寒い時期のレースで悩んでいたことがあった。ウォーミングアップで体が暖まりにくいことと、レースのスタートを待っている間に着用するパンツをどうするかだった。1つ目の「暖まりにくい」ことはレッグウォーマーを履くことで解決できた。しかし、問題はレーススタート直前まで着用するウエアだった。
この時点でピンときた人がいるかもしれない。「レーススタート直前まで着用する防寒ウエア」はただ暖かければいい、という単純な話ではない。身に着けているときの使いやすさもさることながら、「脱ぎやすさ」も考慮する必要がある。私は寒がりだからレーススタート3分前のギリギリまで体を冷やさないように防寒ウエアやパンツをいつも着込んでいる。
ただ、レースギリギリまでパンツやレッグウォーマーを着用していると問題になってくるのは、脱ぎやすさと、脱ぐまでの時間だった。ニーウォーマーやレッグウォーマーの場合はシューズに引っかかって脱げなかったり、脱ごうにも片足立ちしながら(しかもビンディングシューズで)バランスを取りながら脱ぐ必要があった。
パンツやジャージの場合は、足元までパンツを下ろす必要があり見た目も少々滑稽だった。さらに片足立ちの状態でシューズにウエアが引っかかってしまい、ずっこけてしまうこともしばしばあった。ただウエアを脱ぐだけなのに、本当に不便な思いをしていた。
これから紹介するウォーミングアップパンツは、ここまでの不満をすべて解決してくれる。あっけないほどに、これまで思っていた悩みを解決してくれる。今回の記事は、サンボルトが現場からの意見を吸い上げてアイデアを形にしたウォーミングアップパンツを紹介する。
両足を浮かすことなく脱げる
「脱ぐ」という行為を厳密に考えていくと、2つのパターンがある。お金のためか、気が狂ったときだ。いや、真面目に本題に戻ろう。レース前やウォーミングアップ後に「脱ぐ」という行為を厳密に考えると2つのパターンがある。「足を地面から上げて脱ぐ」か「足を地面につけたまま脱ぐ」の2通りだ。
「足を地面から上げて脱ぐ」は靴下、ニーウォーマー、レッグウォーマーが該当する。レーパンも同じだ。対して「足を地面につけたまま脱ぐ」にカテゴライズできるのは、今回紹介するウォーミングアップパンツだ。
サンボルトウォーミングアップパンツの構造は至ってシンプルだ。パンツのサイドがすべてジッパーで構成してあり、ジッパーをすべて開放すると足を地面に着けたまますぐに脱ぐことができる。脱ぐまでの時間は左右別々に開けば10秒もかからない。慣れてしまえば3秒もかからない(注:左右ジッパーシンクロ開法(※解放)の場合)。熟練したウォーミングアッパー(シクロクロッサーに多い)であれば2秒台も見えてくる。
パンツサイドがフルオープンであるため、脱ぐときにシューズに引っかかってしまう心配もしなくていい。そして、パンツをズリおろして、片足立ちし、バランスを取りながら不安定な状態に陥ることもない。
このウォーミングアップパンツの構造を見て「なんだそれだけか」と思うかもしれないが、実際に製品として具現化するのだから素晴らしい。思っていても、想像しても、製品として作り上げなければ机上の空論なのだ。さらにサンボルトウォーミングアップパンツが優れていることは、細部の作りが自転車用に特化していることだ。
まず、スソが絞られている。一般的なジャージのサイドフルオープンタイプは無数に存在しているが、どれもこれもスソが広がっている。何が問題かというとチェーンリングに巻き込まれてしまう恐れがある。その点、サンボルトウォーミングアップパンツはスソが絞られており巻き込みの心配は皆無だ。
自転車用に特化したウォーミングアップパンツならではの配慮である。脱ぎやすさもさることながら、ウォーミングアップ中の使い勝手もよい。もともと自転車用に作られているためウォーミングアップ時に脚の動きを妨げることもない。
このウエアのメリットを理解できる人は本当に限られているかもしれない。ただ、必要していた人にとっては、この上ない便利なウエアだ。
使用時期
ウォーミングアップパンツを使用する時期感についても触れておきたい。シクロクロスシーズンは常に使用できる。ロードであれば開幕戦から5月初旬まで使用できる。JBCFのレースであれば4月の群馬CSC(4月でも雪がちらつく)と広島森林公園に用意しておきたい。また、西日本チャレンジ、ウィンターエンデューロ、大磯クリテといったレースでも活躍するだろう。
さらに春先のヒルクライムレースにも活躍する。ヒルクライムレースは標高が高いエリアで開催するため、ウォーミングアップに使用するウエアはとても重要だ。裏起毛で作られたウォーミングアップパンツは脚を速やかに温めてくれる。もちろん今がトップシーズンのシクロクロスには最強だ。スタート直前まで着用することができ、スタート前に速やかに脱ぐことができる。
使用時期は10月下旬~5月初旬といったところだ。また、ウォーミングアップ用にしか使用できないと思われがちだが、HATCHさんは普通に着こなしているので参考にしてほしい。
CYPHERデザインで作ってみた
サンボルトの通常ラインナップとしては迷彩柄だけ展開している。ただ、迷彩柄に抵抗がある方やもう少しシンプルなデザイン、ロゴや模様が極力無いほうが良いと感じる方もやはり居ると思う。そこで、CYPHERのデザイナーRYO OKAMOTO氏にお願いし、普段着や移動ウエアとしても使用できるウォーミングアップパンツをデザインしてもらった。
1つ目は「ステルスカラー」でブラックカラーをベースにロゴが主張しないデザインだ。もう1つは、ロゴに迷彩をあしらった、ストリートブランドのA○Eを彷彿とするようなデザインだ。というかまじオシャレ。男女問わず使うことができるデザインが魅力的だ。
《予約販売分》CYPHER プレミアムウォームアップテーパードパンツ(カモ柄ロゴ)
サイズ感は、普段使用しているレーパンと同じサイズを選ぶといい。私ならMサイズ。
私自身がすぐ使いたいので(おい)、募集期間は12月26日(木)まで。使用時期は10月下旬~5月初旬で、意外と1年の半分以上が対象。思いの外長い期間重宝するウエアといえる。これまでウォーミングアップ中に着用するウエアに悩んでいた方や、スタート直前に脱ぎやすさ、脱ぐまでの時間を短縮したい方、片足立ちでズッコケた経験のある方は一度ウォーミングアップパンツを試してみてほしい。