COROS心拍センサー:胸ベルトなき時代の精度と快適性を問う

4.5
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COROSの心拍センサーは、光学式センサーの精度が高く検出速度がPolar Verity Senseよりも速い。装着感、バッテリー性能、マルチデバイス接続、アプリ連携などの観点も完成度が高い。競合製品との比較や装着位置による精度の違い、対応機能の制限など、実用面でも使い勝手が非常に良い。

メリット
  • ➕️心拍の高速な検出速度
  • ➕️ナイロン製ジャカードバンドの高い耐久性
  • ➕️38時間の長時間バッテリー性能
  • ➕️マルチデバイス接続とシームレスな自動ペアリング
  • ➕️ファームウェアの頻繁な改善
デメリット
  • ➖️一部の機能への非対応

心拍計で精度を求めるなら、胸ベルト式一択だと思っていた。

しかし、COROS(カロス)の心拍センサーを使ってその考え方は過去のものになってしまった。上腕でも、胸ベルトの精度、心拍を検出する速さは、あのPolar Verity Senseを凌いでいた。その結果は、後ほど詳細なデータで示す。

COROSの心拍センサーはサイクリストには馴染みが無いが、ヤコブ・インゲブリクトセン、エリウド・キプチョゲといった世界トップランナーから市民ランナーまで幅広い層に採用が広がっている。

王者Polarと比較して測定精度やいかに。

サイクリスト界隈には、まだその実力と存在が知られていないが、今回Polarの心拍計と併用し実走を交えながら検証した。

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COROSの心拍センサーとは

COROSの心拍センサーは上腕に装着する光学式(PPG方式)の心拍計である。

胸ベルトのような電極ではなく、緑色LEDの光を皮膚に照射し、血流の変化から脈拍を読み取る仕組みを採用する。手首ではなく上腕を選んだ理由は明快で、上腕部は血管が太く皮下脂肪が薄いため、光学式の弱点である動作ノイズの影響を受けにくいからだ。

つければ起動し、外せば停止する。

特徴的なのは”ボタンもメニューも一切存在しない“点だ。Polar、Wahoo、CATEYEの心拍センサーをこれまで使ってきたのだが、電源ON、OFFが存在しないデザインに最初は戸惑った。

「腕に巻けば自動で起動」し「外せば自動で停止」する。身に着ける以外、人間に何も考えさせないデザインが、起動し忘れによる記録ミスを無くしてくれる。この徹底した簡素さが数ある心拍センサーにおいて本機最大の特徴になっている。

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スペックからわかること

まずは数字から全体像を把握する。

項目 仕様
国内価格(税込) 10,890円
重量 センサー単体 9.7g、バンド込み 19g
本体サイズ 42.5 × 28.4 × 9.1 mm
バンド長 標準 180~320mm/Large 240~430mm
バンド素材 ナイロン/ポリエステル/スパンデックス混紡ジャカード織
センサー マルチチャンネル光学式(緑色LED 5個+光検出器4個)
通信規格 Bluetooth Low Energyのみ(ANT+非対応)
同時接続 最大3台
通信距離 最大120m
バッテリー 連続38時間/待機80日
充電 マグネット式USB-C、約2時間
防水 3ATM(水泳・シャワー非推奨)
動作温度 -20℃ ~ +50℃
装着検知 自動オン/オフ(ボタンレス)
内蔵メモリ なし
HRV/RR記録 非対応
発売時期 2023年7月(米国)/2023年9月(日本)

注目すべきは19gという装着時の重量である。Polar Verity Senseとほぼ同等で、胸ベルト式のGarmin HRM-Pro Plus(約59g)やPolar H10(約60g)の3分の1以下にあたる。一方でANT+非対応・内蔵メモリなし・HRV非対応という割り切りも明確に見て取れる。

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光学式センサーの精度を検証

PPG方式のセンサー構成

本機は緑色LEDを5灯、光検出器(フォトディテクタ)を4個配置したマルチチャンネルPPG(光電容積脈波)方式を採用する。

PPGとは、LEDから照射した光が血管内のヘモグロビンに吸収される度合いの変化を検出し、心拍を推定する技術である。緑色光(波長約520~530nm)は血中ヘモグロビンの吸光特性に適しており、現在の光学式心拍計の主流となっている。

ただしCOROSは具体的なセンサーの型番、LEDの正確な波長、サンプリングレート(Hz)を公開していない。したがって競合製品との厳密なハードウェアレベルの比較は困難である。

メーカー発表の「5 LED+4 photodetector」という構成情報と、ゴールドスタンダードのPolar Verity Senseを併用した実測データに基づいて精度を評価する。

Polar Verity Senseとの比較検証

Polar, Garmin, CATEYEなど様々な心拍センサーを使用してきた。

比較検証は心拍センサーのゴールドスタンダードになっているPolar Verity Senseを用いた。とりあえずこれ選んでおけば間違いない、というセンサーで信頼性、心拍センサー界において長い実績もある。

データ取得時には、ZWIFT側にPolar、Garmin Edge 540側にCOROSを接続した。なお、ZWIFTとGarmin Edge 540には、それぞれ同一のパワーメーターを接続している。

比較検証にはZwiftPowerのデュアルレコード機能を使用し、両者の心拍データを比較した。各データは同一のパワーデータを基準としてオフセットを調整し、時系列が完全に一致するように補正している。

インターバル10分間のデータ 誤差0.07%

およそ10分間のインターバルトレーニング中の平均心拍データは以下のとおりだ。

  • Polar Verity Sense:143.7 bpm
  • COROS HR:143.8 bpm(+0.07%)

検証の結果、両データ間の誤差は0.07%だった。1%を大きく下回る結果となった。全体的な測定傾向もほぼ一致しており、グラフを見ただけでは異なるセンサーを使用しているとは判別できないレベルである。

一方で、検出速度には明確な違いが見られた。

心拍の検出速度に大きな差が

COROS HRは心拍の立ち上がりがリアルタイム

心拍の最大到達点は同一だ。しかし、赤色のPolar Verity Senseは青のCOROS HRよりもあとから追いかけるように心拍が上がってきている。このレンジの誤差は4.22%と非常に大きいものとなった。

先程は「立ち上がり」だったが、次はレスト中の「たち下がり」を確認する。心拍が落ち着いていく際も、COROS HR(青)が素早く心拍の減少を検知している。Polar Verity Senseは後から遅れて減少しており、どちらも恒常的な値に落ち着く。

この傾向はすべての区間で同一であり、立ち上がり、たち下がりが顕著な区間においてPolar Verity Senseは遅れて検出が開始され、COROS HRは検出が早く行われる。

わかりやすいのがこのグラフだ。30 x 15インターバルを繰り返すと、心拍がどんどん増加していくが、COROS HRの後をPolar Verity Sense追いかけるように計測されていく。ただし、広いレンジでみると測定誤差は0.2%だ。

インターバルトレーニング中の心拍の「立ち上がり」と「立ち下がり」において、COROSはPolarよりも秒単位で速く反応した。主観的な心拍の上昇感とも近く、COROSはほぼリアルタイムに変化を捉えるのに対し、Polarはわずかに遅れて心拍数が追従する傾向があった。

以前、CATEYEの心拍センサーとPolarを比較した際には、Polarのほうが立ち上がり・立ち下がりの検出が速かった。

正確には、PolarはCATEYEに対して相対的に速く反応していた。しかし、今回の測定では、そのPolarよりもCOROSのほうがさらに速い反応を示した。心拍変化に対する検出速度の序列は、以下のようになる。

COROS > Polar > CATEYE

急激な変化の箇所で差が生じる

インターバル開始直後や終了直後に顕著に差が現れた。

一方で、インターバル中に心拍数が高止まりしている定常状態では、センサー間の差はそれほど大きくない。つまり、心拍が急激に上昇する場面や、急激に低下する場面において、センサーごとの検出速度の違いが表れやすい結果となった。

これまで心拍センサーの検出スピードを強く意識することはなかったが、3種類のセンサーを比較することで、以下のような違いを確認できた。

  • COROS:主観的な心拍変化とほぼ一致し、リアルタイム性が高い
  • Polar:心拍変化に対して、わずかに遅れて追従する
  • CATEYE:Polarよりもさらに遅れて心拍変化に追従する

データ全体を数分単位のレンジで見ると、測定値の差は1%未満に収まる。しかし、心拍の立ち上がりや立ち下がりといった1〜5秒程度の短い区間に限ると、検出速度や測定値には8%以上の大きな差が生じる場合がある。

つまり、平均値や数分単位のデータでは各センサーの差は小さく見えるが、短時間で心拍が大きく変化する局面では、検出速度の違いが測定結果に大きく影響する。インターバルトレーニングのように数秒単位の反応を重視する用途では、この差は無視できない要素といえる。

装着位置で精度は変わる?

COROSは上腕二頭筋と三角筋の間、上腕二頭筋の外側にスライドさせて装着する位置を最適と明記している。前腕装着も可能だが、上腕は手首や前腕に比べて筋肉の動きによるノイズが少なく、血管が太いため安定した計測が得られる。

日本ではあまり関係ないが、タトゥーが入っている部位ではLEDの光が遮られるため、反対の腕や前腕への移動が推奨されている。トレイルランやMTBでは振動によるノイズを抑えるため、にきつめに固定する必要があるとCOROSが注意を促している。

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装着感とフィット感

優れたバンド構造

本機のバンドはナイロン・ポリエステル・スパンデックスを混紡したジャカード織で、表面に「Explore Perfection(究極の理想を追求)」の文字が織り込まれている。

固定機構はスライドバックルとマジックテープ(ベルクロ)の二段階式で、一度スライドバックルで腕の太さに合わせれば、日々の脱着はマジックテープだけで完結する。

センサーがバンドに完全に格納される構造が優れており、ジャージの袖に引っかからない点が利点として挙げられる。バンドの安定性は、同時に使用したPolar Verity Senseより明らかに上だ(Polarはひっくり返っちゃうんだよね)。

COREのセンサーもスマートに収まる。

筆者はCORE2センサーを導入しているが、COROSの心拍バンドにジャストフィットする。純正品かと思う程、サイズと色がマッチした。CORE2のアームバンドを買うくらいなら、COROSの交換用バンドを導入したほうが良いと思ったほどだ。

Polarと違って、ストラップが裏返ったり位置がずれたりする問題がないのもプラスのポイントである。良く研究している。

長時間装着しても快適

長時間使用しても非常に快適で(薄いから着けている感が無い)、一貫して高評価だった。文字通り、装着していることを忘れるほど快適で、胸ベルト特有の締め付け感や汗冷えから解放される。

わずか19gの軽量さとウェアを重ね着してもズレない安定性が特に良い。快適すぎて運動後に外し忘れてしまい、バッテリーを無駄に消費してしまう逆説的?な問題がある。ON,OFFボタンが無いため外し忘れると自動停止に気づかない。

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ナイロン製ジャカードバンドの耐久性

バンドはどのくらい持つ?

COROSによれば、1年間毎日使用してもバンドはほとんど摩耗しないという。センサーはバンドから取り外して水洗い可能で、水洗い後も翌日のトレーニングまでに乾く速乾性が確認できている。

交換用バンドはグレー・オレンジ・ライムの3色が各2,200円で販売されており、COROS公式サイトやAmazon経由で入手できる。CORE2のバンドとしてもお勧めだ。

注意点として、センサー本体がプラスチック素材であるため、強い衝撃で破損するリスクがあるかもしれない。ロードバイクの落車やトレイルでの転倒時に上腕を地面にぶつけた場合のダメージは想定しておく必要がある。

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バッテリー性能と充電

38時間のバッテリーは実際に持つ?

公称38時間という数値はカテゴリ最長であるが、週15~18時間程使用する使い方を充電無しで2週間続けたところ、バッテリー切れせず使うことができた。おおむね実測で公称値が成立することを確認している。30~35時間は確実に持つ。

使用頻度にもよるが1日1時間程度の仕様であれば、1ヶ月近く充電を気にせず使えるようだ。Polar Verity Senseの30時間、Wahoo TICKR FITの30時間と比較しても、約25%のアドバンテージがある。

ただしボタンが一切ないため、装着している間は常に通電状態となる。運動前後の45分間の待機時間の間にもバッテリーが減るようだ。Polar Verity Sense(物理ボタンでオン/オフ切替可能)とは実質的に引き分けになるケースもある。

長時間装着しない場合は肌から離してケースに収納することや充電することが、バッテリー管理上の最善策である。

充電の仕組みに問題はない?

マグネット式USB-Cケーブルが付属し、フル充電まで約2時間。磁力で吸着する方式は手軽だ。Polarのように接触部分を確認したり、CATEYEのようにマグネットがくっつく向きをわざわざ気にする必要がない。

充電ケーブルはマグネット式だが、左右どちらの向きからでも接続できる。

付属ケーブルが約15cmと非常に短い点は不満が残る。この短さは使いにくく、USB-Cコネクタと小さな充電パーツは紛失のリスクがある。充電器に接続しっぱなしが良いだろう。サードパーティ製の互換ケーブルもある。

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マルチデバイス接続と自動ペアリング

どんなデバイスでも使える?

Bluetooth Low Energyの3チャンネル同時送信に対応しており、COROSウォッチに限定されない汎用性を持つ。実際の使用では、Garmin Edge 540、Zwift(PC)、CORE2とトリプル接続を確認している。

もちろん、スマートウォッチのGarmin Forrunner 945と問題なくペアリングを確認している。

ただしANT+には非対応である。COROSは採用したチップがANT+をサポートしておらず、新しいBluetoothチップの方が省電力性能で優れるためだ。

この制約により、ANT+専用の旧式Garmin(Forerunner 45、235、旧世代Edgeなど)やANT+のみ受信のトレーニングジムの機器とは接続できない。ANT+対応が必須の環境ではPolar Verity Sense(ANT++BLE両対応)が代替候補となる。

自動ペアリングは本当にシームレスか?

装着した瞬間にPPGセンサー面が皮膚の接触を検知し、自動で電源ON、Bluetoothブロードキャストを開始する。

過去にペアリング済みのデバイスは即座に再接続され、ユーザーは腕に巻いてからウォッチの心拍アイコンが点灯するまで数秒で済むことを確認している。

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COROSアプリとファームウェア更新

アプリは何のために必要?

COROSアプリ(iOS/Android)は本機にとってファームウェア更新と初期設定のためのツールである。

心拍データをアプリに直接記録する機能は持たず、アクティビティ記録は必ず外部のスマートウォッチ、サイコン、ZWIFTなどのサードパーティアプリと組み合わせる必要がある。

内蔵メモリを搭載し単独でデータ記録が可能なPolar Verity Senseとの差は大きい。

ファームウェアの改善が盛ん

発売以降、COROSは継続的にファームウェアを更新しており、特に心拍アルゴリズムとBluetooth接続の安定性が改善されてきた。これはPolarをはじめとした心拍センサーでは見られない盛んなアップデートが特徴だ。

市場に出回っている多くの心拍センサーは、発売後にアップデートが行われず、改善そのものが行われない場合が多い。COROSの開発姿勢とアップデートの積極性は、心拍センサーを購入する一つの材料にもなる。

以下はCOROS Help Center公式Release Notesに基づく更新履歴だ。

バージョン 公開日 主な変更内容
V1.22.0 2024年10月30日 ウォッチとの接続安定性向上、心拍データ精度向上
V1.20.0 バグ修正・性能最適化
V1.19.0 アルゴリズム改善
V1.16.0 バグ修正・性能最適化
V1.15.0 バグ修正・性能最適化
V1.14.0 Bluetoothブロードキャスト/接続ロジック改善
V1.13.0 心拍アルゴリズム更新、サードパーティBluetooth通信改善
V1.11.0 2023年7月(発売時) 初期ファームウェア

DC Rainmakerの発売時レビューで指摘された誤計測はV1.13以降のアルゴリズム更新で改善されている(レビューの指摘が契機だろう)。購入直後にまずCOROSアプリで最新ファームウェアに更新することを推奨したい。

何度も言うように、これまでの心拍センサーは、一度リリースするとファームウェアの更新がほとんど行われなかった。あまり重要視されていないのだろう。ところがCOROSは、バグ修正、精度改善、アルゴリズム更新を積極的に行っている。

今後も心拍センサーの改善が行われることが期待できる。もはや開発が止まってしまったかと勘違いしてしまうPolarとは違い、劇的な反応速度の違いもこのあたりからきているのかもしれない。

このままPolarがあぐらをかき続けていたら、「心拍センサーのゴールドスタンダード」の座も危うい。

なおV1.22.0以外のリリース日はCOROSが公開していないため、上表ではバージョン番号と変更内容のみを記載した。

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対応しない機能と意味

HRV・ランニングダイナミクス・水泳は使える?

いずれも非対応だ。この割り切りは本機の設計思想を理解するうえで重要なポイントとなる。

HRV(心拍変動)については、本機自体は記録しない。COROSエコシステムにおいてHRVはウォッチ側の手首センサーが夜間に取得する仕組みとなっている。

Polar H10がHRV測定の業界標準とされる中、この非対応は研究用途やHRVベースのコンディション管理を重視するユーザーにとって明確なマイナスである。

ランニングダイナミクス(接地時間、上下動、ストライド長など)も非対応だ。これらのメトリクスが必要な場合はGarmin HRM-Pro Plusか、COROSエコシステム内ではCOROS POD 2(フットポッド、別売)が担う。

本機とPOD 2はともにBluetoothでCOROSウォッチに同時接続可能であり、心拍はHRM、ランニングフォームはPOD 2という役割分担ができる。

水泳については、3ATM防水ではあるが水泳・水中スポーツ用途には設計されていないとCOROS公式が明記している。雨天での使用は問題ないが、プール練習やオープンウォータースイムには使えない。

50m防水で水泳モードを搭載するPolar Verity Senseとはトライアスリートにとって決定的な差と言える。

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競合製品との比較

腕装着型・胸ベルト型との違い

以下に主要競合製品との仕様比較を示す。

項目 COROS HRM Polar Verity Sense Polar H10 Garmin HRM-Pro Plus Wahoo TICKR FIT
タイプ 腕(上腕) 腕/ゴーグル 胸ベルト(ECG) 胸ベルト(ECG) 腕(前腕)
価格 10,890円 約14,000~15,000円 約14,000~15,000円 約18,200円 約12,600円
重量 19g 19g 約60g 約59g 約24g
通信 BLE×3 BLE×2+ANT+ BLE+ANT+ BLE+ANT+ BLE+ANT+
バッテリー 38時間 30時間 CR2032 約400時間 CR2032 約1年 30時間
内蔵メモリ なし あり(600時間) なし 水泳時のみ なし
水泳対応 非対応 対応(50m) 対応(30m) 対応(5ATM) 非対応
HRV/RR 非対応 一部対応 対応(業界基準) 対応 非対応
ランニングダイナミクス 非対応 非対応 非対応 対応 非対応
装着快適性 極めて高い 高い 低い 低い 高い

この比較表から見えるのは、本機が快適性・バッテリー寿命・価格の3点で優位に立ちつつ、機能面(ANT+、水泳、HRV、内蔵メモリ)ではPolar Verity Senseに劣るという構図だ。

機能差を考慮するとPolar Verity Senseの方が良いかもしれないが、ファームウェア更新で精度が向上していることや、心拍の測定が恐ろしく速いこと、シームレスな自動ペアリングの価値を加味すると、COROSは十分に魅力的な選択肢である。

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デメリットと課題

知っておくべき弱点

Polarのセンサー等と共に実際に使用したうえで、課題を整理した。

  1. ANT+非対応:旧型Garminやジム機器など、ANT+専用機との接続ができない。サイクリストがANT+受信のみのサイコンを使っている場合は致命的な制約となる。
  2. 水泳非対応・内蔵メモリなし:Polar Verity Senseとの最大の機能差であり、トライアスリートにとっては選択肢から外れる理由となる。
  3. HRV/RRインターバル非対応:研究用途やHRVベースのコンディション管理には不向きである。
  4. ボタンレスによる意図せぬ接続と電池消費:近くにペアリング済みデバイスがあるとアクティビティ開始時に勝手に繋がる場合がある。また外し忘れにより気づかぬうちにバッテリーが減る。
  5. 充電ケーブルが短い:付属ケーブルは約15cmで、ノートPCのUSBポートからぶら下げるような使い方が必要になる。紛失リスクも高い。
  6. 価格:胸ベルト式のGarmin HRM-Dual(約5,000~6,000円)の倍近くであり、交換バンドも2,200円。光学式の精度と快適性にその差額分の価値を見出せるかが判断の分かれ目である。
  7. センサー本体のプラスチック製ボディ:強い衝撃には恐らく弱い。
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心拍データの本質的な意味を問い直す

数値を計ることの先に

心拍計というデバイスは数字を出力する装置に過ぎない。しかしその数字が持つ意味は、使い手の解釈次第でまるで変わる。

160bpmという表示が単なる数値か、それともL4領域の入り口を示す身体からの信号なのか。同じ心拍数でも気温、睡眠の質、ストレス、カフェイン摂取によって体感は大きく異なる。

胸ベルト式からの移行を考えるとき、多くのアスリートが気にするのは心拍データの1~2bpmの差であろう。だが実際のトレーニング効果を左右するのは、そうした微差よりも”計測の継続性”ではないだろうか。

本機の最大の価値は、装着のハードルを極限まで下げたことにある。腕に巻くだけ。ボタンもない。メニューもない。その結果として毎回のトレーニングで心拍データが取れるなら、胸ベルトとの数bpmの差は些末な話になる。

技術の進歩とは、しばしばこうした使い勝手の改善という形で訪れるものである。

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まとめ:リアルタイム性と高精度を

COROS心拍センサーは万能機ではない。しかし明確な強みを持つ製品である。以下に用途別の推奨を示す。購入を推奨するのは、

  • これまでにない検出速度を必要としている
  • インターバルでリアルタイムなデータを確認したい
  • 長時間充電無しで使いたい
  • 薄いセンサーを使いたい
  • 起動と停止を自動化したい

筆者はVo2MAXインターバルを頻繁に行うが、COROSはその際の主観的な心拍変化とよく一致する数値を表示してくれる。心拍が上がった、あるいは下がったと感じるタイミングと、画面上の数値変化にズレが少ない点は大きなメリットだ。

胸ベルトに近い検出速度を求めつつ、胸ベルト特有の締め付けや不快感から解放されたい人にとって、COROSの心拍センサーは有力な選択肢になる。

ロード、トレイル、グラベルなど走るフィールドを問わず、毎回の心拍データを確実に記録したい人や、バッテリー持ちと装着の手軽さを重視する人にも適したセンサーといえる。

10,890円という価格はPolar Verity Senseより安く、COROSウォッチとの自動ペアリングの価値を加味すればコストパフォーマンスは高い。

一方、トライアスリートやスイマーにはPolar Verity Senseを推奨する。水泳モード・50m防水・内蔵メモリのいずれも本機にはない。HRVの厳密な計測が必要な研究者やコンディション管理重視の選手にはPolar H10が依然として最適解である。

ランニングダイナミクスを重視するならGarmin HRM-Pro Plus、またはCOROSウォッチ+POD 2の組み合わせが適する。ANT+専用の旧式デバイスを使い続ける予定がある場合は本機を購入すべきではない。

最初にすべきことは一つ。COROSアプリで最新のファームウェアに更新することだ。ソフトウェアレベルで着実に改善されており、最新ファームでの使用体験は、COROSの心拍センサー発売時の国内外のレビューとは別物だと考えたほうがよさそうだ。

胸ベルトの煩わしさから目を背けてきた日々に、一つの終止符を。最新の検出アルゴリズムと、心拍の変動を素早く確実に捉えられる優れた心拍センサーだ。COROS心拍センサーは、そのための道具として十分に信頼に足る。

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