これまで、体重計をGarmin Index S2やWithings Wi-Fi Bodyを使用してきたが、1つだけ満足がいかない基本的な機能があった。それは体重の測定単位だ。WighingsもGarminも測定単位は「200g」だ。そんな小さいこと気にするなよ、というご指摘はそのとおりかもしれない。
しかし、だ。
自転車機材は1gを削るのにやっきになるのに、パフォーマンスに大きな影響を及ぼす自分の体重管理を「200g」という甚大な値の丸め誤差を知りながら、「体重管理」という名ばかりの管理をし続けていることに矛盾を感じ続けていた。
というわけで、気持ちを新たに測定単位が小さく、Wi-Fiで接続でき、自動的にデータが管理できる体重計を探した。
見つけたのが、エレコムの「HCS-WFS01」だ。
「PCサプライメーカーのエレコムの体重計?使っている人は聞いたことがない」と、思っていた。しかし、調べれば調べるほど、「こりゃすげぇ」と思わずにはいられなくなった。ざっとHCS-WFS01のポイントを紹介しよう。
- 筑波大学との産学連携で開発
- 体積推定方式(家庭用体重計としては初)
- 測定単位が50g
- 測定誤差の実験結果がわずか0.1kg(実測値)
- Wi-Fi接続で自動クラウド保存
- スマホのアプリでデータ管理可能
- iphoneのヘルスappを自動更新
- 広告なし雑誌MONOQLOマガジンのベストバイ
- Amazonで5,845円(まじで安い)
Garmin IndexやWighingsの体重計が2万円ほどするのに、同様の機能を備えたエレコムの体重計はわずか5,845円だ。
今回の記事は、「安いから失敗してもいいや」と思って購入したエレコムのスマート体重計「HCS-WFS01」が予想以上に良かったのでレビューを行った。Garmin Index S2やWighingsの体重計が一体何だったのかと思わずにはいられない、コスパと測定性能に優れたHCS-WFS01を紹介する。
測定精度と粒度 50グラム
体重計はパワーメーターと似ている。ひずみゲージに加わる力(体重)の変化を体重やパワー(トルクと回転の積)を計測する。その際、測定の精度が重要だ。ひずみゲージは温度変化や力が加わる方向によって特性が大きく変化する。
また、ひずみゲージがとりつけられている素材にも影響する。体重計にも測定精度があり、メーカーによってその精度はバラバラだ。広告なし雑誌MONOQLOマガジンのベストバイのテストによれば、体重計22機種中でエレコムのHCS-WFS01はトップクラスの性能を叩き出している。
測定誤差は体脂肪率で1.3%、体重で0.1kgだ。体脂肪率の測定誤差は、実験した22機種中タニタRD-803Lと並んで最も精度が高かった。実験結果が面白いのは、「高価だから測定精度が高い」ということは一切なく、ハイエンド体重計でも測定精度に目も当てられない製品も多数存在している。
エレコムのHCS-WFS01は、安かろう、悪かろう、ではなく測定精度はトップクラスであり、かつ測定単位は50gというある意味パーフェクトに近い体重計だ。体重・体脂肪率ともに業務用体重計との誤差はわずかであるという実験結果も出ている。
わたしがなぜ、ここまで「測定単位」と「測定精度」にこだわっているかというと、Wighingsの体重計は「低く出る」ことと、Garmin Index S2が「高く出る」ことが多発したためだった。どんなに良い製品でも、測定する時期(冬は気温が低く、夏は高い)によって測定にばらつきがあると、体重を管理をするそもそもの意味がなくなる。
したがって、体重計の測定単位と測定精度は、Wi-Fi対応やアプリ連携よりも体重計に求められる重要な要素だ。エレコムのHCS-WFS01は、安価ながらGarmin Index S2やWighingsよりもさらに粒度が細かい50gという単位で測定でき、かつ精度も高い。
体積推定方式で正確に算出
筑波大学との産学連携で実現した機能が体積推定方式だ。
家庭用体重計としては初の機能で、従来のへそ位置だけではなく、腹部全体の画像から内臓体積を算出する。これまでの体重計の算出方法はX線CT方式で、へその位置の内臓脂肪面積だけで算出していた。本機は、腹部全体のMRI画像24枚から、内臓脂肪の体積を算出するため正確な評価が可能になっている。
重力加速度の影響を補正
モノの重さは、重力の大きさによって変わる。
地球の遠心力は高緯度ほど小さくなるため、北海道と沖縄を比べると北海道の方が少しだけ(約0.15%)重力が大きい。同じモノでもその分重くなる。たとえば、沖縄で1,000gのモノは、北海道に持っていくと約1g重くなる。そのため、日本各地の重力値を元にはかりを校正する必要がある。
はかりの校正には、国土地理院が測定した重力値を使用する。同じモノが日本どこで測っても同じ「重さ」としてはかれるようにするためだ。住んでいるエリアごとに重力加速度は異なるが、この値を補正する機能が、エレコムのHCS-WFS01に搭載されている。
本設定は、初回起動や電池交換の際に「入/ 設定」ボタンを押して起動すると、地域設定を行うことができる。引っ越しなどで地域設定を変更したい場合は、「切/ 通信」ボタンを長押しして起動すると変更できる。
クラウドにWi-Fi自動転送
スマホで体重の統計情報が確認できない製品は時代遅れになった。Wi-Fi接続やBluetooth接続できないだけで体重の候補から外れる。自動転送を行うことができる体重計の通信方式は、Wi-FiかBluetoothに分かれるが、両方使ってみると自宅で常時稼働しているWi-Fi接続のほうが便利だ。
本機は、乗るだけで測定データをWi-Fi接続でクラウドに保管できる。Bluetooth接続タイプとは異なり、スマホがなくてもログを残すことができ、専用アプリに自動転送・記録ができる。
アプリ連携
アプリは本機と連携し、乗るだけでスマホに自動で記録できる。測定データは統計情報としてグラフィカルに管理できる。なお測定とデータ精査は自動的に行われるため、データ転送時に面倒な操作は不要だ。好きなときにいつでもアプリで確認できるため、測定が終わったあとにゆっくりとデータを確認することができる。
確認項目は以下の8つを管理できる。
- 体重
- 目標体重
- 体脂肪率
- 骨格筋率
- BMI
- 内臓脂肪レベル
- 骨量
- 基礎代謝
グラフ表示は目的別にカスタマイズすることが可能だ。脂肪を減らしたい方は「体重+体脂肪率」で、筋トレの成果を見える化したい方は「体重+骨格筋率」を選ぶ。
また、自己顕示欲を満たすための機能として、SNSにシェアしやすい機能として、Instagramにアップしやすいデザインが採用されている。正方形に切り抜いても、グラフと体重がバッチリ表示されるため人に体重の変化を見てほしい人に適している。
0.00kg 自動校正補正
パワーメーターも使用する前に「ゼロオフセット」を行うが、エレコムのHCS-WFS01にも同じような機能が備わっている。電源が切れているときに自動で定期的に0.00kg校正が行われる。体重計は気温や環境変化で値が狂いやすいため、ゼロオフセット機能は必須だ。
体重差がわかる
地味な機能として、前回からの体重差がわかる機能が搭載されている。小さな機能だが、この機能が搭載されているメリットとしては、夜から朝にかけてや、練習後にどれだけ減量できたかの差分を知ることができる。私は、朝と夜に体重を測定しているのだが、おおよその体重を覚えておき「だいたい○○Kg減ったな」という傾向を見ていた。
今まで頭の中で適当に引き算していた前回測定時の差分計算を、体重計が正確に行ってくれる。差分を把握しやすくなったことは大きなメリットだ。非常に地味な機能であるものの、私自身にとっては非常に意味がある。かゆいところに手が届く管理機能である。
USB給電できる
本機は単四電池で1年ほど動作するが、USB給電も可能だ。近くにコンセントがあればUSB接続で常時電源を供給しておくことができる。電池でも1年ほど持つため、あまり使用しない機能ではあるものの不意な電池切れや、予備の電池が無いときにバックアップ的にUSB給電ができるため、困らないとありがたみがわからない機能だ。
仕様
最大計量 | 最大150kg |
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測定単位 | 2.5kg~100kg:50g単位、100kg~:100g単位 |
体重計精度 | 2.5kg~75kg:±100g、75kg~100kg:±150g、100kg~150kg:±300g |
体重差 | -9.9kg~9.9kg:100g単位 ※前回値のみ |
BMI | 0.4~150:0.1単位 |
体脂肪率 | 5%~75%:0.1%単位 |
体脂肪率判定 | 9段階 |
骨格筋率 | 5%~75%:0.1%単位 |
骨格筋率判定 | 9段階 |
内臓脂肪レベル | レベル1~30:1単位 |
内臓脂肪レベル判定 | 6段階(標準:3段階、高:3段階)※内臓脂肪レベルについては「低」の判定がありません。よって、本体パネル上「低」の3段階のLEDは、測定結果によらず常に点灯します。 |
骨量 | 0.1kg単位 |
基礎代謝量 | 500kcal~3000kcal/日:1kcal単位 |
地域 | 5拠点 |
ユーザー登録数 | 4人 |
性別 | 男/女 |
身長 | 100.0cm~250.0cm:0.5cm単位 |
電源 | DC6V 単4形乾電池×4本(外部電源 DC5V :USB Type-Cコネクタ搭載) |
電池寿命 | 約1年(アルカリ乾電池使用時) |
メモリ | 表示メモリ 前回値(体重差のみ)本体記録メモリ 最大30回分(各ユーザー) |
通信範囲 | 無線LAN2.4GHz帯(IEEE802.11b/g/n規格)対応 ※5GHz帯非対応 |
質量 | 約1.5kg(乾電池を除く) |
寸法 | 約幅309×奥行289×高さ32mm(カーペット脚取付時) |
カラー | ホワイト |
付属品 | 本体×1、取扱説明書×1、スタートアップガイド×1、お試し用電池 単4形(LR03)×4本、カーペット脚×4 |
計量法 | 家庭用特定計量器 丸正マーク |
保証期間 | 1年 |
まとめ:お値段倍以上の価値、体重計探しの旅は終わりへ
何年か前は、Wifi接続と自動アップロードできる体重計はWithingsの体重計しか選択肢がなかった。しかし、エレコムのHCS-WFS01は優れた測定性能と、最新の測定方式を採用し、かつWifi接続でアプリ連携も行え、いわば「神体重計」と言っていい出来だ。
そしてなにより、測定単位が「50g」という細かさだ。
Garmin Index S2やWithingsが200gという、非常に粗い測定単位からやっと開放される日が来た。さらに測定”精度”も非常に高い。かつ、体脂肪率の測定精度も、筑波大学との産学連携で実現した家庭用体重計としては初の体積推定方式だ。極めつけは、重力加速度の影響を補正、ゼロオフセット機能である。
これ以上、体重計に何を求めようか。
最後に価格が5000円台というバーゲンプライスは、デフレに苦しむ安い国日本を象徴している。ただ、誰もが買えるであろう価格帯でここまでの機能を搭載してきたPCサプライメーカーのエレコムに賛辞を送りたい。
様々な先進機能が搭載されているものの、50gの測定単位の体重計を作ってくれて本当にありがとう。
これから50g単位で減量を行うことを考えると、楽しみしか無い。
いや、逆に50gという今までにない測定単位がゆえ、食べ物、排泄、口にするものに対してより敏感に厳しくなるかもしれない。ただ、選手として体重管理と付き合っていくにはこれでよいのだ。エレコムのHCS-WFS01は、より正確に、より確実に、より楽しく体重と向き合える数少ない体重計だ。
何よりも、これだけの機能が詰め込まれていて、安いってのがいい。