MTBの国内シリーズ戦、Coupe de Japon(CJ)開幕戦の菖蒲谷に参戦。
当ブログをご覧の方は、CJを知らない方のほうが多いと思うので少しばかりレースの補足を。MTBのCoupe de Japonはロードで言うところのJBCFみたいなもん。チームで登録して個人ランキングが出る。
私が出ているのはXCO(クロスカントリー・オリンピック)で、大半がダートで起伏の多いサーキットコースで周回を重ねるレース形式だ。
レース時間は1時間前後だが、スタートからゴールまで全開で追い込むため、今回の競技中の心拍数の平均は182bpmと無酸素領域、最大心拍数にもタッチするシクロクロスよりも身体への負担がキツイ状況になった。
問題なのは全開で登って酸欠状態のまま、テクニカルな下りセクションをこなす必要があること。ただ下れば良いロードとは異なり、ラインを選びバイクコントロールをしながら、酸欠とも戦うのはフィジカル、精神力、判断力、すべてが揃っている必要がある。
この開幕戦に向けて、いろんな方に教えてもらいながら準備してきたのだけど、テクニックは一日にしてならず、万全ではなく下りも遅すぎてどうしょうもない。ほんとうに出場しようかどうしようかと悩んでいたレースでもある。
菖蒲谷森林公園
今回の菖蒲谷は、大きくコースが変更された。ベテランのトップ選手からも難しいと言われる難コースだ。龍野MTB協会のみなさんのホームコースでたつの市のホームページにも載っている。菖蒲谷は難しいと聞いていたが、難しいと言うよりも練習していないと、乗車して走ることもできないコースだった。
トレランでも下るのは多分不可能で、ずり落ちながら落下するような崖。落ちたら這い上がれない。斜度は50〜60度以上あるんやないか。上から見たらほぼ直角。
菖蒲谷よりも難しいのはオリンピックで使われた修善寺くらいだという。私はMTBの経験が実質昨年末からなので、4ヶ月強しかない。いきなり菖蒲谷のCJに挑むのは無謀なのはわかっていたが、実際行ってみてわかったのは「崖」を下るセクションがめちゃくちゃ怖いことだった。
無謀というより、はじめ下れなかった。「自転車から降りて押したらええやん」と思うかもしれないが、押しても降りられないぐらい急なのだ。降りたら登れない単純に崖をMTBでなんとか降りる。練習してなかったら単純にゴールまでたどり着かなかったと思う。
菖蒲谷は難しいと、菖蒲谷のエリートで勝利したこともあるヨシくんからさんざん聞いていた。なので、菖蒲谷のローカルで活動する龍野MTBの小野さんらが開催している耐久やレースに参加させて頂いて、3月のプレ菖蒲谷のコースも走って練習をした。小野さんの作るコースは難しいながらも、ラインを考えたら行けるという面白いコースが多い。
「こんなん人間が下るコースちゃう、、、」
と、半ば本気で涙目になるぐらいコースで、「ほんま運悪かったら死ぬんちゃうか」というセクションも多いのだが、私としては生きるために必死で走れるラインを考えて、遅くてもいいから転ばずに走り切ろうと思ったがまぁ、20回以上は転んだか・・・。
という感じで、菖蒲谷はほんま出るの嫌だった。で、会場に着くと「ITホンマに来たw」と36隊のタモさんに言われるほど、私には無理ゲーなコースというのが大方の評価。それは、自分で走ってよくわかってるwとはいえ、練習してきたし、走ることに。
菖蒲谷チャレンジ 優勝
- タイヤF: シュワルベレーシングレイ 1.3bar
- タイヤR: シュワルベレーシングラルフ 1.38bar
- Fサスペンション: 60psi リバウンド11
- Rサスペンション: 110psi
試走は7周ほど。
以前チームの良平さんから、「脚はあるから苦手な区間をリピート」というアドバイスを頂いたいので愚直にリピートを繰り返し、スムーズなラインを模索する。
難所は前半の新セクションの崖区間、池を通ってからの1分強の上り区間、後半に登場するこれまた新セクションの崖区間。キャニオンは飛べず、迂回路を通るもこちらも崖なのでマジで怖い。降りたら登れないほど急。
試走7周はやり過ぎな感じもあったが、レースが全開45分を考えるとフィジカル的には問題ないと判断した。3月の菖蒲谷よりもコース全長は長くなったものの、難しいセクションは踏襲されているため、CJ全大会で最も難しいコースという評価は変わらない。
唯一乗車で行けなかったのが、下りじゃなくて最後の岩場。フロントアップを結構練習してきたけど、うまく乗り上げられず超えられなかった。ここは勢いでつないでタイムロスを最小限にするようにした。
スタートリストを見るとCXで見慣れた名前の笛木選手がいる。今シーズンのCXで常にC1上位の選手だ。1度も勝てた例がない。というわけで、周りの下馬評は笛木選手の優勝確実みたいな感じだった。実際、私もそう思っていて、以前一緒にトレイルを走ったときは1秒もついて行けなかった。
「笛木選手からできるだけタイム差つけられずに着れるかゲーム」、というのが菖蒲谷の作戦だった。
スタートは何が何でも良い位置で下りに入りたかったので、笛木選手に続いて2番手で入る。下りに入ったときには笛木選手は既に視界から消えており、ああやっぱりこうなるかぁ・・・、と思いながらも安全に下ることを心がけた。何と言っても崖なんだわ。
なだらかなトレイルを走り、2つのラインがあるやや登り区間で前に出ようとしたらペースを上げられたので大人しく後ろにつく。根っこ区間を処理して、湖畔を抜けて上り区間へ。上りのペースはついて行けないペースではないがきつい。
上りでオールアウトしてしまうと、次の下り区間で酸欠のまま突っ込んでラインが見えなくなってしまうので9割ぐらいで登るように心がけた。ただ、笛木選手もさすがの上りでなかなか追い越すことが難しかった。
お互いノーミスで1周目を終える。2周目もパックで走る。登り返しの区間で笛木選手がワンミスした際に、前に出れる機会があった。ただ、すぐに乗車して後ろを付いてきていたため、すぐに追いつかれるだろうと思いながら安全に下った。
とはいえ、私は下りが遅すぎるので、むしろ先に走って申し訳ないと思いながら下っていた・・・。
攻撃するには上り区間しか無いと思い、スタートエリアの砂利区間でペースを上げる。最終ラップはタイムを縮めたいのと、酸欠の状態で下る経験をしたいと思ったので、ラストの壁の上り区間は全開で行こうと決めていた。
難しいセクションも次第に楽しくなってきて、ブレーキをかける回数を減らすことを心がけて下ることができた。最後の上り区間は全開で登ったところ、60秒 9.1W/kgでPR更新していた。ただ、その後が最悪で下りで何も考えられられない中でラインを選ぶのは大変だった。
あとは、大きなミスをしないように丁寧に走る。最後の区間はきれいに整備されたパンプトラックで走るのがめちゃく楽しいセクション。後ろは1度も振り返らずに出し切ってゴールできた。ゴール前で観客の方々が手を出していてハイタッチした。なんか嬉しい。
レース時間は50分弱だったんだけど、心拍数の上がり方がやばい。最大心拍数196に対してほぼ全開が開始から最後まで続く。休む間はない。キツイというより意識飛びそうな感じ。こんな状況で下りもさばく必要があるからほんまつらい。
公式リザルトを確認すると、2位の笛木選手とは1分30秒差だった。CXだと一度も勝てなかったし、一緒にトレイル走った時は1秒もついていけなかったことを考えると出来過ぎだ。しかし、最後の岩場に挑戦したけどうまく行かなかったのでコースを攻略したとは言いがたい。また次回にむけて、フロントアップや抜重のどうさをしっかりと練習していきたい。
まぁ、例のごとく公園でパイロン置いて練習したり縁石を使ってフロントアップ練習したり、「お前はトレイル入る前にやることあんだろ」という感じで基礎練習してる。今年中にマニュアルできるようになるのが目標。
まだまだXCOのスタートラインに立ったばかりで、カテゴリ的にもまだ出だしなのだけど、最初にして最大の難所である菖蒲谷で勝てて嬉しい。イージーなコースでパワーだけでなんとかなるコースで勝っても意味がなかったと思う。
MTBにちゃんと乗り始めてまだ4ヶ月程。色んな人に教わりながら、少しずつではあるがスタートラインに立ってレースを走れるようになった。一緒に走って練習したくださった方々に感謝している。とはいえ、まだスタートラインなのでここからどこまで行けるのかは練習次第。
まだまだテクニック不足すぎるのと、下りが下手くそすぎるのでひとつひとつコツコツ練習していきたい。今後の出場予定は、シクロクロスシーズンが始まるまではすべて出る。ほとんどが近畿圏で行きやすいのもいい。
- びわ湖高島
- やわたはま国際
- 白山一里野国際
- 京都和束Stage
- 白馬岩岳
- 全日本富士見
今年は、ニセコクラシックや大きなロードレースに参加せずXCOに集中して走る。器用な方ではないので、二兎を追うものは一兎も得ずの言葉の通り集中して走ろうと思う。なんでMTBやってるのかというと、単純に楽しいのと、新しいことに挑戦したかったから。
自分で決めて、自分で走るってのは楽しい。
次回のびわ湖高島も安全運転で走ります。初参戦でしたが、CXでご存じの方も多く色んなところから応援頂いてめちゃくちゃ嬉しかった。次回もがんばります。