1,275g! Nepest MAUI-45 カーボンスポークホイール インプレッション

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中国ブランドのホイールが、ロードバイク市場を席巻し始めている。

以前はフランス、ドイツ、アメリカ製のブランドのホイール(と言っても中身は台湾や中国製なのだが)が主流だったが、大手の下請けを請け負っていた中国系の製造会社が独自ブランドを立ち上げて猛烈なプロモーションを展開している。

「やすい、かるい、そこそこ性能がよい」

という三拍子揃ったホイールは、安物好きでコスパがいいモノを求める日本のユーザーに歓迎された。中国系のホイールのどれもが、ただ安いだけでなく、カーボンリム、カーボンスポーク、セラミックベアリングとハイエンドな装備が標準仕様になっている。

ハイエンドバイクに中国ブランドのホイールも珍しくなくなった。

しかし、中国ブランドのカーボンホイールはいまだ玉石混交の状況にある。筆者自身もCraftWorksRacingという中国ブランドのホイールを使っていたのだが、あれはわりとアタリの部類だった。

厳しいことを言えば、中国ブランドのホイールは使えるには使えるが、Roval CLX、DTSWISS ARC、ENVE SES 4.5, 6.7、Princeton Carbon Works Wake6550、Mavic Cosmic ULTIMATE、ZIPP NSW、CADEX ULTRA、Lightweightなどを実戦で使ってきた身としては、相対比較するとまだまだその領域には及んでいない。

当然ではあるが、いまだそれが結論なのだ。

という前置きをしつつも、Youtuberや自転車系インフルエンサーたちがこぞってプッシュしていたあるホイールを試す機会をいただいた。Nepest社のMAUI-45だ。Nepest社から直接連絡を頂いたのだが、いつも通り書くことを承諾していただいたため試すことにした。

いわゆる案件であるのだが、自分のスタイルを変える必要もない。どちらかといえば厳しい文章が並んでいる。また、アフィリエイトの提案も頂いたが、本記事では読者を誘導しない。読者が知りたいのはクーポンコードや耳障りの良い話などではなく、

「どんなホイールなのか」だ。

そして、購入するに値するのか、今使っているホイールから買い替える必要があるのかが知りたいのではないか。賛美称賛は他のメディアやインフルエンサーたちにまかせておいて、私は単純にNepest MAUI-45を使用したインプレッションをしていく。

まずはホイールの基本構成であるリム、スポーク、ハブから見ていこう。

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VONOAスポーク

カーボンスポークを製造しているメーカーはそれほど多くはない。筆者も2021年頃に台湾の企業数社にカーボンスポークの製造を依頼し発注した。設計と開発に関して様々な知見が得られたのだが、カーボンスポークという部品は実に制限が多く、実に使い勝手が悪い代物だ。

  • ネジ山が直接切れない
  • インターナルニップルが必須
  • スポーク経を2.5mm以下にできない
  • ハブは専用設計
  • スポークが曲がりにくい

まず大きな縛りとして、カーボンスポークには直接ネジ山を切ることは非常に難しい。この縛りがあるため、カーボンスポークの両端は円柱をテーパー状にして金属製の部品と「接着」するのが基本構造になっている。

CADEXであれ何であれ、交換式カーボンスポークを使用するどのメーカーであってもいまだ接着方式が主流になっている。となると次に問題になるのがスポークへのテンションのかけ方だ。

一見すると、カーボンスポークのどれもがエクスターナルニップルに見えるのだが、実際はネジ山が切られた金属部品が接着されているため、インターナルニップルのようにリム内部からニップルを回しテンションをかける必要がある。

インターナルニップルは六角形をしたM4やM5相当の巨大なニップルになる。どの素材で作るのかにもよるが、アルミニップルや真鍮ニップルよりも重いため外周重量が増えるというデメリットがある。

実際、Nepest MAUI-45のスポークもこの例に漏れず両端はカーボンの円柱をテーパー状にしており以下のような寸法になっている。

  • ハブ側カーボンスポーク:2.25mm〜2.82mmのテーパー
  • リム側カーボンスポーク:2.14mm〜2.85mmのテーパー

両端に接着されている金属部品の寸法は以下の通り。

  • ハブ側金属部品:3.61mm(ネジ山なし)
  • リム側金属部品:3.99mm(ネジ山あり)

リム側の金属部品が太いのは、ネジ山を切る余裕と太さを確保するためだ。ちなみに、CX-RAYの両端で最も太い部分は2.0mmしかない。

このカーボンスポークの条件を基準として、ホイールシステムを作ろうとしたときに問題になってくるのはハブとリムだ。何が問題なのかというと、ハブで主流になっているスポークホール寸法2.5mmを大幅に超えてしまう。

4.00mm以上のスポークホールをハブにあけるのは、ハブの限られたボディの中では難しい。最大限の設計を突き詰めていくと、ハブフランジを巨大化させ「横から引っ掛ける」という構造に行き着く。そのため、既製品のハブは使用できない。

カーボンスポークを用いるためにハブを専用設計する必要がある。カーボンスポークを使用した中国系のホイールのどれもが似たような設計になっているのはこのためだ。

無論、CADEXもこれとよく似た構造なのだが、CraftworksRacingはハブ側にネジ山を切ってハブ側、リム側の両方からスポークテンションをかける方式を採用している。

先ほどスポークを製造するメーカーが少ないと書いたが、これは特許が影響しているようだ。Nepest MAUI-45に使われているスポークはVONOA製だ。正しくは、炭素繊維複合材料業界のトップメーカーであるSTREN社の中核ブランドがVONOAだ。

VONOAは、カーボンスポークに関する多数の特許を世界で取得している。カーボンと金属部品の接続部だけでなく、鍛造、キャップなどカーボンスポーク製造に関する技術特許もすべてVONOAが所有している。

NEWMEN Wheel Advanced SL R.42 VONOA 622 12x100 SP CL 21h
-incl. Milkit-incl. Streem tooling

VONOAのスポークはドイツのホイールブランドNEWMENやHUNTでも採用されている。どちらもグランツールなども走っているため性能には問題はない。また、最近ではMageneのEXARウルトラカーボンホイールのスポークもすべてVONOA製だ。

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Nepest MAUI-45も同様にVONOAを使用している。

  • 厚み:1.4mm
  • 幅:3.2mm
  • 重量:3.2g (ニップル込み)

寸法のわりにはとてもかるい。カーボンスポークだからこそなし得る重量だろう。

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意外なリム設計

リム側面はUD、リムベッドは12Kカーボンを使い分けている。

Nepest MAUI-45のリムを見たとき良い作りをしていると初見ですぐに理解できた。というのも、2021年頃にリム工場とやりとりをしていたときに当時出始めた、ペイントレスのリム製造方法を採用している。「The Black Tek」と呼んでいたが、MAUIのリムが同様の製造方法かは不明だ。

ペイントレスとNepestは表現しているが、従来のリムは余分な樹脂などの不完全な部分を取り除くために最終工程としてウェットサンディングされ、その後クリアコートが吹き付けるのが主流だった。

しかし、Nepest MAUI-45のペイントレスリムは、金型から取り出された時点でこの状態、完成品だ。表面に薄い樹脂層が残るため、リム強度が3~5%向上する。硬化サイクル完了後も外側のカーボン層が乱れることがない。

リム側面はUDカーボンを使用しているが、リムベッドは12Kカーボンをあえて使用している。以前、リム設計行った際に同様のカーボンの組み合わせを採用した。リムベッド側に「あえて重い12Kカーボン」を使うのには理由がある。

リムベッドに12Kを使用するのは理由がある(私もこの設計で製造した)

リムベッド側にドリルでスポークホールをあける際に、UDカーボンの場合はドリルの歯が繊維の方向に引っ張ってしまうため、僅かながらササクレが発生してしまう場合がある。12Kの場合はこの発生頻度が低く、きれいなスポークホールに仕上がる。

性能には関係なく、むしろ格子状に織り込んだ12Kのカーボンのほうが重量が僅かに増す。リムテープを貼れば見えなくなるのだが製造段階で綺麗な仕上げを追求した場合、12Kのほうが優れていた。Nepestはこの見えない部分にまで手を加えてリム設計を行っている。

また、角度や穴の向きもスポークとハブに合わせてスポークホールが開けられている。単純に垂直に穴を開けるのではなく、左右非対称のスポークホールに設計されている。

リム表面のロゴはレーザー刻印だ。昔のリムロゴはステッカーが主流だった。Lightweightなどの超ハイエンドリムにしか用いられなかったレーザー刻印は最近のリムでは主流になってきている。

このように、リムの作りはよい。

ではリムプロファイルはどうだろうか。

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一昔前のリムプロファイル

  • 内幅:21mm
  • 外幅:28.5mm
  • リムハイト:45mm

リム設計は一昔前の寸法だ。現行のリム設計といえば内幅が23mm〜25mmが主流になってきている。ワイドタイヤの性能を最大限に引き出すことと、タイヤ内部の空気体積を増すことでヒステリシスロスやインピーダンスロスを減らすことが狙いだ。

幅も28.5mmと最近の30mm幅のリムと比べると細いほうだ。タイヤの実寸幅が29mmや30mmを超えてきており、空力的な観点でいくとZIPPの105%ルールに沿うようなリム設計が望ましいと思う。

Nepest MAUI-45のリム設計は素晴らしいと思うが、リム寸法は一昔前でそれほど魅力的には映らない。そればかりか、現代のワイドタイヤの性能を引き出し、かつ空力性能を高めようとした場合は、内側も外側もよりワイドな設計にする必要がある。

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空力性能

風洞実験を行っているようだが、風速や相対速度が不明であるため、Dragのグラム数値からワットを算出できなかった。ざっと見た感じは45mmリム特有の結果で、yaw角度が増すと一気に抵抗が増える。これが、50mmやリムシェイプを変更することにより、20度付近のyaw角度におけるDragも減少していくだろう。

次回の製品開発で風洞実験のデーターを掲載する場合は、風速の相対速度、ワット表記、データー粒度、重要な単位を載せたほうが良いと思う。

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スポークパターン

ディスクブレーキシステムになってから、スポークパターンは「駆動」と「制動」それぞれの性能を十分に引き出す組み方になっていることが望ましい。できれば左右タンジェント組がいい。カカリや、ストッピングに対して効率的に力を処理できるからだ。

ラジアル組のスポークは放射状に配置されているため、回転するディスクローターのパワーを受け止めるには適していない。同じく駆動を考えても力を逃さないようにするためにはタンジェント組が望ましい。

NDS側にラジアル組が使われている最大の理由は、左右のスポークテンション差を是正するためである。しかし、CRWのホイールのように限界までフランジ幅を使って、前後ともタンジェント組にし左右のスポークテンション差が少ないホイールもある。

HUNTの最新カーボンスポークモデルHUNT SUB50に至っては前後タンジェント組だ。素晴らしい設計だと思う。

よく言われている「ラジアル組にすることで空力が良くなる」というのは誤りだ。スポークが数ミリ短くなるのと、わずかに角度が変わるが風洞実験にかけてみるとほとんど影響は誤差の範囲である。

現状世界最速のホイールの一つとして知られるARC1100は前後ともにタンジェント組であり、むしろスポークの形状を変更することやリムプロファイルの最適化のほうが空力改善に大きな影響を与えている。

そのうえで、Nepest MAUI-45の組み方はというと、

  • 前輪:DS ラジアル、NDS タンジェント
  • 後輪:DS タンジェント、NDS ラジアル

フロント側はともかくとして、リアのNDS側がラジアルだ。DSはタンジェント組なのでパワーを効率的に受け止められるものの、ディスクローター側はストッピングパワーをドライブ側で処理する必要がある。

ROVAL RAPIDE CLX IIやCADEX ULTRA 50は、フロントこそディスクローター側にラジアル組を採用しているが、リア側ディスクローター側はタンジェントだ。

スポークテンションの是正を優先させるか、ディスクローターのストッピングパワーを受け止めるのか設計思想にもよるのだが、ディスクローター側はROVAL、CADEX、DTSWISSの設計ようにタンジェント組で最大限ストッピングパワーを受け止めたほうがいいと思う。

Nepestはまだホイールメーカーとして日が浅く、製品開発に関する知見やフィードバックも他社ブランドと比べるとまだまだこれからだ。スポークパターンに関してはまだまだ改善の余地がある。しかし、実際に使ってどうであるかは別の話であるためインプレッションで詳細に記載する。

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スポークテンションと左右差

スポークテンションはおおむね160kgfだ。スチールスポークの場合は120kgfから140kgfで張ることが多い。mauiはかなり高いテンションであることがわかる。そして注目したいのは左右テンションの差だ。

タンジェントとラジアルの組み合わせと、スポーク本数の調整により左右のテンション差が是正されている。前後ともに均一なテンションであるため、左右に振った時にホイールの違和感も感じられにくいだろう。

ラジアル組は、駆動効率やストッピングパワーに対してネガティブな組み方であるが、スポークテンションを左右均等に近づけるという観点に関しては非常に有効な構造と言える。Nepestの設計思想として左右差を無くすことに重点を置いたのだろう。

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ハブとセラミックベアリング

ハブはスターラチェット方式を採用している。最近の中国系ホイールのどれもがDTSWISSのパテント切れ技術を流用したスターラチェット方式だ。中身をあけると、CRWとNepestのハブ構造は見分けがつかない。

そう考えると、DTSWISSのOEMであるROVALやBONTRAGERのハブは餅は餅屋が作るので安心感がある。ハブメーカーはどこかわからないが、カーボンスポークの太いニップルを使うため専用設計である必要がある。

先程も記した通り、スポークは横から引っ掛ける方式だ。この方式は接着された金属の直径分の大きな穴を開ける必要がなく、スポークの細い部分を通すだけで引っ掛けられることができる。また、ハブは大幅な肉抜き加工が施されている。

軽量化が製品としてのアピールポイントになるため1gでも削りたいメーカーの苦慮が見て取れる部分だ。

ベアリングはセラミックベアリングを採用しているが、セラミックベアリングも中国系製造品が多数あるため玉石混交の状態にある。今回は長期テストできなかったが、セラミックスピードのように長期間使用できるかは未知数だ。

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実測重量

  • 前輪:568g(リムテープなし)
  • 後輪:720g(リムテープなし)

合計は1,288gだ。45mmハイトのホイールとしては非常に軽いと思う。メーカー重量が1275 +/- 30gであるため、おおむね規定内の重量内に収まっている。

とはいえ、中国系ライバルメーカーと比較すると特別軽いわけでなく中国系ホイールもコモディティ化しつつあるといえよう。

  • CRW CS4050 (40/45mm):1,178g
  • CRW CS5055 (50/55mm):1,251g
  • Nepest MAUI-45:1,288g
  • CRW CS5060 (50/60mm):1,290g
  • Yoeleo SAT C50 DB PRO NxT SL2:1320g
  • Lun HYPER D45:1,367g

なお、CRWの記述が多いがメーカーとの接点は一切なく、むしろ日本国内の価格よりも何万円も高いお金を払って購入している。当ブログで紹介後国内で50本以上売れたらしい。そのときは「後で連絡する」と喜びの連絡がきたものの、その後音沙汰がない(笑)

CRWについて特別プッシュする道理もないが、単純にCRWの製品はリムハイトに対して軽量かつ合成も高いと思う。このあとのNepest MAUI-45のインプレッションではそのあたりの話を記していく。

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インプレッション

人間は測定器ではないので、製品の絶対的な評価はできない。

これまで使用してきた様々なホイールとの相対的な比較からNepest MAUI-45というホイールがどのような使い心地であるのか、走りをするのかを分析し文章に落とし込んでいく。

また、相対比較という特性からホイールのインプレッションを行う場合、これまでどのようなホイールを使ってきたのかが重要になる。中国系しか使ったことのないライダーはその範囲でしかホイールを評価できないので注意が必要だ。

今回のNepest MAUI-45レビューは、他のレビュアーとは異なる評価が多いとおもう。長年当ブログを読んでいただいている方はご存知かとは思うが、ベースとなるホイールとの相対評価の末の結果だということを念頭に置いて読み進めていただきたい。

安い高いにかかわらず、ハイエンドホイールとしてNepest MAUI-45を評価した場合、比較対象としてはCADEX ULTRA 50、MAVIC COSMIC ULTIMATEとの比較に重きをおいた。

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市場に出回っている各メーカーのこれらハイエンドモデルと比較して、Nepest MAUI-45はどのようなホイールなのか。早速だがポイントを箇条書きにしてまとめた。

  • Roval Alpinistを使っているかのような軽快さがある
  • 初速の立ち上がりのつなぎがスムーズ
  • 下りの剛性感も不安がない
  • 高速巡航は苦手、失速が目立つ
  • 35km/h以上での巡航維持がしにくい
  • ホイールが全体的に硬い
  • 縦方向の突き上げが大きい
  • 長時間の走行は疲れやすい
  • 21mm幅のため空気の体積が小さくタイヤが硬く感じる
  • 登りコース得意、平坦や長距離は苦手

Nepest MAUI-45をロードレースで使うとしたら、群馬CSCや播磨中央公園で使うのは良いが、広島森林公園や修善寺では使うのを躊躇し、ニセコやオキナワといった長距離のレースでは選択肢に入らなくなる。

30〜40分程のヒルクライムならよいが、60分近く登るなら使うのを躊躇する。

このような評価になったのは、MAUI-45がオールラウンドホイールと言いつつも、わりとはっきりとした特徴があるからだ。軽快さや初動の動きの良さはあるが、後々がきつくなる。では、何がきつくなるのか。

カーボンスポークのどれもが、初動の軽さに誰もが感動する。

しかしその一瞬は、家から一歩踏み出したとき、落車して再スタートしたときぐらいにしか訪れない。短時間であれば問題がないのだが、150km〜200kmほどの練習やレースを走る場合、カーボンスポーク特有の硬さと減衰速度の早さから、後半に脚を残しにくくなる。

後半の勝負どころで生き残って勝負しようとすると,この手のホイールはうまく走らなくなる。MAUI-45は軽快さがあるものの、活かせるスイートスポットは狭いと感じた。という前置きをしつつも、MAUI-45が輝けるカテゴリは多くある。

登りの軽快さがあるため、短時間の高出力でヒルクライムする場合は優れたホイールの一つになるだろう。CADEX ULTRA 50と比較してもMAUI-45のほうが軽快さやリズムの取りやすさがある。走り方で似ているのはROVAL ALPINISTだ。

冒頭でも記した通り、35mmハイトのホイールを使っているかのような軽快さがある。しかし、唯一異なるのがカーボンスポーク特有の硬さで、踏み込んだ後に返ってくる「バネ感」がない。

LightweightやCosmic ULTIMATEといったカーボンスポークホイールが昔からそうであったように、クランクを回してトルクをかける際に一気に負荷をかけると進まない。遊びがないため、回転中にトルクを分散しながら丁寧かつ均一に回すと良く走ってくれる印象がある。

この「丁寧かつきれいに回す」という所作は、レース後半で疲れてくるとどうしても雑になってくる。そのため、後半で扱いにくくなるホイールに変わってしまう。どちらかといえば、ホイールの性能は変わっていないのだが、ライダー自身の性能低下がホイールの特徴と合わなくなってくる。

走りにバネ感がないのは、カーボンスポークを採用したホイール全般に言えることだ。

その点、登り一辺倒や、群馬CSCのようなアップダウンが多く、一気に駆け上がるようなサーキットコースにおいてはMAUI-45は武器になる。

ようは適材適所なのだ。すべてを賄えるホイールなどこの世に存在していない。

また、高速巡航時にWAKE6550やCADEX ULTRA 50と比較したのだがMAUI-45は減衰するスピードが早い。これは初動の軽快な加速感とのトレードオフになるのだが、35km/h以上で巡航しようとすると、速度が上がれば上がると速度維持がつらくなる。

それでも50mmハイトのホイールと比較しての話であることと、減衰スピードが早いのはリム重量が400gを切っていることもあり軽量性や加速感とのトレードオフになっている、という理解をするのが合理的である。

また、MAUI-45に限らずカーボンスポークを使用しているすべてのホイールに言えることを最後につけくわえておきたい。レースや高出力を一定時間かけるような競技性の高い乗り方をせず、ロードバイクに乗り始めたばかりのライダーにはカーボンスポークのホイールをおすすめしない。

特にスチールスポークと比較すると突き上げ感がかなり大きい。意外と小さな違いなのだが、長時間のライドをすると後半に脚に来るから注意したい。ホイールは硬ければよいわけではなく、ほどほどの乗りやすさも必要なのだ。

もし、わたしが初心者〜中級者に対して、純粋かつ汎用的なホイールとして選ぶとしたら、カーボンスポークを選ぶのではなく同社のDT 240ハブとCX-RAYを使ったMAUI-45を選択したほうが合理的だとおもっている。

理由はスチールスポークはカーボンスポークよりもしなりやバネ感あるため走らせやすい。長時間のライドになればなるほどスチールスポークのホイールの良さが理解できるようになる。一瞬の軽さ、数値的な軽さ、見た目の良さという切り口だけであればカーボンスポークはおすすめできるのだが。

ホイールの性能を最後まで活かし切る、という観点に関してはLightweightやCosmic ULTIMATEが昔からそうであったようにカーボンスポークの場合は少々扱いづらい。

それでも価格が20万円弱ということを考えると、コストパフォーマンスはかなり高い。正直なところ、手組でも完組でもこの価格で作れる代物ではないレベルだ。Nepest MAUI-45は、十分に吟味されたスポークとリム設計からは信じられない価格と性能に仕上がっている。

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まとめ:用途を絞れば輝くホイール

Nepest MAUI-45について、純粋なレビューを行った。

総じて、明確な特徴があり用途を絞って特化させれば輝きが増すホイールだと思う。そのため、今回のインプレッションではNepest MAUI-45が「何で輝けるのか」と「何で輝けないか」の陰陽を明確に記すことに注力した。

「ひとつですべてをこなす」というのは、最近主流の機材を売るための手口だが、そのような夢の機材には、いまだ出会ったことがない。それでも、Nepest MAUI-45は使う条件を選べば、コスト以上のリターンが期待できるホイールだと思う。

最後に性能以外にもNepestがホイールメーカーとしての真摯な取り組みについても紹介しておきたい。UCI 認証はもちろん取得している。それ以上に日本でホイールを販売するために必要なこととして、日本のPL法に対応した商業責任保険書を発行している。

日本の販売店で自転車機材を売る場合は特に必要だ。Nepestは日本市場での販売を考慮して、これら保障の部分でもユーザーの期待に添えるような体制を作っている。中国系新興ブランドの場合、保証やPL法にそぐわない製品も多数存在している。

Nepestは明示的にPL法に沿った製品であるため、販売店も取り扱いやすいだろう。普及に力を入れていることは理解できた。また、2025年3〜4月にかけて大阪と東京で開催されるサイクルモードに出展するためNepestのホイールに触れる機会がある。

実際に試乗できればよいのだが、作りや軽さなどを実際に手にとって見ることができるだろう。

最後に、これまで色々なホイールを試してきたが、カーボンスポークではないDT240とCX-RAYを使用したホイールのほうがスペック的に使える幅やホイールとしての潰しが効くのではないかと期待している。

もし、試せる機会があればまたテストしてレビューしてみたい。

最後にNepest MAUI-45のリンクを張っておくが、アフィリエイトではない。プレーンのURLだ。クーポンは私も配れるのだが、これまでの記事の公平性を考慮して他のインフルエンサー達のクーポンを適当に見つけて使うことをおすすめする。

軽量ホイール - 軽量カーボンホイール
NEPEST MAUIの軽量ホイールは、革新的で塗装のないデザインを特徴としており、品質やライディング体験を損なうことなく、超軽量を実現しています。

 

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