もしくは10mmほど下げる。
  • ブラケット位置:サドル高よりも10mm~20mmほど高い位置。
  • リーチ:ロードと比べて、サドルノーズからバーセンター中心までの距離を10〜20mm短くする。

シクロクロスは下ハンドルを握らないため、ロードよりもステムは短くなる傾向にある。ハンドルリーチもその分短めで調整する。参考までに私の場合は、ロードフレームのリーチよりもおよそ5~10mm程短いフレームを使っている。今使用しているロードフレームのリーチは378mmだがシクロクロスバイクのリーチは375mm(-3mm)だ。

ロードのステムは80mmでシクロクロスステム長は80mmと同じ長さだ。ハンドルリーチはロードが75mmで、シクロクロス用は80mmだ。そのぶんサドル交代幅を20mm前に出している。cxmagazine.comの伝統的なポジション設定でも、サドル交代幅はロードの50mmバック(UCI規定)よりも10mm-20mmほど前に出した方がいいと紹介されている。

サドルを前に出す理由としては、シクロクロス特有の「高トルク、低回転」が影響しているようだ。大きな力で踏み込むためには少々前乗りのほうが力を入れやすい。cxmagazine.comの「シクロクロス教室」によれば、クリートは土踏まずに寄せて、踏み込んだ時の膝の位置と、母子球の位置が垂直に近づくようにセッティングせよとある。

クリートの位置については様々な議論がされるが、「スコップを踏みつけるときに足裏のどこで無意識に踏みつけているか」を考えて、人間の骨格やつくりからどのポジションが最もパワーを生み出せるかよく観察してみると面白い。

ステムの角度は自由だがブラケット位置と相談して、6°か8°を使用している。ロードの17°や20°ステムは操作がしにくい。ハンドル幅はロードが380mmを使用しているが、シクロクロスは420mmを使用している。420mを使用している理由は、380mm、400mm、420mm、440mmを全て使用して最も扱いやすく、下りでバイクを抑えやすかったのが420mmだった。

実際使ってみて気づいたのは、ハンドル幅は広い方がトレイルの下りで安定するし、疲れにくい。この理由についても触れられていて、たとえば腕立て伏せと同じ原理で、手と手の距離をせまくしてプッシュするよりも、広げた方が安定して楽になる原理と一緒らしい。シクロクロスでは、ロードよりも広めのハンドルをを選んでみるのがいいと思う。

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フロントシングル

MTBとCXの機材は、規格変更やトレンドの移り変わりが激しい。最近ではディスクロードの登場によって落ち着いたようだ。

MTBはフロントシングルにしていたから、CXもフロントシングル40T xリア30T or 32Tで2年間走った。今年はフロントディレイラーを取り付けて46/36Tで走っている。2年前まではCXのプロレースでフロントシングルが多かった。ところが最近のレースを見ていると、女子も男子もフロントディレイラーが取り付けられている。

ワウトやマチューもFIDIA勢も皆フロントダブルだ(シマノDi2、SRAM eTAPのプロモーション的な意味が強いが)。身長と体重が一緒でスタートダッシュが速いラースもダブル。だからフロントダブル(46/36T)にしたわけじゃない。理由は電動コンポーネントのワイヤレス化とセミシンクロシフトにある。シンクロシフトじゃなくて、「セミシンクロシフト」がCXにめちゃくちゃ向いているのだ。

シクロクロスはコース状況を一瞬で判断してギアチェンジする。そうなってくると、フロントの変速をしたり、リア変速したりととても忙しい。今まではフロントを落とすと、一気に軽くなってしまい困っていた。チェーンのたるみがメカトラを引き起こすことが多々あった。そして坂を登り切って、フロントを上げた時に重すぎて出だしが遅れるということがけっこうあった。

この問題は、セミシンクロシフトを使うと解決できる。フロントのギアチェンジと連動してリアディレイラーが自動的に変速してくれる。変速する量は自分でカスタマイズできるし、2パターンインプットできる。対する「シンクロシフト」は、オートマのような変速で、勝手にフロントディレイラーが変わってしまう。しかし「セミ」シンクロシフトは自分でフロントディレイラーを落とさない限り、フロントが変速することがない。

これがめちゃくちゃシクロクロスに合っている。今年からフロントディレイラーを取り付けて走っている理由はここにある。初戦のJCXでドライブトレインのメカトラはなかった。自分の準備不足でフロントのスルーアクスルが緩んで足止めを食らいまくったけど、広島の過酷なコースでドライブトレイン系のトラブルは一切なかったからもはやどこのコースでも大丈夫だ。

また、ULTEGRA RXの登場でワイヤー式、電動共にチェーンのバタツキとは無縁になった。ロードでフロントディレイラーの使い方が鳴れている人は、保険の意味合いで付けておいた方が安心できる。

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重要なショップ選び

シクロクロスを始めるときに、最も重要なのはショップ選びである。というのも第1戦が終わったその帰りにソッコーでメンテナンスに持ち込んだ。あまりにも広島のコースが過酷で、バイクの一部から異音がしたのだ。シクロクロスバイクは、ロードバイクよりもかなりダメージを受ける。

そこでショップ選びがとても重要になってくる。当然オフロード機材(MTBやCX)を扱っているショップがいい。そしてシクロクロッサーやマウンテンバイク系のライダーが出入りしているショップがいい。さらに欲を言うならば、メカニック自身がオフロード系のライダーで、かつ最新機材(もちろんディスクブレーキ)を使っているアンテナの高いメカニックが在籍しているショップがいい。

ロードバイクのみを取り扱っているショップでもよいのだが、MTBやCXのレースバイクを触る経験値はとんでもなく低い。念のためレースバイクを見せる際は、メカニックの経験やこれまで対応した実績を確認しておいた方がいいだろう。「あまり見たことないけど勉強します」というメカニックに対しては、あなたのバイクを教材にしてさらに勉強代も支払う必要などない。慈善事業に興味がなければ、さっさと店を変えてしまおう。

「ロードと同じだろ」と考えている地雷ショップすらあるようだ。自分でバイクを触れるのならば良いが、はじめはショップに面倒を見てもらいながら、いろいろ教えてもらって聞いたほうがいい。私は所属チームのRINGOROADにメカニックを一任している。関西CXを走るシクロクロッサーたちの出入りも多いし情報やノウハウが集まってくる。メカニックは2人ともMTBライダーだ。

ほかにもMTB XCO選手の中原プロ(WIAWIS RACING TEAM)やシケインを乗車で飛び越える和田選手(RINGO ROAD)、コータロー選手(ベッキーシクロクロス)、江島選手(MAAP x IN THE WOODS)といった有名選手も出入りしている。わたしのVENGEやTIMEのメンテから、ホイールメンテまでもRINGOROADのメカニックに一任している。

一見さんお断りの店ではないので、一度行ってみてほしい。チェーン店でもないし大型店でもないが、1人1人に合ったバイク選びの相談に乗ってくれる。最近、当ブログを見て店に脚を運んでくれる人もいるようだ。もしも初めて行く場合は「ITのブログ見てきました。シクロクロスバイク探しています。」というつかみでに通じる。次の休みにふらっと立ち寄ってぜひ、試してみてほしい(何を

RINGOROAD

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まとめ:肝心なのはシクロクロスをやり続けることだ・・・

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photo:kei tsuji

「シクロクロスは何か楽しそうだから始めてみたい。」と、初めは楽しいことしか思い浮かばないかもしれない。私もそうだった。しかしいざやってみると、まったくうまくいかなかったし、楽しくもなかった。初めて乗った時にすなおに思ったことだ。誤解を恐れずにいうと、だれでも1回目のレースはぼこぼこにやられて、散々な目にあうと思う。

シクロクロスのレースは、FTPなんてものがどれだけ高くてもどうにもならない世界なのだ。バイクを速く走らせるための技術は、機材でも、フィジカルでもないのが、シクロクロス独特の奥深さでもある。ロードでは負けない選手に圧倒的な差を付けられて負けてしまうこともある。

私が今こうやって「初心者向きの~」なんて書いているが、初めてシクロクロスのC4に出場したときのこともあえて書いておきたい。カテゴリのC4参加した時「楽勝やろ」、と愚かにも思っていた。参考までに当時のFTPは280Wで今と8Wしか変わらないことを付け加えておく。それでもトップの選手から1分50秒遅れの7位だった。

C4で勝つどころか、30分のレースで3分近い差を付けられたのだ。そのあとに、「あ、向いてないかも」と思って、人から借りたシクロクロスバイクだから辞めてもいいかなと思った。そのあとC1のレースで衝撃を受けたのを覚えている。シマノ横山選手の華麗な走りに感動した。動画にとってコーナーを何度も見返して研究した。2014-2015の関西CXだったと思う。

あれから何年か経って今シーズンがはじまった。まがりなりにも今はC1でせっせと走っている。走ってはいるが、まだまだ先頭パックにはとうぜん着いていけない。「私はシクロクロッサーです」と言っても笑われない程度まで成長できたかもしれないが、まだまだ学びたりない。それでも、タイヤの変化や、体の重心位置、コーナーリング中の動作、斜度や路面に合わせたトラクションの掛け方がほんの少しだけわかってきた。それほどシクロクロスは難しくも奥深いのだ。

私のパワーはC4時代と変わっていない。今違うのは、フロントタイヤとリアタイヤが、コースのどこを通っているのかを、頭と体で理解しつつある。タイヤ幅32mmより少し幅広い泥のワダチに、フロントタイヤを正確に差し込められるようになんども練習を繰り返した。そして体の重心位置の違いでコーナーリングのグリップが変わる(ようなきがするなぁ)という感覚がすこしだけ出てきた。シクロクロスはやはり難しい、けど楽しすぎる。

シクロクロスバイク初めの一台はきっと、夢と希望に満ち溢れているかもしれない。1度や2度レースに出て私のように「うまく走れないからシクロクロスつまんないな」と思っても、もう少しだけ続けてみてほしい。私もC4の時に華麗なC1選手の走りを見ずに帰っていたら、いまごろロードのオフシーズンに入ってつまらないLSDなんてものをやっていただろう。

1台から始まるシクロクロッサーの道は、泥あり、砂あり、シケインありで大変だろうけど、その困難の一つ一つこそがシクロクロスの面白さなのだ。

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サイクリストがシクロクロスに学ぶ10のこと
シクロクロッサー。彼らはハタから見れば、とても特別な事を行っているように見える(当人たちは普通だが)。泥の中を喜んで走り、冬の寒さの中でも短パン半袖という風貌だ。世間一般的には到底受けいれられない競技性と、その特種な条件下で走る彼らは、時として奇異にうつる。 ただそれら一見理解し難い彼らの生態も、知れば知るほど興味深く、そして学ぶべき点も多い。それはもちろん普通の「自転車乗り」もそうだし、もしかし...
泥が生み出す進化の形 CANYON INFLITE インプレッション
シクロクロスのバイクメーカーをいくつか想像してみてほしい。TREK、RIDLEY、STEVENS、FOCUS、SPECIALIZED、というブランドが真っ先に思い浮かんでくる。一方で、「CANYON」と言うシクロクロッサーは、一昔前まではそれほど多くなかった。多くの人は、CANYON」というブランドを想像すらしなかった。 しかし2018シーズンを境にして、CANYONはその名のとおり、大きな渓谷と...
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