各社のフレームに徐々に採用され始めているUDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)のダイレクトマウントディレイラーハンガーが各社から登場している。ディレイラー側のリンクを外して、直接(ダイレクト)にマウントする方式だ。
現在は、SILCAとWheels Manufacturingの2社からUDHダイレクトマウント方式が登場している。
UDHについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてほしい。
SILCA 3DPダイレクトマウントUDH Ti
SILCAがリリースした3DプリントUDHチタンディレイラーハンガーは、純正アルミ製ハンガーの最大12倍の剛性と、2~10gの軽量化を実現し変速性能の向上も見込めるという。その他には以下の特徴がある。
- 一般的なディレイラーハンガーよりも8~12倍硬い
- SRAM製ハンガーよりも5~7倍硬い
- SRAM製ハンガーよりも2~6g軽量化
- 変速性能の向上
- クラッシュ後のハンガー位置ズレのリスクを低減
- フレームを保護するフラクチャーノッチデザインにより、激しい衝撃でもハンガーが犠牲にならない
SILCA の研究によると、最新の電子制御式ディレイラーは、非常に速く、強い力で変速するため、低品位のアルミニウムプレートで作られた従来のハンガーは、変速中に最大4度までたわむという。
その結果、変速が正確でなくなり、遅くなるデメリットがある。SILCAの3DPハンガーは、AIが生成した構造インフィルを使用した高度な3Dモデリングにより、アルミ製ハンガーの2~7倍の剛性を持ちながら、モデルによっては2~6グラム軽量化している。
すでにワールドツアーでもSILCA 3DPハンガーは使用されており、2023年ツール・ド・フランスの第2ステージで優勝した。そして、実走における数々のクラッシュにおいても、ディレイラーのアライメントを維持する結果が得られている。
SILCA 3DPハンガーは、手でアライメントを調整することができ、内部破断ノッチにより、ハンガーがカーボンフレームの損傷ポイントより下で破断し、曲がるように設計されているため、最も激しい衝撃でもフレームが損傷する危険性がない。
Wheels Manufacturing 562
他にも、Wheels ManufacturingがUDH対応のダイレクトマウントリアディレイラーハンガー562をリリースしている。同社のディレイラーハンガーはすべて、コロラド州の工場で厳密な公差のもとに製造されている。特徴は以下だ。
- CNC削り出し6061アルミニウム
- ブラックアルマイト仕上げ
- スルーアクスルねじピッチ M12x1.0
- 衝撃を受けた際にディレイラーを保護するため、オリジナルのSRAM UDHの回転機能を保持。
- SRAM UDH対応フレームに、シマノ・ロード・グラベル用ディレイラーをダイレクト・マウント。シマノ・デュラエース(R9100、R9150)、アルテグラ(R8000、R8050、RX800、RX805)、105(R7000)、GRX(RX810、RX812、RX815、RX817、RX400)に最適化。
基本的な性能はSILCAのリアディレイラーハンガーと同様だが、素材がアルミニウムであるため、肉抜きなどがされていないSILCAのチタニウムのほうが剛性が高い可能性がある。
UDHはまだ採用が過渡期で、ロードフレームへの採用はそれほどされていない。フルマウント用のリアディレイラーハンガーが登場するまでは、これらのUDH対応のダイレクトマウントリアディレイラーハンガーを使用するのが最も性能を引き出せる可能性がある。
これから多くのフレームがUDHに対応していけば、ユーザーの利便性や保守部品の入手性の良さなどメリットが多くなっていくだろう。