「塗る防寒対策」
寒さが本格化する季節がこれから到来する。これまでは、身につけるウェアで寒さ対策を行うことが定番だった。しかし、ここ数年は人体の仕組みを生かした別のアプローチで体を温める方法を取り入れるようになった。身体の動きを妨げないような薄着のウェアとショウガの成分を配合したオイルを塗ってから自転車に乗るようにしている。
身体を温めるためにショウガを使用する理由としては、辛味成分である「ジンゲロール」と「ショウガオール」の存在がある。ショウガオールは滞った血液の流れをよくする。体のすみずみまで血液を行き渡らせポカポカと温める効果がある。さらに、血行を促すことによって鎮痛作用もある。
ショウガ成分が入ったオイルでスポーツ用に開発された製品といえば、イナーメのCXオイルとボディバターウィンターだ。今回の記事は、ボディバターウィンターとCXオイルを実際にレースとトレーニングで使用し実際の効果や使い分けを試した。
使い分けまとめ
まずはCXオイルとボディバターウィンターの違いをまとめた。記事を読み進めなくとも、ここだけ読んでおけば要点だけおさえられる。
- 温かさ:ボディバターウィンター>CXオイル
- 秋~冬ロングトレーニング:ボディバターウィンター>CXオイル
- 短時間トレーニング:CXオイル>ボディバターウィンター
- ZWIFT:CXオイル>ボディバターウィンター
- シクロクロス:CXオイル>ボディバターウィンター
- 塗りやすさ:CXオイル>ボディバターウィンター
- 香り:CXオイル≒ボディバターウィンター
- 使い勝手:CXオイル>ボディバターウィンター
- コスパ:CXオイル≒ボディバターウィンター
このようにそれぞれの製品は一長一短がある。「塗る寒さ対策」のためには、シチュエーションに応じて使い分ける方法が最も望ましい。次章ではCXオイルとボディバターウィンターを実際に使用したインプレッションを記載する。
イナーメ CXオイル
「イナーメ CXオイル」はショウガベースのオイルだ。ショウガが身体を温める効能があることは古くから知られている。CXオイルは、人間に備わった温めるという機能を促してくれる。風邪をひいたときにショウガ湯を飲んで体の芯から温めるという行いも同様の効果を狙ってのことだ。
実際に効果については半信半疑だったが、寒ければ寒いほど温まる効果がはっきりと体感できる。塗布すると身体の暖まりが早くかんじられる。通常のウォーミングアップの時よりも「あ、そろそろかけられるな」という気分が早く訪れる。気分の問題で数値的には表せられないが、いつもよりも早く身体が温まり脚の動きがスムーズになっていく。
オイルの使い方は薄っすらと塗るだけだ。「膝裏~ハムストリング」と「そけい部~内側」と「臀部~大腿」に薄く伸ばしていく。公式の説明にもあるとおり、わずかな量でも効果は発揮する。
CXオイルで重要なのは塗るタイミングだ。ボディバターウィンターと比べて心肺が上がっていきやすい特徴があった。できれば「レース何分前に塗布する」という明確な定義をしたいところだが、その答えは持ち合わせていない。なぜなら、オイルが肌から吸収されて血流が増え始めるタイミングは人それぞれ違うからだ。
参考までに私の使い方としては、ウォーミングアップを始める前に塗り込んでいる。難しいのは、10分でウォーミングが完了する日もあれば30分かかる日もある。その日の体調で「準備万端」と感じる状態に至るまでバラツキがあるため、どちらかというと仕上がりのブースト機能としてイナーメ CXオイルが活躍している。
ZWIFTやCX、クリテリウム、ヒルクライムのように序盤から高い強度に達することが予想される場合は、CXオイル一択だ。
ボディバターウィンター
ボディバターウィンターもCXオイルと同じくショウガベースの成分で構成されている。CXオイルと明確に異なるのは身体の温まり方と持続時間だ。CXオイルは一気に上げて、60分~2時間弱で効果が徐々に薄れていくような特徴がある。対してボディバターウィンターは緩やかに温まっていき、5~6時間のライドでも効果が持続する感覚が得られた。
ボディバターウィンターを初めて使うときは正直戸惑った。オイルとは異なりマーガリンのような硬さで容器の中に入っている。どのようにして使うのかというと、少し手に取り体温で温めて溶かす。溶けて液体状になったボディバターウィンターを脚に塗り込むという方法をとる。
懸念していたのはベタつきだった。しかし、よく考えられておりサラリとしたオイルのような質感でベタつきは皆無だ。匂いもいい。ただ、CXオイルとは異なり塗り始めただけでは全く体の変化は感じられない。ただ、走り出して40分~50分ぐらい経つとほんのり脚が温まりだしよく回るようになると感じる。
ボディバターウィンターを塗り込んだ状態で285km走った。その日の気温は10~15℃だったが、通常のビブパンツでも十分走れた。下手にレッグウォーマーを使用するよりもボディバターウィンターを使用して、薄着運用が最近の定番になっている。
ボディバターウィンターは皮膚の表面に残っている時間がオイルよりも長く感じられる。用途としてはできるだけ長い時間効果を持続したい場合に使用するのが望ましいようだ。体感としては、薄いレッグウォーマーを使用する程度と同じくらいの効果があるように思う。
まとめ:ショウガベースのオイルで塗る寒さ対策を
私が試したのはBodyButter + for CXというセット販売の組み合わせだ。イナーメの製品の中で最も寒さ対策に効果があるのがボディバターウィンターだ。これまでは、オイルタイプの製品を好んで使用ししていたため、バタータイプの製品は嫌煙していた。しかし、実際に使用してみるとバタータイプの使いやすさと温かさの魅力を知ることになった。
また、CXオイルを塗った上にボディバターウィンターを塗ることで持続時間を伸ばすという公式の裏技もある。
これまでは身につけるものを増やし着ることで寒さ対策を実施していた。しかし、この冬は身体に備わっている血流を増やすことで芯から温まる方法を取り入れても良いかもしれない。少なくともシクロクロスのレースはカテゴリによってはニーウォーマーやレッグウォーマーが禁止であるため有効な方法と言える。
また、冬物のウェアは動きが悪くなるため身につけるウェアを減らしたいという人もいるだろう。そのような人のために「塗る寒さ対策」は冬のライドを快適にするための新しいアプローチとして、この冬に是非試して頂きたい寒さ対策だ。
私が注文したのはボディバターウィンターとCXオイルのセット割だ。2020/11/30 までセット割+送料無料の企画が実施中なで安く試すことができる。