Challengeが新型ハンドメイドTLRとチューブレスチューブラーを発表!

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ハンドメイドタイヤで有名なChallengeがとても魅力的なタイヤをリリースした。ハンドメイドチューブレスレディ(HTLR)タイヤとハンドメイドチューブレスチューブラー(HTLTU)タイヤである。この文字の羅列を見ただけでは、いったいどのようなタイヤなのか私にはさっぱり理解ができなかった。

「ハンドメイドのチューブレス?」、「チューブレスのチューブラー?」何が今までと違うのかと疑問に思っていた。

詳しく調べていくと、この2種類のタイヤは今までのチューブレスタイヤやチューブラータイヤのネガティブな部分を改善する可能性を秘めていた。まずHTLR(ハンドメイドチューブレスレディ)タイヤはChallengeの特徴の一つでもあるしなやかさを担保しつつ、非常に低圧で使用することが可能になった。また、新しいETRTOチューブレスガイドラインとISO規格に従って設計が刷新されていた。

「ETRTO」と「ISO規格」に沿うようにタイヤが開発されたということは、TLタイヤにとって非常に大きな意味を持つ。というのも、リムの規格はISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が制定する国際規格であるのに対して、タイヤ規格はサイクリストにおなじみのETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation:欧州タイヤおよびリム技術機構)が策定している。

当然、それぞれ別々の団体である。TLタイヤとTLリムの設計がわずかに違うことが今でもザラにあるのはこのためだ。市場に流通しているTLタイヤとリムの相性問題は今現在も根強く残っている。MAVICがロードUST(USTとは別)という独自のタイヤとリムを設計した背景もここにある。シュワルベも自社TLタイヤと相性のいいホイールメーカーの一覧を公表しており、ユーザーの利便性も考えても決して良い状況とは言なかった。

自転車機材の技術革新が進む一方で、ひとたび決定してしまったそれぞれの「標準規格」はリムとタイヤの寸法に違いを生じさせていた。TLタイヤはリム寸法がぴったりと合わなければ空気漏れが起こるため、悪しき規格乱立になっていた。これらは本来あるべき「標準化」の姿ではない。ディスクロードのアクスルシャフト規格や、ブレーキ台座がポストマウントとフラットマウントが乱立したら困るように(こちらはパーツメーカー主導によるデファクトスタンダードだが)規格統一は必ず必要である。

現在ではETRTOがISOと連携して、ISO規格(ISO 5775)が改定されている。規格改定によりそれぞれのサイズがあやふやに区別されている状況が置き換わり、これまでのリムとタイヤの曖昧さは是正された。

余談だが、たとえば異なる6つの「26インチ」サイズが(規格上)この世に存在していた。そして、27インチのホイールが28インチ(フランス表記で言う700C)ホイールよりも(規格上)直径が大きいといった状況すらあった。なお日本工業規格JIS D 9421はISO同じ寸法体系を指定している。

少々話は長くなってしまったが、今回の新型のChallengeタイヤは新しいETRTOチューブレスガイドラインとISO規格に従って設計されている。Challengeは他のメーカーよりもチューブレスタイヤの導入が遅れてしまった原因の一つとして、これら規格準拠への対応があった。

そして、Challengeタイヤを象徴する「高TPI」と「ハンドメイド」で、チューブレスタイヤを実現するための開発期間も必要だった。タイヤメーカーとしては後発になってしまったが、新しい基準に即したハンドメイドチューブレスレディタイヤが発売されるに至った。

今回の記事は、Challengeがリリースした「HTLRタイヤ」と「HTLTUタイヤ」についてオフロード、ロード共に探っていく。

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ハンドメイドチューブレスレディ

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身も蓋もない話をしてしまうと、2018年に発売されたChallengeのTLRタイヤはChallengeタイヤであったが「Challengeらしさ」は少々薄かった。私はすぐさまシケインTLRを購入したのだが率直に言って廉価版であり、シケインのブロックパターンは踏襲しているものの、チューブラーに採用されているタイプとは大きく異なっている印象だった。

シクロクロスシーズンを通してシケインをかなり愛用していたので、今までのChallengeタイヤの印象とは大きく異なるTLRが残念でならなかった。

Challengeのシケインを使用している人は、サイドのノブの柔らかさとセンターのヤスリ目の美しさ、転がり抵抗の小ささと相反するサイドグリップの高さに惹かれる。ところが、手にしたシケインTLRは低くて硬いノブで構成されていた。そして、市場に出まわっているようなクリンチャータイヤと同じようにあらかじめ成型されたタイヤだった。

このすでに形作られたタイヤが悪いと言っているわけではない(むしろ多くのタイヤがこの製造方法だ)。多くのクリンチャータイヤが加硫タイヤで、なにより耐久性が高いタイヤが作れる。しかし、Challengeのクリンチャータイヤと言えば、まるでベルトのようなフラットな形状とサンドイッチのような積層構造、そしてきれいに折り畳める美しいハンドメイドタイヤが真っ先に思い浮かぶ。

今回開発されたHTLRはまさにChallengeのタイヤだった。しかし、TLRということで今までとは少々構造が異なっている。TLRタイヤは空気を閉じ込めておくためにシーラントが必要だが、できるだけ空気の漏れを少なくするために、使用する素材や製造方法に工夫が施されている。

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ライナー(タイヤの空気漏れを防ぎ空気圧を保つ内側の層)には、TLR専用に空気の漏れを少なくするまったく新しい材料が採用された。ケーシング(カーカス)部分には塗料のような液体ブチルゴムをコーティングしており、しなやかさをより引き出している。

今回のHTLRが素晴らしいのは、これら空気の漏れを少なくする素材や構造を採用しつつも、Challengeらしいしなやかさを両立した点にある。TLRタイヤとして空気を閉じ込める基本的な機能面、そしてライダーが感じる性能面でのバランスが取れた優れたタイヤだ。

TLRタイヤはどのメーカーであってもしなやかさをウリの一つとしている。しかし、Challengeのしなやかさはまた別の次元に位置していると感じる。シクロクロスタイヤで培ってきたChallengeの「しなやかさ」は、他のロードバイクタイヤで実現することは非常に難しい。構造的(積層のような構造)に似ているのはVELOFLEXのタイヤで、乗り心地もよく似ている。

今年もシクロクロスに参戦するが、もちろん前半戦の高速なコースにはシケインが適している。沢田時選手や、前田公平選手といった国内トッププロもChallengeのタイヤを愛用して好成績を収めている。Challengeのタイヤはオフロードやピスト用のイメージが強いが、今回の発表ではロード用タイヤもラインナップされているので機会があればぜひ使用してみたい。

ロード用

  • STRADA 25mm 300TPI 255g / 8,500(税抜)
  • Paris Roubaix 27mm 300TPI 280g / 8,500(税抜)
  • Strada Bianca 30mm 260TPI 305g / 8,500(税抜)

グラベル用

  • Strada Bianca 36mm 260TPI 385g / 9,000(税抜)
  • Almanzo 33mm 260TPI 390g / 9,000(税抜)
  • Gravel Grinder 33mm 260TPI 405g / 9,000(税抜)
  • Gravel Grinder 36mm 260TPI 425g / 9,000(税抜)

グラベルモデルはシクロクロス用のモデルからブロックパターンを採用している。Gravel Grinderはシケインと同じようなパターンでフラットなスピードコースに向いている。10月に開催が予定されているグラインデューロであれば、33mmのタイヤ規制がないのでGravel Grinder 36mmが活躍しそうだ。

AlmanzoはGrifo XSのブロックパターンだ。Grifoは最もオールラウンドなブロックパターンでスピードとグリップのバランスが高い。1本で汎用的に使うのならばAlmanzoだ。

海外では11月発売。国内では12月発売開始予定だが、シクロクロスシーズンを考えるともう少し早く発売してほしい。

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ハンドメイドチューブレスチューブラー

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「革命的」

新しいChallengeのチューブレスチューブラータイヤはこの一言に集約される。チューブが入っていないチューブラータイヤだ。とはいうものの、厳密にはタイヤに融着された極薄のラテックスライナーが入った新しい構造で、チューブ状のタイヤケーシングの内側に恒久的に接着されている。

似たようなチューブレスチューブラー構造のタイヤはTufo、Donnelly、Clement、MAVICからリリースされている。DugastであればORIが似たような構造だ。特にTufoのチューブレスチューブラーはシクロクロッサーに好まれている。

この構造はパンク修理をより楽に、そしてチューブラータイヤの寿命を長くしてくれる。チューブラータイヤの宿命と言えば、パンクしたときの修理だ。シーラントで塞ぐか、もしくは紐を解いて中のチューブにパッチ修理するという2通りしかないのが現状だった。リムセメントで接着されていることを考えると、そもそもタイヤを外すこと自体、難易度が高い。

Challengeの新しいチューブレスチューブラータイヤは、第三の方法「タイヤプラグ」を使った修理を行うことが可能になった。とはいっても、MTBライダーにはおなじみのタイヤプラグを使った修理方法である。ロードバイク乗りにはあまり馴染みもなく聞き覚えもない修理方法かもしれないが、タイヤプラグはシーラントでも塞がらないような大きな穴を埋めるために使用する。

チューブレスタイヤプラグはゲジゲジ虫のような繊維で構成されており、タイヤに空いた穴に千枚通しのような工具を用いて差し込む。余ったゲジゲジはハサミでカットする。チューブレスチューブラーは「チューブラーはパンクしたら即終了」という世界では革命的な存在とさえ思えてくる。

さらにチューブレスチューブラーの利点を上げると、リム打ちパンクのリスクも少なくなる。チューブラータイヤと言えど、中にはチューブが入っているため強い衝撃が加わるとチューブが破損してしまう場合がある。チューブレスチューブラーの場合はタイヤに融着しているため、リム打ちパンクのリスクが実質的になくなることを意味している。

また、そもそもの性能としてチューブレス用のシーラントの効果が非常に発揮しやすい。

Challengeがチューブレスチューブラーを開発した生み出したた背景には、これらのパンクリスクを実質的に排除する意味も込められている。

  • Strada Bianca 30mm 260TPI 385g / 9,800(税抜)
  • Strada Bianca 36mm 260TPI 495g / 10,800(税抜)
  • Almanzo 33mm 260TPI 450g / 10,800(税抜)
  • Gravel Grinder 33mm 260TPI 465g / 10,800(税抜)

この価格設定を見て思ったのは意外と安いということだ。デュガスが15000円を超えることを考えるとかなりお買い得と言る。それでいてパンク修理の簡単さから練習でも使えるタイヤだ。正直メインタイヤとして使ってみたいと思うほどに。

クロスメカニック兼コーチのステファンワイマン(娘は8度のイギリスCXチャンピオンに輝いたヘレンワイマン)は、チャレンジのTLRは低圧性能がついにクロスチューブラーと張り合えるレベルにまで達してると語っている。

ステファンとヘレンは、チャレンジからスポンサーを受けているためリップサービスの可能性もあるが、廉価版のTLRよりは確実に進化しているはずだ。cxmagazineのレビューによると、36mmや42mmのチャレンジ製TLRタイヤの空気圧の下限は1.1barまで落として使うことが確認されている。

私自身、IRC SERACも同様に1.35barまで下げてレースに投入した実績がありチャレンジのTLRタイヤもいよいよその次元にまで達した可能性がある。いずれにせよ、MTBで主流のTLRタイヤがチューブラー一択のシクロクロスシーンを侵食してくるかは未知数だ。

しかし、しなやかさが高まり1.3bar程度でも使えるようになれば、TLRの時代がやってくるのかもしれない。

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まとめ:チューブレスは新時代へ

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チューブレスはまだ過渡期だ。リム規格やタイヤ規格も完全に統一されているとは言いがたい。また、市場に出まわるタイヤやホイールがすべて新しい規格に準拠しているかは、実のところ買って使ってみなければわからない。メーカーが公表していれば良いが、チャレンジのように明確に規格準拠を公言しているメーカーは稀だ。

TLRタイヤはこれからスタンダードになっていくことは間違いない。自動車やオートバイのタイヤがそうであるように、次第に自転車機材にもチューブレスの時代が訪れるはずだ。自転車機材の最先端を行くMTBでTLR以外考えられないように、ロード、シクロクロスもいずれ同じ状況になっても何らおかしな話ではない。

そのためには、今回チャレンジタイヤが設計したように新しい規格に準拠するタイヤとリムが市場に出まわることが先だ。現状はどんな規格を採用したタイヤなのか、ホイールなのかまったくわからない。MAVICのように規格乱立をうまく「自社ブランドに囲い込む戦略」として使うことは一見賢いように見る。

ただ、今後新しい規格に沿ったホイールやタイヤが増えていくことを考えると、いずれMAVICのロードUSTもガラパゴス規格になっていくのだろう。MAVICホイールに採用されている独自規格のリム外周は、ETRTO規格(タイヤの規格)で622サイズに設定された寸法と許容誤差「Φ621.95±0.50」に対して、「± 0.35」という許容誤差で埋める独自規格を設定している。

このような許容誤差で話をされるより、「最新規格に準拠」というチャレンジタイヤの表記のほうが誰にでもわかりやすく明快だ。いっそのこと認証マークを作って普及に努めてほしいくらいだが、まだ先の話だろう。とはいえ、今回のChallengeが生み出したTLRやチューブレスチューブラーのように規格に準拠したタイヤが増えていくことはユーザーにとっても望ましいことだ。

このように規格が統一されていけば、チューブレスタイヤの未来は明るくよりユーザビリティーに優れた製品になっていくのかもしれない。後発ではあるがChallengeのTLRを近いうちにぜひ試してみたいところだ。

チャレンジ日本総代理店 アキボウ

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