Madone SL Gen7 インプレッション!カーボンホイール&105 Di2で税込み82万!

4.5
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まったく一緒だ。

新しく登場したMadone SLは、最上位モデルのSLRとくらべて違いが一切わからなかった。それもそのはず、Madone SLRと同じ金型が用いられ、使用するカーボンが違うだけのミドルグレードモデルだ。

使用するカーボンと製造方法が異なっており、Madone SLRはOCLV800を、SLはOCLV500を使用している。ただ、それだけだ。

Madone Gen7についてまだ知らない方は、別の記事にまとめているのでご一読いただきたい。空力うんぬん、開発背景や設計思想に関してはSLRとSLのあいだに差はない。言ってしまえば、Madone SLは使用するカーボンだけを変更した戦略的かつコストパフォーマンスにすぐれたバイクだ。

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そのほかの違いを確認していくと、搭載してるコンポーネントの様子がおかしい。

Madone SLに使われているコンポーネントは、価格設定を考えてると充実しすぎている。特にハンドルまわりや、ホイールがミドルグレードとしては十分すぎるほどのコンポーネントが付属している。

ハンドルバーは6万円のカーボン製のRSL Aeroだ。SLRのステム一体型とは異なり、調整がしやすい独立したハンドルバーだ。RSL Aeroは2019年に世界選手権を制したマッズ・ピーダスンが現在でも愛用している。

ホイールは155,800円のBontrager Aeolus Elite 50 TLRのカーボンホイールでTLR対応だ。上位モデルと変わらない性能をそなえた高性能ホイールだ。

ミドルグレードの位置づけながら、付属するコンポーネントは十分すぎるほどのスペックだ。Madoneに恥じないアッセンブルといえる。駆動系コンポーネントはSHIMANOの新型105 Di2 R7100系が付属する。

  • フレーム:OCLV 500(SLRと同形状)
  • コンポーネント:SHIMANO 105 Di2 R7100系 (21.2万円)
  • ハンドルバー:BONTRAGER RSL Aero (6万円)
  • ステム:Trek RCS Pro Blendr Stem (1.7万円)
  • ホイール:Bontrager Aeolus Elite 50 TLR (15.5万円)
  • 価格:82万(税込)

フレームやハンドル、付属するホイールの性能を考えるとミドルグレードよりもハイエンドにちかい。コンポーネントのグレードが105だからといって、けっしてエントリーグレードとはかぎらないのが現代の完成車だ。

今回は、TREKのMadone SLのインプレッションを行った。ホイールなど一切変更せずデフォルトのアッセンブルで試した模様をお伝えする。

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見た目がハイエンド

「これ、Madoneの最上位モデルのSLRなんですよ」

と、とうとつにMadone SLを差しし出されて言われたら、正直なところ見破れる自信がない。コンポーネントやハンドルを見てやっとMadone SLだとわかる程度だ。Madone SLRの存在ぐらいは知っている人からすると、SLとの見分けはつかないだろう。

Madone SLは、最上位モデルのSLRそのものだ。

理由は単純で、金型はおろかロゴも同一であるため見分けがつかない。SPECIALIZEDのように、ダウンチューブのロゴが「S-WORKS」と「SPECIALIZED」といった違いがあればグレードの違いを見分けられるが、Madone SLはそうではない。

メーカーにとってみれば、ブランディングや差別化の戦略として上位モデルと下位モデルの差別化は有効だ。しかし、SPECIALIZEDロゴに乗るユーザーからすると、ヒエラルキーやを感じるかもしれないし、逆にS-WORKS乗りは優越感に浸れるだろう。

まぁ、商売はそういう消費者の心を常に刺激し続けていく必要がある。所有欲、承認要求を満たすために、付加価値をつけて、売る。

まず、SHIMANO 105のR7100系Di2のコンポーネントの良さがある。これまでULTEGRA以上のグレードを使うことが多かった。しかし、105を握るだけでは、ULTEGRAなのか、DURA-ACEなのか区別がつかない。

わずかな変速スピードの速さの違い、動作音の違いはあるものの、飛躍的な違いは感じられなかった。

シマノの技術力の高さは、もはや人間が体感できるレベルの違いを生み出さないところにまでたどり着いている可能性がある。重量以外では、105グレードといえど顕著な違いがない。

コンポーネントは「エントリーグレード」の位置づけであるものの、Di2の105はミドルグレード相当の性能を備えていると感じた。Madone SLのグレードが「ミドルグレード」というのも理解できるアッセンブルだ。

わざわざULTEGRA Di2モデルを搭載し、100万円を超えるようなMadone SLを販売しなかったのはTREKの英断である。

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MADONEハンドルが取付可能

Madone SLのもう一つのメリットは、最上位モデルのMadone SLR専用のハンドルが取り付けられることだ。Madone SLR専用に開発されたハンドルは、Madone 第7世代だけに対応する。SLグレードもフレーム形状が同じなのでで取り付け可能だ。

SLのハンドルバーとホイールを変えてしまえば、重量を除いて最上位モデルのSLRと同じだと言っていい。

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インプレッション

Madone SLRとSLの違いは、使用しているカーボンとコンポーネントの違いだ。この2つの違いは主にバイクの重量(軽い、重い)に影響する。ホイールとタイヤを同じにしてしまえば、SLRとSLの違いはうすれていく。

SLRとSLに乗って感じた違いは3つある。

  • かかり方:SLR粘るようにたわみ、SLは跳ね返す。
  • 登り:SLRは軽快に登り、SLは進みが鈍く感じる。
  • 平坦:SLRはパワーを受け止めている時間が長く感じ、SLはパワーを受け止めている時間が短く感じる。

踏み込んだときのかかり方の違いについて感じたことを羅列する。

SLは跳ね返し、踏み込みを抑え込むような特徴が感じられた。明確に判別することは難しいが、以前CANYONのAEROADでもCFRとCFを比較したが同様の傾向があった。

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対して、SLRは粘るようにたわむ特徴がある。どちらが良いと思うのかはライダーの好みによると思う。AEROAD CFRもMADONE SLRも同様に東レのM40Xを使用しているため、非常によく似た傾向が感じられた。

SLRとSLを相対的に比較すると、踏み込んだときの反応はSLのほうがよいと感じる。CANYON AEROAD CFも同様に、「反応が良い」と感じるのはCFのミドルグレードのほうだった。

理由は使用しているカーボンによるところが大きいと考えられるが、カーボンの積層の量や重量といった微妙なバランスが影響してのことだろう。

登りに関しては、当然ながらSLRのほうが軽快感があった。SLも登らないことはないが、登りを攻めるために使うバイクではない。軽量なホイールに変更すればいくらか乗り心地は変わるかもしれないが、Madoneと軽量ホイールは相性が悪いと感じる。

平坦に関しては、Madone SLRとSLの違いがわからない。ホイールをPCW WAKE6560に変更して走行したが、巡航性能に関しては甲乙つけがたいというのが結論だ。平坦を走るときには、SLRとSLの間には価格ほどの性能差は無いと思う。

わずかな違いといえば、SLRはパワーがバイクに受け止められている時間が長く感じられる。対してSLはSLRと比較するとパワーを受け止める時間が短く感じられた。

この表現は、SLRのほうが鈍く、SLのほうが反応が良いと言い変えることもできる。しかし、バイクに与えているパワーは同一であるものの1秒の間にパワーを入力するのか、0.7秒の間にパワーを入力するのかの違いにしかならない。

バイクが進むと感じる総量はそれぞれに違いがない。ただ、「入力のクセ」のようなものがSLRとSLとでは全く異なっていた。

何度も言うように、どちらが良い、悪いという話ではない。カーボンの質や積層の違い、アッセンブルされているパーツなどによる特徴だと推察している。価格が高いから良い、安いから悪いという単純な判断ができないところが、それぞれのバイクが面白いところだ。

ヒルクライムを除き、ある程度の性能を備えたレーシングバイクをほしい場合Madone SLは良い選択肢になる。なにより、ハイエンドモデルと見分けがつかない仕上げとコンポーネントが搭載されており、所有する喜びを高めてくれる。

最新鋭のISOFLOWを搭載したMadoneはこれまでハイエンドモデルだけのラインナップだった。カーボンのグレードを落としてもフレーム造形が一切変わらないSLは大変魅力的なバイクだといえる。

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まとめ:パーツに妥協ナシ、堅実なミドルグレードバイク

TREKはMadone SLのアッセンブルと日本展開の価格に悩んだことだろう。

税抜きで74.54万(税込み82万円)だ。価格としては高い。趣味の一般人がポンと買える値段ではない。しかし、インフレ、円安、人件費増、開発費の高騰、プロモーション費用などを含めて考えてみると現代のロードバイク、かつ世界トップブランドのバイクとしては、コストパフォーマンスが高いと感じた。

特に、BONTRAGER RSL AeroとTrek RCS Pro Blendr Stemの組み合わせは、実際にリドル・トレックのプロ選手がグランツールで使用している。 ハンドルトステムで7.6万円で同社のトップグレードのコンポーネントだ。

戦略的にアッセンブルされたコンポーネント、同一金型、上位モデルと見分けがつかないダウンチューブのロゴ、TREKのバイクにしてはお求めやすい価格などいくつものメリットが感じられる1台だ。

SLRほどの高級カーボンや、高級コンポーネントは不要だが、ある程度のレーススペックがほしい方に最適な1台だと感じる。

TREKの新技術ISOFLOWを体感したい方、第7世代のMadone SLRが欲しくても手が届かなかった方は、新型Madone SLをぜひ試してみてほしい。本日発売、購入可能。

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