「鬼ベアリング」ではなく、ジェイテクトの「普通ベアリング」でも高性能インプレッション!

スポンサーリンク

ジェイテクト(KOYO)のベアリングはARAYAのトラック用ディスクホイールやBBINFINITEのベアリングにも採用されている。ARAYAのディスクホイールは世界で活躍しているから、その性能は折り紙付きだ。

わたし自身が愛用するCANYON AEROADのBBにも、ジェイテクトの普通のベアリングを搭載している。セラミックベアリングではなく「普通の鉄球ベアリング」なのだが、設計が良いのか、取り付けが良いのかめちゃくちゃ良く回ってくれる。

プレスフィットBBの異音よさらば ワンピースBBでスレッド式をしのぐ性能と静粛性を
大手メーカーのフレームがスレッド式BBに移行するさなか、ワケあって圧入タイプのフレームに乗らねばならない(乗りたい)人たちは大勢いる。最近話題のBRIDGESTONE RP9やCANYON AEROAD CFRのプレスフィットBB86(86.5MM)がそうだ。 「なぜ、スレッド式ではないのか・・・」 RP9を買ったユーザーのこころの声が、日本各地から聞こえてきそうだ。フレームにポッカリとあいた穴の...

それでいて、1シーズンノーメンテナンスでも性能がほとんど低下しない耐久性も備えていた。今回の記事はジェイテクトの鬼ベアリングではなくの「普通のベアリング」をインプレッションする。

そう、普通のベアリング。

スポンサーリンク

なぜ、ジェイテクトのベアリングなのか

まず記事を読み進めていただくまえに、一つ前置きしておきたいことがある。わたしは、ジェイテクトの内部の方と一切面識はないし、話したこともない。だから利害関係は一切ない。記事を書いてくれともお願いされていないし、取材もしていない。

それらを踏まえて、記事を読み進めて頂きたい。

これまでNTN、NSK、EZO、SNK、セラミックスピード、ENDURO等などを使ってきたが、その中でもジェイテクトのベアリングは単純に回転と耐久性が優れていると感じている。測定器で計測したわけではないため「わたしの使い方の範囲で」という非常にあいまいな表現にとどまるのだが。

しかし、体感的に「長時間性能が劣化しないな」と感じたベアリングだった。

きっかけは、愛用しているBBINFINITEにジェイテクトのベアリングが採用されていたことだった。鉄球ながらセラミックのように回る。一瞬、グリスが抜けているのかと思うほどよく回った。馴染みが出るとさらによく回ってくれるベアリングだ。

当ブログをご覧になられている方は、以下の記事を見たことがあるかもしれない。

ベアリング論争に終止符を セラミックとスチールの摩擦抵抗の実験結果
最高性能のセラミックベアリングと最高性能のスチールベアリングの摩擦損失の差はわずか0.03ワットだ。FrictionFactsの実験データで明らかになった事実である。セラミックスピード社のUFOオイルや、MoltenSpeedワックスの抵抗が小さいと知られるようになったのも同社の実験がきっかけだった。 FrictionFactsの目的はただ1つ、「最も抵抗が小さい機材をつきとめる」ただそれだけだ。...

実際にセラミックベアリングだからといって必ずしも回転が良いわけではない。様々な設計と圧入する際の施工方法でもベアリングの性能は大きく変わってくる。だから、スチールベアリングでもセラミックベアリングよりも優れている場合がある。

したがって、闇雲にセラミックベアリングを崇拝していない。むしろ、1シーズン使ったら新品に交換している。ベアリングとは何十年も使うものではなく、定期的に交換する使い捨ての部品だと思っている。

これまで愛用していたNTNやNSKのベアリングと、ジェイテクトの「普通ベアリング」が違っていたのは、先程も述べた通り「長時間性能が劣化しない」ということだった。実は、1シーズン使ったベアリングを取り外してみたところアウターは錆びていたが回転はすこぶるよく、新品のようだった。

もちろんメンテナンスは1度もしていない。ノーメンテナンスで1シーズン何万キロもの距離を雨風の中耐え抜いていたのだ。この出来事がきっかけでジェイテクトのベアリングのファンになった。

「長時間性能が劣化しない」というのは、シーズンを通してレースに出ることを考えると非常に重要な意味を持っている。まず、機材が壊れないことと、性能が劣化しないということは、機材のパフォーマンスが常に一定以上に保たれているため不測の事態に遭遇しにくくなる。

そして、メンテナンスの時間と費用が減る。だからこそ、定期的に1年に1回の交換が必要になる。だったら、NTNやNSKでも良いのだがクランクを回したときの「ぐるぐる感」がジェイテクトは特に気持ちよく回ってくれる。

「これ、セラミックベアリングなんですよ」

と嘘をついてもバレないほどに。もちろん、カンの良い読者は「無負荷の状態で回しても意味ない」と思うだろう。たしかに、軸に圧がかかった状態における回転性能がどうであるかが重要だ。無負荷の状態でぶん回しても「そりゃ回るよね」という話になる。

とはいえ、サイクリストならだれしも「無負荷の状態で”も”よく回る」ベアリングを求める。そしてジェイテクトのベアリングはもちろん、負荷をかけた状態で”も”ヌルヌルとよく回ってくれる。抵抗をN/mでお伝えできればよいのだが、人間は測定器ではないため無理だ。

だからインプレッションという感覚の話になってしまう。私の場合は、NTNやNSKといったブランドを使って、ジェイテクトの回転や耐久性、性能が劣化しにくいというポイントが気に入った。ひとによっては、NTNやNSKが良いという人もいるだろう。

ただ、わたしは自分が実際に使ってみて「ああ、これは良い仕事してるな」と思った。だからお金を払って、CANYON AEROADとPRINCETON CARBON WORKSのTACTIC RACINGの高価なセラミックベアリングをわざわざジェイテクトの「普通のベアリング」に載せ替えた(なお鉄球)。

スポンサーリンク

ボトムブラケット

ボトムブラケットのベアリングをジェイテクトに交換した。後ほど記載するが、ウィッシュボーンのボトムブラケットも鉄のスリーブをそのまま流用(取り付けたまま)してジェイテクトのベアリングだけ交換できる。

ジェイテクトのベアリングの外輪は「ステンレス」と「鉄」から選べる。ステンレスは高価だが錆びない。鉄は安価だが錆びる。わたしはボトムブラケットにステンレスを使用し、ハブベアリングには鉄の外輪を使用した。

というのも、BBINFINITEのベアリング交換で気づいたのが錆びていたのは外側ではなく、完全に密閉されている「内側」だった。どうやら、完全密着されているボトムブラケットのスリーブ内で結露が生じていたようで、外輪が錆びていた。

そのため、ボトムブラケットのベアリングだけはステンレス外輪にしている。

実際に使ってみると、はじめこそベアリングの「なじみ」が出ていないため回転はやや渋い。といってもシマノのBBよりは、はるかによく回転するし圧倒的になめらかだ。ベアリングは初めからよく回りすぎるものは耐久性に不安が残る。

初期はわずかながらも抵抗があるほうがいい。初めからグリスが抜けたような感じで回るベアリングが良いのではなく、使っていくうちに馴染みが出てきて、長期間安定して性能を発揮し続けてくれるベアリングがいい。

そういう意味では、ジェイテクトのベアリングは狂ったように回転しないながらも、ある程度のなめらかさを持って回転してくれる。実際に使ってみても、ヌルヌル感を若干感じることができる。

スポンサーリンク

ハブ

PRINCETON CARBON WORKSのホイールはハブが選べるのだが、最も高価なハブがTACTICRACINGのTR1だ。セラミックベアリングが使用されているのだが、こちらもジェイテクトの「普通のベアリング」に打ち替えている。

外輪は鉄を選択した。数が多いことと、サビが出ていなかったため鉄でよいと判断した。回転は正直なところセラミックベアリングとの違いが本当にわからなかった。逆に言えば、セラミックベアリングのように回転しているということだろうか。

とはいえ、セラミックベアリングだから回る、鉄球だから回らないということは先入観だ。ベアリングの回転は「ベアリング論争に終止符を セラミックとスチールの摩擦抵抗の実験結果」述べた通り、グリスの量、シールの種類、与圧など様々な要因で決定する。

交換後、実際に回転をテストしてみたところ、前輪を持ち上げてもバルブが下に下がっていかなかった。馴染みが出るまではけっこう渋い印象だ。100kmほど走り、ベアリングに馴染みが出た頃にもう一度前輪を持ち上げたところ、バルブの重みできれいに回転してくれた。

ある意味、「バランスがとれていないホイール」ともいえるが、ベアリングの回転性能の変化を確かめる上で一番確実な方法と言える。ハブベアリングも1年に1回は交換している。基本的に、シールを開けて交換するものではないため、全とっかえが基本だ。

DTSWISSやROVALといったホイールのハブでも、JIS規格品で適合するものがあればジェイテクトのベアリングに交換することができる。ただ、ジェイテクトは入手性が非常に悪いという問題がある。

モノタロウにもお目当ての規格サイズが売っていないのだ。

スポンサーリンク

モノタロウに欲しいサイズが売っていない問題

モノタロウでもジェイテクト(KOYO)のベアリングを各種扱っている。しかし、自分の使用しているハブベアリングであるとか、ボトムブラケットの規格サイズが売っていない場合がある。

はたまた、「PCW TACTICRACING TR1の内部ベアリングサイズ」なんてものは、日本で知っているメカニックは一人も居ないのが実情だ。また、ベアリングを取り外す工具や取り付ける作業を考えるとプロショップに依頼したほうがいい。

ベアリングの交換を自分でやるには難易度が高い。

https://www.monotaro.com/s/c-51116/b-1582/

したがって、プロショップで自身が使っているベアリングタイプを判別してもらってから打ち替えるほうが確実だ。では、日本にジェイテクトと正式に取引があってベアリングを打ち替えしているショップはあるのか。

スポンサーリンク

交換受付店舗(遠隔可)

ジェイテクトと正式に取引があり、遠隔でもベアリング交換している店舗としてはいくつかあるが、「ササキパフォーマンスサービス」が対応している。ここは、メンテナンスや保守サービスがメインの店舗だ。バイク完成車、小物パーツ問わず、施工依頼を全国から受け付けている。

海外通販品で購入した闇の商品や、CANYONのバイク組み立ても行っている。わたしは家が近いため、CANYONの発送先をササキパフォーマンスサービスにして、特大ダンボール箱の処理までお願いしている。

ジェイテクトのベアリングに交換するサービスとしては、

  • ウィッシュボーンのスリーブを流用したベアリング交換

  • ROVALやBONTRAGERなどのDTSWISS系のJIS規格ベアリング交換

などなど、幅広く展開している。ジェイテクトの「普通のベアリング」は、お値段が500円~3000円とお安い。あとは工賃がかかる。作業工賃はモノによって異なるため、実際にショップに確認してみてほしい。

北は北海道、南は沖縄まで遠方からでも完成車や小さな部品の整備を行っているため、一度問い合わせてみてほしい。

contact@sasaki-performance-service.com

スポンサーリンク

まとめ:ジェイテクトは「普通のベアリング」も”超高性能”

できればジェイテクトの「鬼ベアリング」を使いたい。ただ、費用対効果を考えると正直なところ躊躇してしまう。躊躇してしまうのは価格もあるのだが、そもそもジェイテクトの「普通のベアリング」の性能が優れているという理由がある。正直なところ、十分以上の性能なのだ。

また、不具合が出ようが出まいが、年に1回新品のベアリングにボトムブラケットやハブベアリングを全て交換するという、わたしのような使い方をする場合は「普通のベアリング」が適している。この「普通」でもNTNやNSKよりもよく回るし、その性能が長く続く印象がある。

ジェイテクトの「普通のベアリング」はだれでも手が届きやすい価格だ。あとはショップとして正規に取引がある店舗で、使用しているベアリング規格を見てもらい交換してもらうほうが良いだろう。

わたしは、ササキパフォーマンスサービスに依頼しているが、BBやハブをジェイテクト、TIME ATACペダルのベアリングをニードルベアリングに改造したり、ミネベアに変更したりしている。

店主は大のTIME好きだ。TIMEペダルのロード・MTBに問わずチューニングしてくれるし、ウィッシュボーンのスリーブをそのままにベアリングだけ打ち替えもしてくれるため、一度相談をしてみても良いかもしれない。

contact@sasaki-performance-service.com

Login • Instagram
Welcome back to Instagram. Sign in to check out what your friends, family & interests have been capturing & sharing around the world.
Ads Blocker Image Powered by Code Help Pro

広告ブロックが検出されました。

IT技術者ロードバイクをご覧いただきありがとうございます。
皆さまに広告を表示していただくことでブログを運営しています。

広告ブロックで当サイトを無効にして頂き、
以下のボタンから更新をお願い致します。