辛いときに知っておきたい諦めること

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諦める重要性

為末大氏の「諦める力」を以前読み大変な共感を得た。「諦めるな!」と根性論で部活など体育会系であればあるほど、浴びせられてきた言葉である。ただ人に言われた時、「何を」「どのように」という具体性に欠ける言葉という印象を受ける。

ただ、日々のトレーニングや日常を生きていくうちに「諦め」とはやりよう、考えようであると気づかされる。どう諦めるかは「ネガティブ」な側面と「ポジティブ」な側面があるようだ。それらを踏まえ、我々がうまく「諦める力」と向き合うための方法は、はたして存在するのであろうか。

諦める種類

練習でこんなことを度々体験する。「もう少し踏める、でもつらいから踏むのを辞めたい」ここでただ辛いから諦めたとしよう。この場合の「諦め」とは自分で選択した諦めだ。まだ踏めるのに、だ。この場合フィジカル面での限界にはまだ達していない。

この「もう少し踏める」状態はフィジカル面では余裕があるが、メンタル面で限界が来ている。いわば脳が判断して、あと一歩追い込めるところで、諦めるリミッターが発生している。ただこの「もう少し踏める」状態中、もう一つの「諦める」状態を考えてみたい。

受け入れる諦め

「もう少し踏める」という状態とは、非常に辛い状況である場合が多い。限界値に達している状態と言えるだろう。この極限の状態についてサイクリストであれば何度も経験している事だろう。この場合もう一つの「諦める」という行為をうまく使えば乗り切れる可能性がある。

それは痛みを諦める事だ。

いわば限界に達し、オールアウトへ向かう途中の辛い時間筋肉は悲鳴を上げる。息は荒くなり、足はガクガクしてくる。その状態を「諦める」事すなわち現状を受け入れる。踏み続け進むためには逃げられないことだと。辛いものは辛い、レース中であれば皆それぞれ限界の中で戦っている。

これら本来ネガティブな意味の「諦める要素」を排除するために、「もう仕方ないことだから」と諦め、やり続ける。いわば脚を止める要素である「痛みや」「息切れ」からは絶対逃げ切れないことだと「諦める」という受け入れ型の諦め方もあるのだ。

フィジカルは諦めない

身体(フィジカル)を動かしているのは脳(メンタル)だ。これら双方に諦めるということを照らし合わせたとき、諦める要素を握っているのは脳だ。とすると諦めるという事を考えたとき、指令を出しているのは脳である。

フィジカルの限界が来る前にメンタルの限界が(多くの人の場合は)来る。トップアスリートの中には超越した強靭なメンタルを持ち、フィジカルが破壊されるまで追い込める人もいる。スピードスケートの清水選手だ。

我々と同じ自転車でトレーニングしていたスピードスケート清水宏保選手の逸話から、メンタルの限界の話がわかる。清水選手が自転車で追い込んでトレーニングする動画を見てほしい。


清水宏保 トレーニング, 格闘技・東孝(大道塾塾長… 投稿者 futursport99

ここで彼が言っている言葉が印象的だ。「生理的限界よりも心理的限界が先にくるわけだから、そこを超える」と。生理的(フィジカル)限界に心理的限界(メンタル)が拮抗したときに人は失神する。そこがフィジカルをメンタルが僅かに超える瞬間だ。

とにかくロードバイクの場合はそこまでやると危ないが、この話から今の自分の弱さを痛感した次第だ。では、これら”超人”の話をを踏まえて我々”常人”はどこまでやるべきなのだろうか。

辛い事への手段として

限界まで追い込み、メンタルがフィジカルをほんの僅か超えたときメンタルのブレーカーが落ちる。その世界は乳酸閾値をたやすく超えもう体が動かなくなる(脳から指令が行かなくなる)寸前なのだろう。そう考えると日々の練習は相当”楽をしている”ことがわかる。音楽を聴きながら、レスト中にLINEをしながらといった具合だ。

もっと言うならば坂の上で倒れこんで動けない、という状態ですら清水選手にしたら「失神するまで追い込めてない」になる。我々の限界への近道はあらゆる痛みや、辛さを「諦め続ける」事で限界へと徐々に近づいていく。

あらゆる痛みを諦め続けると、どうなるのだろうか。実際に人間の生まれ持った身体などは、さほど違いが無くどんぐりの背比べなのかもしれない。目に見える能力違いを突き詰めて考えてみる。何が能力差を生み出して、差をつけているのだろうか。

それらの違いは、フィジカルを限界値まで追い込めるか否か強靭なメンタルの差でしかない。そこ限界値まで達するための痛みを受け入れるという「諦め」がある。

最後に、偉大な選手がこんな名言を残している。

どれだけ練習しても走るのは楽にならない。ただ、速くなるだけだ。
(グレッグ・レモン)

どれだけ練習しても決して楽にはならないと諦め、フィジカルとメンタルが拮抗するまで、追い込んでみてはどうだろうか。

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