長らくパワーメーター界で不動の地位を保ち続けてきたパワータップが方向転換をするようだ。ハブ型パワーメーターとしてSRMと並び信頼を得てきた同社だが「クランクベース型」と「ペダルベース型」パワーメーターの開発に着手しているようだ。
パワータップ社はクランク型やペダル型に測定精度の面で否定的だったが、時代の流れからしても利便性が低い(ホイール交換が必要な)ホイールベースのパワーメーターは時代遅れになってきた。同社もそう感じたのかは定かではないが、過去の技術に縛られず新しい仕組みに取り組む姿勢は素晴らしい。
今回はパワーメーター界で非常に注目される存在であるパワータップの「クランク型」と「ペダル型」パワーメーターについて見ていく。
スパイダーアーム式か
冒頭の写真から別の角度でパワーメーター(クランク型)を見ていく。バッテリーマウントはパイオニアペダリングモニターに酷似している。バッテリーは恐らくコイン形電池だろう。注目すべき点は測定方法にある。「クランク型」と言えど測定方法はQuarqやSRMと同様に「スパイダーアーム式」ではないかと推測できる。
インナーチェーンリングとアウターチェーンリングをつなぐ部分とクランクシャフトとが裏側でつながっているようだ。クランクアーム(おそらく105クランク)のチェーンリングボルトが取り付けられる部分は「浮いている」のだ。ようするにそれ自体が機能しておらず、チェーンリングとクランクのシャフト部とがつながっているようにみえる。
チェーンリングは「FSA」だ。外周にはPowerTapのロゴが見える。反対側にはケイデンスセンサーが付いていることから、モックアップではなくより実践的な測定が既にできているのかもしれない。
また、おどろくべきはこの画像だ。「ペダル型」のパワーメーターと思わしき製品である。推測するにLOOKかシマノかは判断できない。恐らくシャフトで計測する方式を取っているのかは定かではないがPowerTap社がクランクベースとペダルベースのパワーメーターを開発していることは間違いなさそうだ。
なお上記写真ではクランク型との組み合わせがなされていない。
まとめ:組み合わせ型パワーメーター?
ここまで紹介した内容はPowerTapのオフィシャル動画から確認できる。気になるのは「クランク型」と「ペダル型」を同時に開発していることだ。推測になるがクランク型で法線方向X、接線方向Yを測定し、ペダル型でZ軸方向を測定できる可能性も期待できる。
そうするとサイコン側の対応も必要になるが、PowerTapはサイクルコンピュータージュールも開発しているのでもしかしたら実現できるかもしれない。
パワーメーターは測定できる項目が増えれば増えるほどその分処理のために電池を食う。現在のパイオニアペダリングモニターのようにX、Y軸の測定に加えZ軸方向も測定するとしたらバッテリーの持ちも考慮せねばならない。そういう意味ではZ軸方向をペダルの機能に分離し追加アドオン的な扱いも面白いかもしれない。
PowerTapに期待することは多いが、長らくパワーメーター界を牽引してきた同社の方向転換は今後見逃せない話題になりそうだ。