新型 Roval Terra CLX III 超軽量1,079g、20%も柔らかく、タイヤ幅60mmに対応!

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Rovalが発表した「Terra CLX III」は、チューブレステープとバルブ込みで1,079gという数字を叩き出した。実測では1,050gとさらに軽く、カタログ値が保守的であることを示している(最近のSPECIALIZED製品は実測が軽いことのほうが多い)。

同クラスの競合であるENVE G23が約1,262g、CADEX AR 35が約1,270gであることを考えれば、その差は実に200g近い。これはグラベルホイール市場における未到達の答えだ。

  • 超幅広の4.86mmビードフックでフックレス全盛時代への逆張り
  • 21.52%も「柔らかく」した
  • 1,079g、171gもの軽量化
  • 対応タイヤ幅 60mm
  • ARRISコンポジットスポーク — 熱可塑性カーボンとチタン端部の融合
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なぜ171gもの軽量化を実現できたのか

171gの軽量化を実現できたのは、スポーク、リム、カーボンレイアップの三要素を同時に刷新したからである。前作Terra CLX II(1,250g)からの171g削減は、前輪489g・後輪590gという内訳に分解される。

最大の貢献はARRISコンポジットスポークへの換装で、45本のスポーク全体で96.6gの軽量化を達成した。

リムプロファイルはCLX IIの32mmから25.5mmへと浅くなり、さらにカーボンファイバーの積層設計には200回以上の反復シミュレーションが投入されている。重量、横剛性、フック応力の三要素を同時に最適化するという、地道だが確実なアプローチである。

余談だが、筆者がこれまでテストしてきたホイールの多くは1,300g台が「軽量」の目安であった。1,079gという数字を初めて見たとき、正直に言えば「大手メーカーにしては軽すぎる、何かを犠牲にしているのでは」と疑った。

しかし、製品仕様見ていくほどに、この軽量化が単なるスペック競争ではなく、グラベルレースの本質的な要求に応えるための設計判断であることが見えてくる。

Terra CLX IIIのポジショニング

Terra CLX IIIの立ち位置を正確に理解するには、競合製品との比較が不可欠である。以下の表は主要なハイエンドグラベルホイールセットの仕様を整理したものである。

ホイールセット 重量 リム深さ 内幅 ビード形状 スポーク
Roval Terra CLX III 1,079g 25.5mm 27mm フック付(4.86mm) カーボンコンポジット
ENVE G23 約1,262g 25mm 23mm フックレス スチール(Sapim CX-Ray)
CADEX AR 35 約1,270g 35mm 25mm フックレス カーボン
Hunt 40 Limitless 約1,328g 40/41mm 27/26mm フック付(4.5mm) カーボン
Zipp 303 Firecrest 約1,352g 40mm 25mm フックレス スチール(CX-Sprint)
Reserve 40/44 GR 約1,444g 40/44mm 27mm セミフック スチール

注目すべきは、Terra CLX IIIが最も浅い25.5mmのリム深さを選択している点だ。

エアロダイナミクスの深さを犠牲にする代わりに、重量で圧倒的なアドバンテージを得る。一方で外幅は38mmとこのグループ最大であり、内幅27mmも競争力のある数値である。対応タイヤ幅は35mmから60mmまでと広い。

Rovalはこのホイールを明確に「クライミングとテクニカル地形用」と位置付けており、フラットで高速なコースにはコンパニオンモデルのTerra Aero CLX(1,340g、ディープリム)を推奨している。

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ARRISコンポジットスポーク — 熱可塑性カーボンとチタン

従来のスチールスポークと何が違う?

素材、製造プロセス、破壊モードのすべてが異なる。ARRISコンポジットスポークは、2017年にカリフォルニア州バークレーで設立されたARRIS Composites社が開発した、航空宇宙グレードの連続繊維複合材料技術の産物である。

製造には「Additive Molding」と呼ばれる特許取得済みの全自動プロセスが用いられる。これは連続カーボンファイバーを熱可塑性樹脂マトリクス(バイオナイロン=バイオベースナイロン)と組み合わせ、量産規模で成形する技術である。

工程は三段階に分かれる。まずARRIS社が原材料から独自の熱可塑性含浸カーボンファイバートウを製造する(市販のプリプレグは使用しない)。次に、専用ロボットがスポークの荷重経路に沿って連続繊維を精密に配置する。

このトポロジー最適化された繊維配向こそが、従来のカーボン積層工法に対する決定的な優位性である。最後に加熱と圧縮で一体化し、後加工不要の完成部品となる。

たとえて言えば、従来のカーボン製造が「布を切り貼りする」工程だとすれば、ARRISの手法は「必要な場所に必要な方向で糸を織り込む」ようなものである。構造的に意味のない方向に配置された繊維が大幅に減るため、同じ重量でより高い強度と剛性を実現できる。

チタンとカーボンの接合部

ARRISのチーフエンジニアであるErick Davidson氏が「真のトリック」と呼ぶチタン端部とカーボン本体の接合部は、同社のコアIPである。この界面は数千ニュートンの引張荷重サイクルに耐えなければならず、ARRIS社は出荷前に全数検査(100%インスペクション)を実施している。

性能数値は凄まじい。

1本あたりの重量は約1.9gで、プレミアムスチールスポークであるDT Swiss Aerolite(約3.5g)やSapim CX-Ray(約4.5g)の半分以下にあたる。破断荷重は3,000ニュートン超、降伏荷重は2,000N超と、ブレードスチールスポークを20%上回る強度を持つ。

剛性はプロファイル形状により1,000〜1,290 N/mmの範囲にある。

熱可塑性マトリクスの選択には実用上の重要な意味がある。熱硬化性カーボンファイバーが衝撃時に破片を飛散させて壊滅的に破壊するのに対し、熱可塑性コンポジットは変形しながらエネルギーを吸収する。

マトリクスがマイクロクラックの伝播を抑制するため疲労寿命も長い。リサイクルも可能であり、製造サイクルタイムも短い。ISOの完成車輪試験(80°Cの高温試験を含む)にも合格しており、砂漠のグラベルイベントで車内に放置される状況も想定されている。

なお、初期ユーザーからはスチールスポークに比べて傷がつきやすいとの報告があるが、これは構造的な問題ではなく外観上の特性である。

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コンプライアンス21.52%向上

なぜ、ホイールを「柔らかく」したのか

グラベルレースにおける真のパフォーマンスは、横剛性の最大化ではなくコンプライアンスの最適化にあるとRovalが判断した。この判断は自転車業界の常識に真っ向から挑むものだ。何十年もの間、ホイールメーカーは横剛性を高めることを美徳として売り込んできた。

ペダリングパワーのロスを防ぎ、スプリント時のたわみを抑え、正確なハンドリングを実現する — そういった文脈で「剛性」は常にポジティブな形容詞であった。Terra CLX IIIは、前作CLX IIに対して横方向コンプライアンスを21.52%向上させた。つまり、意図的に横方向の柔軟性を高めたのである。

21.52%という異例に精緻な数値は、実験室での測定に基づくものと考えられる。業界標準のホイールコンプライアンス試験では、アクスルを剛体に固定し、リムに制御された横方向荷重を加え、変位を測定する。剛性は力÷変位でN/mm単位で表され、コンプライアンスはその逆数である。

コンプライアンス向上の設計変更

複数の設計変更が同時に寄与している。最大の要因はリム深さの低減(32mmから25.5mm)であろう。横剛性はリム深さの概ね3乗に比例してスケールするため、20%の深さ低減は横方向の剛性を劇的に低下させる。

加えて、カーボンファイバーの積層設計でも横方向のたわみを許容しつつラジアル剛性と衝撃強度を維持するよう、特定の繊維配向とプライスケジュールが最適化されている。ARRISコンポジットスポークのスチールとは異なる弾性特性も寄与しており、ハブフランジ幅も微調整されている。

グラベルにおけるコンプライアンスの意義は三つある。

第一に、振動誘発性のパワーロス。デコボコしたグラベル路面で剛性の高いホイールは高周波振動を伝達し、ライダーの筋肉に不随意的な緊張を引き起こして代謝コストを増大させる。

第二に、トラクション。横方向に微小なたわみを持つホイールは、ルースな路面でより良い接地を維持する。

第三に、疲労。Unboundのような200マイルレースでは、蓄積された振動伝達が終盤のパフォーマンスを大きく制限する。Rovalはこのコンプライアンス向上を「劇的な重量削減以上にライダーのパフォーマンスを改善する」要素と位置付けている。

参考になるのは、Mavicのエンジニアであるジャン=ピエール・メルカが約300回の制御試験で得た知見である。SRMパワーメーターを用いた実験で、横剛性60 N/mmと80 N/mmの間にはパワー伝達の測定可能な差は認められなかった。

性能低下が確認されたのは極端に低い20 N/mmの場合のみで、しかも350ワット超の最大努力時に限られた。これはRovalの設計判断が科学的に合理的であることを裏付けている。

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巨大な4.86mmビードフック

なぜRovalはフックドを貫くのか

グラベルレース特有の低圧・高衝撃環境でのタイヤ保持力とパンク耐性、そしてタイヤ互換性の最大化を優先したからである。

ENVE、Zipp、CADEXといった主要競合がフックレスリム設計へ移行する中、Rovalはグラベルカテゴリー最大級の4.86mm(スペックシート上は4.9mm表記)フック付きビードを採用した。この選択は技術的なトレンドに対する明確な逆張りであり、その背景にはグラベルレース固有の課題がある。

フックレスリムは製造が容易で軽量化に有利だが、低圧時のタイヤ保持力に課題を抱える。

グラベルレースでは25〜35 PSIという低圧で走行することが一般的であり、カンザスのフリントロックやコロラドのシングルトラックでは暴力的なリム打ちが頻発する。フックレスリムでは、こうした衝撃時にタイヤビードがリムから外れるリスクがある。

「FlatStop」ビード構造がパンクを防ぐ

FlatStopビード技術は、リムのビードフック(タイヤビードを保持する突起部)を拡幅することで、衝撃エネルギーをより広い面積に分散させる仕組みである。

タイヤが激しい衝撃でリムに押し付けられた際、従来の狭いビードフックは小さな点に力を集中させ、タイヤケーシングを挟み込んでパンクさせる。FlatStopの幅広フックはこのエネルギーを分散し、ケーシングへのピーク応力を低減する。

姉妹モデルのTerra Aero CLX(さらに幅広い5.38mmフック)では、CLX IIと比較してパンクに必要なエネルギーが91%増加したとRovalは主張している。ロード向けのRapide CLX IIIでは、FlatStopフック採用によりパンクに必要な力が39%増加した。

フック付きリムのもう一つの実用的メリットは、タイヤ互換性の広さである。フックレスリムはフックレス専用設計のタイヤのみ使用可能で、最大圧力にも制限があり、メーカーごとに互換マトリクスが異なる。

Terra CLX IIIのフック付き設計は、事実上あらゆるチューブレスまたはクリンチャータイヤに対応し、公式対応範囲は35〜60mm、最適化されたスイートスポットは45mm前後(Specialized Tracer 45mmおよびPathfinder TLR 45mmを基準に設計)である。

Rovalは全ラインナップでフック付きリムを維持しており、これはタイヤ選択と空気圧の自由度を最大化するという明確な設計哲学に基づいている。

内幅はCLX IIの25mmから27mmへと拡大された。

これはグラベルタイヤのワイド化というトレンドを反映しており、45mmのPathfinder TLRはこのリムで実測44mmとなる。より広い内幅は、グラベルレーシング特有の低圧域でタイヤプロファイルを適切にサポートし、タイヤのヨレを抑制してコーナリング安定性を向上させる。

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DT Swiss 180 EXPハブとSINCセラミックベアリング

最軽量ホイールに最高級ハブ

採用されたのは、グラベルレースという過酷な環境で求められる信頼性、整備性、そしてエンゲージメント性能を、最も高い次元で満たすハブだ。Terra CLX IIIはRoval設計のハブシェルにDT Swiss 180 Ratchet EXPインターナルとSINCセラミックベアリングを組み合わせている。

前作CLX IIからの継続採用であり、それには十分な理由がある。180 EXPシステムは軽量かつ信頼性の高いハブエンゲージメントのベンチマークとして広く認知されているからである。

EXP(Extended Performance)ラチェットシステムは、DT Swissの25年の歴史を持つスターラチェットの根本的な再設計である。インボードラチェットとスレッドリングを一体化し、従来の2つのコニカルスプリングに代えて1本のシリンドリカルスプリングのみを使用する。

これによりドライブサイドベアリングがアウトボードに移動し、ベアリング間隔が拡大して、ハブ剛性が15%向上するとされる。標準の36歯ラチェットは10°のエンゲージメント(ペダル回転10°以内にフリーハブが噛み合う)を提供し、グラベルの大半のシチュエーションで十分である。

テクニカル地形でよりインスタントなエンゲージメントを求めるライダーには、54歯アップグレード(6.7°エンゲージメント)も用意されている。ラチェット全面で全ての歯が同時に噛み合い、荷重を均等に分散する点が、ポウル式デザインに対するこのシステムの信頼性の鍵である。

歯車の比喩で言えば、ポウル式が「3〜4本の爪で歯車を引っかける」のに対し、ラチェットEXPは「全ての歯が面で噛み合う」ようなものであり、1点あたりの負荷が大幅に低減される。

SINCセラミックベアリングは何が違う

SINCセラミックベアリングは、窒化ケイ素(Si₃N₄)ボールを精密研磨されたスチールレースで支持するハイブリッドセラミック構造である。

窒化ケイ素はスチールより硬く、軽く、耐腐食性に優れる。特筆すべきは、セラミックボールが使用とともにスチールレースを漸進的に平滑化するため、転がり抵抗が使い込むほどに改善されるという特性である。

DT Swissはシールシートの同心度公差を千分の一ミリメートル以内に収めており、外側シールはフルコンタクトで防塵・防水性を確保し、内側シールは軽接触で摩擦を低減するという二重構造を採用している。

個別のSINCベアリングの小売価格は約81ドルで、清掃と再グリスの推奨サービス間隔は12ヶ月である。

グラベルにおけるこのハブの適性は、ハブシェルマウントのシールによる防塵・防水性、セラミック・オン・スチールによる電蝕防止、そしてShimano HG、SRAM XDR、Campagnoloの各フリーハブボディ間のツールフリー交換にある。

複数のバイクやドライブトレインを使い分けるライダーにとって、この互換性は大きな実用的価値を持つ。フロントハブ重量は93〜94g、リアハブは185〜188gであり、単体のDT Swiss 180ハブセットは約1,144ドルで販売されている。ホイール総価格の相当部分をこのハブが占めていることになる。

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タイヤ互換性と耐パンク性能の強化

対応タイヤ幅60mm

結論として、27mm内幅と4.86mmフック付きリムの組み合わせは、現時点でグラベルホイールとしてのタイヤ互換性を最大限に確保している。

Terra CLX IIIの対応タイヤ幅は35mmから60mmと公表されている。設計の最適化は45mm前後のタイヤを基準に行われており、SpecializedのTracer 45mmおよびPathfinder TLR 45mmがリファレンスタイヤである。

27mmの内幅は45mmのPathfinder TLRを装着した際に実測44mmのケーシング幅を実現し、適度にラウンドしたタイヤプロファイルを形成する。

フック付きリムであることの最大の実用的メリットは、タイヤ選択の自由度にある。フックレスリムではメーカーごとに認定タイヤリストが存在し、非認定タイヤの使用は推奨されない(場合によっては保証対象外となる)。

一方、フック付きリムはチューブレスレディ、チューブレス、クリンチャーのいずれの規格にも対応し、空気圧の上限制限も緩い。グラベルレースでは天候やコース状況に応じてタイヤを直前に変更することが珍しくなく、この互換性の広さは単なるスペック上の優位性ではなく、実戦での柔軟性に直結する。

FlatStopビード構造はパンクリスクを軽減するか

Rovalの公称データによれば、ロード向けRapide CLX IIIのFlatStopフックはパンクに必要な力を39%増加させ、Terra Aero CLX(5.38mmフック)では必要エネルギーが91%増加した。Terra CLX IIIの4.86mmフックはAero CLXよりやや小さいが、従来のフック付きリムを大幅に上回るパンク耐性を持つと推測される。

ただし、これらの数値はラボ環境での制御試験に基づくものであり、実走行条件では路面状況、タイヤケーシング構造、空気圧、走行速度など多数の変数が影響する。

グラベルレースにおけるパンクは運の要素も大きく、FlatStopが万能ではないことは認識しておく必要がある。とはいえ、統計的にパンク確率を低減する設計であることは間違いなく、100kmを超えるグラベルレースで一度のパンクが順位を大きく左右する状況では、この確率的優位性は無視できない価値を持つ。

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グラベルレースに特化した設計思想

「グラベル専用設計」

結論として、リム深さ、コンプライアンス、ビード設計、タイヤ最適化のすべてがグラベルレースの要求に最適化されており、ロードホイールからの転用ではないということである。

Rovalは明確に述べている。

「これらはロードホイールを改良したものではない。より粗い路面、より深いヨー角、より太いタイヤというグラベルの現実のために、専用に設計されたものだ」と。

CLX IIIは姉妹モデルのTerra Aero CLXとの二本立て戦略の中で、山岳・テクニカル・荒れた路面のコース向けと明確にポジショニングされている。フラットで高速なコースにはAero CLXが推奨される。

設計上のトレードオフはこのレーシングフォーカスを反映している。リム深さはエアロ性能を犠牲にして25.5mmに抑えられ(競合の多くは32mm以上)、カテゴリー最軽量を達成した。横剛性は意図的に低減され、荒れた路面でのコンプライアンスに振られた。

38mmという幅広の外幅は太いケーシングに最適化されており、ロードタイヤのエアロダイナミクスは考慮されていない。FlatStopビードフックはフックレスの製造簡便性や微小な重量メリットよりも、暴力的な衝撃時のパンク防止を優先している。

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1,079gという数字が問いかけるもの

ホイールの軽量化が行き着く先には、ある種の哲学的な問いが待っている。1,079gのグラベルホイールセットは、どのような自由をライダーに提供するのだろうか。

一つの答えは「重力からの部分的な解放」である。登りで1ペダルストロークごとに持ち上げる質量が200g少ないことは、何千回ものペダルストロークの累積として、確実に身体の余力として蓄えられる。しかし、それだけでは451,000円という価格を正当化する物語としては不十分である。

より本質的な答えは「意思決定の自由」ではないだろうか。21.52%のコンプライアンス向上は、ライダーが荒れたセクションでラインを選ぶ際の選択肢を広げる。

FlatStopビードフックは、低圧走行という戦略的選択をより安全にする。35〜60mmのタイヤ互換性は、レース前夜のタイヤ選択に柔軟性を与える。DT Swiss 180 EXPの信頼性は、メカニカルトラブルへの不安からライダーを解放する。

グラベルレースの本質は、不確実性の中で最善の判断を下し続けることにある。パンクするかもしれない。路面が予想より荒いかもしれない。最後の登りで脚がなくなるかもしれない。

Roval Terra CLX IIIが提供するのは、これらの不確実性に対するマージンの拡大である。それは「勝つための武器」というよりも「負けないための保険」に近い。しかしグラベルレースにおいては、負けない者、トラブルに見舞われない者が最終的に勝つ。

451,000円は安くない。長期的な耐久性データもまだ十分ではない。

しかし、テクニカルで山岳的なグラベルレースにおいて、この重量対能力比に匹敵するホイールは現時点で存在しない。それが、このホイールの存在意義であり、Rovalのエンジニアリングに対する賭けの本質である。

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Roval Terra CLX III 主要スペック一覧

項目 仕様
重量(公称) 1,079g
重量(実測) 1,050g
前輪重量 489g
後輪重量 590g
リム深さ 25.5mm
リム外幅 38mm
リム内幅 27mm
ビード形状 フック付き(FlatStop、4.86mm)
スポーク ARRISコンポジット(カーボン/バイオナイロン/チタン端部)
スポーク本数 前21本・後24本
ハブ Rovalシェル/DT Swiss 180 EXPインターナル
ベアリング DT Swiss SINCセラミック(Si₃N₄ボール/スチールレース)
エンゲージメント 10°(36歯標準)/6.7°(54歯オプション)
対応タイヤ幅 35〜60mm
チューブレス対応 チューブレスレディ(テープ・バルブ付属)
システム重量制限 125kg
保証 生涯保証(購入後30〜90日以内に登録要)
価格 451,000円
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まとめ — 誰がこのホイールを選ぶべきか

Roval Terra CLX IIIは、グラベルホイールセットカテゴリーにおける最も攻撃的な軽量化エンジニアリングの結晶である。

1,079gという重量は競合を約200g引き離し、その達成手段であるARRIS熱可塑性コンポジットスポーク、浅いリムプロファイル、最適化されたカーボンレイアップは、いずれも技術的に明確な根拠を持つ。

21.52%のコンプライアンス向上は「剛性こそ正義」という業界の教義に挑戦し、FlatStopフック付きビードはフックレスの潮流に逆らいながらパンク耐性とタイヤ互換性を確保する。DT Swiss 180 EXP+SINCセラミックベアリングという組み合わせは、実績に裏打ちされた信頼性を提供する。

このホイールが最も力を発揮するのは、グラベルエンデュランスイベントの山岳セクションのような環境である。フラットで高速なコースには姉妹モデルのTerra Aero CLXが適しており、CLX IIIはあくまでクライミングとテクニカル地形に最適化された設計である。

451,000円は確かに高額だが、同価格帯の競合に対して200g近い重量アドバンテージと独自のコンポジットスポーク技術を提供する。

テクニカルな山岳グラベルレースで勝利を追求するライダーにとって、現時点でこの重量対能力比に匹敵するホイールは存在しない。

Roval Terra CLX III
路面や地形が牙をむく瞬間こそ、本領発揮。これは、現行ラインナップで最も軽量かつしなやかに追従する、レース仕様のグラベルホイールセットです。前後セットでわずか重量1,079gとクラス最軽量。ARRIS製コンポジットスポークを採用し、路面追従性を高めています。また、クラス最大のビードフックが過酷な衝撃に耐え...
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