photo: Nobuhiro Toya
2022年を振り返ってみる。
まずは、1年間怪我なく終わろうとしていることは幸せなことかもしれない。前半戦3月は西日本チャレンジで2位、ニセコクラシックで優勝と自分が思い描いていた内容よりもできすぎた結果を得られたと思う。
JBCFの実業団レースは西日本ロードクラシックが10位であとはパッとしなかった。最近、JBCFのレースに正直に書くと魅力を感じていない。出場する意味を、今年も探りながら走った1年だった。おそらく、2023年も同様だろう。
ただ、そうは思いつつも一緒に走るチームメンバーがいる限りは出場しようと思う。他人の中にモチベーションや動機づけを求めてはいけないが、JBCFに限っていえばチーム戦なのでそういう考えに至る。
思うところ、松木さんや池ちゃんと一緒に走れなくなれば、走る意味もなくなりやめてもいいと思っている。
後半は肺炎にかかり、肺に水がたまってしまい思うようにパフォーマンスが上がらない時期が続いた。その後、2ヶ月ほどかけてフィジカルを戻しシクロクロス開幕戦に間に合わせた。
データーを見ると、200Wほどで心拍が150〜160bpmになり完全に体が死んでいた。それでも地道に2ヶ月ほど継続して戻してFTPは296Wで5.28W/kgまで戻せた。
ただ、この状態は土日で150km以上、一日のTSSが200〜300を土日やっているのが前提であってシクロクロスシーズン中維持するのは難しい。いまは貯金を切り崩しながら2022年のCXシーズンを走っている。
シクロクロスは、ここ数年10番手後半を走っていたが、2022シーズンはどうしたわけか成績が良い。これは、バイクとタイヤの影響が非常に大きいと思う。特にGIANTのTCXは本当に良いバイクで、このバイクに乗ればたいていうまく走れるようになる。
自分を俯瞰してみると、いくらか気づくこともある。一番変わったのは、そこまで真剣に競技に取り組まなくなったことだ。これは、やる気が無いとかそういうネガティブなことではない。どちらかといえば、あっさりと考えるようになった。
以前は、「絶対勝ち、勝ち以外は意味ない、結果がすべて」
とかかなり追い詰められていたような状況が何年も続いていた。しかし、最近は「日々の積み重ねを丁寧に積み重ね続けると、結果はあとから付いてくる」という悟りにも近い考えに変わっていった。
もはや、おじさんの領域に達しているため劇的なフィジカルの向上は望めない。回復も遅くなるし、仕事で帰宅時間も遅くなる。正直自転車なんてしている時間などなくて、子育てやそれ以外の「人生で本当に大事なこと」に費やす時間のほうが多くなった。
それでもトレーニングはできないのかというとまったくそうではない。毎朝5時に起きて7時までトレーニングできる。夜は40分間インターバルトレーニングができる。テレビも、携帯も見ないし、SNSの確認も1日1回だ。
無駄に時間を吸い取られていく現代の「気を散らす無用なもの」に対してどれだけ抗えるかが、おっさんになってからより重要になったと感じた。練習をいつもしているメンバーを見ていると、「時間がない」なんて口が裂けても言えない。
仕事して、子育てして、朝練、夜練、ブログ書いて、動画撮影して、それでもまだ時間は捻出できる。ただ、あとはやるかやらないかだ。
今年一年、良いこともあったし、悪いこともあった。とくにシクロクロスは流れが悪い方向に行っている。それでも、昔と違うのはそこまで落ち込まず楽しく自転車競技を続けているということだ。
これが一番重要で、メンタル面に負担をかけない。負けても、勝っても、死ぬわけではない。そして、翌日会社に行っても、普段どおりの生活が待っている。たとえ勝っても、負けても、駅で知らない人に声をかけられることもない。
自転車競技で生計を立てるためのものであれば話は別だが。
来年は、またおじさんになるわけだけどできるだけ若い選手と走りたい。できるだけ、「俺の昔はな」とか「俺が若いときは」とかいう人達とできるだけ距離を置いていきたい。
自分がそうなったら、そんなことを少しでも言いたくなったとしたら、自転車競技を辞めるときだと思う。いま、なにをしているか。いま、何に取り組んでいるのか。いま、これから何に向かって1日1日を過ごしているのか。
結局は、1日1日の「薄い努力の積み重ね」が1つの結果を作るのだと最近思う。私は「新年の抱負」だとか「新年の目標」などは立てない。できた試しがないからだ。大晦日も、元旦も、それから続く1年も普段と変わらないことをする。
現状維持は、後退していることと一緒かもしれないといつも思っているが、継続をし続けることによって相対的に小さな変化が読み取りやすくなる。それは0.01%ほどの小さな変化もしれないが、最近そのような変化をしばしば見つける時がある。
40歳になると、これ以上のパフォーマンスは見込めないかもしれない、と思っていたがロード界隈の何歳も年上の超人、変人を見ていると「あ、まだまだ全然行けるわ」と思うのだ。
というわけで、2022年は色々とあったが孔子の「四十にして惑わず」のとおりだと思う。 人間は、40歳にもなれば、惑うことがなくなるものだ。2023の迷わず走り続けようと思う。
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