- ボトルを取るのが苦手な人に
- ボトルが引っかかってしまう人向け
- 気分で好きなカラーにカスタマイズできる
世の中には「そういうものなのだ」と何の疑いもなく使い続けているモノや、慣例化しているコトはたくさんある。例えばリム重量は気にするものの、リムテープの重量を気にしなかったり、エアロダイナミクスやエアロフレームは追求するものの、空気抵抗の大部分をしめている自分自身のフォームを追求していなかったりと。
それでも重量や速度のように、数値化されて比較が可能ならばまだマシだ。問題は何気ない動きや、クセのような体の動きである。自分自身の行動ひとつにしても、「無駄がないか」と観察していると様々な発見がでてくる。数ある動作のうち、自転車に乗る際に慣例化しすぎていて、もはやアタリマエだと思っていた動作がある。
それは「ボトルを取る動作」だ。
何をいまさら・・・、と思われるかもしれない。実はアタリマエだと思いつつも、窮屈な思いをしながらボトルを出し入れしていた。というのもボトルを出し入れは、ボトルケージの形状に縛られる。私が今まで使っていたのは、ダウンチューブと平行に抜き差しするタイプだった。
これって、実は改善できる余地があるのではないかと考えた。できれば、横に「ポンッ」と取りだすほうが効率がいい。
今回紹介するLIBIQのボトルケージは、これらを解消する”よくある”ナナメ抜きのボトルケージだ。しかし従来のタイプと変わっているのは「変形する」ことで左右どちらでも使えるのだ。その変態系(形態をかえる)ボトルケージのLIBIQをみていこう。
あらゆる使い方に対応
LIBIQボトルケージのポイントは3つある。「抜く方向を変えられる」「色を変えられる」「軽い」の3つだ。通常のナナメ抜きタイプのボトルケージは、右専用であったり左専用であったりと、限られた向きの使用に縛られる場合がある。このような限定された仕様の場合、使い道と使用用途が限られてきてしまう。もしもボトルの抜き差しのマイルールを変更するとしたら、別の向きのボトルケージをさらに買い足す必要がでてくる。
しかし、このボトルケージは「ひと粒で二度おいしい」のだ。
向きを変更できる
LIBIQボトルケージは「右抜き」「左抜き」どちらにも対応する。どういうことかというと、カーボンのケージ部分をぐるりと180度回転することによって、右抜き、左抜きそれぞれの使い方に対応する。カーボンのケージ部分とボルトで固定する樹脂部分を分離するという斬新なアイデアだ。
製品としてできあがったモノを見れば「そりゃそうだよね」と、なりがちだ。ところが今まで左右両抜きを採用したボトルケージは、OGKのRC-8やスペシャライズドのケージが思い浮かぶぐらいで他にはそれほど存在していない。このアイデアはユーザーのニーズをよく考えている。抜き刺しのクセなんて変わってしまうかもしれないから、それぞれの抜き出し方に対応していることはメリットだ。
カラーバリエーション
LIBIQボトルケージが面白いのは、カラーバリエーションとラインナップにある。通常のボトルケージは「1ボトルケージ・1カラー」が基本だ。ところがLIBIQのボトルケージは、分離できる樹脂のカラーをあれこれ変更することができる。というのも、はじめから3種類のスペアパーツが余分に入っており、フレームカラーに合わせたコーディネートが可能だ。よく考えてみればお得な仕様である。
気になるカラーパターンは「黒・白・赤」と「黒・白・チェレステ」の2種類(3カラー同梱)だ。あえてチェレステを「ミントグリーン」と表現しなかったのにはワケがある。どうみてもビアンキのチェレステカラーそのものだ(笑)。おそらく開発した人は、ビアンキ乗りをターゲットにして色を採用したのではないか(と、疑っている)。
考えてみると自転車のフレームカラーは、黒、白、赤が多い。それ以外で最近のトレンドはネオン系だ。そこであえて「チェレステカラー」を採用したLIBIQのボトルケージは、ビアンキユーザーにとって見逃せないアイテムだと思う。
もちろん3種類のカラーが入っているから、組み合わせは自由だ。黒x黒という定番の組み合わせも可能だし、黒x白というチョイスもできる。TIME RXRには赤x白という選択も面白い。このようにカラー選択にも遊びゴコロが備わっている。
重量28g
ボトルケージの重量は様々だ。最近の軽量ボトルケージは10gを切ってくる。しかし剛性面やハードな使用を考慮すると、ある程度は頑丈なボトルケージが望ましい。そうなってくると、チタンかカーボンを使ったボトルケージがマストだ。LIBIQボトルケージはカーボンと樹脂を採用している。私が気にしていたのは重量だった。
家庭用のデジタルスケールで計測すると、1個あたり28gだった。超軽量というわけではないが、じゅうぶん軽いボトルケージといえる。私が今まで使用していたアランデルのボトルケージも同じく28gなので、重量差が無いのはうれしい。
次章からは、実際にLIBIQボトルケージを使用したインプレッションに移っていく。
インプレッション
今までボトルの出し入れといえば、「ボトルケージに合わせた」やりかたを強いられていた。しかしLIBIQボトルケージのような「ナナメ抜き方式」は、ユーザーの使い方に合わせていると言っていい。様々なボトルケージを試したが「ナナメ抜き方式」が最も取り出しやすかった。しかし、なぜナナメ抜きの方が取り出しやすいのだろうか。
自転車に乗り始めてからずっと「タテ抜き方式」を採用してきたが、今回「ナナメ抜き」に変更したことで、「ボトルを抜く」という動作そのものを改めて考え直すキッカケにもなった。まずは、いま使用しているアランデルの「タテ抜き方式」でおこなう動作を考えてみる。
上体をわずかに倒しながら、ボトルに手を伸ばしていく。次にボトルを握る。フレームと水平方向にボトルを抜く。そしてヨコ方向に移動して口元へボトルを持っていく。
次はLIBIQボトルケージの「ナナメ抜き方式」だ。
上体をわずかに倒しながら、ボトルに手を伸ばしていく。次にボトルを握る。そしてボトルをナナメに倒しながらヨコに引き抜く。
ボトルを抜くという動作はたいてい無意識におこなっているから、それぞれの違いはそれほど気にならない。しかしタテ抜き方式は、「ボトル全体を抜き切らないと取り出せない」ことがわかる。対して「ナナメ抜き」は、刺さっている状態から「てこの原理」を利用しつつ、ナナメに傾けながらボトルが抜ける。
厳密にいうならば「ナナメ抜き」のほうが工程が1つ少なく、使う力も少ない。その分素早くボトルを抜くことができる。結果的に「ボトルはナナメに倒しながら抜く」という方法が、最も抜き取りやすく感じた。
ヌキ方は「タテ抜き方式」と「ナナメ抜き方式」の大きく2つに分類できるが、それぞれの方法をさらに深く追求してみると、口に運ぶまでの「腕の動き」にも違いが生まれてくる。タテ抜き方式は、抜き終わったボトルの位置がヘッドチューブ付近に近い。そこから戻す方向にボトルを運ぶため、ややギクシャクする。対してナナメ抜き方式は、手前側にボトルを引き寄せながら抜くから、ゆるやかなカーブを描きつつ口元までボトルを運ぶことができる。
やはり何度試しても「ナナメ抜き」のほうが口元まで運びやすい。動作を注意深く観察してみるとボトルケージの形状の違いは、ボトルを抜き終わった後の手と体の位置関係に影響を及ぼしている。「タテ抜き方式」はボトルを抜き出したあとに、体から離れた位置にボトル(と手が)移動している。
対して「ナナメ抜き」は、ボトルが差し込まれている位置を保ったまま、ナナメに倒しつつボトルを抜く。そのため、わざわざ体からボトルを遠ざけて抜くような「タテ抜き方式」よりも、体の近い位置でボトルを抜くことができる。
冒頭で「世の中には「そういうものなのだ」と何の疑いもなく使い続けているモノや、慣例化しているコトが数多くある」と記した。ボトルを取るという何気ない動作の中にも、注意深く動作を観察していけば、自分に本当に合った方法を見つけられるのだ。
もう少しだけ考えてみよう。ボトルを抜き出す際は逆手でボトルを握ることがセオリーとされている。肩の柔軟性があまりない人は、逆手でボトルを取るという動作自体にやりづらさを感じてしまう。「タテ抜き方式」と「ナナメ抜き」の動き双方を試しながら観察すると、「ナナメ抜き」のほうが肩への負担が少ない。また、抜き出す際のスピード感も違う。
実はアランデルのボトルケージを使い続けて今年で10年目なのだが、10年もタテ抜き方式をやりつづけていた。慣例化していたとはいえ、「ワンテンポ遅れた無駄な動作」を10年もやり続けていたのだ。どう考えても、ボトルを飲む動作はナナメ抜きの方がやりやすい。
ボトル抜き差しが苦手な人に
ボトルを抜き出す際の動作について追求していくと、そもそも抜き差しに苦手意識がある人はボトルケージの形状が自分自身に合っていないのではないだろうか。ボトルケージの形状は、ボトルを抜き差しする動作に対して支配的だ。抜き刺しのやり方も大きく変えてしまうばかりか、抜いた時点における「手と体の位置関係」にも大きな影響をおよぼす。
ということは、逆もしかりだ。戻す動作の際にも「手と体の位置関係」が同じように再現される。この位置関係は、「ボトルを抜きやすい」や「抜きにくい」といった苦手意識を生み出している原因になりうるかもしれない。またボトルは長い方が取り出しやすい。長いボトルでナナメ抜き方式が最も簡単に取り出すことができる。
いままでは、強制的にボトルケージの形状に合わせた使い方を強いられていたのであって、本来は「自分の使いやすい抜き方」にあわせて、ボトルケージをカスタマイズすることが望ましい。受動的な動作か、それとも能動的な動作かの違いだ。ボトルケージの形状ひとつで、抜き出すときの動作や位置関係に大きな差が生まれてくる。
もしも「ボトルをうまく取れない」という人は、一度「ロングボトルナナメ抜き方式」を試してみてほしい。「右抜き」「左抜き」どちらの向きで抜くかは、はじめから定まっていなくてもいい。セッティング次第で左右どちらでも対応できる。LIBIQのカーボンボトルケージであればどちらのパターンでも使用できるから安心だ。
フレームに余裕がない
女性用サイズや子供向けのフレームは、前三角が特に小さく作られている。設計上しかたがないのだが、ボトルケージの取り付け位置とボトルの長さによっては、トップチューブにボトルが干渉してしまう場合がある。結果的にボトルが取り出しにくいばかりか、詰まってしまって取り出せないなんてこともありうる。
ロードのフレームに限った話ではなく、MTBのフルサスのようにフレーム内にサスペンションが収まっている場合も同様だ。このようなフルサスフレームは、たいていボトル1本程の余裕しか備わっていない。それでいて、縦方向に抜こうにも干渉してしまうので横方向からボトルを入れないと収納すらできないのだ。
フレームにボトルを刺す余裕がない場合は、ナナメ方式のボトルケージを使うといい。たいてい解決できるはずだ。
デメリットはボトル補給時
多くのサイクリストには関係のない話だが、長時間のロードレースの場合は補給ポイントでボトルの受け取りをする場合がある。やっかいなのは補給エリアの位置だ。進行方向左手側なのか右手側なのかで、「ナナメ抜き」のボトルケージは良くも悪くも使い勝手が変わってくる。
たとえば私は右利きなので、右手でボトルを抜き差しする。しかし広島森林公園のレースや、美山ロードは左回りだから、補給エリアもとうぜん進行方向左側に設置される。そうすると左手(利き手とは逆の手)でボトルを受け取らねばならない。そのあとボトルケージに刺そうにも、左側からだとボトルケージに刺しにくいという事態に陥る。
ボトル差し込みは完全にブロックされているわけではないので、手を回せばなんとか刺すことは可能だ。もしくは手で持ち変えるか、一度口でくわえてから右手に持ち変える必要がでてくる。ナナメ抜き方式のボトルケージの唯一の使い勝手の悪さをあげるとしたら、反対側からは刺し込みにくいというデメリットがある。
しかし、ほとんどのサイクリストには関係のない話だ。重要なのは、使いやすいことである。
まとめ:あなたに合わせたボトルケージを
LIBIQのボトルケージは、あなたに合わせて使い方にカスタマイズできる「ナナメ抜き方式」を採用したボトルケージだ。いままで「タテ抜き方式」にどこか違和感を感じていたり、ボトルの出し入れに苦手意識をもっていたとしたら、「ナナメ抜き方式」を1度試してほしい。そして「ロングボトルナナメ抜き方式」は、てこの原理が働いてさらにラクだ。
ひとりひとり性格が違うように、ボトルの取り出し方にも自分だけのやり方というものがある。そのやり方は、ボトルケージの形状などに支配されてはならない。「こういうものなのだ」と思った時点で思考停止してしまい、無駄な動作をこれから何年も続けてしまいかねない。
「ボトルケージに合わせるのではなく、自分のやりやすい方法に合わせる。」
LIBIQのボトルケージは、いままで形骸化していた動作をあらためて考え直させてくれた。あなたはどのような抜き差しをしているだろうか。タテ抜き方式を続けてきたサイクリストや、ボトルの出し入れに苦手意識をもつサイクリストならば、一度LIBIQのボトルケージを試してほしい。
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LIBIQ(リビック) カーボンボトルケージ | ||||
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