各社シクロクロスタイヤの違いについて「リム打ちまでの速さ」と「潰れたあとの戻り」の特徴に絞ってまとめた。
チューブラーとクリンチャーの違いは、なんとなく走りながら体感していたものの、ことばとして具体的に言語化することが非常に難しかった。少しづつではあるものの、伝統的なハンドメイドチューブラータイヤとバルカナイズドクリンチャータイヤの特徴や潰れ方の違いが少しづつわかってきたため、一覧としてまとめた。
どのタイヤにもタイヤには一長一短がある。そのため、どれがよい、どれがわるいという話はタイヤの「特徴」と区別して考える必要がある。タイヤには構造、製法、使用する素材といった様々な要素の違いから特徴が大きく異なっている。
チューブラータイヤとクリンチャータイヤの違いについて考えるとき、「リム打ちまでの速さ」と「潰れたあとの戻り」、この2つの観点に着目しながら整理することが、タイヤの特徴やモデル間の違いを理解する近道になることがわかった。
体重58kg、バイク重量7.5kg、装備一式2.0kg想定において、およそ1.4barで使用したそれぞれのタイヤの相対評価は以下の通り。10段階評価で表している。
- ライダー:体重58kg、バイク重量7.5、装備一式2.0kg
- 空気圧:1.50bar
- IRC SERAC旧型を基準(5)とした場合の相対評価
なお、補足としては実際に練習からレースまで使ってみた個人的な主観であるため、正確なタイヤの剛性値ではない。IRCのSERAC(旧型)を基準として底を打つまでの猶予がどれくらいあるか、戻りの速さについてまとめている。
衝撃を受けても跳ねないタイヤを希望する場合は、「戻り」の数値が小さなタイヤを選択するといい。また、衝撃を受け止める器が大きいタイヤを選択したい場合は、「リム打ちの速さ」の数値が小さいタイヤを選択するといい。リム打ちまでが遅い≒猶予があるタイヤとして読み替えていただきたい。
シクロクロスのタイヤで注目していたのは、「リム打ちまでにどれだけの余裕があるか」と衝撃を受けてから元の状態に戻るまでの「戻りの速さ」の2つだ。それ以外にもエアボリュームや様々な要素があるのだが、パラメーターが多くなるのでシンプルに2つに絞ってまとめた。
リム打ちまでに「猶予がある ≒ タイヤハイトが高い」はサスペンションでいうところのストローク量に相当している。実際に直径を測るとFMBのTUが最も太っており、次いでDugast、Challenge≒MICHELIN≒Vittoria(全部ライオンタイヤ?)だ。
個人的な感覚としては、1.4barでFMBやDugastが底を打つまでの猶予は、ChallengeのTUタイヤの場合は1.5barほど充填しないと同一の感覚にならなかった。見た目にもFMBやDugastは体積量が多いようだ。
この傾向は、新型IRC SERACと旧型IRC SERACの間にも存在している。新型はしなやかであるため空気圧を高めに設定すると旧型と同じような沈み込み方をする。具体的には、旧型1.50barに対して新型は1.55~1.60barほどの間で調整する必要があった。
どれが良い、どれが悪いという話ではなく相対的に見てこれまで使ってきたタイヤにはどれも特徴があった。この中でシクロクロスに適しているタイヤを選べと言われれば、間違いなくDugast、FMB、Challengeのチューブラータイヤを選ぶ。
ただし、タイヤ選定には底打ちや反発以外にも、メンテナンス性や使い勝手も含まれることからベストなタイヤは無数に存在している。