『地球上、最速のタイヤ』Vittoria CORSA PRO SPEED インプレッション

5.0
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『地球上、最速。』

Vittoria CORSA PRO SPEEDは、地球上で最も転がり抵抗が小さいタイヤだ。事実上、CORSA PRO SPEEDよりも速く走れるタイヤは存在しない。タイム短縮を狙うライダー、レースで勝ちたいライダーに、最速への答えがここにある。

データで裏付けられた性能と速さは、ワールドツアーライダーたちがこぞって採用し、数々の勝利を上げ続けている。クラシック、世界選手権、ヨーロッパ選手権、オリンピックでの勝利、ツール・ド・フランスで19回、ジロ・デ・イタリアで18回、ブエルタ・ア・エスパーニャで10回勝利した。

ヴィンゲゴーもVittoria CORSA PRO SPEEDを使う。

最速のため、勝つためのタイヤだ。

今回は、Vittoria CORSA PRO SPEED 28Cを試した。事実上、このタイヤよりも転がり抵抗が小さく、速く走れるタイヤなど存在しない。まさに究極の兵器とも呼ぶべき、CORSA PRO SPEEDを試した。

  • グラフェンとシリカの先進素材で、優れたスピードとグリップを発揮
  • タイヤは軽量設計、重量は理想的な240~250グラム程度
  • TTでの性能は良好だが、耐久性が気になる
  • ずるいチートタイヤ
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転がり抵抗

CORSA PRO SPEEDはロードバイク最速のタイヤだ。技術データと実験レビューがこの主張を裏付けている。

Bicycle rolling resistanceによる独自の実験では、前モデルのCORSA SPEEDよりも約20%転がり抵抗が小さく、これまでの最速タイヤだったVeloflex Record TLRよりも10%速いことが確認されている。異なる圧力での転がり抵抗測定により、その効率性が浮き彫りになった。

  • 6.0W Corsa Pro Speed TLR 28
  • 6.8W Record TLR 25
  • 7.6W Grand Prix 5000 TT TR 28
  • 8.1W Pro One TT TLE Addix 25
  • 9.1W Grand Prix 5000 S TR 25
  • 10.7W Grand Prix 5000 25
  • 12.2W Agilest TLR 28

また、AeroCoachのタイヤテストでは26C, 24Cのみテストが行われているが、同様に最速クラスの結果が出ている。

タイヤサイズ / モデル / タイヤタイプ Crr W/45kph
25mm Veloflex Record C 0.001926 20.1
26mm Vittoria Corsa Pro Speed TLR 0.001964 20.5
24mm Vittoria Corsa Pro Speed TLR 0.001974 20.6
25mm Veloflex Record TLR 0.001984 20.8
23mm Veloflex Record C 2022 0.002039 21.3
25mm Vittoria Corsa Speed TLR 0.002042 21.3
23mm Vittoria Corsa Speed TLR 0.002056 21.4
25mm Michelin Power TT C 0.002132 22.2
23mm Continental Supersonic C 0.002174 22.7
25mm Continental GP5000 TT TL 0.002216 23.1
23mm Pirelli P Zero TT C 0.002344 24.4
23mm Tufo Calibra Light C 0.002355 24.5
25mm Schwalbe Pro One TT TLR 0.002396 25.0
24mm Specialized Turbo Cotton C 0.002452 25.5
23mm Michelin Power TT C 0.002458 25.6
25mm Michelin Power Cup C 0.002509 26.1
23mm Michelin Power Cup C 0.002540 26.5
23mm Continental GPTT C 0.002550 26.6
26mm Vittoria Corsa Pro TLR 0.002607 27.2
25mm Continental GP5000 C 0.002612 27.2
25mm Continental GP5000S TR 0.002622 27.3
25mm Michelin Power Cup TLR 0.002644 27.6
23mm Continental GP Attack 3 C 0.002655 27.7
24mm Vittoria Corsa Pro TLR 0.002720 28.3
25mm Continental GP5000 TLR 0.002731 28.5
23mm Continental GP5000 C 0.002845 29.6
25mm Goodyear Eagle F1 Supersport C 0.002904 30.3
25mm Zipp Tangente Speed TLR 0.002918 30.4
25mm Maxxis High Road SL C 0.002958 30.8
25mm Veloflex Corsa Race TLR 0.002992 31.2
26mm Pirelli P Zero Race SL TLR 0.003011 31.4
26mm Pirelli P Zero Velo SL TLR 0.003045 31.7
23mm Michelin Power Road C 0.003095 32.2
24mm Wolfpack Race Cotton C 0.003117 32.5
26mm Specialized 2Bliss TLR 0.003188 33.2
25mm Schwalbe Pro One TLR 0.003205 33.4
23mm Continental GP4000 C 0.003235 33.7
25mm Veloflex Corsa EVO TLR 0.003242 33.8
25mm ENVE SES TLR 0.003386 35.3
25mm Pirelli P Zero Race TLR 0.003412 35.6
25mm Goodyear Eagle F1 Supersport TLR 0.003509 36.6
23mm Veloflex Master C 0.003553 37.0
23mm Tufo Calibra Plus C 0.003589 37.4
25mm Hutchinson Fusion 5 Perf TLR 0.003627 37.8
24mm Vittoria Corsa NEXT TLR 0.003671 38.2
25mm Vittoria Corsa G+ 2.0 TLR 0.003786 39.5
25mm Maxxis High Road TLR 0.004045 42.1
25mm Panaracer Race A Evo 4 C 0.004115 42.9
24mm IRC Aspite Pro RBCC 0.004190 43.7

これらの値は、非常に低い転がり抵抗を示しており、特に平均時速40~45kmのプロライダーにとっては、高速走行時の大幅なエネルギー節約につながる。 このため、CORSA PRO SPEEDはTTや高速レースに理想的なタイヤである。

最大のライバルと目されている、Continental GP5000 TT TLと比べても2.6ワットものアドバンテージがある。人気が高いContinental GP5000S TRと比べると6.8ワットもの差がある。

事実上、Vittoria Corsa Pro Speed TLRは実用できる世界最速、実績のある「クリンチャー兼チューブレスタイヤ」だ。

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最速のテクノロジー

image: Vittoria

Vittoria CORSA PRO SPEEDは、Vittoriaの開発チームが3シーズンにわたってレースを分析し、様々な条件を広範囲に解析した研究成果だ。

同社の技術で最高のタイヤを作るという目標のもと、スピード、グリップ、コントロールを最大限に高めるタイヤとして設計された。転がり抵抗を限界まで下げるために、トレッドには高度なグラフェンとシリカコンパウンドが採用されている。

image: Vittoria

グラフェンは卓越した強度対重量比で知られるナノ素材だ。強度と軽さが特徴で、転がり抵抗を低減し耐久性を向上させている。

タイヤコンパウンドに使用されているシリカは、特にウェットコンディションでのグリップを高め、レース中のコントロール性を向上させる。このコンパウンドは、効率、スピード、トラクションのために特別に設計されており、TTなど最速を求める種目に理想的である。

このグラフェンとシリカの組み合わせは、Vittoriaのタイヤだけが採用しているロードレーシングタイヤ向けの最先端コンパウンド技術になっている。

そして、Vittoriaの最高級ロードタイヤには、コットンケーシングが使用されている。コットン(綿糸)は、タイヤケーシング技術の中で最も薄い構造をしており、軽量化と柔軟性の面で大きなメリットがある。

ケーシングの全体的な強度を高めるために、軽量のコットンと耐久性の高いアラミド繊維をブレンドした特殊糸を使用している。この構造は、耐パンク性を維持しながら、しなやかなロードフィールを実現している。

image: Vittoria

320TPIのコットン・コアスパン・ケーシングは、1インチあたりの糸の本数が320TPIと非常に緻密であるため、タイヤは路面に密着し、滑らかな乗り心地、転がりやすさ、グリップ力を発揮する。高いTPI数はレーシング・タイヤに適したもので、競技用として重量と耐久性のバランスがとられている。

転がり抵抗を抑える技術追及は、トレッドとケーシングをつなげる方法にも工夫が施されている。Vittoriaの開発チームは、電気加硫によってタイヤトレッドをコットンのケーシングと一体化することに成功した。トレッドがケーシングの一部のように、完全に一体化することで100%シームレスなタイヤに仕上がる。

トレッドとケーシングが一体化している。

そのため、トレッドからサイドウォールへ素材が変わっても段差がなく、シームレスなテーパード構造になっている。ラボでのテストでは、スムーズなタイヤ構造により、無駄な乱流が発生せず、タイヤ自体のエアロダイナミクスも向上する副次的なメリットが明らかになっている。

これらの革新的な技術により、タイヤの柔軟性の向上、路面状況への追従性、インピーダンスロスの減少、乾いた路面とぬれた路面の両方で非常に高いレベルのグリップを発揮するなど、様々なメリットを生み出している。

Vittoria社内で最終テストの結果、転がり性能が5%向上、重量を2%削減した。CORSA PRO SPEEDのトレッド周方向溝の配置はCORSA SPEEDと比較して最適化されており、センタースリックエリアが広く、溝が密集しているため、しなやかさとコーナリングエッジが向上している。

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重量

重量はレーシングタイヤにとって重要な要素だ。CORSA PRO SPEEDは特に軽量に設計されており、レースへの適合性を高めている。タイヤの重量はサイズによって異なり、以下の仕様となっている。

  • 700x24c 220グラム
  • 700x26c 235グラム
  • 700x28c 250グラム
  • 700x29cWide 255グラム

TLRタイヤとして考えると非常に軽い設計だ。クリンチャータイヤだとしても優れた重量といえる。ホイール外周重量に大きな影響を与えるタイヤ重量は、レースでは極めて重要になっており、重量を最小限に抑えることはパフォーマンスの向上にもつながる。

28cタイヤをリム内幅23mmに装着した場合の実測寸法は28.8mmだった。 軽量性と正確なサイジングにより、CORSA PRO SPEEDは、最適なパフォーマンスを求めるレーサーにとって万能な選択肢となっている。

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耐久性

CORSA PRO SPEEDはスピードとグリップに優れているが、耐久性と耐パンク性能はトレードオフの関係にある。CORSA PRO SPEEDは、耐久性と耐パンク性に優れたトレッドとはいうものの、Bicycle rolling resistanceの技術データによると、トレッドの厚さはわずか1.3mmで、トレッドの合計パンクスコアは25点だ。

これは数あるタイヤの中で、耐パンク性に乏しい部類である。

従来のCORSA SPEEDよりも耐パンク性が25%低く、耐久性よりもスピードを重視していることを示している。サイドウォールの耐パンク性能もわずかに低下しており、加硫トレッドがこのトレードオフに寄与している可能性がある。

ヴェロフレックス・レコードTLRのようなライバルと比較すると似たような耐パンク性だ。この手の最速タイヤは、速さを最優先しており耐パンク性を犠牲にしている。速さへの性能を極限までとがらせることで、世界最速をてにいれている。

実世界での耐久性は、比較的路面状況が悪い六甲山のヒルクライムでもパンクはしなかった。また、前世代のCORSA SPEEDは摩耗が早く使っていくうちにみるみる減ってきたが、新型のCORSA PRO SPEEDは摩耗は少なくなっているようだ。

それでも、このタイヤは依然としてスピードを最重視しており、耐久性は二の次になっている。タイヤとしてはアンバランスだが、性能のほとんどをスピードに振っていることを示している。耐久性を期待するライダーは、違うタイヤを探した方が良いだろう。

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インプレッション

「峠のタイムを短縮した!」

なんて書けたら、記事にはくが付く。大変見栄えが良く、反響もあるだろう。地球上最速のタイヤを使っているのだから、そうあってほしい。では、実際使用してどうだったのか。

あっさりと、六甲山のタイムを更新してしまった。

年々おっさんになっていくのだが、人生最速である。そればかりか、ふだん勝てないライダーにも峠で勝ってしまった。周りも驚いていたが、一番驚いていたのは私自身だ。どう考えても、こんな一気に調子が上がったりはしない。

都合の良い話のように聞こえるが、冷静に考えてみるとそうでもない。常用しているタイヤからCORSA PRO SPEEDに変更すると、約7ワットも転がり抵抗が改善する。平均パワーが単純に7ワット上がったと言い換えてもよい。

エアロフレームやホイールの場合は、40km/h走行時など高速域で数ワットという違いが出るのだが、タイヤの場合は速度が1km/hだろうが10km/hだろうが、タイヤが変形することによって消費するヒステリシスロスそのものが影響する。

特に、ヒルクライムなど比較的低~中速度域での効果が大きいと感じた。速度域が上がれば空気抵抗が支配的になるが、速度域が低い場合は転がり抵抗や駆動抵抗の割合が大きくなる。

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0km/h地点では、転がり抵抗(Rolling Resistance)とベアリング内部抵抗(WB)にほとんど埋め尽くされている。理由としては、ゼロスタート時点では速度が遅いため、空気抵抗の影響を受けにくい。スピードが上がっても、転がり抵抗(RR)やベアリングの抵抗(WBR)の「絶対値」は小さくなっていない。抵抗全体に対してRRとWBRの「割合」が変化している。

CORSA PRO SPEEDのテストで理解したのは、TTやロードレースではなく速度が比較的遅いヒルクライムこそ恩恵を受けやすいと感じた。CORSA PRO SPEEDを使って、峠を富士ヒル選抜のライダー(昨年のタイムは1時間と30秒台)の後ろで走っていたが、移行区間で速度が上がっても、いつもより後ろに着きやすいと感じた。

私を振るい落とそうと終盤にかけてペースが上がったが、いつもよりなぜか着いていけた。これは、タイヤを替えたことよるヒステリシスロス減少の結果なのか、それとも春先にフィジカルが急激に上がったのかは、実は判別がついていない。

ただ、タイヤの転がりは明らかに小さくなっていることは体感できる。正直な話、機材で早い遅いを体感するのは非常に難しく、ほとんどわからないのだが、CORSA PRO SPEEDは峠のタイム短縮と、体感的な速さを明らかに感じる。

CORSA PRO SPEEDは相当な武器になると思った。特にヒルクライムやTTには強力な武器になることは間違いない。

一方で気にしていたのは、耐パンク性だ。

過去に、グラフェンを初採用した頃のCORSA SPEEDを使ったことがあるのだが、家を出て5kmでパンクした。このタイヤの評価が「最速か、パンクか」だった。レースで使いたいとは思えないタイヤだった。

CORSA PRO SPEEDの実走ではパンクすることはなかったが、他のタイヤと比較してもパンク耐性は特に低い。速さと耐久性は、トレードオフの関係にある。これらの要因から、スピードのために耐パンク性能の妥協を受け入れるレーサーに最適であると言えるだろう。

また、しなやかなサイドウォールによるコーナリング安定性は少しばかり気になった。一体成型のGP5000やPower CUPのようなタイヤと比べるとサイドウォールがしなやかなため扱い方が異なる。

CORSA系タイヤの扱いのクセをつかめば違和感はなくなるが、他社タイヤから乗り換えた場合は、バイクを倒すことがやや怖く、不安定と感じるかもしれない。

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まとめ:地球上、最速。

Vittoria CORSA PRO SPEEDは、スピードとパフォーマンスの新たなベンチマークとなる画期的なタイヤだ。

320TPIコットンケーシング、グラフェン+シリカコンパウンドなど、その先進テクノロジーは、卓越した転がり抵抗を発揮する。しかし、そのスピード重視の代償として、耐パンク性が若干低下し、耐久性を優先するライダーには向かない。

特に長時間のレースでは、パンクのリスクを軽減するためにシーラントの追加使用も検討すべきである。

高価なタイヤのひとつだが、その性能の高さから、本格的なレーサーにとっては価値ある投資となる。スピードを優先し、耐久性とのトレードオフを受け入れるプロおよびアマチュアレーサーに最適だ。速さを求めるなら、このタイヤ以外を使う意味がない。

総じて、コストよりも性能を優先する人に最適と言える。特にセラミックベアリングのようなアップグレードと比較すると、CORSA PRO SPEEDの純粋なスピードの向上は、その高いコストを正当化している。

高価格はホビーライダーには敬遠されるかもしれないが、競技サイクリストにとっては、パフォーマンスの向上は確実なリターンを生む投資だ。

『地球上、最速』

この事実がわかってしまった以上、タイムを少しでも縮めたいライダーはVittoria CORSA PRO SPEEDを使うべきだ。あなたが今使っているタイヤがCORSA PRO SPEED以外のタイヤであれば、このタイヤに変えることで確実なスピードアップを手に入れられるのだ。

このタイヤ以外は、今よりも遅くなってしまう。

富士ヒルクライムなど、決戦が予定されているサイクリストも多いことだろう。レース当日の本番で、あと1秒で目標に届かず、悔しい思いをするくらいならCORSA PRO SPEEDを使って性能の限界を今から追及すべきである。

後悔先に立たず、だ。

1本あたり14,960円するが、楽天やYahooの最安を狙えば1万円弱で購入できる。

 

 

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