OGKカブト AERO-R2 ヘルメットインプレッション

5.0
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OGKのベストセラーヘルメットのAERO R1が全面リニューアルしAERO-R2として登場した。筆者は前作のAERO-R1を2017年に購入して以来、R1を続けて3つ購入し今でも愛用してるほどのヘビーユーザーだ。もちろん、AERO-R2も脊髄反射的に即刻入手した。

実際に着用してみると、AERO-R2はマイナーアップデートなどではなく、全体のフォルムや設計が全く別物に進化していた。新構造のアジャスター、BOAダイアル、YKKと共同開発したアンチスリップバックル、サングラス用ラバー、新型シールド、そして、空力性能を向上させるエアパスプレートなと、新技術がふんだんに組み込まれていた。

特に空力性能は大幅なアップデートが行われた。前作比で2W、エアパスプレートを搭載すると4Wも空力性能が向上したことは、サイクリストにとって見逃せないポイントだ。今回は、OGKカブトの人気モデルAERO-R2ヘルメットをインプレッションし、ベストセラーのR1からの進化を探った。

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動画で解説

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AERO-R1とR2の違い

AERO-R1とR2の大きな違いはエアホールの位置と数だ。R2では前面のエアホールの位置が横方向に広がり、大口径化している。そして、上部のエアホールは省略され、後方のエアホールは小さくなった。

この仕組は、最近のエアロ系ヘルメットに共通しているベンチュリ効果を狙っているものと思われる。ベンチュリ効果は、流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させると、圧力が低い部分が作り出される現象だ。

旧型と新型の進化の違いがわかりやすいように、新旧をそれぞれ並べて違いを確認した。1つ1つ見ていこう。

R2はエアホールが横方向に広がった。スタビライザーも見える位置に。バイザーも刷新(左 R2, 右R1) Photo:OGKカブト

まずは、前方向の違いからだ。左側の白色AERO-R2は横方向にエアホールが広がった。旧型R1のサイドのエアホールには「リブ」のようなエアホールを2つに分けるようなブリッジが施されているが、新型R2では1つの大きなエアホールに改良された。

新型R2のセンター付近には大きなエアホールが1つ追加された。R1には上部に向かって縦長なエアホールが備わっていたが、R2は前方にエアホールを集中させ、幅広にし、上方からエアホールを削除している。

R2は前面に大きなエアホールを配置、形状も複雑に。(左 R2, 右R1) Photo:OGKカブト

R1は縦長のエアホールが特徴的だったが、R2のエアホールは複雑な形状に改良された。より多くの空気を取り込みエアフローを改良している。そして、全体的に大口径化した。

R2はサイドのエアホールが拡大。スタビライザーは真ん中に3つ、R1よりも1つ増えた。(左 R2, 右R1) Photo:OGKカブト

新型のR2のスタビライザーは中央に配置された。旧型R1はヘルメット後方に「ウェイクスタビライザー」が配置されていた。新型R2は合計3つのウェイクスタビライザーを配置している。このウェイクスタビライザーはOGKが特許を所有している。

スタビライザーは、トヨタのプリウスなどにも採用されており、空気の整流効果が見込める。主に空気の流れを整えて、乱気流の発生を抑える効果がある。

R2は上部のエアホールが1つに、後方のエアホールが無くなった。(左 R2, 右R1) Photo:OGKカブト

上部のエアホールは大きく変わった。R2の上部にはエアホールが配置されていない。旧型R1の後方に配置されていたエアホールも新型では採用されていない。よって、ヘルメット上部の形状はスッキリとして段差がなく、「つるっ」としたエアロ形状になった。

ほとんどR1のオーバーシェルと同様の形状だ。

R2の上部エアホールは無くなり、後方エアホールも縮小。ベンチュリ効果を狙っていると予想。スタビライザーの配置も前方へ移動。(左 R2, 右R1) Photo:OGKカブト

新型R2の後方部分は、前作と比べ小さくなった。エアホールも小型化された。 ショートテールながらロングテール同等の空気抵抗を実現した。

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空力性能

photo: OGK

旧型のR1から2ワットの空力改善、エアパスプレートを使用した場合は4ワットの空力改善が見込めるという。ヘルメットだけで4ワットもの空力改善ということを考えると、フレームで203ワットや205ワットの戦いをしていることがバカらしく感じられてしまうほどのインパクトだ。

AERO-R2の空力性能が優れている理由として、直進方向(ヨー角0°)だけではなく横風や後方確認時の空気抵抗も低減させている。R1の基本フォルムを踏襲し、AERO-R2では前頭部中央に配置したエアホールと、ヘルメット内部に装着されたエアパスプレートで作ったエアトンネルの相乗効果で空気抵抗を抑制した。

この仕組は、TREKの新型MADONEで採用されたISO FLOWも似たような仕組みで空力性能を改善している。前方から向かってきた空気の勢いを、後方に受け流す仕組みだ。物体の後方部分には、負圧の領域が発生する。その負圧の部分に対して、勢いがついた空気の流れを流し込むことで空力が改善される。

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アンチスリップバックル

あご紐は緩みにくいロック機構をもつ「アンチスリップバックル」を装備している。転倒時やライド中あご紐が緩むことがないため、ヘルメット本来の頭を守る役割がさらに高められている。R1のバックルは引っ張ると、するすると緩んでしまうことを度々経験している。

R1は何度かバックル部分がアップデートされているが、R1後期型の改良でもバックル部分が緩まることが度々あった。新型R2を使用してみたところ、緩みは大幅に軽減されていた。また、バックルの取り外しやあご紐の調整も非常に楽になっている。

R1で最も改善してほしかった部分が緩みやすいバックルだった。このアップデートは非常にありがたい改善点だった。

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ノンスリップラバー

Photo: OGK

R2にはサングラスを引っ掛けておくための「ノンスリップラバー」を採用している。実際にノンスリップラバーの「あり」「なし」を試したが、「なし」の場合は下を向くとサングラスを引っ掛けておいても、滑り落ちてしまった。

ノンスリップラバーを取り付けておくと、サングラスがある程度固定される。レース中や、登りで一時的にサングラスを外して引っ掛けておいてもずり落ちて外れてしまう心配がない。

エアロヘルメットの特性上、エアホールが少なくサングラスを引っ掛けておくことができない場合が多い。しかし、AERO-R2はしっかりとサングラスをホールドしておける気配りが施されていた。

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BOAアジャスター

AERO-R2にはBOAフィットシステムを使した「KBF-2」アジャスターを採用している。前作の構造よりもさらにシンプルに変化した。R1はサイド部分もプラスチック製だったが、R2はサイド部分がBOAのワイヤーだけのシンプルな構造に進化した。

BOAといえば、シューズのバックルなどに採用されるなど、強度が非常に高い製品だ。ヘルメットのアジャスターとしての強度を考えてみても十分すぎるほどの性能を備えている。ワイヤーの調整方法は、

  • 時計回り:締まる
  • 反時計回り:緩む

という単純な仕組みだ。シマノシューズに採用されているBOAのように引っ張ってON,OFFするような一手間もない。時計回り、反時計回りの2つの方法で調整が可能だ。

また、アジャスターの縦方向の調整はヘルメットに直接固定する方法に変更された。移動量は8段階から選択できる(上の写真赤い部分)。

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インプレッション

R1からR2に変更し、率直に思ったことは「R1にはもう、戻れない…」ということだった。突然R1はオワコンになった。もちろ、新型のほうが気持ちも高まるし、新しもの好きにとってみれば旧型をあえて使う理由もない。しかしながら、実測重量ベースで単純に40g増えておりその点も気になっていた。

しかし、実際に使ってみると40gの重量増は感じられなかった。というのも、R1にエアロカバーを常時取り付けていたのだが、その分の重量を考慮すると、

  • R1エアロカバー無し実測:230g
  • R2実測:270g
  • R1エアロカバー込み実測:280g

以上のような実測重量で10g軽量化していた。R1のエアロカバーが販売されてからというもの、空力性能を優先して夏でも常時エアロカバーを使用していた。常時280gのヘルメットをかぶっていたわけだが、R2に変更したことによって10g軽量化したことになる。

エアロカバーを使用しない人は単純に40gの重量増だ。このあたりにシビアな人はR1を引き続き使用したほうがよいだろう。

40gの重量の増加と引き換えに、R2に変更することで優れた空力性能を手に入れられる。エアパスプレートは取り外しが可能(軽量化にもなる)だが空力性能を優先することを考えると、そのままつけておいたほうがいいだろう。4ワットの空力改善は最近の機材で最も衝撃的だった。

4ワットの改善といえば、

  1. CANYON Aeoad CFR Disc:202 W
  2. CANNONDALE SystemSix Disc:203 W

  3. CERVELO S5 Disc:205 W

  4. CANYON Aeoad CF SL Disc(37万円):206 W

CANYON AEROAD CF SLX(206W)のユーザーが、R2のヘルメットに変更することによって、CFR(202W)の空力性能を実質的に手に入れる事と同じ意味を持つ。空力性能は、バイクに乗車するライダー、バイク、ホイールといったシステム全体の空力の総和だ。

単純に空力性能を考えてもR2に乗り換える価値は十分にある。というよりも、4Wの改善をわずか2万円で手に入られるというのは、絶大なアドバンテージといえる。

重量、空力といったサイクリストが好きな物理法則の改善に関してはR1から改善された部分(空力)とそうでない部分(重量)を理解しておく必要がある。どちらを優先するかはライダーに委ねられるが、それ以外にもR2には魅力的なアップデートが数多くあった。

特にアジャスター部分はかなり攻めた作り込みになっている。一見すると非常に華奢なアジャスターに見えるが、シューズの締め付けにも使用されているBOAシステムとワイヤーの組み合わせだから、強度的には不安は感じられなかった。

調整方法もシンプルだ。別章で紹介したとおり「時計回り」と「反時計回り」の2種類しかない。シマノシューズを使用していると、BOA本体を上下方向にON、OFFといった使い方をするが、R2のBOAはシンプルな操作で非常にわかりやすかった。シューズのみならず、ヘルメットにもBOAが定番になりそうだと感じた。

BOAが取り付けられている台座部分の「KBF-2アジャスター」はヘッドレスト部の幅を2段階で調整だ。締め付け度合いだけではなく、個人差が大きい後頭部形状に合わせた調整が可能になった。筆者自身は頭が大きいため、アジャスターの幅をめいいっぱい広げている。

アジャスターの幅を最大に広げた場合。

アジャスターの幅を狭めた場合。この調整はアジャスターの「変形」だけで達成している。これ、考えた人天才。

R1のアジャスターといえば、幅が合わず、ヘルメットがだんだん前に下がってズレてきてしまうことが度々あった。R2を使用して気づいたのだが、横方向はKBF-2アジャスター、縦方向はアジャスターの位置(8箇所から設定できる)の組み合わせで頭全体をホールドする事ができる。

あご紐のバックルも改善された。バックルはR1で最も不便に感じていた部分だ。R1のバックルは引っ張るとバックルから滑って非常に緩みやすかった。R2ではYKKと共同開発した改良版に変更された。このバックルは調整もしやすく、固定力もあり使い勝手が非常によかった。

あご紐を伸ばすときには引っ張る方向にレバーを倒すと、スルスルとヒモが送り出される。レバーから手を離すと、自然とヒモがロックされる仕組みだ。シンプルながらも作り込まれた構造は直感的な操作がしやすい。R1で使用していたバックルを改めて使用したが、もう使う気になれなかった。

R2では内部の発泡体の作り込みも変更された。R1は肉抜きが多く施されており、できるだけ軽量化を狙っていたことがわかる。R2は新しいJCFの規定に対応するためか、内部の発泡体がより肉厚になった。

発泡体の肉抜きは減ったが、その分風通しが悪くなった感じはしなかった。前方のエアホールの数(5つ)で、内部で一旦狭くなり、後方のエアホールの数(実質3つ)という構造のため、圧力差によって勢いよく空気が排出されるのだろう(ベンチュリ効果)。


総じて、R2はR1で感じていたデメリットをすべて改善された完成度の高いヘルメットに進化していた。

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まとめ:重量、空力、価格のバランスが優れたヘルメット

R2は1つ1つの作り込みが非常に考えられていた。R1も優れたヘルメットだったが、R2でさらに2〜3歩進化した。「R3はどうなるのよ、、、」と思うほどに。バックル、アジャスターどの部分であっても非常にシンプルな構造かつ、実用的な使い勝手を兼ね備えた作り込みがなされていた。

そして、R2には開発者が苦悩の末に生み出した、美しき構造と、ピタゴラスイッチのような仕組みが、一つ一つ読み取れる。

製品として出来上がった完成形として見ればそれまでなのだが、R2の細部の設計1つ1つの形にたどり着くまでは、数々のプロトタイプとボツになった構造があったと想像できる。特にアジャスターのつなぎ目部分や、BOAまわりの幅変更のギミックは秀逸、秀逸すぎる。

使うことを考慮したライダーの事を考え、設計と改良が施されていったのだろう。空力性能をさらに4ワットも改善してきたことは、OGKの開発能力と幾度なく行われた風洞実験の賜物だろう。前作R1を使用している人は現在でも非常に多い。レース会場などで見ない日はないが、R2も同様に「ベストセラー待ったなし」のヘルメットに仕上がっていた。

初回は、すぐに売り切れてしまうだろう。

機材としての評価をするのならば、5点満点中、5点をつけたい。いや、それ以上の評価を受ける必要があるヘルメットだ。それは、空力性能が4ワット向上しつつ、使い勝手がさらに向上、それでいて、お値段は据え置き(税込23,100円)という価格設定による高いコストパフォーマンスも素晴らしい。

世の中にはエアロ系のヘルメット数あれど、重量、価格、空力性能を考慮すると他社のエアロ系のヘルメットで太刀打ちできるモデルは非常に少ないのではないだろうか。「ヘルメット版のAEROAD」とも言うべきOGK AERO R2は、間違いなくヘルメットのベストバイだ。

 

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